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広島市初の認知症疾患医療センターとして地域連携を目指す
<広島県広島市 医療法人社団更生会 草津病院>

院長 佐藤悟朗先生 院長 佐藤悟朗先生

開放的な治療環境のもと、精神科救急・急性期治療から地域リハビリテーションまで、患者さんのトータルサポートを行っている草津病院。2011年10月には広島市初(広島県では3番目)の認知症疾患医療センターの指定を受け、鑑別診断や地域連携、啓発活動などに取り組んでおり、地域の認知症診療の要として大きな期待が寄せられています。

認知症救急にも注力してきた、都市のなかの拠点病院

精神科医 岩崎庸子先生 精神科医 岩崎庸子先生

草津病院の歴史は1933年までさかのぼり、戦災による全壊を経て、1973年には精神科病棟を増設、現在では広島県最大規模の定床数を誇ります。

長年、この地で医療を支えてきた同病院が、認知症診療に本格的に取り組むようになったのは、2000年に認知症疾病治療病棟の運営を開始してからです。同病院では認知症の医療を提供する上で「都市のなかにある精神科病院の認知症疾病治療病棟」をコンセプトとして掲げています。急性期の認知症患者さんの入院設備を整え、精神症状の治療に注力するだけでなく、介護保険施設などとも積極的に連携を行うことで、患者さんを長期間入院させたままにしないシステムをとっていることが大きな特徴です。

2008年に広島県精神科救急医療施設に認定されてからは、精神科救急病棟を運営し、広島県西部地域での精神科拠点病院として地域に貢献しています。3カ所の訪問看護ステーション、生活訓練施設、デイケアを併設し、多職種による退院促進・地域生活促進にも積極的に取り組んでいます。また、認知症救急のニーズも増加し、さらに2011年には認知症疾患医療センターに指定されたことで、地域の認知症診療を担う、ますますなくてはならない存在となりつつあります。

 

「聞く」ことを重視して信頼関係を構築

認知症で同病院を訪れる患者さんの多くは、既にほかの病院で認知症の診断を受けています。しかし、症状が進行するなど「今の治療で本当に良いのだろうか」という疑問を持ち、専門医の話を聞きたいと同病院を訪れるとのこと。そのため、患者さん本人への治療と同時にご家族への配慮の重要性を訴えるのは、認知症疾病治療病棟担当医であり、認知症疾患医療センター長でもある精神科医の岩崎庸子先生です。

「これまでご家族が一生懸命対応してきたことを、まずは肯定し評価するようにしています。それから、今起こっている問題についてしっかりと知識を提供して、対処すべき方法を具体的に提案します。ご家族を支えることが、最終的には患者さん自身を支えることになると思いますので、特に初診ではかなりの時間をかけてご家族と話しますね」(岩崎先生)。

精神保健福祉士 山中理恵子さん 精神保健福祉士 山中理恵子さん

同病院では、とにかくじっくり「聞く」ことを大切にしています。医療福祉相談室に勤務する精神保健福祉士の山中理恵子さんは、「初診相談の電話は、多くの場合、医療福祉相談室で受けるため、ご家族から今までの生活歴などをしっかり聞き取って初診につなげるよう心がけています」と話します。まずは電話で詳細なヒアリングを行い、病院では看護師が検査を兼ねて普段の行動や困っていることを聞きます。さらに医師と1対1で話すという形を取っており、立場の違う3名がそれぞれじっくりと話を聞くことが患者さんやご家族の安心につながっているようです。

 

多様なスタッフが連携し診療にあたる

看護師 沖田圭子さん 看護師 沖田圭子さん

入院して病棟での治療が始まる際にも、ご家族の想いをくみ取るように心がけていると話すのは、認知症疾病治療病棟の課長を務める看護師の沖田圭子さんです。「認知症のBPSD(周辺症状)の治療に特化していて長期入院は行っていない病棟ですので、どの程度まで生活レベルを回復させたいかという目標を設定させていただくために、じっくりお話を伺います」(沖田さん)。

認知症疾病治療病棟担当の精神保健福祉士である藤井彩さんも、「入院相談では医師や看護師と情報を共有しながら、ご家族が前向きになれるような目標づくりを早い時点でできるよう努めている」と話します。

精神保健福祉士 藤井彩さん 精神保健福祉士 藤井彩さん
作業療法士 新田祥子さん 作業療法士 新田祥子さん

認知症疾病治療病棟に専従で勤務している作業療法士の新田祥子さんは、病棟看護師やケアワーカーと連携しながら患者さんの作業療法を行っています。作業療法を通して新田さんが気付いたのは、患者さんによっては周囲の景色が違って見えるということ。歩行訓練をしている廊下を高速道路だと思ったり、病棟のなかを商店街だと思ったりなど、そういったことが原因で行動障害が出ている場合もあると言います。だからこそ、「その方に見える景色や、何をしたいか、どういうことに困っているかを聞き、受け入れて対応できるような関わり方ができれば」と新田さんは話します。

認知症疾病治療病棟では、ケースワーカー、作業療法士、病棟スタッフ、さらに岩崎先生も加わって、新しい入院患者さんのカンファレンスが月2回、患者さん全員のカンファレンスが月1回、それ以外にも個々の患者さんの定期カンファレンスを常時行っています。そのなかで「もっとも多くの情報をもたらしてくれるのが、患者さんの一番身近にいる新田さん」だと岩崎先生は評価します。

 

継続的な患者さんとの関わりを目指す

「病気だけを治療するのではなく、その後の生活にも継続的に関わりたい」というのが同病院で認知症診療に従事する全員の想いだと岩崎先生は語ります。そのためにも患者さんとご家族に積極的に関わるよう努めており、しばらく面会に来ていないご家族には病院側から電話をかけることも。また、退院後、ご自宅に帰る患者さんについては、退院前訪問を行うなど、在宅介護でのご家族の負担を少しでも軽減することを目指していると沖田さんは語ります。さらに、訪問看護を利用している患者さんに関しては、退院後も1~2週間はケアマネジャーや訪問看護師に状況を聞き、何かあったときにはすぐに対応できるようバックアップを続けています。

岩崎先生が今、課題だと感じているのは、ひとり暮らしの患者さんへの対応です。あきらかに行動がおかしいひとり暮らしの方について保健師から相談を受けることがよくあるものの、本人の同意がない限り病院としては強引にアプローチをすることはできません。そこには行政の関与が必要となりますが、認知症疾患医療センターの指定を受けたことで、行政との連携も取りやすくなると岩崎先生は考えています。「『草津病院に行ってくださいと紹介しやすくなった』とかかりつけ医の先生方からの声もあり、センターに指定されたことで周りから大きな期待がかけられていることを感じています」(岩崎先生)。

 

認知症疾患医療センターとしての今後の展望

以前はBPSD(周辺症状)に関する相談や治療依頼が多かった同病院ですが、認知症疾患医療センターの指定を受けてからは、初期診断や認知症のタイプを診断する鑑別診断の依頼が急増しました。その理由について、「精神科に敷居の高さを感じていた患者さんも、当院が認知症疾患医療センターの指定を受けたことで相談しやすくなったのではないか」と院長の佐藤悟朗先生は考えます。
認知症疾患医療センターとしての今後の活動については、センターとして義務付けられている年2回の講演実施のほか、地域のネットワークづくりに注力していきます。ネットワークづくりの一番の目的は、精神科医療だけでなく、一般科医療との連携、病病連携、病診連携、介護関連施設や地域包括支援センター、家族会との連携などによる認知症の「地域連携パス」を作成し、確立していくことだと言います。
もう1つの目標は、一般科と精神科の関係をより密にし、医療全体をきちんと見ていけるようなスタッフを育成すること。そのために、地域連携パスや電子カルテのネットワーク化をはじめ、一般科の医師との協議の場を設けるなどの取り組みを行っていこうとしています。

施設の屋上駐車場から望む広島湾と似島(にのしま) 施設の屋上駐車場から望む広島湾と似島
(にのしま)

「今までは一般科との接点はあまりありませんでしたが、今後はできるだけ開放的に、地域の方たちに対しても当院の活動の透明化を図っていきたいですね。そして、期待に応えられるだけの充実した精神科医療体制を築くための取り組みを通して、私自身も勉強しながら、スタッフの教育を目指したいと思います」と、今後の展望について佐藤先生は語っています。

 

 

取材日:2012年2月14日
医療法人社団更生会 草津病院の外観

医療法人社団更生会 草津病院

〒733-0864
広島県広島市西区草津梅が台10-1
TEL:082-277-1001

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