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できるだけ長く「普通の暮らし」を続けるために
<大阪府大阪市 大阪府済生会中津病院>

大正モダンのアーチが美しい受付・待合室 大正モダンのアーチが美しい受付・待合室

都会の真ん中で100年にわたり地域医療に貢献する済生会中津病院。神経内科と老年内科、そして病院と地域を繋ぐ退院支援室が連携して、「自宅での暮らしを少しでも長く」をめざした医療を展開しています。

規模の大きさに加え伝統の重みを感じる総合病院

JRの大阪駅から徒歩10分という立地の済生会中津病院。すぐ隣で大規模再開発が進行しており、建設中の高層ビルが日に日に高くなっています。そんな進化・変貌の著しい大阪の中心地で、同病院は100年近くにわたって地域医療に貢献、社会福祉法人である済生会の精神に則り無料低額診療事業も続けてきました。

標榜診療科は30科、病床数778床、急性期からリハビリテーション、療養型医療までを手がけ、訪問看護・訪問介護などの在宅支援に取り組む一方、最新の検査・治療機器を用いた高度先端医療も行うなど、規模が大きいだけでなく伝統と懐の深さを感じる総合病院です。

 

早期発見・早期治療を重視。MCI段階での治療開始も。

神経内科ではパーキンソン病など神経難病とともに、認知症の患者さんの受診も多く、全体の2~3割になります。初診患者さんは神経内科全体で月に30名ほどで、「もの忘れ」を心配して自発的に来院する人、家族に勧められて来る人、かかりつけ医からの紹介で来る人など様々です。認知症と診断されても軽症・中等症の方が多く、軽度認知障害(以下、MCI)の人も少なくありません。

神経内科部長 高橋牧郎先生 神経内科部長 高橋牧郎先生

神経内科部長の高橋牧郎先生が診断時に重視しているのは、アルツハイマー病に進行する可能性のあるMCIを見逃さないことです。認知症の診断技術はここ数年の間に目覚ましく発達しています。画像診断機器やバイオマーカーなど様々な研究がなされ、現在では症状が現れる前に、予想がつくこともあります。「早期発見・早期治療が何より大切です。特殊検査ができる環境にない私たち市中病院ではMCI段階でアルツハイマー病に移行するリスクの判断が困難な場合がありますが、境界領域の場合、ご家族や本人に『診断が間違っている可能性もゼロではない』と説明した上で、MRIやSPECT画像をもとに家族の希望をふまえて早期に治療を始めることもあります」と、高橋先生は言います。

その背景には、日米の大学でタウたんぱく質(アルツハイマー病患者の脳に蓄積し、神経細胞死を引き起こす原因となる物質)の研究に取り組んできた高橋先生の経歴があります。

「タウたんぱくも、同じく神経細胞死の原因となるアミロイドβも、症状が出るずっと前から脳に溜まり始めます。100%アルツハイマー病に間違いないところまで進行して脳萎縮が始まってから治療を始めても、その効果は限定的です。重要なのは、できるだけ長く今の生活を続けられること。それには早期介入が不可欠なのです」(高橋先生)。

特に、家族歴のあるアルツハイマー病患者さんで、50歳代で病の兆しが見え始めた場合など、先手を打って治療を開始し、進行を抑えることができれば定年まで仕事を続けられる可能性も高まります。「新薬や治験も積極的に活用していきたいですね。患者さんが総合病院を受診するのは、そういう期待もあってのことだと思うのです」と、高橋先生は語ります。

 

理想の老年医療をめざして新設された老年内科

老年内科部長 高田俊宏先生 老年内科部長 高田俊宏先生

神経内科と並んで認知症の診断と治療を手がけているのは4年前に開設された老年内科です。「老年内科とは、高齢者に特有の病気のみを専門とする科ではありません。体力や免疫力が低下し、かつ様々な病気を抱える高齢者には、青年・壮年期の方とは違う医療が必要です。小児科が、成長途上の子どもに大人と同じ医療はできないという考えで循環器や消化器疾患などすべてを診療するように、高齢者を精神、身体疾患と共に、生活環境などの全体像を含めて診るのが老年内科の診療スタイルです」と語るのは、同科部長の高田俊宏先生です。

高齢者は体調によって薬の量を調整したり、侵襲の少ない検査方法を選ぶ必要があり、複数の疾病を持っている場合は薬の重複や組み合わせにも注意が必要です。

また、若い人ならば手術をするのが当たり前の病気でも、高齢者の場合、他にどんな病気を抱えているか、生活の状況、認知症の有無、生命予後などによって手術をしない方が良いこともあります。その境界線の判断を臓器別診療科の医師が行うのは困難です。

「人は誰でもいつかは亡くなるわけです。老年内科の目標は、疾患の治療だけではなく、生活習慣病などの対処の遅れによる『早すぎる死』を防ぎ、生活の質(QOL)を落とすことなく、長くいつもの家庭生活ができるようにすることです。これは従来の診療科の取り組み方ではできないことで、医療の制度や教育も高齢者医療をもっと重視する方向に変えていくべき だと思います」と高田先生は語ります。

同病院の各診療科の医師には老年内科の意義と必要性が少しずつ理解され、現在、外来患者さんの3分の1は院内からの紹介です。「整形外科から、『股関節骨折の方ですが、認知症に加えて、内科的な病気を多く持っているようです。この方は手術ができますか?』という問い合わせが来るようなケースが典型的です」(高田先生)。

 

認知症患者の退院は地域との連携が鍵

老年内科の外来患者は、「もの忘れ」を家族が心配して連れてきたり、クリニックや診療所からの紹介で受診する人が多いです。外来患者の認知症の重症度は、軽度から重度と様々です。一方、入院に至る患者さんの約半数は、独居世帯や施設などからの救急搬送によるもので、病気の内訳は肺炎・気管支炎を筆頭に循環器、呼吸器の疾患や感染症など多様です。

高齢の救急患者さんは、緊急的に各臓器別診療科での治療が必要だと判断されるもの以外は、ほとんど老年内科が担当します。その多くの患者さんに認知症が認められ、症状が進んでいる人も少なくありません。「肺炎などで入院して認知症と診断された患者さんの場合、それまで認知症の治療も指導も受けていないわけですから、入院時の症状が最も重く、入院治療をすると改善することもあります。当然、私たちは退院を目標とし、自宅で以前と変わらない暮らしをできるだけ続けてもらいたいと思うのですが、独居の場合などは地域医療者や介護サービス事業者と連携して、生活環境を適切に整えないと安心して退院していただくことができません」(高田先生)。

退院支援室課長 看護師 今西裕子さん 退院支援室課長 看護師 今西裕子さん

そこで重要になるのが退院支援室の取り組みです。3名の看護師が病診連携室や福祉医療相談室のソーシャルワーカーと連携して退院時の環境調整にあたっています。

同室の課長で看護師の今西裕子さんは、「患者さんの退院が決まってから調整に入るのではなく、救急入院された時から立ち会って患者さんの情報を掴むようにしています」と語ります。

例えば、転倒によって頭のけがをされた患者さんが、緊急入院されたとします。実は糖尿病の服薬管理が不十分で、血糖コントロールが不安定なことによって発生した事故なら、傷を縫合して帰宅してもまた同じことが起こります。「このようなケースは、糖尿病治療で当院を受診しているのなら、その担当医に状況を知らせます。その際に『高田先生に相談しようか』という話になることもあります。その結果、認知症を考慮して生活状況に合わせた服薬管理の方法、治療内容の見直 しなどを含めて、退院に向けた在宅サービスの調整が始まります。また、救急受診を されて、夜間に帰宅された患者さんは次回受診までに主治医に報告をして情報の共有 ができるようにしています。救急室で申し送りを受けることは情報の早期共有のため 重要なことです」(今西さん)。

 

高齢者の充実した時間をサポート

「人生終盤の貴重な日々を大病院の通院加療で明け暮れることがないようにするのも、高齢者医療の重要な課題だと私は考えています」と高田先生は語ります。複数の診療科にかかっていた人や救急で入院した人の治療を老年内科で統合して引き受け、症状が安定したら地域の診療所へ紹介するようにしています。患者さんのなかには「総合病院で継続して治療を受けたい」と言う人もいますが、高田先生は「病院の複数の診療科で長い待ち時間を過ごすのはもったいないと思いませんか。高齢者が住み慣れた家で暮らし、もっと充実した時間を少しでも長く続けられるように、医師、家族、患者さん本人の価値観を変え、地域医療や介護サービスとの連携を深めていくのが、高齢者医療に関わる私たちの役割だと思うのです」と語ります。

今西さんも、「医療現場で患者さんの生活まで配慮するのは難しいのが現実ですが、だからこそ私たち看護師が特に心がけておかねばと思います」と語ります。

病院としても、地域医療に注力してきた伝統に則り、医療・介護従事者との連携を強めるための勉強会や、患者さんと家族向けの相談事業などにも積極的に取り組んでいく方針です。神経内科、老年内科と退院支援室を中心として、地域社会を巻き込んだ取り組みが大都会の一角で少しずつ前へ進んでいます。

 

 

取材日:2012年4月6日
大阪府済生会中津病院の外観

大阪府済生会中津病院

〒530-0012
大阪市北区芝田2丁目10番39号
TEL:06-6372-0333(代表

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