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専門外来のほかデイケアや訪問看護で日常生活もサポート
<広島県広島市 医療法人せのがわ よこがわ内科・循環器科クリニック>

院長 下原篤司先生 院長 下原篤司先生

よこがわ内科・循環器科クリニックは、広島市内の交通拠点であり駅前開発が進む西区横川に開設されたクリニックです。高齢化が進み、認知症治療が求められる地域であるため、もの忘れ外来を立ち上げ、重度認知症患者さんを対象としたデイケアで患者さんの生活をサポートしています。

地域密着型で裾野の広い医療を提供

院長の下原篤司先生は、長年にわたって循環器科を専門とし、母体である瀬野川病院で精神科医療を学んだのち、2003年によこがわ内科・循環器科クリニックの開設に伴い、院長に就任しました。下原先生は、「市郊外の瀬野川病院と違い交通の便がよく、患者さんも足を運びやすいJR駅前にサテライト機関として開設しました」とその経緯を語ります。

瀬野川病院は、医療を提供するほか福祉ホームやグループホーム、デイケアなどの付帯施設を数多く備え、心の病気や障害を持つ人の生活を支えています。一方、同クリニックは看板にも内科・循環器科を掲げているように地域に密着して幅広い医療を提供する中で、精神科の訪問看護とデイケアを行い精神疾患の患者さんのサポートにも力を入れ、重度の患者さんは瀬野川病院に紹介するという役割を担ってきました。そのことから認知症の相談も寄せられるようになり、認知症への対応が急務だと実感したため、もの忘れ外来をスタートし、2011年12月には重度認知症対応のデイケアも立ち上げました。

2011年12月に開設した重度認知症患者デイケアうらら 2011年12月に開設した
重度認知症患者デイケアうらら

専門外来やデイケアを備えてはいるものの、同クリニックはもともと内科全般に加えて心療内科の診療を中心としています。認知症の場合、患者さんが受診を拒むケースも少なくありませんが、下原先生は、クリニック名が内科・循環器科であることを生かし、行政やご家族から内科の受診であると患者さんに説明してもらうようにしています。先生自身も診察時は体調の話から始め、受診のハードルを下げるよう配慮しています。

 

時間をかけて話を聞くのが精神科医療の特徴

内科と精神科に携わってきた下原先生は、双方の診療科でもっとも異なる点は診察時の会話の長さだと言います。内科に比べ精神科は十分に会話の時間をとり、診察時は常にじっくりと患者さんの話を聞くことが必要だからです。

「精神科の診察では身の上相談になることも多く、患者さんはとても苦しんで悩んで受診されます。その苦しみを軽くするのが私達の仕事。それは認知症の診察でも同じです」(下原先生)。

症状から治療に入っていくのではなく、患者さん本人が何に困り苦しんでいるかを見つけなければならないと下原先生は指摘します。そして認知症の場合、患者さんは症状の自覚がないことが多いので、興味のある話をしながら心を開いてもらい、次の受診につなげていきます。

「完治できる病気ではありませんから、病気を治すのではなくどうすればうまくつきあって社会生活ができるかを探っていきます。私達は、患者さんご本人も守りたいし、ご家族や周囲の方も守りたい。みんなでうまく生活できる状況をつくる、そのお手伝いをしたいと考えています」(下原先生)。

 

毎日デイケアを利用してもらうのが理想的

医師 末永貴美先生 医師 末永貴美先生

昨年12月にスタートした重度認知症患者デイケア「うらら」の常勤医である末永貴美先生は、同クリニックで、働く人のメンタルケア外来とともに、もの忘れ外来のサポートをしています。以前は瀬野川病院に勤務していた末永先生は、同クリニック周辺地域は高層の集合住宅もあり、その入居者などを中心に高齢化が進んでいることを実感しています。

「一人暮らしの高齢者が多いということが、この地域の特徴です。ゴミの日を間違えるなどの相談がご近所から行政に寄せられ、受診を促される患者さんが少なくありません。ご家族が高齢者福祉施設に入所していたり、親子とも認知症という患者さんもいます。同居や近居のご家族がいない患者さんに対しては、情報を豊富にし、患者さんの生活環境を整えることがより重要になってきます」(末永先生)。

一人暮らしの認知症患者さんにとって、日中を過ごすことができるデイケアは大きな役割を担っています。末永先生は、可能であれば月曜日から金曜日まで毎日デイケアを利用してもらい、朝と夕方は訪問介護を利用して家事や服薬確認などを委ねるスタイルをすすめます。

「認知症の患者さんにとっては、毎日違う所に行くより、同じ場所に通うほうがいいと考えています。現実的にはさまざまな状況・理由で難しい場合もありますが、毎日利用してもらうと場所やスタッフに馴染むスピードがまったく違います」(末永先生)。

朝夕に関わる介護士や訪問看護で自宅を訪ねる看護師、地域包括支援センターのスタッフとは連絡ノートをつくり、連絡を密にとることでデイケア以外の時間も患者さんを支えています。

 

さまざまな専門職がチームとして利用者さんに対応

重度認知症患者デイケアうらら 看護師 新川皓巳さん 重度認知症患者デイケアうらら
看護師 新川皓巳さん

重度認知症患者デイケアうらら 作業療法士 小山仁さん 重度認知症患者デイケアうらら
作業療法士 小山仁さん

「うらら」には、医師や看護師、心理士、作業療法士など、専門職が顔を揃えていますが、それぞれが専門分野の仕事だけを担当するのではなく、ひとつのチームとなって利用者さんを迎えます。

看護師である新川皓巳さんは、下原先生や末永先生と同様、以前は瀬野川病院に勤務しており、認知症デイケアの勤務経験もあります。

「身体的な症状、精神症状、生活環境、これに対応するのが認知症治療の三本柱です。「うらら」では、スタッフが精神科医療の経験があるので、身体的な症状だけでなく精神症状にも対応できますし、訪問看護や行政との連携で生活環境のサポートもでき、三本柱をトータルで見ているのが特徴です」(新川さん)。

いずれは家族会を立ち上げ、利用者さんと同じように、ご家族もサポートしていきたいというのが新川さんの願いです。

作業療法士の小山仁さんも、「ここで落ち着いて過ごしていても、生活のメインは家。家で落ち着いて過ごすためにも、デイケア施設以外で関わる人も含めた全員が情報を共有していかなければ」と連携の大切さを指摘します。

一方で、作業療法を通して、利用者さんが同施設で楽しい時間を過ごしながら、個々の利用者さんの能力を生かせるよう注力しています。

重度認知症患者デイケアでは珍しい入浴設備 重度認知症患者デイケアでは珍しい
入浴設備

「塗り絵一つをとっても、色を選択する際に色彩感覚の状態がわかり、塗る作業時に動作がどの程度できるかなどがわかります。そこから利用者さんの可能性を引き出せるようプログラムを組んでいます。充実感や達成感を持ってもらうため、完成時は一緒に喜ぶなど、適切な声かけを心がけています」(小山さん)。

 

治療とデイケア利用で大きな変化も

同施設に通い始めた時期は緊張と不安に包まれていた利用者さんにも、治療とスタッフの熱意ある対応によって変化が生まれています。ある利用者さんは一人暮らしで、デイケアを利用する前は昼もアルコールを飲んで過ごし、介護士や医療機関の受診も拒否する状態でした。

「初診時の状況から内服開始はまだ難しいと判断し、認知症の貼付薬で開始したところ、意欲的・活動的になり、笑顔が見られるようになりました。「うらら」に来ることで一人の時間が減りアルコールも断つことができ、食事もとれるようになって、元気に通われています」(末永先生)。

末永先生と新川さんは、「貼付薬の投与と、スタッフと顔なじみになったのがちょうど同時期で、二つが奏功したのでしょう」と言います。日を重ねるうちに活動的になり、その利用者さんにサービス業の経験があることから、自分から食事のときにお膳を拭いたり配膳をしたりするようになりました。「最初は私達も戸惑い、休んでいてもらおうとしたのですが、『いいえ、私がやらなければ』と意欲的なのです」と、新川さんは笑顔で振り返ります。

小山さんも、「その利用者さんには、ここに来るのが楽しいと笑顔で言っていただきました」とうなずきます。

「スタッフが個別で関わったのではなく、ミーティングを行い、専門職としての意見を出し合ってみんなで関わった成果が出たのかもしれないと思います。関わることができてよかったと思いましたし、これからも長期にわたって関わらせていただき、笑顔でいてもらえたらと思います」(小山さん)。

 

地域連携で多くの患者さんのサポートを目指す

重度認知症患者デイケア「うらら」はスタートから間がないため、「試行錯誤の段階」と下原先生は言います。しかし、「スタッフの職種がさまざまですから、それぞれの職種の視点で患者さんを見てくれますし、みんながんばっています」とスタッフをたたえます。

重度認知症患者デイケアは、大きな病院に付帯していることはありますが、「うらら」のように単独のクリニックに併設する施設はあまり多くありません。街なかに立地していることもあり、近隣のクリニックとの連携を深めていくことを目指す末永先生は、「『うらら』を利用者さんの拠点にしてもらい、他の医療機関・施設と連携することでデイケアを行っていない土日なども利用者さんをサポートしていければ」と今後の課題を語ります。

下原先生もまた、連携を課題に挙げます。下原先生は認知症のサポート医でもありますが、現状ではかかりつけ医や地域包括支援センターとの連携がまだ足りないと指摘します。

「サポート医の認知度がまだ低いのでしょうね。サポート医は、かかりつけ医をサポートすることが役割なのですが、まだ活動方法が明確ではありません。地域包括支援センターに相談が集中してしまい、センターで処理しきれなくなっているのが現状です」(下原先生)。

サポート医としてかかりつけ医を支援することで、一人でも多くの患者さんを守りたいという下原先生。地域の実情に対応し、患者さんの在宅生活のサポートも含めた認知症治療が根付いていこうとしています。

 

 

取材日:2012年3月26日
よこがわ内科・循環器科クリニックの外観

医療法人せのがわ
よこがわ内科・循環器科クリニック

〒733-0011
広島県広島市西区横川町2-7-19
横川メディカルプラザ2階
TEL:082-294-8811

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