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専門性の高い診療体制で地域に密着し、行政・福祉とも連携
<神奈川県横須賀市 医療法人三精会 汐入メンタルクリニック>

理事長 伊丹昭先生 理事長 伊丹昭先生

神奈川県の南東部・三浦半島にある汐入メンタルクリニックは、理事長を務める伊丹昭先生をはじめ、院長である阿瀬川孝治先生など長年認知症に関わってきた精鋭の医師たちが顔を揃え、地域の認知症医療を担っています。外来にとどまらず往診や訪問診療を行い、行政や福祉事業所とも連携して、地域に欠かせないクリニックとなっています。

往診や訪問診療で地域にしっかり根を下ろす

汐入メンタルクリニックは、15年以上の長きにわたり衣笠病院で神経科長・診療部長を務めた伊丹昭先生が、2001年に開業しました。伊丹先生は、一人の医師によるクリニックではなく、「開業医の集団という形を目指した」と言います。阿瀬川孝治先生ら経験豊富な医師が複数集まり、それぞれの裁量で診療するという形態をとることで、休診が少なく常に専門性の高い医療を提供できる体制を整えています。1年前からは、精神科クリニックで豊富な経験のある後藤健一先生が常勤スタッフに加わりました。阿瀬川先生と共にレビー小体型認知症の発見者・小阪憲司先生に師事した後藤先生が加わったことで、さらに層の厚い診療体制となりました。

認知症医療に携わる医療機関が少ない地域で、患者さんを受け入れるだけでなく、介護施設への訪問診療や病院に通うことができない患者さんの往診なども行ってきました。同クリニックに対する地域の人々の認知度や信頼は高く、伊丹先生いわく「何かあれば汐入メンタルクリニックに相談」という意識がケアマネジャーなどに浸透。伊丹先生と阿瀬川先生は横須賀市の精神科嘱託医として、行政を通じた市民からの相談にも対応しています。

「開業時に往診を始めたのは、患者さんが来ないかもしれないという不安から」と伊丹先生は謙遜しますが、クリニックが地域に根づくのは早く、現在では年間に受診する初診患者さんはクリニック全体で1700人。予約待ちをしてでも受診したいと希望する患者さんやご家族の方々からの大きな支持を受け、地元横須賀市や三浦市の住民にとって必要不可欠な存在となっています。

 

投薬に納得してもらうため、軽度の患者さんには告知も

初診時には、診察に先立ちアンケートに記入してもらい、予診として看護師やケースワーカーが認知機能テストを行って、ある程度の情報を揃えてから診察を開始します。診察に時間をかけ、患者さんの様子やご家族の話から見立てを行い、MRIやCTなど脳の画像検査結果も踏まえて確実な診断を行い、その結果を患者さんやご家族に報告します。

阿瀬川先生は「告知はデリケートな問題」とした上で、軽度認知症であれば患者さん本人に告知すると語ります。

院長 阿瀬川孝治先生 院長 阿瀬川孝治先生

医師 後藤健一先生 医師 後藤健一先生

「患者さんの反応は意外にあっさりしています。不安がる人もいますが、診断結果を拒否することはありません。むしろレビー小体型の患者さんは病気のために幻覚があることがわかりますし、治療を受け入れやすくなります」(阿瀬川先生)。

症状が軽い人ほど投薬の理由付けを必要とし、告知することで納得してもらえるというメリットが生じます。ただ、ナーバスな患者さんやご家族が望まない場合は告知せず、症状が進行して患者さんに自覚がない場合は、「ご本人の前では穏やかな表現でソフトに説明し、ご家族だけ残ってもらって詳しい診断を報告します」と後藤先生は配慮を見せています。

進行を緩やかにする薬剤の種類が増えたことから、患者さんのほうが投薬を求めて受診する場合もあると伊丹先生は指摘します。

「自分の症状のレベルを知りたいと受診するようです。むしろ積極的な患者さんも少なくありません」(伊丹先生)。

 

テスト結果と患者さんの状態は一致しない場合も

伊丹先生は、広く臨床で使われる認知機能テスト「長谷川式簡易認知評価スケール」の開発者・長谷川一夫先生と共に、認知症患者さんを追跡調査し研究を行った経験もあります。その長谷川式スケールについて阿瀬川先生は、「MMSE(認知機能検査)は認知症だけでなくさまざまな高次脳機能障害の評価に有用です。軽度の認知症の検出力は長谷川式スケールにかなうものはありません」と、初期の認知症を鑑別するのに最適であると説明します。

その一方で、伊丹先生は認知症の患者さんも緊張感を持ち集中すれば、認知機能テストでも高い点数を取ることができると指摘します。それは認知機能が低下し、無意識のうちに過ごす日常生活では差し障ることがあっても、いざクリニックでテストを受けると意識が切り替わるためです。テストの点数が高く、一見問題がないようでも実はご家族が困っている場合があるそうです。

「そしてその逆もあるのです。テストでは、普通に生活することは困難と思える点数であるのに、毎日日記を書くことができ、プールにも行き、何の問題もなく生活している患者さんもいました。長く同じ生活をしてきた人は同じ環境ならば生活していけるのです。しかし、ある時期からは急速に生活ができなくなり、かろうじて維持できているのだとわかりました」(伊丹先生)。

患者さんの状態は認知機能テストだけでは計り知れないものであると伊丹先生も阿瀬川先生も口を揃えるものの、継続的に行っていくと傾向と見通しがつかめるため、定期的にテストを実施し治療に生かしています。

 

患者さんが困っていることを軽減するのが治療の目的

一般的にうつ病と初期の認知症は区別がつきにくいと言われますが、阿瀬川先生や後藤先生は「うつ病と認知症の鑑別が困難とは感じない」と言います。それは、長年の臨床経験からくる勘もありますが、前傾にうつ症状があり、もの忘れもあるという典型例は少ないというのが阿瀬川先生の印象です。そして伊丹先生も、うつ病か認知症のどちらかの診断をつけることが重要なのではないと指摘します。

「うつ症状が前傾で出ていて、いずれ認知症に移行するかもしれないのであれば、カルテに認知症の可能性ありと記載すればすむこと。目の前にいる患者さんがうつ症状で悩んでいて、食事がとれないのであれば、まずはその困っている症状を軽減することを考えます。目的はご本人やご家族の困っていることを減らすことなので、診断でどちらかの病気を選択しなければならないのではありません」(伊丹先生)。

もちろん、正常圧水頭症などがないかを確認するため画像診断は欠かしません。その上で、「抗うつ剤が有効であれば使いますし、治せる可能性のある治療をしていきます」と後藤先生が付け加えます。

予診では臨機応変に患者さんとご家族に対応

看護師 林早苗さん 看護師 林早苗さん

初診患者さんの予診を担当するスタッフは、認知機能テストを行い、医師の診察につなぐ役割を担います。看護師の林早苗さんは、ご家族に連れられて受診する患者さんに配慮しながらテストを実施しています。

「受診に納得していない患者さんは、なぜテストを受けなければならないのかと怒り出す場合もあります。その場合は早めに打ち切って、怒りをやわらげるようにしています。怒らせて部屋を出て行かれてしまっては、診察につなげられなくなってしまいますから」(林さん)。

連日少なくない初診患者さんがいるなか、症状の進行状況を抱えている事情も十人十色。傾聴したほうがいい場合、あるいはこちらが話題を提供したほうがいい場合など、適した対応もそれぞれ違うため、短い時間で見極め、対応を変化させています。

伊丹先生は、そのようなスタッフの配慮について「今までそういう話を聞く機会はありませんでした」と微笑みます。

「私たち医師は診察に徹することができています。私たちが特に何か言わなくてもそれが可能となるのは、認知機能テストや採血など、配慮や段取りはスタッフ同士が話し合ってうまくやっているのだろうと思っていました」(伊丹先生)。

そう伊丹先生が讃えれば、阿瀬川先生もまた、朝礼やスローガンなどもなく上から特別な指示もなしにスタッフが的確に動いている現状を「みんなそれぞれが考えて動いているから」と評価します。退職するスタッフが少なく定着率がいい職場環境であることも同クリニックの特徴。「理事長、院長が一番がんばっているのを見ていますから」と林さんは言い、先生方の信頼に応えています。

 

豊富なエビデンスを外部に発信し、さらに連携強化を

患者さんやご家族の負担を減らす認知症治療に注力する一方で、伊丹先生や阿瀬川先生は、これまでクリニックで蓄積した豊富なエビデンスを外部に発信することも重要視しています。ほかの医療機関でも同クリニックのようなクオリティーの高い治療を行うには、データを生かしてもらうことが大切だからです。

「教育機関ではなく、実際に臨床を行っている場でエビデンスを出す意義があるのではないかと思います。データを集め、本当に患者さんが幸せになっているのか検証するのも臨床家の務めです」(阿瀬川先生)。

伊丹先生は、電子カルテを有効活用し、例えば月ごとや薬剤ごとにカルテのデータを自動的にエビデンスにまとめていくシステムづくりも急務としています。

また、市の嘱託医を務め、多くの介護施設に訪問診療を行って行政や事業所と連携してきた同クリニックだからこそ、認知症治療の拠点として専門的な医療機関やかかりつけ医との連携を深め、三浦半島の認知症治療を底上げしていくことを目指しています。

「阿瀬川先生が市の医師会の理事を務めているのも連携の一つですし、当クリニックの理事会にもほかの医療機関が入っており、自然に連携して顔が見える関係です。これまでにも行ってきた地域での医療と介護の連携を、今後はもっと方向性をはっきりさせて強めていきたいと思っています」(伊丹先生)。

 

 

取材日:2012年4月9日
汐入メンタルクリニックの外観

医療法人三精会 汐入メンタルクリニック

〒238-0042
横須賀市汐入町2-7-1山下ビル2・3F
TEL:086-295-1133

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