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早期発見・治療と脳活性化プログラムで機能の維持を目指す
<新潟県三条市 医療法人社団 川瀬神経内科クリニック>

院長 川瀬康裕先生 院長 川瀬康裕先生

新潟県の県央に位置する三条市にある川瀬神経内科クリニックは、認知症治療を神経内科の責務の一つとして治療に臨むと同時に、開業直後からアクティビティ重視の通所リハビリに着目。脳活性化プログラムを取り入れて機能の維持・向上を目指し、患者さんの笑顔を引き出しています。

神経内科が取り組むべき治療として認知症に対応

理事長・院長である川瀬康裕先生は、数々の病院で神経内科医としてのキャリアを重ね、1993年に医療機関や商業地が点在するこの地に川瀬神経内科クリニックを開業しました。治癒が困難と言われる神経内科疾患ですが、「患者さんがよくなってこそ意味がある」と治療に力を注いできた結果、多くの患者さんから信頼を集めるようになりました。現在では、認知症で受診する患者さんが約3割を占めるほど急増、特に軽症患者さんの増加が顕著です。

その背景には、認知症専門医である川瀬康裕先生の「認知症は神経内科医がきちんと取り組むべき」という確固たる思いがありました。

「神経内科で早期発見・早期治療をすることが大切だと考えています。開業当初からMRIによる画像診断に加えて認知症スクリーニングテスト、神経心理テスト、神経生理検査なども活用し、早期診断をしっかりと行ってきました」(川瀬康裕先生)。

一方で、開設2年目には、アクティビティを取り入れた通所リハビリ施設の視察を重ねました。そこでは、訓練室で行うようなリハビリと異なり、例えば室内には楽器が置かれているなど、楽しそうな雰囲気であることに気がつきました。川瀬康裕先生は「私自身も歌ったり踊ったりがとても好きなので、やはり楽しいほうがいいと思いました」と笑います。

脳活性化プログラムで認知機能低下が緩やかに

その視察を活かし、1998年にはアクティビティを取り入れた「通所リハビリテーション樫の森」を併設。その頃、脳の可塑性についての研究報告があり、刺激を与えることで脳が変化する可能性が示唆されたことから、レクリエーションに加えて脳活性化につながるアクティビティを考案し、オリジナルの「樫の森プログラム」を作り上げました。

樫の森プログラムは、造形や習字などのオーソドックスなものから、手作りのゲーム、エクササイズに至るまで幅広い内容。一人のスタッフだけでレクリエーションを仕切るのではなく、あるスタッフはプログラムを考え進める「キング」、別のスタッフは患者さんと共に盛り上げる「ビショップ」、さらに別のスタッフは患者さん全員を見守る「ナイト」という役割を担当し、チームプレーで進行しています。

そして、樫の森プログラムを定期的に実施した患者さんのグループと、クリニックへの通院のみの患者さんのグループの認知機能テストの結果を比較したところ、脳活性化訓練を受けた患者さんのグループのほうが認知機能低下が緩やかであることがわかりました。この結果から、脳活性化プログラムはストレスの減少、ニューロンネットワークの形成・維持、脳血流の改善などの効果があると考えています。

「高齢者は、高齢者というだけで『弱い』『できない』というイメージを持たれ、ましてや認知症患者さんの場合、周囲が本人のできることまでも代わりに行ってしまいがちです。そこで樫の森では、患者さんに対し尊厳の気持ちを持って、対等にプログラムに取り組めるように接しています。どのレベルの患者さんでも楽しめるようプログラムも工夫していますし、適切な声かけや見守りで患者さんの可能性を引き出しています」(川瀬康裕先生)。

 

治療方針は患者さんの立場で考える

医師 川瀬裕士先生 医師 川瀬裕士先生

2012年から同クリニックにおいて常勤で診療にあたる川瀬裕士先生は、「患者さんの立場で治療を考える」をモットーとしています。これは認知症に限ったことではありません。症状、性格、そしてご家族との関係性など、患者さん全体を把握していないとその立場に立った治療はできません。診察室に入室した瞬間から患者さんの雰囲気や動作などをよく観察しながら、熱心に質問をします。

「患者さんに『どんな治療がいちばんいいのかをいっしょに考えたいのでいろいろと教えていただけませんか』というようなことを話して、少しでも心を開いていただけるようにしています。同じ病気だからといって同じ治療をすればいいわけではありませんから」(川瀬裕士先生)。

認知症治療にはこれに加えて、経験に裏打ちされた技術が必要であると言います。患者さんの状態と環境には様々なパターンがあるため、ご家族からできるだけ多くの情報を引き出す一方、治療にはご家族の協力が必要であることを丁寧に説明します。

「認知症の人と共に暮らすということはどういうことかをご家族に伝えることも、薬物治療以上に大切だと考えています」と川瀬裕士先生は語ります。

さらに川瀬裕士先生は、認知症を「身体は長く生きていけるようになったが脳がそれに追いついていない状態」と表現します。脳の健康を維持するためには、趣味を持ち、身体を動かし、人間関係を作る努力を50代頃から始めなければならない、というのが川瀬裕士先生の持論です。

 

脳活性化プログラムはまずスタッフが楽しむ

介護福祉士 原島哲志さん 介護福祉士 原島哲志さん

通所リハビリテーション樫の森で介護福祉士として活躍する原島哲志さんは、通常の介護に加えて樫の森プログラムも担当しています。午前と午後、それぞれ1時間行うプログラムは、そのほとんどが原島さんたちプログラムスタッフのオリジナル。基盤となるゲームに自分なりのアレンジを加えてプログラム会議にかけます。

「まずはそのゲームを自分が楽しめるか、ほかのスタッフも楽しめるかということを大切に」と原島さんは話します。

「もちろん、ADL(日常生活動作)の向上につながるかどうかについても考慮します。目的は認知機能の維持・改善ですので、認知機能テストの点数をキープできたり、要介護度が改善されると嬉しいです。長く通っていただいている患者さんが多く、良くなっているという実感は非常にあります」(原島さん)。

坂井美和子さんは、同クリニックの事務職として勤務していたものの、医師やスタッフの姿勢に感銘を受け、仕事を続けながら夜間、通信の看護学校に通い、現在は看護師として活躍しています。人生の先輩である認知症患者さんを敬いつつ、安心して来院できる雰囲気づくりが自分たちの役割だと話します。

看護師 坂井美和子さん 看護師 坂井美和子さん

「患者さんが病気を受け入れられず来院されなくなると、症状が早く進行して数年後には患者さんの状態が驚くほど変化し、力になれなかったことを悔いることがあります。ですから、信頼をもって治療が続けられるようにスタッフ同士で連携し、チームで患者さんをサポートしています。最初の頃は不安で緊張していた患者さんが、素敵な笑顔を見せてくれた時はとてもうれしく、やりがいを感じます」(坂井さん)。

 

スタッフ同士がスムーズに連携して患者さんをサポート

ケアマネジャー 渡辺美佳子さん ケアマネジャー 渡辺美佳子さん

患者さんを支えるチームの一人として、在宅の患者さんと同クリニックの懸け橋となる役割を担うのが、ケアマネジャーの渡辺美佳子さんです。スタッフとの綿密なやり取りを行う一方、自宅を訪問して患者さんと接する機会も多いので、表情も言葉遣いもその場その場で使い分けながら患者さんとの距離を縮めます。

「ご家族が患者さんのことで悩んでいれば、先生からその適切な対処法についてご家族に説明してもらうなど、先生を含めたスタッフがあうんの呼吸で連携しています。本来、ケアマネジャーにとって医療の敷居は高いのですが、当クリニックはそのような敷居がなく、非常に仕事がしやすい。ケアマネジャーが仕事をしやすいということは、患者さんにとっても通いやすいクリニックであるということだと思います」(渡辺さん)。

外来の患者さんに介護面のサポートが必要であれば、先生の指示のもと介護スタッフが動き、ご家族などに不安が生じれば介護の現場から医療スタッフへ連絡をして不安を解消するという理想的なスタイルができています。

そんなスタッフに川瀬裕士先生は感謝の念を抱いています。

「小さいクリニックでありながら通所リハビリも特徴ある内容にするなど、スタッフが院長の夢についてきてくれるので、とてもありがたいと感じました。スタッフのモチベーションが上がるように、楽しくやりがいを持って働ける、雰囲気のいいクリニックにしたいですね」(川瀬裕士先生)。

 

望みを引き出し、語り部のような医療を目指す

三条市では診診連携、病診連携も盛んで、同クリニックは多くの医療機関とつながり、ニーズに応じた医療を提供しています。川瀬康裕先生は、連携がさらに深まることを課題と挙げる一方、認知症予防の重要性についても語ります。

「一次予防では、食事、運動など生活習慣病の管理。二次予防では、活発な社会生活を維持するために通所リハビリでアクティビティなどを行うことも重要です」と川瀬康裕先生は指摘します。そして、「三次予防では、たとえ症状が進行し会話が困難になっても、患者さん自身は様々な感情を抱えていることから、その思いや望みを引き出し、心に寄り添っていくことがポイントです」と言います。「望むことは何もない」と口にする患者さんが多いものの、時間をかけて徐々に深く聞けば、やがて引き出すことができることを川瀬康裕先生は体験から感じています。

「特に、当クリニックに通う高齢の患者さんはご家族によくしてもらっている方が多く、『生かしていただいているだけでありがたい』とよくおっしゃいますが、認知症予備軍である団塊の世代では、自分の意見や希望を表現できる方が多くなります。その人らしさを満足させる関わりが重要と考えます」(川瀬康裕先生)。

科学者・技術者の視点で診断や治療を細やかに行う一方で、患者さんの思いや望みを引き出し共感する語り部のような医療を融合させる。それが、川瀬康裕先生の目指す医療です。

 

取材日:2012年4月25日
川瀬神経内科クリニックの外観

医療法人社団 川瀬神経内科クリニック

〒955-0823
新潟県三条市東本成寺20-8 
TEL:0256-33-9070

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