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認知症薬の開発治験より臨床に携わる豊富な経験から地域医療へ助言
<岐阜県大垣市 医療法人三幸會 大井内科クリニック>

院長 渡辺幸夫先生 院長 渡辺幸夫先生

大垣市の市街にある大井内科クリニックは2006年の開業。神経内科医である院長の渡辺幸夫先生は、豊富な臨床経験を地域医療に生かし、在宅医療にも積極的に取り組み、介護や訪問看護など社会的支援と連携。スタッフとともに、患者様とご家族を支える地域のネットワークづくりに力を入れています。

高齢化社会の進行と切り離せない認知症は国民病

広々とした待合室 広々とした待合室

院長の渡辺幸夫先生は、名古屋大学で最初の認知症治療薬の開発治験に参加したことがきっかけで、認知症への関心を深めました。大垣市民病院で積み重ねた認知症治療の経験を生かし、現在は日々クリニックの外来で内科の患者様も診ながら認知症の早期診断に努めています。

クリニックに通院する認知症患者様はアルツハイマー病以外も含め150人以上。渡辺先生が最初の治験に参加した当時と比べ、認知症患者様は圧倒的に多くなったとのことです。

「国の統計によると、認知症は65歳以上の人口の7~14%という報告があり、潜在患者様がかなり多いと考えています。最近は糖尿病との関連も注目され、高齢化社会の進行と認知症の増加は切っても切り離せない問題で、認知症は国民病であると思います」(渡辺先生)。

 

8割は問診と診察で診断可能、開業医は早期診断、一剤の向精神薬に習熟を

認知症患者様の増加に伴い、渡辺先生は、今後早期診断に一般の開業医が関わる比重が高くなると考えています。診断には認知症のタイプを正しく鑑別することが大前提となりますが、鑑別を重視するあまり、認知症の早期発見も専門医任せになり、治療の開始が遅れる可能性があります。

「鑑別が難しい場合は中核病院にMRIやSPECTを依頼することも必要になりますが、8割の患者様は問診と診察で診断が可能です。さらに複数の認知症スケールの評価に頭部CTの検査を加えると、治療可能な認知症も含め9割の患者様は一般診療所でも診断が可能と考えています」(渡辺先生)。

診断が早いほど治療の恩恵を受けられる期間は長くなります。高齢の患者様には、「認知症を常にチェックする」気構えで対応する必要があります。患者様それぞれの症状を観察するなど、診断は簡単ではありませんが、「常に認知症に関心を持っていれば、診察でもの忘れに関する質問が自ずと出てきますし、ご家族からも話を引き出せるでしょう」と渡辺先生。

早期発見やスクリーニングだけでなく、一般開業医が担う役割は治療、生活環境の整備などへも広がるだろうと、渡辺先生は外来診療への要望を語ります。

「ひとつはBPSD(周辺症状)の対処として、内科医であっても向精神薬の知識を備えることです。一剤の使い方に習熟すれば、幻覚や妄想に伴った問題行動の多くをコントロールできます」(渡辺先生)。

深刻なBPSDは、介護する家族に危険が及び大きな問題になることもあります。そのため妄想や幻覚が強い場合は早く気づいて対処する必要があります。

また、渡辺先生は介護上の虐待問題について「医師が気づくことが大事」と語りますが、「加害者を非難しても解決しません。やむにやまれぬ側面も必ずあります。介護者と介護される側の両方への支援が整わないと救うのは難しいでしょう」とも付け加えます。そして、最近問題となっている車の運転についても、医療従事者からご家族に運転の危険性を説明しておく必要があると注意を喚起します。

 

寄り添う看護と社会的支援の有効活用でご家族を支える

看護師長 山田美津子さん 看護師長 山田美津子さん

看護師長の山田美津子さんは、同クリニックの7人の看護師の中心となって患者様に接しています。

「初診の患者様の多くは、ご家族と来院されます。ご家族は今までと違う患者様の言動に思い悩まれていて、対応に困り果てています」と山田さん。

認知症と診断されても、ご家族は「何故あんなに気丈だった夫が」「やさしかった妻が」「自分の親が」と受け入れられず、薬についての説明や指示も混乱したまま聞くことが多いと言います。

服薬を確認してもらうなど、認知症の治療にはご家族の協力が不可欠です。ご家族の相談窓口として、なんでも気軽に声をかけてもらえるよう、山田さんは診察の場にはなるべく入り、「ご家族と同じように先生の話を聴いて受けとめています」と、信頼される関係づくりに努めています。ほかの看護師にも認知症の患者様であることを伝え、配慮を促すようにしています。

渡辺先生も「認知症患者様は薬の服用を忘れたり、飲んだことを忘れて倍量を飲むことがあります。薬の出し方や飲み方を工夫する必要がある場合、看護師が世間話を通してご家族の様子を観察し、家族背景や家庭環境をあらかじめ把握していると治療方針を立てるのに助かります」と、ご家族とのコミュニケーションの大切さを語ります。

山田さんは、認知症患者様とうまく関わる方法をご家族に正しく伝えサポートしていくことも、看護師としての役割と考えています。

「以前と異なる患者様の姿を見て、ご家族は途方に暮れておられると思います。患者様によっては、常に注意や指示を受けているとバッシングをされているように感じ、攻撃的になることもあると、BPSDの起こる仕組みを理論的に伝え、患者様を否定せず、やりたいことはできる限りやらせてみる、安全を確保しながら手を出さず見守る、決して子供扱いはせずに尊重する、と、実際の対応方法をアドバイスしています」(山田さん)。

同クリニックでは、ご家族を支えるために院外との連携を積極的に進め、介護は地域包括支援センターを中心に、医療面では認知症疾患医療センターと連携しています。そして介護保険についてはケアマネジャーや介護士、訪問看護などと良好なネットワークを築いています。

「ご家族だけで抱え込まないで相談してほしい」と、おおい調剤薬局の薬剤師である高橋雅代先生も強調します。

 

独居の患者様の服薬管理の問題をネットワークで解決

おおい調剤薬局 薬剤師 高橋雅代先生 おおい調剤薬局 薬剤師 高橋雅代先生

同クリニックでは、在宅医療にも精力的に取り組んでいます。「現在、約20名のお宅を回っています。外来で見かける姿とは違い、患者様の生活の場へ入り込んでお話をするのはなかなか意義深いですよ」と渡辺先生。認知症の患者様だけでなく、末期がんや神経変性疾患の患者様にも、訪問看護と連携をとってきめ細かな対応をしています。

おおい調剤薬局の高橋先生もクリニックより指示のある場合、薬局の窓口だけでなく、在宅患者様を訪問して服薬管理を行っています。

「いろんな剤形のお薬が登場したので、患者様に合わせて提案できます。例えばこれまで服用していた薬でも、貼り薬に出来ると日付が書いてあるので、ご家族が確認できたり、貼るだけなので服薬を拒む患者様にも抵抗が少なく適しています」と高橋先生。

また、飲み忘れ防止のために現在は一包化が主流と言います。

「一包化で名前と日付を入れることで飲み忘れがチェックできます。独居の方でもお薬カレンダーを作り、服薬チェック表を作成することで管理が可能です。渡辺先生が在宅医療を担当している患者様が認知症を発症した時も、お薬カレンダーによって誰もが一目で服薬のチェックができると喜ばれました」(高橋先生)。

在宅の介護には、ケアマネジャー、介護士、看護師などのさまざまな職種が入れ替わり患者様を支援しています。

「薬の管理が複雑になると、高橋さんのような薬剤師の方に入ってもらい情報の共有化を進めています。関係する人が一目で情報を共有できるツールがあるとより便利だと思います」と、渡辺先生は情報共有の重要性を語ります。

 

発症前診断・発症前治療の時代へ認知症スクリーニングを

今後遅くとも10年以内に発症前診断・発症前治療の時代が到来すると渡辺先生は強調します。これは、発症する何年も前から脳内で起こりつつある病的な変化を対象に治療していく考え方で、背景には進行した認知症状を改善する困難さがあります。

「研究が進めば一見健康な人を診断・治療する方法が確立されると思いますが、現実には進行している患者様すら見つけきれない状況です。研究に追いつける診断の体制を整える必要があります」(渡辺先生)。

そのためには認知症への一般診療所の気構えに加え、健康診断による認知症のスクリーニングが切実に必要ではないか、国にも本格的に取り組んでほしいと、渡辺先生は強く訴えます。

 

 

取材日:2012年4月13日
大井内科クリニックの外観

医療法人三幸會 大井内科クリニック

〒503-0836
岐阜県大垣市大井2-45 
TEL:0584-74-1192

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