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医療・福祉の連携で在宅生活をめざす
<岩手県盛岡市 医療法人謙和会 荻野病院>

理事長 荻野忠良先生 理事長 荻野忠良先生

内科外来とリハビリテーション科の病院に、介護老人保健施設と在宅介護支援センターが併設した荻野病院。医療と介護に切れ目のない連携を構築して、自宅で暮らせる社会をめざしています。

3階建ての施設に様々な機能が

広々としたリハビリルーム
広々としたリハビリルーム

岩手県盛岡市。県庁所在地の便利さと北上川に代表される豊かな自然に恵まれた場所に立地する荻野病院は、1階が内科外来とリハビリルーム、2階は回復期リハビリテーションを専門とする病棟、3階は介護老人保健施設で、さらに通所リハビリテーションや在宅介護支援センターも備えたユニークな施設です。

幅広い年代の患者さんを対象としつつ、特に高齢者にとっては治療からリハビリ、施設介護、在宅介護まで一貫して対応してもらえる非常に頼もしい存在となっています。

同院は、現理事長の荻野忠良先生の父である荻野勤治先生が戦後まもなく開設した診療所に始まりました。「軍医だった父は特定の専門領域を持たなかったのですが、地域医療に取り組むうちに脳卒中を手がけるようになりました。私も医師になってすぐに勤務した岩手医大の循環器内科で脳卒中チームに配属され、偶然にも父と同じ専門に取り組むことになったのです」と荻野先生は振り返ります。

1980年に荻野先生が大学を辞して父と共に地域医療に取り組み始めた時に病棟を設け、1991年に現在地に移転したのを機に老人保健施設を併設。さらに1998年から在宅介護支援センターとしても機能しています。「徐々に規模が大きくなり、スタッフは総勢で150人になりました」(荻野先生)。

看護師長 熊谷くにさん
看護師長 熊谷くにさん

看護師長の熊谷くにさんは、「看護・介護スタッフは病棟に38名、外来や老健施設もあわせて70名ほど勤務しています。私は全フロアに目を配る役割なので特に実感するのですが、退院された患者さんが外来やショートステイを利用されることが多く、同じ患者さんに違うフロアで会うことがよくあります。スタッフの横の連携を密にして、こちらから笑顔で声をかけて、会話を引き出し、またその情報を共有できる組織にしたいですね」と目標を語ります。

 

頭部MRIをVSRADで解析して早期発見を

認知症治療に本格的に取り組み始めたのは、治療薬が認可され介護保険制度でデイケアなどを利用できるようになった2000年ごろです。

認知症の診断は、まず問診に充分な時間をかけています。「ご本人に病識がないことも多いので、ご家族の悩みを丁寧に聞き、さらに病歴や現在の治療・服薬の状況を確認します。薬の飲み合わせで認知症に似た症状がでることもありますからね」(荻野先生)。

検査は一般的な健診と甲状腺機能検査、長谷川式のスケールに加えて、頭部MRIを撮影して、そのデータをVSRAD(早期アルツハイマー型認知症診断支援システム)で解析しています。VSRADの結果によっては、長谷川式で25~26点であっても、ご家族に説明して治療を始めることもあります。

「このように早期発見・早期治療に力を入れていますが、以前から通院している患者さんの認知症の徴候に気づくのは、悔しいことに私ではなく看護師などのスタッフですね」と荻野先生は言います。通常の診察は質問も答えも定型化しがちで、変化に気づきにくいのです。「スタッフは、例えば何年も通院している患者さんに手洗いの場所を尋ねられて『おかしい!』と気づくのです。小さな変化を見逃さないためには、スタッフの注意力と機転が重要です」(荻野先生)。

盛岡市では医師会の取り組みとして2003年度から、基本健康診断に「もの忘れ健診」を組み込んでいます。60歳以上の市民に無料で行うもので、昨年度(2011年度)は約2,400名が受診しましたが、期待よりも受診件数が伸びないのが課題になっています。「最近の健診は検査項目が多くて時間がかかることが要因になっていると思うのですが、もっとPRしていかなければと思っています」と荻野先生は語ります。

 

朝から始まるリハビリで生活力を回復

作業療法士 山田裕子さん
作業療法士 山田裕子さん

病棟は脳梗塞や骨折などからのリハビリテーションを専門としているため、理学療法士や作業療法士が朝6時30分から活動を開始します。「自宅生活への復帰が目標ですから、朝、顔を洗って洋服に着替えることから、ご自分でできるよう促すのです」と作業療法士の山田裕子さんは語ります。

看護師長の熊谷さんは「理学療法士や作業療法士が出勤してくるのを、患者さんも私たち看護師も毎朝、待っているんですよ」と早朝リハビリを評価します。看護師だけのマンパワーでは、忙しい朝の時間帯に患者さんが自分で頑張るのを見守るのは難しいですが、同院ではこの時間帯に6~8名のリハビリスタッフが病棟に入るので、起床後の身支度もリハビリの一貫として取り組む余裕ができるのです。高齢の患者さんは認知症を持っていることも多く、「時間がかかっても自分でやる」ことの積み重ねは、身体だけでなく認知機能の維持・改善や精神的な安定に繋がっています。

ナースステーションでスタッフ同士情報を共有
ナースステーションでスタッフ同士情報を共有

また、認知症の患者さんは夕方になると落ち着きがなくなることが多いですが、同院ではリハビリスタッフが2交代制で19時まで勤務しているので、時刻による患者さんの変化を目の当たりにしています。その経験がリハビリスタッフの意識を高め、スキルの向上に繋がっているのです。「患者さんが肺炎などで何日か寝込むと、筋肉が痩せるだけでなく認知症が進んでしまう可能性があります。認知機能の低下を防ぐためにも、なるべく早く離床させることを心がけるようになりました。また、患者さんと長時間接していると看護師の仕事や苦労が理解できるので、連携にも積極的になりますね」と山田さんが語るように、看護師とリハビリスタッフとが一丸となった取り組みが、認知症を持つ患者さんのリハビリに効果を発揮しています。

 

患者さんの声を人材育成に生かす

在宅介護支援センター イーハトーブ ケアマネジャー 山内二三男さん
在宅介護支援センター イーハトーブ
ケアマネジャー 山内二三男さん

連携は併設の老人保健施設から地域にまで及びます。在宅介護支援センターのケアマネジャー山内二三男さんは、「病院、老健施設、支援センターが同居しているので、退院のだいぶ前から患者さんの情報を得て準備することができます。そんな密接な連携が当施設の最大の特徴だと思います」と語ります。

同院・同センターは、地域のケアマネジャーの勉強会などでも中心的な役割を果たしています。「福祉系のケアマネジャーは医療分野との連携が弱くなりがちなので、当院が福祉と医療の架け橋になれればと思います。小規模な事業者も多いので、常にこちらから連携を求めて地域の介護力アップに貢献したいですし、一般市民の認知症に対する理解も深める取り組みも進めていきたいですね」(山内さん)。

医療と福祉の連携、職種間の連携がよく機能している同院ですが、課題は人材育成だと言います。若いスタッフも多く、高齢の患者さんと共通の話題を見つけるのに苦労する場面もありますが、「患者さんから見たら若いスタッフはひ孫の世代です。患者さんから教わる気持ちで接するように指導しています」と山田さん。熊谷さんも、「こちらの態度が患者さんの治療やリハビリに向かう気持ちを左右することもありますから、何より大切なのは笑顔で丁寧に接することだと考え指導しています」と語ります。

同院では入院患者さんにアンケート調査も行っています。「感謝の言葉をいただくことが多いのですが、中にはお叱りの声もあります。厳しいご意見は、職員と組織を引き締めてくれる宝物ですね」と語る荻野先生。スタッフのひとりひとりの力とチームワークを磨きつつ、患者さんや地域の声を取り込んで、さらに信頼され頼りにされる病院づくりが続いています。

 

 

取材日:2012年6月8日
荻野病院の外観

医療法人謙和会 荻野病院

〒020-0866
岩手県盛岡市本宮1丁目6-12
TEL:019-636-0317

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