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認知症の診断から治療、ケア、身体合併症への対応までを多職種連携で行う
<宮崎県串間市 医療法人十善会 けんなん病院>

医療法人十善会は1963年に設立され、精神科病床304床、認知症疾患治療病床60床、医療療養病床22床、介護療養病床48床を有する総病床数434床のけんなん病院を中心として、デイケアセンター(通所リハビリテーション、重度認知症デイケア、精神科デイケア)、精神障害者グループホーム、地域生活支援センター、居宅介護支援所を有しています。

内科的疾患や合併症の診療にも幅広く対応。認知症医療においては、初期段階の外来診療から専門病棟の治療まで、地域の診療ニーズに幅広く対応しています。理事長が内科出身であることから、精神科病院としては特筆すべき内科医療の充実度を誇ります。

開業以来50年の歴史を誇る法人は、時代の変遷に対応しながら治療体制の充実をはかってきました。現在では日本医療機能評価機構認定病院の指定を受け、ISO9001も取得しています。

地域の高齢化の中で、認知症診療を拡充

「当院はかねてから明るくオープンな運営に取り組んでおり、自然に恵まれたアメニティ豊かな環境の中で、医療、福祉、介護のトータルケアを提供することが私たちの目標です」。柔和な笑顔でそう語る副院長の藤元ますみ先生が、けんなん病院に赴任したのは15年前のこと。以来、夫でもある院長と二人三脚で、医療サービスの拡充に努めてきました。

精神科を受診する患者さんの疾患構造が変化し、さらには少子高齢化もあり、同院では認知症の方々の受診が増加しています。同院の認知症医療に対する基本的姿勢について、藤元先生は次のように語ります。

「認知症は精神科医療の中で治療すべき疾患と位置づけ、特にBPSD(周辺症状)に対して責任をもって対応するようにしています。さらに、薬物、環境、リハビリを通してのバランスのよいかかわりが大事であると思います。また、的確な診断、特に早期発見においては神経心理学的検査や外部医療機関との連携によるMRIやSPECT検査の充実が不可欠です。そして治療、ケア、身体合併症への対応など、どれが欠けても認知症の医療はうまくいかないと考えています」。

診察時には、家族が困っていることを細かく聞き出し、その改善を重視した治療を行います。また、生活リズムを保つことは徘徊などの問題行動の抑止にも役立つため、さまざまな専門スタッフが連携しながら対応にあたっています。

「医師だけでできることは限りがありますので、各部署のスタッフに力を発揮してもらい運営していくのが当院のスタイルです。間口を広げて受診しやすくするとともに、行政と連携して相談相手となり、病院内では職種の枠を超えた連携でケアを行っています」(藤元先生)。

 

認知症に特化したデイケアをはじめ、さまざまなケアを提供

認知症デイケア、精神科デイケア、通所リハビリテーション、訪問看護など、精神科医療、高齢者医療にかかわるさまざまな専門的なケアを提供していること――それが、けんなん病院の大きな特長です。

なかでも、認知症患者さん向けに特化したデイケア「シニア倶楽部」は、介護保険によるデイサービスとは全く違った、県内では数少ない、医療保険によるケアを有資格者のみで提供しています。

認知症デイケアを担当する看護師の匹田恵美子さんは、祖母が入院したときに献身的に働く看護師を見てやりがいのある仕事だと感じ、この道を選んだと言います。「入院した祖母に付き添った経験があるので、高齢の方を看るのは自分に合っていると思います。社会経験豊かな人生の先輩ですから、敬意をもって接するようにしています」。

そう心掛けを語る匹田さんがもう一つ常に留意しているのは、スタッフのコミュニケーション。「主任という立場ですので、チームワークには気を配っています。デイケアは限られた空間の中で行いますので、スタッフの連携が少しでも悪いとすぐに利用者さんに伝わりますから」と表情を引き締めます。

 

患者さんが「自分でできること」が続けられるように


けんなん病院は、認知症疾患治療病床(60床)を設けています。「BPSDがみられる場合は、外来とデイケアだけでは限界がありますから」(藤元先生)と入院による治療体制も整えています。

「認知症疾患治療病床は患者さんの大半が中等度以上。非常に苦労が多い環境の中でよくやってくれています」と藤元先生が信頼を寄せるのが、看護師の近藤忠義さん。近藤さんは「患者さんが自分でできることを可能な限り続けるようにするのが大切」だと言います。具体的には、「学習療法は進行を遅らせるには効果的だと思いますし、もう一つ大事なのが個別のリハビリ。例えば合併症で寝たきりになると筋力が衰え車椅子の生活になりかねません。これを防ぐためにはやはりリハビリです。歩いているのを見るとご家族の方も喜ばれます」(近藤さん)と、ご家族の気持ちも常に意識して看護にあたっています。

そのリハビリを担当するのは作業療法士の笹原太一さん。同院で初めての認知症ケア専門士でもあります。笹原さんはリハビリのポイントを、「とにかくマンネリにならないこと」だと言います。「同じことを繰り返していると、患者さんもスタッフも飽きてしまいますから、曜日ごとにプログラムを変え、半年くらいで大きく見直します。もちろん集団リハビリのほか、患者さんの症状に合わせて個別のプログラムも提供しています」(笹原さん)。

今年3月には同院で2人目の認知症ケア専門士が誕生。対応に厚みが増したものの、スタッフが足りない場面も少なくありません。しかし、そんな状況にも、「足りないならその分、私たちがもっと勉強すればいいと思います。また、後輩となる認知症ケア専門士を一人でも多く育てていきたい」(笹原さん)。その言葉には患者さんに正面から向き合う、強い責任感が伺えます。

 

地域の中核病院として連携にも注力


けんなん病院は地域の中核病院として、他の医療機関や福祉、介護施設などとの連携にも積極的に取り組んでいます。院内でその窓口役を務めているのが精神保健福祉士で地域医療連携室に所属する岩切あゆみさんです。

岩切さんのモットーは、とことん相談者の話を聞くこと。「認知症患者さんのご家族は、周辺症状への対応に疲弊して、かなり切羽詰まってから連絡してこられるケースも多いです。ですから“一緒に考える”という姿勢でご相談をお受けし、外来、入院、リハビリなど、さまざまな選択肢の中からその患者さんにあった解決策を一緒に模索します」。

認知症に関しては啓発が進み、予防的な相談も増えてきた一方で、「ゴールデンウィークやお正月に帰省してはじめて、『親の様子がおかしくて...』と気付き相談に来られるご家族もいらっしゃいます」(岩切さん)と、早期発見の難しさを訴えます。

また、看護師で在宅支援部長の村田仁美さんは、地域のケアマネジャーとの連携の重要性を指摘します。 

「串間市内には8つの居宅支援事業所があります。そこで従事するケアマネジャーの方々は認知症の方を『シニア倶楽部』に紹介してくださるようです。それは、少しでも進行を遅らせ、できるだけ自宅・住みなれた地域で暮らすことをめざす『シニア倶楽部』の治療的ケアが評価されている証ではないでしょうか」(村田さん)。

また一方で、「串間市の高齢化率はおよそ38%です。認知症の方はまだまだいらっしゃるようです。高齢者夫婦世帯が多くなっている中で、ご家族の身体的・精神的負担も大きくなってきています。その負担を少しでも軽くできるように、家族支援として職員の対応、かかわり方もシニア倶楽部の非常に大切な役割です」(村田さん)と日頃からの目配りも欠かしません。

 

人生の最期のステージまでお付き合いできる病院に

けんなん病院は施設の拡充、先進的な設備・機器の導入に積極的で、2006年には太陽光発電システムを導入。屋上に設置した1500枚の発電パネルで、電力の年間使用量の10%をまかなっています。

2013年には老朽化した246床が新築されて、認知症の病棟はそちらに移り、最新のアメニティのもとで新たな医療が展開される予定です。地域の高齢者にとって同院はとても頼もしい存在ですが、「それだけに責任は重い」とスタッフの多くが口を揃えます。

藤元先生は「都市型の病院とは環境が違うからこそ、できることがあるはず」と今後の展望を描きます。「この豊かな自然の恩恵を受けながら、認知症になっても本人はもちろんご家族も安心して暮らせ、人生最期のステージまでずっとお付き合いできる、コミュニティのような場がここにできればいいですね。そのために私は、病気を診るだけの医師ではなく、人を見る医師でありたいと常に思っています」。

 

 

取材日:2012年6月13日
けんなん病院の外観

医療法人十善会 けんなん病院

〒888-0001
宮崎県串間市大字西方3728
TEL:0987-72-0224

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