『笑顔とこころでつながる認知症医療』サイトドメイン変更のお知らせ 「お気に入り」や「ブックマーク」の変更をお願いします

詳細はこちら

ホーム > 地域から探す【九州沖縄】 > 長崎県 > 長崎県西彼杵郡 社会医療法人春回会 長崎北病院
医療機関を探す

徹底した検査と画像解析で“客観的かつ正確な診断”を
<長崎県西彼杵郡 社会医療法人春回会 長崎北病院>

名誉院長 辻畑光宏先生 名誉院長 辻畑光宏先生

気軽な気持ちで、来ていただきたい――そんな願いから掲げられた、長崎北病院の「物忘れチェック外来」。物忘れと決まった人が来るというより、「気になった人はどなたでもチェックを」という意味合いをもたせることにより、敷居の低さが生まれました。患者さんが足を運びやすい病院であるとともに、徹底した画像解析による正確な診断が評判を呼んでいます。

患者さんが来やすい診療科名を

陽光の降り注ぐ高い吹き抜けと、明るいステンドグラスが来院者を出迎えてくれる長崎北病院。脳や神経の病気を専門的に診る高度の診療技術をもった医療機関として35年の歴史を持ち、県内外から一目置かれる存在です。431名ものスタッフと200床の病床を有し、救急指定の井上病院、訪問看護ステーションひまわりなどの系列機関とともに、急性期から回復期、リハビリ、在宅支援までの一貫した治療・看護を行ってきました。

同院が「物忘れチェック外来」を開設したのは、2000年のこと。「物忘れ外来」はごく一般的な診療科名として通っていますが、「チェック」が入った名称としてはあまり耳にしません。そこには名誉院長を務める辻畑光宏先生の、「とにかく気楽にいらしていただきたい」という、患者さん側に立った思いが込められており、「認知症になった人が行くというイメージにならないよう、あくまで物忘れがあるかないかのチェックをしに来るところ、と受け取ってほしかった」(辻畑先生)と振り返ります。

脳や神経系、リハビリに定評のあった同院では、患者さんやご家族が訪れやすい看板も功を奏し、週3回の診療で年平均250~300名ほどの新規患者さんが来られるようになりました。隣接する長崎市をはじめ、佐世保市や大分県などからも来院されることがあります。

 

徹底的な検査、解析で客観的データを収集

多くの患者さんが訪れる同院では、「なるべく客観的なデータに基づいた診断をしたい」(辻畑先生)と、徹底した検査および画像解析を行っています。

初診時は、長谷川式とMMSE(認知機能検査)の2つのスクリーニングテストを行い、テストの点数によってWMS-R(ウエクスラー記銘力検査)またはADASのどちらかの検査も行います。同時に、VSRADによるMRIとSPECT画像も撮影します。ここまでを一連の流れとして診断する医療機関は少なくありませんが、同院ではSPECTのデータを元に、さらにeZISとvbSEEの2つの解析ソフトを使い、脳血流が落ちた部位や委縮部位の分布までを細かく解析していきます。こうして得られた豊富なデータと、患者さん・ご家族双方からの質問表なども併せ、診断や治療方針などを決定しています。

院長 佐藤聡先生 院長 佐藤聡先生

「病歴や質問だけで認知症やその型を判断したりはしません。最新機器を取り揃え、念入りにデータを取り、きちんと解析を行うことが私どもの強みでもあり、客観的な診断につながると自負しております」と院長の佐藤聡先生は話します。

 

自前でデータベースを作成、地域にも浸透

より客観的な分析を行うために、同院ではVSRADとSPECTに関して自らでデータベースを制作し、活用しています。

「とことん正確な診断をするために、われわれで作ろうということになりました。健常者との比較が必要なため、患者さんをはじめ、ボランティアの方やご家族といった方々にお願いをして何十人ものVSRAD、SPECTデータを取らせていただいた結果、作ることができました」(佐藤先生)。データベースとして形になるまでには何年もかかりましたが、その信頼性は他医療機関からも高く評価され、eZISとvbSEEによる詳細な画像解析も評判を呼び、県下全域からの検査依頼が後を絶ちません。高度な画像診断技術は同院のみならず、様々な医療機関で認知症や脳疾患の診断に一役買っているのです。

「報告書の作成に1件2時間かかりますので、他機関からも画像検査の依頼があれば、その分時間もかかりますが・・・」と苦笑する辻畑先生ですが、「当院の強みを地域医療に生かせるなら」と、強い使命感をもって取り組んでいます。

 

尊敬の念をもって患者さんに接する

医師 冨田逸郎先生 医師 冨田逸郎先生

臨床心理士 阿南悠希江さん 臨床心理士 阿南悠希江さん

辻畑先生、佐藤先生とともに診療にあたっている冨田逸郎先生のモットーは、「患者さんのことを自分の先生だと思って話を聞くこと」だと言います。

「認知症の患者さんはほとんどの方が人生の先輩です。失礼にあたるようなことがあってはならない」(冨田先生)。

同時に、患者さんのプライドを尊重するようにし、ご本人には「アルツハイマー型認知症です」という病名そのものを告知しない場合が多いと言います。

「MMSEの結果が20点を割っている患者さんでも、アルツハイマーという言葉に敏感です。プライドを傷つけられる場合もあるというか・・・落ち込んでしまわれる方がいらっしゃるので、物忘れが始まっていますからお薬を飲みましょうという言い方をします」(冨田先生)。

なかには、検査をすること自体にプライドを傷つけられたと受けとめる患者さんもいます。チーフ臨床心理士として患者さんのスクリーニングテストなどを担当している阿南悠希江さんも、「患者さんを尊重するのが一番。気がすすまない検査も多いと思うので、耳が遠い患者さんが何度も聞き返さずにすむよう、最初からゆっくりと大きめの声で質問をしたり、言葉遣いに気をつけたりと、患者さんが気持ちよく検査を受けられるよういつも心がけている」と言います。同時に、ご家族の方も尊重していきたい、という思いがあります。「認知症と診断を受けたご家族側のショックは大きいはず。ご家族に対する支援はまだまだ足りてないと感じます。ご家族の気持ちに寄り添い、臨床心理士として役にたつ情報を提供していくことも、私の役目だと思っています」(阿南さん)。

 

「共想法」など多彩なリハビリメニュー

作業療法士 小栁洋子さん 作業療法士 小栁洋子さん

阿南さんとともに「この2人がいないと物忘れチェック外来は回らない」と辻畑先生が絶大な信頼を寄せているのは、認知症患者さんの専属作業療法士である小栁洋子さんです。

同院では小栁さんら作業療法士と理学療法士、言語聴覚士ら125名ものリハビリスタッフが揃っており、医師や看護師と連携して脳血管障害や神経筋疾患患者さんへのリハビリを行っています。こと認知症に関しては、脳の働きを維持・回復させる「脳リハビリ」が認知症医療の目玉の一つにもなっており、マンツーマンとグループの双方において日々、脳のトレーニングを行っています。

現在、千葉大学と共同で小栁さんらが取り組んでいるのが、「共想法」です。これは、テーマに則した写真や素材を患者さんに持ち寄ってもらい、スライドに映しながらテーマに関する話を写真提供者中心に、皆で語り合う手法です。小栁さんは「写真提供者が最初に行う説明を5分以内、と決めています。そうすることで、与えられた時間内で考えて話す工夫ができるし、会話力を広げていける。認知症の予防にも繋がると思います」と、このトレーニングの目的を話します。

共想法の他にも様々なリハビリメニューがありますが、「認知症の進行を防ぎ、患者さんがより効果的に脳を活性化できるトレーニングメニューを常に模索していきたい」と小栁さん。全職種間で患者さんの担当者同士が集まり、リハビリの現状や効果について頻繁にカンファレンスを行うのも、全ては「よりよいリハビリのため」と口を揃えるスタッフたち。豊富なメニューと広々と明るいリハビリ室で、文字通り日々、患者さんに向き合っています。

 

常に「患者様最優先」の精神で

コンサートも開催する、ゆとりあるロビー コンサートも開催する、ゆとりあるロビー

同院は「ロビーでコンサートが開かれる病院」としても、その名が知られています。「患者さんに癒しを」「長崎の音楽家に演奏の場を」という2つの趣旨から元々音楽に造詣が深かった春回会前理事長の故井上満冶先生が始めたもので、プロの演奏家や歌手を招いて月1回のペースでコンサートを開催しています。車椅子で鑑賞される入院患者さんも多く、手拍子や、ときには一緒に歌ったりすることも。毎回訪れる熱心な地域住民の方もいます。

「患者様最優先(patient first)」という同院の精神は、「物忘れチェック外来」の名称やロビーコンサートなどからも窺い知れますが、その精神は同院を訪れる患者さんに対してのみ向けられたものではありません。

来るべき認知症患者さんの激増に備え、どの先生も「認知症予防のため、疫学調査をしてみたい」と口を揃えます。「たとえば1000人規模の町全体で協力してもらい、客観的に予防の取り組みなどもしてみたいと思っている。いまはそれだけのキャパシティがありませんが、いずれ実現したい」(佐藤先生、冨田先生)。

同院の目玉の一つである脳リハビリにおいては、「認知症において有効だと言い切れるデータはまだ取れていないのですが、漫然と同じ医療・リハビリを繰り返すのではなく、常にスタッフあげて努力をし、いずれ有効だと言えるだけのデータを取ることが、患者さんのためになると思っています」と辻畑先生は締めくくりました。

 

 

取材日:2013年1月9日
長崎北病院の外観

社会医療法人春回会 長崎北病院


〒851-2103
長崎県西彼杵郡時津町元村郷800
TEL:095-886-8700

施設のホームページへ

この記事のURLをメールで送信
医療機関を探す
新着施設から探す
地域から探す
  • 北海道 近畿
  • 東北 中国
  • 関東・信越 四国
  • 東海・北陸 九州・沖縄
カテゴリーから探す
  • 社会が考える認知症予防・治療・戦略
  • 日常診療における創意工夫
  • チーム連携のさらなる充実
  • ふれあいつながる作品展
  • バアちゃんの世界
  • バアちゃんの世界からわかる認知症の症状と対応のヒント
  • 「笑顔とこころ」をつなぐ声
  • お薬(剤形)の選択肢が増えました
  • 患者さんとご家族のための認知症の知識
  • 認知症相談窓口
  • 認知症サポーターキャラバン
  • サイト運営企業の取り組み
  • 医療関係者の皆さまへ
トップページへ