『笑顔とこころでつながる認知症医療』サイトドメイン変更のお知らせ 「お気に入り」や「ブックマーク」の変更をお願いします

詳細はこちら

ホーム > 地域から探す【九州沖縄】 > 沖縄県 > 沖縄県沖縄市 医療法人卯の会 新垣病院
医療機関を探す

院内外の連携づくりに全職員で取り組む
<沖縄県沖縄市 医療法人卯の会 新垣病院 >

医師 眞榮城尚志先生 医師 眞榮城尚志先生

開設から40年あまり。沖縄で屈指の歴史を持ち、精神科の専門病院として救急から療養病棟、デイナイトケア、訪問看護、就労支援事業、自立訓練事業など充実した組織・機能を持つ新垣病院。認知症治療にも古くから力を入れてきた同病院が、さらに2年前から地域との連携を強化するための取り組みを始めています。

沖縄で屈指の歴史を持つ精神科病院

精神科を標榜する新垣病院が開設されたのは沖縄が日本に復帰(1972年)する前の1970年です。「沖縄で3番目くらいに古い病院だと思いますよ」と語るのは同院で長年にわたって活躍してこられた医師の眞榮城尚志先生。「小さな病院から始めて、今では医師が15~16名、スタッフは総勢で300名を超す規模になりました」。

開設時に109床だった同院は現在273床。平成に入ってから重度認知症病棟(現・重度認知症治療病棟)や地域医療相談室、精神療養病棟、精神科急性期治療病棟、精神科救急病棟などを次々と開設。また、社会復帰施設(援護寮と福祉ホーム)、グループホーム、就労支援事業など精神科患者の生活を支える施設の整備も進めてきました。

そして今、規模・機能ともに、沖縄市の精神科医療を支えるかけがえのない存在となっています。

 

認知症の外来診療は10年前から

外来で認知症の診断・治療を行うようになったのは10年ほど前で、一般の外来のなかで診るという形でした。2011年9月からは、月曜日に「もの忘れ外来」の枠を設け、3人の医師それぞれ1名の予約枠で週に3名の新患を診る体制となっています。と言っても必要に応じて他の曜日に新患を受けることも多く、新患の2~3割、年間で200名くらいが新たに認知症の患者さんとして来院しています。

医師 赤嶺由美先生 医師 赤嶺由美先生

診断の際はまず認知症以外の疾患の可能性を探り、神経心理テストやCTを使って確定診断を行います。認知症を担当する3名の医師のうちのひとりである赤嶺由美先生は「精神科ですからMRIやSPECTなどの検査装置はないので、総合病院との密な連携の構築を模索中です。病気や重症度を正確に診断することが第一ですが、その上で重症度に関係なくご本人やご家族が抱えている問題を把握して、治療に生かし、また適切な福祉サービスに繋げることも心がけています」と語ります。

 

病院全体で取り組む「認知症プロジェクト」

医師 堤勇人先生 医師 堤勇人先生

熊本大学で認知症研修を受けた経験を持つ、もうひとりの認知症担当医の堤勇人先生。熊本県の認知症治療は地域全体で患者を支える先進モデルのひとつと言われており、そこで学んだことを沖縄で生かす取り組みを始めています。

「何もかも熊本モデルでというわけではなく、この病院、この地域に適した取り組みを作るために、2年前から病院全体で『認知症プロジェクト』と名付けた活動を始めました」と堤先生は語ります。

まず取り組んだのは介護関係者へのアンケート。認知症が疑われる患者さんがおられたらどの病院を奨めるかなど、地域の実態把握をすると、予測通り精神科が認知症を専門的に治療できることがあまり知られていないことがわかりました。

「それがわかってから、認知症についての講演・セミナーの講師として積極的に出かけるようになりました。もの忘れ外来の存在を明示したのも、当院で専門治療ができることを知ってもらうためです」と堤先生。活動を始めてから、ケアマネさんが担当するお年寄りを連れてきてくれるケースも増えています。

「今後の課題は、当院のなかで外来、入院、医療デイケアの利用がスムーズに受けられるようにすること。さらに、地域の資源を生かし、行政とも連携して介護保険のサービスにもうまく繋げていくのが目標です」(赤嶺先生)。

 

入院が必要な患者を待たせないために

同院の認知症治療病棟は1993年以来20年の歴史があり、開設当初から一貫して、患者さん一人ひとりの症状や個性に寄り添って、きめ細かく対応することを方針としてきました。

この病棟では患者さん本人や家族を困らせている症状を軽減・解消すること、さらに治療が奏功すればできるだけ早く退院することをめざしています。「治療病棟では症状が激しい患者さんにマンパワーが集中します。症状が落ち着いた患者さんは、QOL(生活の質)を高めるためにも、病気の進行を抑えるためにも、デイケアなどで作業療法や様々な活動に参加するほうがよいのです。もちろん、退院後の生活に不安を持つ方も多いので、介護サービスとの連携などできる限りのサポートをしています」と、精神保健福祉士の大村知嗣さんは語ります。

症状が落ち着いた患者さんが無事に退院することができれば、その分、新たに入院を必要とする患者さんを早く受け入れることができます。「入院を決意するのは、家族で頑張って介護して『これ以上は無理!』という状況になってからというケースがほとんどです。そこからさらに何ヵ月も待つのは本当に辛いですからね」(大村さん)。

精神保健福祉士 大村知嗣さん 病棟看護課長 宮里満さん 精神保健福祉士 大村知嗣さん   病棟看護課長 宮里満さん  

病棟看護課長である宮里満さんも、「入院は、介護に疲れたご家族がしばし休息できる機会でもありますから、その意味でも、待たせないことが大事です」と語ります。

さらに眞榮城先生は、「この地域で当院が入院を断るともう後がないので、認知症治療病棟に空きがないときは、一時的に他の病棟のベッドを使うこともあります。一旦、受け入れてから他院を含めて行き先を考えることも。治療を必要とする患者がいれば受け入れるのが使命です」と、同院の方針を強調します。

 

医療の成果を介護へと繋げる

重症認知症デイケア課長補佐 田村訓明さん 精神保健福祉士 城間直也さん 重症認知症デイケア課長補佐 田村訓明さん  精神保健福祉士 城間直也さん

重度認知症デイケア(リハビリテーション)部門に所属する精神保健福祉士の城間直也さん(2013年3月退職)も、「認知症プロジェクト」に力を入れるひとりです。「デイケアというと介護保険のイメージが強いですが、我々が行っているのは医療のデイケア。治療の結果を受けて、医師との密な連携のなかで我々がリハビリを担い、さらに介護に引き継いでいきます。とは言え、明確な境界線があるわけではありませんし、お互いの仕事を理解していなければ連携はうまくいきません。認知症プロジェクトを通して、地域で顔の見える連携を作っていきたいのです」(城間さん)。

訪問課長・看護師 久場幸代さん 訪問課長・看護師 久場幸代さん

看護師 平良綾子さん 看護師 平良綾子さん

重度認知症デイケアのチーフを務める作業療法士の田村訓明さんは、デイケアの利用者が自宅や地域でどのように暮らしているのかが気がかりだと感じています。「症状が進んで言葉が少なくなっても、私たちのデイケアでは患者さんの希望や気持ちを何とか汲み取って、できること、やりたいことを柱に活動を考えています。しかし、自宅や地域で介護を担う人と情報を共有しなければ、一貫したケアはできません。院内で完結するのではなく、院外に輪を広げていく必要がありますね」(田村さん)。

訪問看護の責任者である看護師の久場幸代さんも、医療と介護の境界領域で、どちらのサービスが適切なのかケース毎に悩みつつ実践していると語ります。「症状が進むほど介護保険が使いやすくなり、結果として私たちの手から離れてしまうことがほとんどです。けれどそこで仕事は終わりと思わずに、患者さんたちが安心して暮らせる地域づくりも考えていきたいです」(久場さん)。

「服薬管理ができない独居の患者さんのために、外来の看護師、訪問の看護師が連携して、ご家族に状況を伝えたりすることもあります。単身で頑張ってこられたお年寄りは、ヘルパーの利用を嫌がる人も多いので」と外来看護師の平良綾子さんも連携の大切さを語ります。

 

全職員がそれぞれに自分の課題として

同院の強みは、認知症医療に携わる全職員が、患者さんのことを第一に考え、より良い医療サービスを提供するために働きやすい職場づくりに取り組み、さらに院内外の連携づくりを自分の課題として捉えていることです。認知症プロジェクトが発足したことで、各スタッフの問題意識が具体的な取り組みとして動き出しました。

「成果が出たら終わりではなく、介護も医療も常に新しい人材が入ってきますから、同じ内容の講演を繰り返し行うような地道な取り組みも重要だと思っています」と堤先生。新垣病院の認知症プロジェクトが終わる日は来ないかもしれませんが、この取り組みが続くことによって、地域の連携構築は確実に進んでいくことでしょう。

 

 

取材日:2012年12月17日
新垣病院の外観

医療法人卯の会 新垣病院


〒904-0012
沖縄県沖縄市安慶田4-10-3
TEL:098-933-2756

施設のホームページへ

この記事のURLをメールで送信
医療機関を探す
新着施設から探す
地域から探す
  • 北海道 近畿
  • 東北 中国
  • 関東・信越 四国
  • 東海・北陸 九州・沖縄
カテゴリーから探す
  • 社会が考える認知症予防・治療・戦略
  • 日常診療における創意工夫
  • チーム連携のさらなる充実
  • ふれあいつながる作品展
  • バアちゃんの世界
  • バアちゃんの世界からわかる認知症の症状と対応のヒント
  • 「笑顔とこころ」をつなぐ声
  • お薬(剤形)の選択肢が増えました
  • 患者さんとご家族のための認知症の知識
  • 認知症相談窓口
  • 認知症サポーターキャラバン
  • サイト運営企業の取り組み
  • 医療関係者の皆さまへ
トップページへ