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患者さんが暮らし続けられる街をつくる
<北海道釧路市 医療法人社団優心会 釧路優心病院>

院長 長谷川勝先生 院長 長谷川勝先生

精神疾患患者の自立・社会復帰を支援する取り組みを精力的に続けてきた釧路優心病院。その結果、地域との連携体制を生かした認知症の治療、生活支援の試みが着実に広がっています。

昨秋リニューアルを果たした歴史ある病院

釧路優心病院のルーツは1956年に医師の板垣二郎氏によって設立された76床の板垣病院で、釧路管内初の精神科の専門病院でした。

1977年に医師の田中至氏が経営を引き継いで108床に増床。1992年には田中氏の甥にあたる現院長の長谷川勝先生が継ぎ、現在の釧路優心病院という名称に改めました。さらに昨年9月に新病院が完成。釧路市街地から約10km郊外のJR大楽毛駅前にある病院からは、日本最大といわれる釧路湿原と太平洋が見渡せます。

CO2削減効果が確認できるロビーのモニターCO2削減効果が確認できるロビーのモニター

「自分たちが入院したいと思える病院」をめざし、力を入れたのはプライバシーへの配慮です。108床を97床に減らした分、半数以上を個室にしました。また医療施設では珍しく内側から鍵をかけることができるようになっています。そして大浴場はつくらず、ゆっくりひとりで入浴できるように複数のユニットバスも用意しました。

また地中の熱を利用した冷暖房システムや太陽光発電を採用し、5階建てを吹き抜ける中庭によって各階に太陽の光を取り入れるなど、環境にも配慮した未来型の病院となっています。

 

町内会と連携して精神疾患患者の自立を支援

「旧病院の跡地には、退院後に自宅で暮らせない認知症患者さんのためのグループホームを建てる計画で、今年の秋にはオープンさせたいと考えています。さらに将来は、小規模な特別養護老人ホームをつくりたいですね」と語る長谷川先生は、院長に就任した直後から精神疾患を持つ患者さんが地域で自立して暮らせる環境づくりに、精力的に取り組んできた実績があります。

町内会から行政まで地域ぐるみの支援体制を築いて、既に3つの共同住宅を誕生させました。精神疾患を持つ患者さんの、自立と社会復帰をめざした取り組みのユニークな成功例の中心となっているのが、長谷川先生であり、釧路優心病院なのです。

「私がこの病院に来た時、退院できる状態なのに受け入れ先がないために退院できない『社会的入院』の方がたくさんおられたのです。患者さんの将来を考えると早く自立・社会復帰をめざすべきですし、空きベッドがないと入院が必要な患者さんを受け入れられません。そこで、暮らす場所がないなら、つくろうと考えました」と長谷川先生は取り組みのきっかけを語ります。

実現には地域社会の支援が不可欠です。まずは病院と患者さんの実際を知ってもらう活動を始めました。大楽毛5丁目町内会の助けを得て、小学校の校庭をかりて運動会を開催したり、病院駐車場で盛大に行う夏祭りに住民も参加してもらうなどの取り組みを積み重ねるうちに、協力してくれる住民も増えました。その支援体制が評価され、2003年には北海道精神保健協会から町内会が表彰されるまでになりました。

 

認知症の増加にあわせた組織・体制に

かつては同院で治療を受ける患者さんは統合失調症かアルコール依存症がほとんどで、認知症はほとんどいなかったと言います。15年ほど前からうつ病の患者さんが増え、認知症が増えてきたのはさらにその後でした。

現在では患者さんの3割ほどが認知症です。さらに初診患者さんのほとんどが認知症を疑っての来院であり、確実に増加しています。

「認知症患者さんの入院を受け入れ始めてから、組織・体制を大きく変えています。介護・介助が必要な患者さんが多く、当直も増えるので、看護助手を中心に増員が必要でした。経営を考えると苦しい部分もあり、病院内部からも入院受け入れに消極的な意見が出ましたが、治療が必要な患者さんを前にして受け入れないという選択は私には考えられません。高齢者は薬の効き方が人によって違うので、できれば入院してもらって、効果を見ながら調整できる状態で使いたいですしね」(長谷川先生)。

 

訪問診療が介護施設との連携を強化

認知症の場合も、統合失調症などの他の精神疾患と同様に、退院後の受け入れ先が見つかりにくいという問題があります。

体制の整った特別養護老人ホームは、入所までに何年も待つことが珍しくありません。グループホームなどは認知症を抱える高齢者の受け入れを躊躇する場合があります。ここで、長く患者さんの社会復帰に尽力してきた経験が役に立ちました。長谷川先生は自ら往診に行くことを確約することで、介護施設など受け入れ先の不安軽減に成功しているのです。

「私が月に1度、さらに看護師が定期的に訪問して、患者さんの様子を把握しています。もし入院が必要な状況ならば、私が迷わず引き受けることを施設スタッフも知っているので、逆に『もう少し、施設で頑張って』と言ったら、信じて頑張ってくれます。往診は、単に患者さんを診るだけでなく、施設スタッフとの信頼関係づくりにとても有効です。それは在宅療養の場合も同じです」と語る長谷川先生は、毎週木曜日は往診日と決めて、患者さんの自宅や介護施設を巡っています。

 

敬意を持って前向きな気持ちで

認知症患者さんと接する時に心がけているのは、人生の先輩として敬意を持ち、目線の高さを合わせて話すこと。「おじいちゃん」「おばあちゃん」と呼ぶことは厳禁で、きちんと名前で呼ぶことも全スタッフに徹底しています。

認知症になると嫌なことも忘れると思われがちですが、具体的な事柄は忘れても、「この人は何か嫌なことをした、気に障ることを言った」という負の感情は残るのです。

家族にも折に触れて、「怒らない」「落胆しない」とアドバイスしています。同じことを何度も聞かれたり、言ったことを忘れたりした時に、苛立ちや落胆を見せると患者さんの心は傷つくからです。「忘れたら、また覚えればいい。嘆いても始まらないのです。それより、できることを褒めて、脳に刺激を与えるアクティビティに前向きに取り組むほうが、患者さんのためになるし、介護者の気持ちも楽になるはずです」(長谷川先生)。

 

行動を積み重ねることが結果に繋がる

認知症患者さんの多くが高齢者なので、他の様々な病気を持っていることが珍しくありません。入院患者の身体疾患については、釧路の医師会で築いた様々な医師たちとの友好関係を土台に、相互に連携して対応しています。「先方の入院患者さんが認知症などを発症した場合も、こちらがすぐに対応します。連携体制ができるのをじっと待つのではなく自分からつくりに行く。助けてもらいたかったら、まず自分が助ける存在になる。それが私の行動の基本です」(長谷川先生)。

何事も自ら率先して動き、その行動力が周囲の人たちの応援を呼んで実現に至るのが長谷川先生の流儀なのです。

「次に何をすべきか、それは患者さんとご家族に真剣に向き合っていれば自ずとわかります。そして『この病院があるから安心してずっと暮らせる』と、患者さんにも、ご家族にも、そして地域の皆さんにも思ってもらえたら本望ですね」(長谷川先生)。

 

 

取材日:2013年1月23日
釧路優心病院の外観の外観

医療法人社団優心会 釧路優心病院


〒084-0917
北海道釧路市大楽毛4-1-1
TEL:0154-57-8054

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