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患者さん本位の診療と緻密な病診連携で地域の診療ニーズに応える
<福井県福井市 柏原脳神経クリニック>

院長 柏原謙悟先生 院長 柏原謙悟先生

脳神経外科医として福井県立病院などで多くの診療、手術経験を重ねた柏原謙悟先生は、自らが病診連携の担い手となるため、2006年に開業。患者さんとご家族の立場に立った暖かく丁寧な診療と、迅速で緻密な病診連携により地域の診療ニーズに応えています。

患者さんの多くは脳卒中、頭痛、そして認知症

クリニックの名称が示す通り、院長の柏原謙悟先生の専門は脳神経外科。2006年に開業する前、福井県立病院に勤務していたころから、認知症の鑑別に注力してきたと先生は振り返ります。

「脳卒中の後遺症、頭部外傷後遺症、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症(NPH)、脳腫瘍など脳神経外科においても認知症を呈する患者さんは少なくなく、特にNPHの場合はアルツハイマー病や他の変性性の認知症との鑑別が必要です。そのため、私は決して認知症の専門医ではありませんが、県立病院時代は、他医から認知症の患者さんの紹介もあり、患者さんの症状を正しく鑑別できるように勉強させていただきました。手術適応のない患者さんは紹介元に返ってもらうわけですが、その後どうなったかはいつも気がかりでした」(柏原先生)。

開業して6年を経た現在、同院の受診患者さんの主な疾病は脳卒中、頭痛、認知症で、認知症の比率は2~3割(月に250名前後)とのこと。

「私が開業した理由は、病診連携を利用して脳疾患の患者さんによりよき医療を提供できればと考えたからです。病院は外来を減らし、入院に専念しなさいという国の方針に従い、県立病院時代は患者さんに病状も落ち着いたから近くの診療所で診てもらうように説明をしていました。近くに脳の専門医が居ないので不安であると結構嫌がられました。今では、たまに、『昔先生に追い出された患者だが、一度術後の頭を診てほしい』と言って受診される方もいて、平身低頭の場面となります。当初は誰か近くで脳神経外科医が開業しないかなと思っていました。何年たってもその気配はなく、そのうち私がやればいいのかという結論になりました。開業したては、近所の方からは『何を診ていただける診療所かわからない』と言われました。脳神経外科と説明しても『さっぱりわからん、精神科と違うのか』などと言われ、なんと認知度の少ない診療科だったのかと初めて認識しました。確かに脳卒中、頭部外傷後遺症、脳術後など重症なイメージが強く、地域にはなじみのない診療科だったかもしれません。頭痛、めまい、しびれ、物忘れの患者さんを主体に診療し、徐々に患者さんは増えてきました。脳卒中後遺症や認知症の患者さんはしばしばご家族の付き添いが必要です。通院しているうちにそのご家族もよく頭が痛いから診てほしい、あるいは血圧が高く脳卒中が心配だからと言って、患者さんになってしまいます。最近は口コミで認知症の患者さんが増えてきています」(柏原先生)。

 

患者さんの不安を拭いながら細やかに検査し鑑別を

同クリニックでの認知症診療の大きな特徴のひとつは、スタッフ全員がMMSE、HDSを行えることです。さらにナースによる詳細な病歴聴取、問診、認知症検査(MMSE、HDS、CES-Dなど)に十分時間をかけることです。

「総合病院ですとマンパワー不足ですべて医師がしなければならず、外来診療が回りません。当院ではナースが患者さん、ご家族から詳細に病歴を聴取し、その情報を元に診察し、認知症検査、CT検査、血液検査を行い説明します。患者さんに対するご家族の接し方や注意点、介護保険の説明など結構時間がかかります。介護保険申請希望があれば初診時でも主治医意見書を作成できるようにさらに状況を確認します。スタッフがご家族の悩みを聞くこともあり、スタッフ全員が勉強し、知識の共有をはかるように努力しています。認知症の専門病院では対応可能でしょうが、総合病院の神経内科、脳神経外科では大変かと思います」と柏原先生は柔和な表情で語ります。

看護師 小川多美子さん看護師 小川多美子さん
医療事務 渡辺光恵さん医療事務 渡辺光恵さん

患者さんの心をほぐすため、問診に入る前にあれこれと雑談することもしばしば。看護師の小川多美子さんは「いきなり質問することはまずありません。『ご趣味は何ですか』『ごきょうだいは何人おられますか』など、ありきたりの会話から始めることが多いですね。認知症の検査は、どなたも不安で緊張しがちです。その状態でお聞きしても正確なデータは取れませんから、まず“普段の気持ち”になっていただけるよう、気を配っています」(小川さん)。

また、医療事務の渡辺光恵さんは、受付で患者さんの様子をさりげなく観察しています。「診察室の先生の前で見せるお顔と外で見せるお顔が違うことがありますから、待合室や電話口でいつもと違うところがあれば、すぐに院長に伝えます」(渡辺さん)と細やかな院内連携を欠かしません。

 

子どもは親の認知症に関して鈍感すぎる

認知症の患者さんの多くは70~80歳代。「1人で来院する人は軽度の場合が多いですが、家族と一緒に来院する人は要介護1程度が多いようです。私としては、もう少し早く来院していただきたいと思います。認知症の啓発は以前よりは進んだと思いますが、まだまだ浸透していません」と柏原先生は少し顔を曇らせます。

認知症の症状は日常生活を見ていなければ気づきません。しかし、1人暮らしだと近くに気づく人はいないし、老夫婦が互いに補い合っていると、問題は夫婦の中に内包されてしまい、ご近所や別居をしている子どもたちが気づきにくくなってしまいます。たとえ、子どもと同居していても、生活のタイムスケジュールが異なるため、食事やお風呂が別になり、互いの生活スタイルを見ていないことが少なくありません。

「子どもは親の認知症に関して、いささか鈍感すぎるように思いますね。同居しているなら、週に一度は食事を一緒にとるとか、世間話を聞いてあげるとか。別居していても2~3ヵ月に一度、半年に1度でもよいので、訪ねてきて一晩過ごして帰るというようなことがあってもよいのではないでしょうか」と柏原先生は苦言を呈し、続けて「症状に関する理解も進んでいない」と指摘します。

「たとえば徘徊というとわけわからずに勝手に外に行ってしまい、理解できない問題行動と解釈する人がいるかと思います。しかし、実際は本人に理由があって行う行動で、その理由を聞くことが大事です。もちろん認知症ですのでその理由すら忘れていることもあるでしょう。家に帰ろうとすることが多いような印象です。家にいて家に帰ろうとする人もありますが、この場合は生まれた家に帰ろうとしているのかもしれません。親のいる家(亡くなったことは忘れている)に行こうとしたのかもしれません。ちょっと買い物に出かけたのかもしれません。帰る道を忘れるため、さまようことになるのです。ですからどこに行きたかったのかと聞くことが大事なのです。その理由に共感して受け止めることが必要です。施設入所の場合は特に道を覚えられないため、ちょっと出かけると迷子になり、徘徊と周囲から騒がれます。また、ご家族として親の物忘れが気になったら、年のせいだからと放置せず、かかりつけの先生にまず相談してほしいと思います」(柏原先生)。

 

病診連携

福井県立病院から送られた地域医療連携医登録証福井県立病院から送られた
地域医療連携医登録証

CT室CT室

認知症診療では問診、テスト、CT、そして採血までを院内で行い、必要があればすぐ総合病院を紹介してMRIや脳血流検査を行います。他疾患も含めて、福井県立病院は徒歩5分、福井県済生会病院、福井循環器病院は車で10分ほどの距離。そうした緻密で迅速な病診連携は同クリニックの大きな特徴です。患者さんの希望によってはどこの病院や診療所でも紹介をされているとのことです。なかでも福井県立病院への紹介は年間800件以上に及びます。MRIなどの画像依頼の紹介が多いのですが、最近では半数以上が各科への診療依頼です。同院から地域医療連携医登録証に第1号とあるのは、一番早く登録したからではなく、紹介数が一番多かったからのようです。

「脳卒中や認知症の患者さんは高齢者が多く、心疾患、胃腸疾患、腎疾患、糖尿病、血液疾患、眼科疾患、耳鼻科疾患など様々な疾患を合併しています。その相談を受け、できる範囲で対応していますが、少し困難な状態ですと専門医に相談いたします。返書、検査結果などこちらの勉強にもなります。この意味でも病診連携は大変助かります」(柏原先生)。

紹介して異常がなかった場合でも感謝されることが多いとのことです。手に負えないと判断したらすぐに専門医へ紹介するスタンスは患者さんの満足度向上に貢献しているようです。

 

いっそうの啓発と地域連携が課題

診察室診察室

同クリニックのこれからの課題として、柏原先生は「認知症に関する啓発」と「地域社会との連携」を掲げます。

「患者さんの症状に合わせて薬物療法を行います。アルツハイマー病の早期ですと薬物の効果がかなりよく、ほとんど正常な生活に戻り維持できる患者さんも少なくありません。現在、4種類のアルツハイマー病進行抑制の薬剤が選択できることは治療の幅ができて喜ばしいことです。しかし、残念ながら現時点では治せる病気ではありませんので、目標は“日々の平穏な暮らし”だと私は考えています。そのためにはご家族や地域のサポートが不可欠です。認知症のことをもっと理解していただくよう私どもが説明に努めなければなりません」(柏原先生)。

看護師の小川さんは「診察を終えたあとも待合室でご家族にちょっとしたアドバイスをさせていただくことがよくありますね。できるだけ不安なく帰っていただきたいですから」と気配りを欠かしません。

地域連携もこれからの目標。もちろん今でも「ちょっとでも認知症の疑いのある患者さんがいれば、すぐに地域包括支援センターに連絡しています」と渡辺さんは密に連携していますが、「介護施設やケアマネジャーさんとのパイプをもっと太くしないといけない」と柏原先生は情報交流などの拡充に意欲を示します。

 

 

取材日:2013年1月17日
柏原脳神経クリニックの外観

柏原脳神経クリニック


〒910-0846
福井県福井市四ツ井1-7-20
TEL:0776-54-3455

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