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診療と研究、両面から長寿大国日本を支える施設に
<鳥取県鳥取市 独立行政法人国立病院機構 鳥取医療センター>

院長 下田光太郎先生 院長 下田光太郎先生

鳥取医療センターは2005年に二つの病院が統合してできた新しい病院です。精神・神経の病気や障害の中心的施設として、高度で専門的な医療を提供しています。一番の特徴は臨床研究部があるということで、アルツハイマー病や認知症の国際的な研究にも取り組んでいます。

一人の人間としてその人をみる態度を持ち続ける

2005年に、精神科単科の鳥取病院と、神経難病・重度心身障害児(者)、結核、老人医療を扱っていた西鳥取病院が統合してできたのが鳥取医療センター。一般診療科と中枢神経系の病気や障害の専門医療のほか、臨床研究部も併せ持つ約500床の病院です。臨床研究部にはリアルタイム遺伝子増幅装置をはじめとした先端機器が揃い、院内のどの職種の職員でも、手続きさえすれば、ほぼすべての生化学的、分子生物学的、形態学的、臨床検査学的研究ができる体制が整っています。

パーキンソン病など神経系の難病治療に長年取り組んできた院長の下田光太郎先生は、認知症とは研修医時代から30年以上向き合ってきました。

「神経内科の患者さんの何割かが常に認知症患者さんでした。ただ、当時はよい治療法がなかったので、積極的な関わりができず、ご家族や地域の支えに頼るしかありませんでした。今は積極的に治療に取り組めるのが大きな変化です」(下田先生)。

しかし、下田先生が担当する神経内科外来の場合、初診時から認知症を訴える方はあまりいません。他の病気の診療のときに、ご家族から「最近、おばあちゃんの物忘れが多くて」と相談されるなど、合併症のある患者さんがほとんどだと言います。

認知症の種類や合併症をみるため、ビタミンや甲状腺ホルモンなどの一般的なスクリーニングや、MMSE(認知機能検査)、長谷川式といった認知症の検査、MRI、VSRAD(早期アルツハイマー型認知症診断支援システム)など、いろいろな検査を行います。

「認知症患者さんは必要に応じて、精神科と一緒に診ていくこともあります。また、今は統合失調症の患者さんがほとんどですが、アルツハイマー病の患者さんについても、ご要望があれば訪問看護のアプローチをしていきます」(下田先生)。

 

診察室に入ったときから、診察が始まる

医師 高橋浩士先生医師 高橋浩士先生

臨床研究部で、脳発達研究室の室長を務めるのが、「臨床研究部のホープ」と下田先生から期待される高橋浩士先生です。

神経内科で認知症の診療をしながら、大学院に入り、厚生労働省の研究班で脳のアミロイドーシスの研究に携わったのがきっかけで、今も、認知症の診療と研究を同時進行で進めており、研究は国際的にも注目されています。

「アルツハイマー病というのは、脳の中に特定の物質がたまる病気です。脳の細胞の外側にβアミロイド蛋白、内側にリン酸化タウ蛋白がたまるのです。じゃあ、それを取り除けばよいだろうということで、アメリカを中心に世界中の研究者がβアミロイド蛋白の研究をしたのですが、結局、これはある程度たまると取り除いても認知症は進んでしまうことがわかりました。今は、私が研究対象に選んだタウ蛋白のほうが重要なのではないかと考える研究者が増えてもいます」(高橋先生)。

診療では、早期に治せる認知症を放置しないで治療することに力を入れます。そのためには、MRIの画像診断が非常に重要になりますが、高橋先生の視線は画像だけではなく、あくまでも患者さんに向けられています。

「患者さんの診断は診察室に入ってきたときから始まっているんです。歩き方、姿勢、ご家族の付き添いがあるかどうかということも重要な情報です」(高橋先生)。

 

きめ細かな服薬管理指導をめざして

薬剤師 齋藤早苗先生薬剤師 齋藤早苗先生

薬剤師の齋藤早苗先生は、外来患者さんの場合には、薬の飲み方を間違えたり飲み忘れたりしないように、特にていねいな説明を心がけています。

「今の認知症のお薬は、少しずつ量を増やすタイプなので、量が増えますよとか、これを飲みきってからこちらの薬を飲んでくださいなど、念入りに説明しながらお渡しします。ご家族にチェックしてもらったり、お薬カレンダーを勧めたり、確実に服薬できるように工夫しています」(齋藤先生)。

患者さんについて看護師との情報交換も重要です。患者さんの手指に麻痺がないか、薬の袋を自分で破れるのか、ハサミが使えるのかといった情報をもとに、できないときはご家族にやってもらえるようにするなど、きめ細かい配慮をしなければ、服薬にはつながらないからです。

「院内の薬局でも、退院後の患者さんやご家族と薬剤師が定期的に接点を持てるとよいですね。これからは、お薬のことならなんでも薬局で相談するというくらいに、頼りにしてもらえる存在になりたいです」(齋藤先生)。

 

患者さんが心を許せる人がきっといるはず

看護師 中山雅子さん看護師 中山雅子さん

看護師長で結核病棟と内科病棟を担当する中山雅子さんは、「感じのよい病棟づくり」を目指し、病棟管理を行っています。

現在、32床ある内科病棟に高齢の患者さんが多く入院しています。高齢者施設で高熱が出たり、食事がとれなくなった方、院内の重症心身障害児(者)病棟や精神科から身体症状のために転棟する方など、さまざまです。

「感じのよい病棟というのは、いろんな意味で患者さんが居心地がよいと感じてくださることです。バランスですよね。あいさつだけよくても、注射が下手だったら困りますし。患者さんだけでなくご家族、また病院内においても知識や技術、接遇、笑顔もあり、専門性を生かしたケアが理想だと思います」(中山さん)。

高齢患者さんの看護には認知症を合併している方も多いため、専門的な対応が求められます。

患者さんを否定せず、患者さんに同調して気持ちに歩み寄ることを心がけると話す中山さん。

「認知症の患者さんには、なじみの人、つまり『心を許せる人』が必ずいるはずです。それは主治医、看護師、リハビリの療法士など人それぞれで、その人以外、他の人が何を言ってもダメということも珍しくありません。みんなで情報交換して、『心を許せる人』をいち早くキャッチし、そこから患者さんの思いをくみとっていくようにします」(中山さん)。

看護師 田中洋子さん看護師 田中洋子さん

回復期リハビリテーション病棟の看護師を務める田中洋子さんは、「認知症患者さんと接するときの難しさは、やはりコミュニケーションがとりにくいということです。辛抱強く患者さんと向き合っていく、話を聞きながらその方に寄り添っていく、ということが一番大切」と話します。

 

知識の裏付けを持ち、コミュニケーションを図る

多くの患者さんは、他施設から転院してくるため、環境が変わっただけでも、認知症が進行しているという状態。その中でどこまで身体の機能を元に戻せるかも大きな課題になります。

「病棟の特徴から、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士さんたちとの情報共有が求められますし、退院前には地域医療連携室のソーシャルワーカーも含めて、ご家族をどう支えるかを考えていくことが重要な課題になります。だから、チーム全体で一人の患者さんを診ているという実感があります」(田中さん)。

田中さんは認知症という難しい病気について、「しっかりした知識を持つこと。ご家族も含めた連携をつくるためにもあらゆる機会を通じて、看護師が勉強する姿勢を持ちたい」と今後の課題を挙げます。

一方、中山さんは看護師長として、認知症患者さんをケアする看護師たちは、先輩のやり方を学び、実務面ではよくできていると感じているものの、「それだけではレベルアップにつながりません。今後は専門的知識を持った認知症の認定看護師の育成をめざします」と中山さん自身が新たな目標にチャレンジして、手本を示しています。

長寿大国日本は、認知症とともに生きる社会。高橋先生は、「根本治療薬ができる日まで、この病気に真剣に向き合わなくては」と語ります。

下田先生は長年の経験から、「認知症患者さんと接するときに大切なのは、根気強く、みんなで支えていく姿勢です。患者さんを一人の人間としてみていく態度をみんなが常に持ち続けること」と話し締めくくりました。

 

 

取材日:2013年1月30日
独立行政法人国立病院機構 鳥取医療センターの外観

独立行政法人国立病院機構 鳥取医療センター


〒689-0203
鳥取県鳥取市三津876
TEL:0857-59-1111

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