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連携の力を借りて軽度から最期まで
<福島県いわき市 あんざいクリニック>

あんざいクリニック 院長 安齋光昭先生 あんざいクリニック
院長 安齋光昭先生

一人ひとりの患者さんを最期まで継続して診たいという思いで外来と訪問診療の両面に取り組み、さらに地域連携の中軸となっている、あんざいクリニック。震災で明らかになった課題も医療と福祉の連携チームで解決策を探っています。

高齢者医療に取り組むためケアマネ認知症ケア専門士資格も

待合室待合室

5年前に開業した当初から午前中は外来、午後は訪問という二段構えの診療を実践している、あんざいクリニック。院長の安齋光昭先生は、大学病院時代には外科を専門としていましたが、高齢化の進展で認知症など高齢者医療に取り組む医師がもっと必要になると考え、一般内科での開業を決めました。

認知症治療に取り組むには、介護についてもよく知る必要があると考えてケアマネジャー及び認知症ケア専門士の試験も受けたという安齋先生は、「外来を置かずに、すべての時間を訪問診療に費やす選択肢もありましたが、通院する患者さんのほとんどが、いずれ自宅や施設で暮らすようになるわけですから、外来と訪問の両方を手がけて、それぞれの患者さんを継続的に診られる体制を作ろうと考えました」と、開業時の想いを語ります。

初診の場合、ケアマネジャーや地域包括支援センターからの紹介であるケースが多いので、スタッフ全員が予め情報を共有して来院の瞬間から診察室以外での言動にも注意を払い、また家族が不安や悩みを打ち明けやすいような対応を心がけています。

初日に血液検査や長谷川式のテストなどを行ったあと画像診断を実施し、再診までに1~2週間あるので、家族に認知症のパンフレットを渡して一般的な症状と対処法を説明。医療や介護でどのような公的支援を受けられるのかも説明し、関係の窓口を紹介しています。

「正確な診断がつくのを待つだけでなく、どんなサービスを受けられるのか道筋を示すことで、家族も少し安心できるはずです」(安齋先生)。

 

隔月開催の勉強会を2つ主催して連携を強化

「軽度の認知症と診断された患者さんも10年後には寝たきりになっていることが多く通院は難しくなります。それが最初からわかっているのですから、患者さんが来られなくなったら、こちらが出向くのが自然だと思うのです。他の病気を持っていることも多いので、なおさら、医師や看護師が関わっていくべきでしょう。平成24年1年間で訪問診療先での看取りは37人でした」と語る安齋先生は、連日、午後は患者さんの自宅や施設へと訪問診療に出かけています。

そこで重要になるのは、ケアマネジャーや介護施設スタッフなどとの連携です。顔の見える関係を構築し、お互いの仕事を理解するための取り組みが欠かせません。

安齋先生が主催する「いわきコミュニティネットワーク」という名の勉強会は、2ヵ月に1度、主に介護スタッフを対象として開かれており、先日86回目を数えました。「勉強のテーマは様々ですが、認知症をタイトルにあげると参加者が増えることから、現場で皆さんが悩んでいることがうかがえます」(安齋先生)。

また、3年ほど前から「いわき認知症を語る会」に携わり医師やケアマネジャーを対象とした講演会を、やはり2ヵ月に1度のペースで開催しています。医療と介護、それぞれの専門家が互いの仕事を知り、連携関係を築く場として、今後も継続していく考えです。

愛心会居宅介護支援センター ケアマネジャー 樫村恵美さん愛心会居宅介護支援センター
ケアマネジャー 樫村恵美さん

ケアマネジャーで市の連絡協議会の役員も務める樫村恵美さん(愛心会居宅介護支援センター)は、「ケアマネは軽度から看取りまで長い期間、患者さんと向き合うことになります。医療と介護をスムーズに繋いで、臨機応変に対応していきたい。そのためには勉強が必要なので、月に1~2回は職員の誰かが研修に参加し、内容を全員で共有するよう努めています。医療との連携を進めるうえで、ケアマネから見ると医療の世界はまだ近寄りがたい雰囲気がありますので、率先して交流の場を設けて、常に快く相談を聞いて下さる安齋先生の存在は、とても心強いです」と話します。

 

震災直後の混乱から学んだこと

なないろくれよん福祉センター 経営者・ケアマネジャー・社会福祉士 日和田美幸さんなないろくれよん福祉センター 経営者・ケア
マネジャー・社会福祉士 日和田美幸さん


有限会社KY企画かいごステーションさざんか ケアマネジャー 木田ひとみさん有限会社KY企画かいごステーションさざんか
ケアマネジャー 木田ひとみさん

いわき市は2011年3月11日の震災で大きな被害を受けました。医療、福祉に従事する多くの人が、自らも被災者でありながら患者・利用者の安否確認と支援に奔走しました。そのなかで、多くの問題に直面し、2年近くがたった今も残っている課題もあります。あんざいクリニックの周辺では、震災で明らかになった課題の解決をめざす人たちが集まり、議論が続いています。

「介護報酬や経営のことを考えず個人のお金で物資を購入して利用者さんに届けていたら、たくさんの方から叱られました」と、震災直後の経験を語るのは日和田美幸さん(なないろくれよん福祉センター)です。「全国から支援物資が集まっていることに気づかず、空回りぎみだったのです。自分ひとりで、何もかも出来るわけではありません。混乱のなかでこそ連携を活かす視点が大事だと学びました」(日和田さん)。

ケアマネジャーの木田ひとみさん(かいごステーションさざんか)は、「地域にある様々なサービスを組み合わせてケアプランを作るのが私たちの仕事ですが、震災でほとんどのサービスが停止してしまいました。臨機応変に、今あるサービスを組み合わせて利用者の生活を支える。大変でしたが、知恵を絞れば方法は見つかるということを学んだ貴重な体験でしたね」と当時を振り返ります。

 

避難所・仮設住宅で暮らす高齢者のために

内郷・好間・三和地域包括支援センター 主任ケアマネジャー 野口富士子さん内郷・好間・三和地域包括支援センター
主任ケアマネジャー 野口富士子さん

認知症患者や介護が必要な高齢者は、避難所で一般の人たちと同じように生活することができません。「避難所の一部を区切って、介護が必要な方のためスペースを作ったところ、他の避難所からも要介護の方が来られ、要介護者専門用避難所開設の必要性と重要性を感じました。けれど、地元の看護師さんやヘルパーさんを始め多くの方がボランティアとして手をあげて下さって、地域の専門職の力を実感しました」と語るのは、地域包括支援センターで主任介護支援専門員を務める野口富士子さんです。

広域災害ならではの問題は今も継続しています。

「震災の後、約1万人が市から流出した一方で、双葉郡などから約2万5千人が避難してきています。高齢者の割合が一気に増えただけでなく、不安や環境の変化で認知症の症状が進んでしまう例も多く見られます」(安齋先生)。

コスモケアサービス 役員 渡辺信さんコスモケアサービス 役員 渡辺信さん

コスモケアサービスの渡辺信さんは、「仮設住宅では他の町から来られた高齢者も多く暮らしています。スタッフも、どのように接するべきか悩みが深いようです。全国的に介護職員が不足していますが、震災後は特に人材不足が深刻化しています。行政の支援にも期待したいですが、私たちができること、スタッフのメンタル面のサポートや、それぞれの家庭の事情に沿った働きやすい環境作りに取り組んで行きます」と、語ります。

日和田さんも「若い世代、子育て世代のヘルパーが多いので、彼らが元気に働ける職場づくりが大切ですね。スキルアップも積極的に支援していきたいと思います」と人材活用の重要性を強調します。

 

非常時の連携のあり方を普段から考える

現在、議論されている課題のひとつに、情報共有のあり方があります。震災の直後、医療・福祉に携わる人がみな、患者・利用者の安否確認に奔走しました。「それで多くの高齢者が救われたのは確かなのですが、横の連携が取れなかったので、支援の網から漏れて孤立している高齢者がいるのではという不安が拭えませんでした」と、社会福祉士の鈴木テルコさん(地域福祉ネットワークいわき 平地区包括支援センター)は振り返ります。

非常時に支援を必要とする住民の名簿を、医療・福祉の関係者が共有しておけば、分担して対応することができ、漏れはなくなります。しかし、個人情報保護の観点から名簿の共有は難しく、悩みの種になっているそうです。

課題はたくさんありますが、震災の経験を経て見えてきた目標もあります。

「高齢者が安心して暮らせるのは、支えてくれる人がたくさんいる街。地域が基盤なのです。時には『放っておいて下さい』と仰る方もいますが、必ず誰かが繋がっている地域社会を普段から作っておきたいですね」(野口さん)。

あんざいクリニックのみなさんあんざいクリニックのみなさん

「ケアマネは他に様々な資格や専門を持つ人が多いので、互いの知識やノウハウ、問題意識を共有していきたいですね。連絡協議会で研修を担当しているので、お互いに高め合える仕組みを作りたいです」(木田さん)。

普段から地域連携に力をいれているからこそ、災害を想定した課題も検討することができる・・・・・・、あんざいクリニックと、そこに集う医療・福祉関係者の取り組みは、今後、ますます注目を集めることになるでしょう。

 

 

取材日:2013年1月24日
あんざいクリニックの外観

あんざいクリニック


〒970-8032
いわき市平下荒川字大作133-5
TEL:0246-88-6305

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