『笑顔とこころでつながる認知症医療』サイトドメイン変更のお知らせ 「お気に入り」や「ブックマーク」の変更をお願いします

詳細はこちら

ホーム > 地域から探す【北海道】 > 北海道 > 北海道函館市 社会医療法人 函館渡辺病院
医療機関を探す

認知症専門機関を開設、長生きを喜べるような認知症治療を
<北海道函館市 社会医療法人 函館渡辺病院>

函館渡辺病院 理事長 認知症疾患医療センター センター長 三上昭廣先生 函館渡辺病院 理事長
認知症疾患医療センター センター長
三上昭廣先生

精神科を専門とする病院でありながら、幅広い診療科を持ち、総合的な地域医療を支える函館渡辺病院。精神科病棟を持つほか、付属のゆのかわメンタルクリニックが精神神経科外来として認知症の治療に対応。認知症の専門機関である認知症疾患医療センターにも指定され、さらに診療体制が充実しています。

丁寧な診療で介護者の精神科医療への不信を払拭

60年以上も前から精神科医療に取り組んできた函館渡辺病院は、内科や外科など幅広い診療科外来を設け、神経科512床を含む632床の病棟を備え、「心と体のトータル医療」を目標に掲げて治療にあたっています。

同院の理事長で、認知症疾患医療センターのセンター長である三上昭廣先生が、認知症治療に力を注ぐようになったきっかけは、介護者たちが抱く精神科医療への強い不信を実感したからでした。院長時代に介護施設のスタッフと認知症に関する懇話会を開催したところ、介護スタッフには、「精神科の薬物治療は認知症患者さんの症状を悪化させる」と信じて疑わない人が多かったのです。

三上先生は「それは丁寧に診なかった医師も、丁寧に治療を受けさせなかった介護スタッフも悪かったのです」と振り返ります。高齢者の投薬治療では適量の見極めが難しく、細かい目配りが必要であるのに、定期的な診察を行わず漫然と処方を続けたり、BPSD(周辺症状)が改善して投薬を終えるべき患者さんに対しても投薬を継続している場合がありました。

これではよくないと、1995年から高齢者を対象にした予約制診療を始め、介護施設スタッフに入居者の方を定期的に連れて来てもらうようになりました。予約制だと患者さんを長く待たせることもありませんし、介護スタッフも長く施設を空けることなく、複数の入居者を連れてくることができます。

「一緒に薬物療法に取り組んでもらうためには、介護スタッフにも覚悟が必要です。症状が安定するまでは、ときには週に2回も通院しなければいけませんから。それでも一生懸命連れて来てくれるのは、徐々に積み上げた実績から、治療を続ければ症状が安定すると確信を持ってもらえたからでしょう」と三上先生は話します。きちんと診察して、適切に薬を処方することで、以前なら入院しなければならないような状態だった人も施設で暮らし続けることができるようになりました。

 

「よかった、よかった」と笑顔で帰宅できるような説明を

介護スタッフが認知症介護に苦労している姿を目にした三上先生は、精神科医として認知症治療に積極的に関わる決意をし、2009年に同院内に認知症疾患医療センターを設立しました。認知症の鑑別・診断を行うとともに、さまざまな相談を受け付けたり、地域連携を進める役割を担う専門機関です。

三上先生が同センターで検査し診断をしたあと、具体的な治療は同院付属のゆのかわメンタルクリニックで行うか、BPSDがなく、かかりつけ医がいれば、検査結果をもとに治療方針を伝え、治療はかかりつけ医に委ねます。地元のかかりつけ医に通う方が高齢の患者さんにとって負担が少ないためです。

三上先生は、まずは体を診察し、足腰に痛みはないか、日常の生活や人生の歴史などを尋ねて、患者さんの心をほぐしながら病状を予測し、その後MRIや認知機能検査で状態を確認していきます。

そして診断について説明するときは、「診察室を出るときに、受診してよかったと患者さんもご家族も笑顔になれる状態」を目指します。

「世間では認知症は恐ろしい病気のイメージがあります。しかし、認知症は加齢に伴うある程度は自然なこと。珍しい病気でもありません。85歳で認知症が始まったのであれば、去年まで通常の状態であったことを『本当にすごいね、大したものだね』と話し、患者さんをがっかりさせないようにします」(三上先生)。

MRIやCTの検査結果も健康な人の脳の画像と比較して説明します。比較すればどの程度萎縮しているのかが明確なので、萎縮した状態であるのに現在のような生活ができているという点に光を当てて賞賛するのが三上先生流です。

「そうすれば、ご家族も『うちのおじいちゃんは頑張っているんだね』と認識を変えます。その後は嫌な態度を取られても怒りづらくなるとご家族は言っていました。もちろん事実はきちんと伝えますが、今は薬があり、この段階で受診してよかったのだと説明すると、ご家族も前向きな気持ちになって帰ることができます」(三上先生)。

「アルツハイマー病でした」と告げるだけなら機械でもできるし5分でできる、自分はただの診断屋にはなりたくない、と語る三上先生。説明には約1時間かけ、「その都度、ひとつの講演会くらいの情報量を盛り込みますから、毎日が講演会のようです」と笑います。

 

ご家族は病気だと理解してこそ、患者さんへの対応を変える

看護師 櫻井秀幸さん看護師 櫻井秀幸さん

そんな三上先生をサポートするのが、センター設立時から携わってきた看護師の櫻井秀幸さんです。検査内容やどのような診断が想定されるかなどをご家族に説明し、診断の際の三上先生の話がよりわかりやすくなるよう配慮しています。

ご家族には病気のために症状が出ていることや、対応によって患者さんが変化することを説明して理解してもらいます。「これは病気なのだと理解していただかなければ、ご家族の患者さんへの接し方は変わりません。ご家族を対象にした半年後アンケートでも、受診してよかった理由として、病状がわかったことと対応の仕方がわかったことが最も多く、少しはお役に立てているのかなと嬉しく思います」(櫻井さん)。

最近は、まだ周囲が気づきにくいMCI(軽度認知障害)の段階での受診も多くなっています。薬の種類が増えてメディアで情報が流れる機会が増えたためか、早期発見・早期治療が効果的であるという認識が広がり始め、早期受診につながっていると櫻井さんは感じています。

情報満載の『認知症ハンドブック』と季刊誌『はなみずき』情報満載の『認知症ハンドブック』と季刊誌『はなみずき』

同センターでも認知症の症状や対応・介護のポイントについてまとめたパンフレット『認知症ハンドブック』や季刊誌『はなみずき』を作成・配布し、認知症についての啓発にも注力しています。

ご家族に対する支援として、同センターでは3カ月に1度「家族会」を開催し、治療や介護の基礎知識について櫻井さんたちスタッフが話すほか、ご家族同士で話し合いができる場を設けています。家族会にしばらくの間出席し、知識を得て患者さん自身も安定したからと、家族会を「卒業」するご家族もいるそうです。

 

病院には身体合併症病棟を設置、一般科との連携強化へ

三上先生は「精神科の病院は回復の場である」という考えを持っています。函館渡辺病院では、精神科病棟のなかに身体合併症病棟を設置し、身体合併症のある患者さんも積極的に受け入れています。

そこでは、精神科ではなく一般科の医師が主治医として治療の中心となり、精神科の先生はサポートという立場。精神科病棟であっても一般科の医師が主治医になることで、精神科と一般科の連携がさらに深まり、精神科病棟におけるスタッフの技能の幅も広がります。

「高齢者で合併症がない人は少ない。精神に疾患があり、合併症のある患者さんは当院で診ますと昔から言い続けてきたら、一般科の先生にも賛同してくれる人が増え、連携が強化されてきました。ありがたいことだと感じています」(三上先生)。

回復の場である病院で症状が改善していく患者さんの姿を見るのが喜びだと言う櫻井さん。不安が強かった患者さんが、入院治療によって落ち着きを取り戻し、グループホームに移る日に「第二の人生を始めます」と明るい顔で退院の挨拶にきてくれたことが印象的だったと語ります。

 

診察できる医師の養成とかかりつけ医とのさらなる連携を

臨床の現場のほか、講演会などでも活躍、多忙を極める三上先生は「認知症治療に関わる同僚を増やす」ことを課題としてあげます。認知症患者が増加するなか、三上先生のように丁寧に診察にあたり説明すれば、多くの患者さんに対応することは難しくなるため、認知症を診察できる医師の養成が急務です。

また、患者さんと既に信頼関係が出来上がっているかかりつけ医の中にも認知症を理解し、治療にあたっていく仲間が増えていけば、同センターが定期的な健診だけを行い、地元で治療を受けられる体制がさらに整っていきます。

「これからも、患者さんにもご家族にも『来てよかった』と感じて帰ってもらいたい。認知症患者さんはせっかく長生きをしたのだから、それを喜んでもらえるように、治療を通して協力したいと思っています」(三上先生)。

 

 

取材日:2013年1月25日
函館渡辺病院の外観

社会医療法人 函館渡辺病院


〒042-8678
北海道函館市湯川町1-31-1
TEL:0138-59-2221

施設のホームページへ

この記事のURLをメールで送信
医療機関を探す
新着施設から探す
地域から探す
  • 北海道 近畿
  • 東北 中国
  • 関東・信越 四国
  • 東海・北陸 九州・沖縄
カテゴリーから探す
  • 社会が考える認知症予防・治療・戦略
  • 日常診療における創意工夫
  • チーム連携のさらなる充実
  • ふれあいつながる作品展
  • バアちゃんの世界
  • バアちゃんの世界からわかる認知症の症状と対応のヒント
  • 「笑顔とこころ」をつなぐ声
  • お薬(剤形)の選択肢が増えました
  • 患者さんとご家族のための認知症の知識
  • 認知症相談窓口
  • 認知症サポーターキャラバン
  • サイト運営企業の取り組み
  • 医療関係者の皆さまへ
トップページへ