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オホーツク管内最大の総合病院として認知症診療を牽引する
<北海道北見市 北見赤十字病院>

第一神経精神科部長 嶋田進一郎先生 第一神経精神科部長
嶋田進一郎先生

北見赤十字病院はオホーツク管内で最大のいわゆる総合病院として、現在20の診療科目、680の病床を有し、地域医療の中核を担っています。2010年にはもの忘れ外来を、2012年には認知症疾患医療センターを設け、認知症の診療体制を大きく拡充するとともに、地域連携にも主導的な役割を果たしています。

総合病院としての実績をベースに認知症診療を拡充

「もの忘れ外来、認知症疾患医療センターという新しい看板を掲げたことで、地域のみなさんの受診意欲が高まり、早期発見につながっていることを実感します。もちろん開設前から認知症の患者さんを診ていましたし、基幹病院として長く地域連携に努めてきたことがセンターの開設につながったのだと思います」

医療福祉課長・精神保健福祉士 林浩幸さん医療福祉課長・精神保健福祉士
林浩幸さん

認知症に関する相談を受け付ける医療相談室認知症に関する相談を受け付ける医療相談室

第一神経精神科部長で、もの忘れ外来の専任医師である嶋田進一郎先生は、近年の診療体制拡充の意義をそう語ります。

また、同院で長く地域連携に携わり、センター設立に奔走した医療福祉課長で精神保健福祉士の林浩幸さんも、かねてからの取り組みがセンター設立の背景にあると言います。

「私が所属する医療相談室でも、ずっと認知症のご相談にお応えしてきましたし、管内で精神科救急に対応している当院としては、徘徊での緊急入院なども当然お引き受けしてきました。これから地域として認知症にどう対応していくのかを関係者や行政の方たちと意見交換する中で、設備やスタッフの面でも、やはり当院がその中核を担うべきだという結論に達したのです」(林さん)

 

認知症の患者さんの“身体”もくまなく診療

嶋田先生が認知症に向かう姿勢は明解です。

「疑いがあれば、とにかくすぐ来院してください。当然ですが、地域の基幹病院である以上、診察をお断りすることは基本的にはありません。診断して必要な治療を行い、症状が安定したら、かかりつけの先生に診てもらうようにします」(嶋田先生)

精神病棟は67床。現在そのうち約3割が認知症の患者さんです。

「以前は長期入院される方もいましたが、高齢の方はやはり自宅で過ごされるほうがいい。近年はよいお薬が出てきたこともあり、だいたい2週間くらいでせん妄など精神症状は落ち着いてきますので、そこで自宅に帰っていただき通院治療に切り替えます」。そう語る嶋田先生は、診療のポイントを「身体もしっかり診ること」だと指摘します。

「高齢で身体が弱っている患者さんが多いので、肺炎などには常に注意しています。身体の病気はすぐに命に関わってしまう場合もあるので、少しでも疑いがあれば他の科の先生と連携します。逆に私も他の科の入院患者さんで認知症の疑いがある方を診ることもよくあります。とにかく悪いところをすべて早く治すのがいわゆる総合病院の役割ですから」(嶋田先生)

 

早く症状を安定させて、過ごしやすい家に戻ってもらうために

早く症状を落ち着かせて、住み慣れた自宅で療養してもらうためには、リハビリテーションが基本だと嶋田先生は話します。「最初は投薬でぐっすり寝てもらいますが、すぐに薬を軽くして日中リハビリで身体を動かし、夜は疲れで眠れるようにしています」(嶋田先生)

リハビリでは統合失調症など精神疾患を持つ患者さん全体を対象としたプログラムを採用。できるだけ患者さんが希望する内容ができるように、手工芸やカラオケ、ストレッチなど豊富なメニューを用意して、患者さんの自主性を引き出す一助にしています。そのリハビリには、高齢の認知症患者さんと若い精神疾患患者さんが一緒に参加しています。

「これがとても評判がいいんですよ。お年寄りも若い人に混じって活動する方が元気になるようですね。要するに年寄り扱いしてはいかん、ということでしょう」と嶋田先生は笑います。

 

患者さんの意思、希望を第一に

診療では本人の意思を大切にしています。「患者さんは説明をしても覚えられないかもしれません。しかし、例えば施設入所などの話し合いの場には、できるだけ患者さんも参加してほしいと思っています。治療を進める上で患者さん自身の意思や希望がやはり重要ですから」と嶋田先生は患者さんの積極的な治療参加を求めます。

そんな嶋田先生が嬉しいと思う瞬間は、「もとの優しいおばあちゃんに戻った」とご家族が喜ばれるときだと言います。「物を投げたり、大暴れしていた患者さんも、治療すれば、あっさりともとの落ち着きを取り戻したりします。『人が変わったみたい』と困惑していたご家族に安心いただけると、こちらもやりがいがあります」(嶋田先生)

 

やっとできた医療と介護・福祉の意見交換の場

オホーツク管内で唯一、認知症疾患医療センターに指定されている同院。この一大プロジェクト達成の功労者は、林さんだと嶋田先生は言い切ります。「私がこの病院に来た15年以上前から林さんはいろんな人とのコネクションを作っていました。当院は行政などとの連携もスムーズにできていますが、それも林さんの力が大きいですね」(嶋田先生)

この言葉に林さんは「この地域で医療ソーシャルワーカーとして長くやっているのが私くらいなだけです」と笑います。実際、林さんたちが長年築き上げた関係機関との信頼関係により、管内初の認知症の専門機関が誕生。患者さんやご家族だけでなく、介護や福祉に携わる人たちからも歓迎されています。

センター設置後、地域の保健・医療・福祉・介護などの関係機関が参加する協議会を定期的に開催しています。「協議会では、かかりつけ医の先生が、ご家族や関係機関などからは治療を期待されてはいるものの、内科医としてどこまで精神科医療に踏み込むべきかという迷いを率直に話されました。医師の思いを直接知る機会が少なかった他分野の方々は驚かれ、また認知症に携わる関係者全体で協議する場がやっとできたと評価いただきました」(林さん)

 

調整役の仕事は相手を正確に知ることから

林さんは、地域連携において重要なのは「相手の状況を知っておくこと」だと断言します。「院内外のさまざまな職種の人たちから相談を受け、調整するのが私の仕事です。相手のことを知ったつもりで、要望を押し付けてもうまくいきません。事前に相手の仕事内容や状況、どのような答えが返ってきそうかなどを把握しておきます」と、林さんは院内外の調整役である精神保健福祉士の心構えについて話します。

「私たちはソーシャルワーカーとも呼ばれますが、ソーシャルというからには社会的な視点が大切です。患者さんやご家族中心に物事が進んでいるかを常に意識する一方で、患者さんたちが地域社会でどういう状況にあるのか、どんな支えが必要なのか、『社会』という視点を忘れないようにしています」(林さん)

精神保健福祉士 伊藤智美さん精神保健福祉士
伊藤智美さん

同じく、ご家族の相談や連携の調整にあたっている精神保健福祉士の伊藤智美さんも「相手を知りたい」という思いは同じです。

「来院されるご家族の中には、よくここまでご自分たちだけで対応されてきたなと思うほど、一生懸命頑張っている方も多くいます。これまでのご苦労を伺うことで、少しでも労いになればと思っていますし、これから一緒に今後について考えていく上では、患者さんについて一つでも多くのことを教えてもらえると助かります」と、優しい笑顔で話します。

関係機関との調整にも積極的に取り組んでいます。近隣住民が心配するほど症状が進んでいるのに、ご家族などの手助けが十分でなく、来院に至らない方の相談もあります。「行政など院外のさまざまな関係機関と調整を重ねた結果、なんとか来院につなげることができ、今では安定している方が何人もいらっしゃいます。こういった場合、すぐに対応策が見つかりはしませんが、まずは治療を始めてもらうために、院内外で協力しています」(伊藤さん)

 

顔の見える関係だからこそ、今後の連携に期待

「センターはまだ本格的にスタートして半年。現在は、参加機関がそれぞれ抱えている状況などを報告し合いながら課題を集めている段階です。他の地域には何年も先行しているところがありますから、これからは私どもも早く具体的な成果につなげたい」と林さんは、センター開設を契機とした地域連携の拡充に強い意欲を示します。

「幸い北見のような地方都市の場合、関係者の互いの顔が見えているので、大都市よりも連携はスムーズにいくはず」と嶋田先生は今後に明るい展望を抱いています。

「そもそも医療従事者だって1人の市民です。近所に困っている人がいれば助けるのは当たり前のこと。その思いがいちばん大事だと思います」(嶋田先生)

 

 

取材日:2013年1月21日
北見赤十字病院の外観

北見赤十字病院


〒090-8666
北海道北見市北6条東2-1
TEL:0157-24-3115

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