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「連携」を合言葉に地域に開かれた精神科病院を目指す
<熊本県上益城郡 社会医療法人ましき会 益城病院>

社会医療法人ましき会 理事長 犬飼邦明先生 社会医療法人ましき会
理事長 犬飼邦明先生

熊本県は、基幹型センター(熊本大学医学部附属病院神経精神科)と県内9カ所の地域拠点型センターが一丸となって認知症医療に取り組むシステムを構築しています。社会医療法人ましき会益城病院は地域拠点型の認知症疾患医療センターの一つとして、地域包括支援センターや介護施設との連携による認知症診療ネットワークの形成を担っています。

50年以上にわたり地域の精神科医療に貢献

社会医療法人ましき会益城病院は1950年に開院し、1958年から精神科として地域医療に取り組んできました。

現在は、精神科、心療内科、小児科、歯科を標榜し、幅広い医療を行っています。

院内には、精神科ショートケア・デイケア・デイナイトケア、認知症デイケアを中心とした在宅部門も設置。入院部門は精神科急性期治療病棟、認知症入院病棟、精神療養病棟に機能分化され、症状に応じた適切な療養環境を提供しています。

また、退院後の社会復帰支援として、地域活動支援センターや指定相談事業所の設置のほか、グループホームや共同住居を提供し、さらに、自立支援法の就労訓練施設としてレストランやパン工房、農園の運営などのトータルケアを行っています。

これらの施設は、現・理事長の犬飼邦明先生が院長に就任した1991年から長年かけて創られてきました。

「院長に就任して最初に着手したのは、老朽化した病棟の改築と、今後、病院をどうしていこうかというマスタープランの作成でした。プランを練った結果、当時、国が打ち出していた“重度認知症専門治療病棟”の基準を満たす施設に改築しようと考えました。そして、1995年に県内の病院に先駆けて認知症治療病棟が完成。その頃はまだ、新しい施設基準を満たした病棟が熊本県内になかったため、色々な地域から見学に来られました」と犬飼先生は当時を振り返ります。

2009年には、熊本大学大学院生命科学研究部脳機能病態学分野(神経精神科)の池田学教授が中心となり、基幹型センターと7カ所の地域拠点型センターの連携による認知症診療ネットワークが構築されました。全国に先駆けたこのシステムは、「熊本モデル」と呼ばれました。益城病院が地域拠点型認知症疾患医療センターに指定されてからは、認知症への垣根が低くなり紹介による新規の患者さんが増えたと犬飼先生は感じています。

一人ひとりが工夫しながら患者さんのケアに努める

益城病院 医師 本田和揮先生益城病院
医師 本田和揮先生


熊本県認知症疾患医療センター 相談窓口 精神保健福祉士 田中美奈さん熊本県認知症疾患医療センター 相談窓口
精神保健福祉士 田中美奈さん


益城病院 地域連携室 精神保健福祉士 大宮理絵さん益城病院 地域連携室
精神保健福祉士 大宮理絵さん

同院では90分かけて新規の患者さんの診療を行います。そのうち3分の1の時間はご家族へのヒアリングを行い、困っている点や希望などを見極めます。

「いわば、初診時から精神療法・家族療法が始まっているのです。患者さんやご家族の不安を取り除き、これからの道筋を立て、最後には笑顔になっていただく。これはまさに精神科診療の領域です。診療が終わると、私は必ず患者さんと握手するのですが、たった10秒ほどの握手で患者さんの表情は驚くほど和らぐんですよ」と犬飼先生は自らも表情を緩ませます。

犬飼先生とともに認知症患者さんの診療にあたっている本田和揮先生は、患者さんやご家族に認知症に関する理解を深めてもらえるよう工夫しています。

「例えば、口頭で“アルツハイマー病”を説明しても、1回ではなかなか覚えられないと思います。そこで、熊本大学で制作した認知症やアルツハイマー病などのパンフレットを見ながら説明し、診療後は持ち帰って頂いています」(本田先生)。

認知症疾患医療センターの相談窓口を担当している田中美奈さんは、病院に対する「怖い」イメージや緊張感のある雰囲気をできるだけ払拭できるように、「患者さんやご家族の表情をしっかり見ながら、困っていることなどを話しやすい環境づくりを心がけています」と話します。

同院の地域連携室に勤める大宮理絵さんもまた、「患者さんに対して専門用語ではなく、分かりやすい言葉でできるだけゆっくり話すようにしています。また、ご家族の負担が少しでも軽くなるように、話をしっかり聞いて、悩みや苦しみなどを受け止めています」と語ります。

 

連携によって診療に適切な環境を提供する

グループホームふるさと ケアマネジャー・看護師 藏田恵子さんグループホームふるさと
ケアマネジャー・看護師 藏田恵子さん


熊本県認知症疾患医療センター 相談窓口 精神保健福祉士 田中美奈さん益城病院
作業療法士 前田真有美さん

同院の付属施設である高齢者グループホーム「ふるさと」のケアマネジャー兼看護師の藏田恵子さんは、「医療、介護、在宅支援などのトータルケア体系が整っていることが益城病院の強み」と感じています。

「月1回は先生が往診に来ますし、それ以外に診察が必要になればスタッフが外来へ付き添います。すぐ隣接して外来棟があるので患者さんの負担も軽くて済みます。また、夜間に何かあった時でもすぐに先生に連絡して診てもらえるので安心です」(藏田さん)。

同院では週2回、予約制の「もの忘れ相談」を行っていますが、ここにも施設同士の連携があります。外来だけでなく、病棟やデイケアなどのスタッフも含めてグループを組んで相談を受けるため、週1回みんなで集まり、情報共有を行っています。このような連携により患者さんの状況を共有できるため、より細やかなケアが可能となっています。

入院病棟の作業療法士の前田真有美さんは、病棟からグループホームに移ってもらったときのことを考え「入院患者さんとふるさとのメンバーさんと一緒に合同で音楽や体操、レクリエーションを通して交流会を開きました」と、施設内での連携について説明します。

また犬飼先生は、「施設内の連携もさることながら、認知症医療には、患者さんとご家族、市町村役場や保健センター、包括支援センター、医療機関、介護保健関係などとの地域連携が不可欠」と語ります。

「自分のところで対処できないことをしっかり自覚して、そういう部分を得意とする他の施設と手を携えるのが“連携”だと思います。同じ医療でも精神科と脳神経外科では得意分野が違いますし、介護についても在宅中心と入所中心の施設があります。単独で抱え込むのではなく、連携によって利用者に適切な環境を提供することこそ重要です」(犬飼先生)。

同院では、地域連携のために各町の地域包括支援センターを訪問したり、事例検討会を開催していますが、その背景には犬飼先生の連携に対する考え方が反映されており、スタッフにも深く浸透しています。

事例検討会を担当している田中さんも、日頃から連携の重要性を認識しています。

「検討会には、医療、介護、行政など認知症ケアに関わる領域から多職種のメンバーが集まり、認知症患者さんの事例について検討します。その時にいつも感じるのは、認知症ケアには医療や介護など異なる領域のスタッフが関わるため、お互いの立場や考え方をしっかり把握していないと、一丸となって適切なケアを提供できないということです。ケアする側の連携がうまくいかなければ、そのしわ寄せは実際に介護なさっているご家族や患者さんご本人にいってしまいます。そうならないように、各領域と密にやり取りできる環境をつくり、“顔の見える連携”を目指したいですね」(田中さん)。

 

地域に根差した病院を目指す

一般にも公開されている記念美術館一般にも公開されている記念美術館

外来病棟の展示スペース外来病棟の展示スペース

犬飼先生は20年前の院長就任時から、精神科病院への偏見をなくし、「地域に開かれた精神科病院を目指す」という目標を掲げ、現在も様々な取り組みを行っています。例えば、管理棟の1階に記念美術館を設け、地域文化に貢献するとともに地域の方々とのふれあいを深めており、外来病棟の展示スペースには認知症患者さんの作品を飾っています。また、デイケアセンターの体育館も一般に開放し、誰でも利用できるレストランを設けるなど、「地域の方が気軽に足を踏み入れられるような環境づくり」に努めています。

施設面だけではなく、気軽に病院に来てもらえるようなイベントも企画しており、毎年行っている夏祭りには700名ほどが訪れます。

「子どもたちが来れば親御さんやおじいさん、おばあさんも来てくれます。病院内の会場には患者さんやそのご家族もいますから、そこで交流が生まれます。このようなイベントを通して、少しずつ地域に根差してきていることを実感できるようになりました。“精神科の病院だから目立たないほうがいい”ではなく、これからも積極的に地域の方が利用できるサービスを提供していきたいですね」と犬飼先生は熱く語ります。

ケアマネジャーの藏田さんも、認知症患者さんと地域の方々との交流に努めています。

「益城町内でお年寄りが参加できるイベントがあれば入居者さんを連れていったり、地域の方に折り紙教室を開催して頂いています。今までは外出することを目標にしていましたが、全員が外出できるわけではありません。そこで、これからは地域の方たちに来ていただく“招くグループホーム”を目指したいですね」(藏田さん)。

 

認知症医療に携わる喜びと今後の課題

精神科デイケアの陶芸作品精神科デイケアの陶芸作品

犬飼先生は、認知症を単なる疾患ではなく、患者さんとご家族という「集団」、あるいは地域という「集団」を巻き込むという点で社会的な病気であるという持論を持っています。だからこそ、認知症患者さんとご家族によりよい診療環境を提供するためには地域の連携が不可欠であり、認知症に関わる人たちの人生がより豊かになるためにも、一人で抱え込まずお互いに手を取り合うことが大切だと犬飼先生は考えます。

本田先生も同じく、認知症診療の今後の課題はより強固な「連携」だと感じており、「単独の施設や病院だけではやれることに限界があります。単独で診療しているとどうしても行き詰まってしまいがちですし、独りよがりや偏った診療にならないためにも連携を進めることが大切」と訴えます。

熊本県は全国に先駆けて認知症診療の地域連携を進めてきました。長年、認知症医療に携わり、地域の認知症ネットワークの発展に寄与してきた犬飼先生は認知症医療についてこう語ります。

「一人ひとりの症状には、その方の性格だけでなく、過去の夫婦関係や親子関係も深く関わってきます。認知症は患者さんの人生の一部であると同時に、そこには、ご家族や周囲の人も含めた“人間ドラマ”が凝縮されていると思います。そう考えると、多くの方々の人生に深く関わる認知症医療は非常に興味深く、また、全人的に診られる素晴らしい分野ではないかと私は思います」(犬飼先生)。

 

 

取材日:2013年1月23日
北見赤十字病院の外観

社会医療法人ましき会 益城病院


〒861-2233
熊本県上益城郡益城町惣領1530
TEL:096-286-3611

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