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認知症医療のプロとしての自覚を持って地域医療に貢献
<富山県南砺市 独立行政法人国立病院機構 北陸病院>

認知症疾患医療センター長 吉田光宏先生 認知症疾患医療センター長
吉田光宏先生

北陸地区における国立病院機構の精神・神経領域の基幹施設として、精神疾患、神経難病ならびに重症心身障害に関する専門的な医療を提供する北陸病院。2012年4月に富山県の認知症疾患医療センターの指定を受け、認知症医療ネットワークの地域連携を進めています。

県からの指定を受ける前に1年間かけて準備

北陸病院は、1944年に療養所として創設され、2004年に独立行政法人国立病院機構に移行しました。同院では、認知症疾患医療センターの指定を受ける前に、1年かけて準備を行い、院内標榜として事前に認知症疾患医療センターを立ち上げ、吉田光宏先生をセンター長に迎えました。吉田先生は、レビー小体型認知症研究を専門とし、MIBG心筋シンチグラフィーがレビー小体型認知症の診断に有効であることを証明するなどの実績を持つ認知症専門医です。同院のセンター長に就任してからは、認知症に関する多数の講演を行うなど、外部に対する啓発活動に努めてきました。

「医師会や地域支援包括センターなどでの講演を通じて、かかりつけ医だけでなく、ケアマネジャーや看護師も認知症に高い感心を持っていると感じました。皆さん勉強熱心で、常に情報を求めています」(吉田先生)。

このような啓発活動の結果、正式に県からの指定を受けた頃には、認知症疾患医療センターとして地域に周知されており、それまでは4割程度だった紹介率が、多い月では8割近くとなって初診の患者さんも増えました。

神経科医長・認知症病棟担当 市川俊介先生神経科医長・認知症病棟担当
市川俊介先生

同院では、認知症の診療は神経内科と精神科で役割分担をしています。吉田先生が担当する神経内科では認知症の診断を行い、入院が必要な段階まで進んでいる患者さんは、市川俊介先生が担当する精神科で診療にあたります。市川先生は2006年に同院に着任して認知症病棟の担当となり、現在は神経科医長も務めています。

認知症疾患医療センターの立ち上げにあたり、吉田先生の存在が非常に大きかったと市川先生は話します。

「当院では基本的に、一般的な検査、血液検査、尿検査、頭部CT、長谷川式認知症スケールなどによる認知機能検査をしています。場合によっては、他の病院に依頼して頭部MRIや脳血流検査も行っていますが、以前は十分な連携が取れていませんでした。しかし、吉田先生が連携を整備してくれたおかげで、以前よりも充実した検査ができるようになりました」(市川先生)。

 

患者さんとご家族の気持ちになって寄りそう

医療社会事業専門員 山田敦子さん医療社会事業専門員
山田敦子さん

医療社会事業専門員 土谷真美さん医療社会事業専門員
土谷真美さん

外来担当 看護師長 南英理子さん外来担当 看護師長
南英理子さん

外来担当 臨床心理士 小林信周さん外来担当 臨床心理士
小林信周さん

同院には、BPSD(周辺症状)などが原因で在宅医療や施設での対応が難しくなった患者さんが多く訪れます。窓口として、地域連携包括センターや施設から相談を受けているのは、医療社会事業専門員である精神保健福祉士の山田敦子さんと土谷真美さんです。二人とも、認知症疾患医療センターの指定を受けてから問い合わせの件数が増えたと感じています。

山田さんと土谷さんは、初診で訪れた認知症患者さんのご家族から最初に話を聞く役割も担っています。中には、悩みや不安を抱えて泣きながら相談するご家族もいて、「少しでも安心してもらえるように、診療のプロセスやどんな検査をするかなどを丁寧に説明しています」と土谷さんは話します。

また山田さんは、「認知症という診断を受けた後にご家族が患者さんとどんな思いで接していけばいいのかなどをお話しさせていただきます。ご家族の悩みを聞きながら、いろいろな制度や介護サービスの情報もお伝えします。中には『もっと早く聞いておけばよかった』とおっしゃるご家族もいらっしゃいます」と続けます。

外来の看護師長の南英理子さんも、患者さんやご家族への心配りを忘れません。特に、新規患者さんを院内で一人きりにしないよう配慮しています。

「認知症患者さんの中には、初めて来る病院なので、どこに来ているのか、なぜ自分がここにいるのか分からないという方もいます。そんな方には、職員かご家族が必ずそばにいて不安を取り除くようにしています」(南さん)。

外来で心理検査を中心に担当している臨床心理士の小林信周さんは、患者さんから適切な結果を得るために、患者さんが平常心でご自分の能力を発揮できるような環境を工夫しています。「中には物忘れなどの症状を認識していない場合もありますが、患者さんに来院理由を尋ねています。『足が痛い』などの加齢に伴う症状を訴えられることもありますが、何らかの生活の不都合を認めることも少なくありません。自分の気持ちを聞いてもらえる場と理解していただけると、検査にも抵抗なく導入できます。認知症のアセスメントとケアは共通しています」(小林さん)

 

患者さんの不安を取り除く独自の工夫

認知症病棟看護師 松井豊巳さん認知症病棟看護師
松井豊巳さん

認知症病棟看護師 三好真希さん認知症病棟看護師
三好真希さん

認知症病棟看護師長 柿島ゆかりさん認知症病棟看護師長
柿島ゆかりさん

認知症病棟担当看護師の松井豊巳さんと三好真希さんは、入院したばかりの患者さんに対しては、特に気を付けてケアに努めています。

「環境がいきなり変わって不安になる患者さんが多いので、できるだけ声かけをして、落ち着くまでそばにいるようにしています。一緒に来たご家族に落ち着くまで一緒にいてもらうこともあります」(松井さん)。

入院によっていつも見慣れた風景が変わり、周りも知らない人ばかりになると、不安から帰宅欲求などの行動が現れる患者さんが多くみられると三好さんは話します。三好さんは、患者さんの不安が少しでも和らぐよう、自宅に近い環境を提供するなどの工夫で変化を最小限にするよう心がけています。

また、認知症病棟で看護師長を務める柿島ゆかりさんは、帰宅欲求のある入院患者さんに対しては、スタッフ全員の対応を統一することで患者さんの不安が和らぐと話します。

「例えば、“◯◯さんは検査のために入院しています。明日の朝にはご家族が来ます”と説明し、さらにそれを紙に書いてナースステーションに貼ってスタッフで対応を共有します。重度の記憶障害などで物を探して尋ねに来られる患者さんにも、同じように対応を共有し、貼り紙を示しながら説明しています。対応を統一することで患者さんの不安が和らぎます。更に、問題行動が軽減すると施設及び在宅に向け退院が可能になります。こうした患者さんへの対応については、精神保健福祉士を通して入所先の施設にも伝えています」(柿島さん)。

こういった対応はマニュアル化されているわけではありませんが、同院では患者さんの個別性を重視しスタッフの対応を統一しながら、患者さんの不安を取り除く工夫をしています。

 

プロとしての誇りを持って認知症医療に取り組む

柿島さんは、患者さんの問題行動に悩んでいたご家族から、急によくなって驚いたと言われることがあります。そういったご家族に対して、「スタッフが認知症医療に携わるプロとしての対応をしているからなんですよ」と話す時が一番誇りに思う瞬間だと言います。

吉田先生のセンター長着任後、同院への外部からの評価が高まると同時に、スタッフのプロ意識も高まったと市川先生もスタッフたち自身も感じています。また、外来の看護師長を務める南さんのもとには、「時間をかけて細かく丁寧にご家族にアドバイスする姿勢が好印象に繋がっている」という、先生に対する評価が入ってきており、「とても誇らしい」と話します。

吉田先生はご家族に対して、患者さんへのケアの仕方をきちんと伝えることが大切だと考えており、その姿勢が周囲の評価に繋がっています。

「例えば、患者さんのプライドを大事にしてあげて欲しいといったことですね。今までできていたことができなくなったり、何度も同じことを聞いてきたり、そのような症状が現れてくると、身内はつい冗談半分できつい言葉を言いがちです。でも、言われた本人は落ち込みますし、中にはうつ病になることもあります。そのため、自宅で介護していくのであれば、ご家族にはショートステイやいろいろな介護サービスを利用して自分のストレスケアをすることも大切だと伝えています」(吉田先生)。

また、市川先生は、「ご家族が健康であることが患者さんの療養にとって一番大事」と患者さんのご家族にアドバイスしています。熱心に介護するあまり、疲れてしまったご家族を多く見てきたからです。また、早いうちから医療機関にかかることや、介護サービスを利用することが認知症の進行を遅らせるだけでなく、ご家族の介護負担を軽減させると市川先生は考えます。

吉田先生も早期診療が今後の認知症医療の課題だと感じています。

「もの忘れの症状が出た時に歳のせいにするのではなく、軽度のうちにできるだけ早く受診して欲しいですね。そのためには、より多くの方に認知症疾患医療センターの存在と役割を知っていただくことが大切ですので、地域連携をさらに進めていきたいと考えています」(吉田先生)。

 

 

取材日:2013年1月29日
 
北陸病院の外観

独立行政法人国立病院機構
北陸病院


〒939-1893
富山県南砺市信末5963
TEL:0763-62-1340

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