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初診に重きを置き、患者さんとの信頼関係を構築
<京都府舞鶴市 独立行政法人国立病院機構 舞鶴医療センター>

神経内科部長 吉岡亮先生 神経内科部長 吉岡亮先生

2011年、京都府で初めての認知症疾患医療センターが、3医療機関において指定されました。そのうちの一つが、国立病院機構・舞鶴医療センターです。「認知症医療の質を高めよう」を合言葉とする神経内科医らによる手厚いフォローアップとともに、地域への啓蒙活動も盛んに行っており、高齢化の進む舞鶴市民の支えとなっています。

基幹病院として北近畿の認知症医療に邁進

前身の旧海軍病院時代から、実に1世紀以上の歴史を持つ、舞鶴医療センター。20の診療科と400人を超すスタッフを有する、北近畿最大規模の総合病院です。

同センターでは軽症から中等度の患者さんをおもに神経内科で、BPSD(周辺症状)がみられるような重症の患者さんを精神科でというように、2科で認知症患者さんを診ています。

「認知症を特別扱いせず、あくまで疾患の一つとして、他の病気と同等に捉えています」と話すのは、神経内科部長を務める吉岡亮先生です。「歳をとったから仕方がないという見方はしない。疾患の一つだからこそ専門医がきちんと診断し、しっかりと診ていくべきです」(吉岡先生)。

同センターは認知症疾患医療センターに指定され、救急・急性期医療にも対応できる基幹型病院となっていることから、「認知症の疑い」とされた患者さんの紹介受診が引きもきらない状態です。「確かにどんどん患者さんは増えていますが、診断をつけて、ハイ、後はかかりつけ医さんに薬を出してもらってください、と『お返し』することはありません」(吉岡先生)。その言葉通り、初期の段階から長年にわたってじっくり認知症患者さんと向き合う実績が買われ、「任せて安心」「助かっている」と地元の開業医、他科医から高い信頼が寄せられています。

初診時に患者さん、ご家族双方に配慮する

同センターで認知症医療のポイントとして挙げているのが、初診と治療に対する評価づけ、そして定期的な画像診断の3点です。

医師 結城奈津子先生医師 結城奈津子先生

医師 大道卓摩先生医師 大道卓摩先生

医師 安田怜先生医師 安田怜先生

特に、患者さんとのお付き合いが始まる初診時に「しっかりと的確な診断をつけることが、その後を左右します」と吉岡先生は強調します。

アルツハイマー型、レビー小体型、前頭側頭型と認知症にはいくつかの型がありますが、「初診時の観察で、どのタイプかほぼわかる」と吉岡先生は言います。問診や認知機能検査、脳シンチグラフィーやMRI画像も撮ったうえでの確定診断となりますが、同科の結城奈津子先生も、「ファーストインプレッションは大事」と繰り返します。

「診察室に入ってこられた瞬間の言動に、疾患の徴候が顕著に表れる場合がありますから。足取りや表情に着目し、そのうえで患者さんの話をお聞きします。診断のための材料としてご家族の方、介護されている方のお話もしっかりとおうかがいします」(結城先生)。

吉岡先生、結城先生とともに神経内科で認知症患者さんを診ている大道卓摩先生、安田怜先生の両先生も、初診での見逃し、聞き逃しがないよう配慮しています。

「中核症状やBPSD、その気配までを的確に捉え、治療計画を立てたい。独居か一緒に住んでおられる方がいらっしゃるのかも、必ずお聞きし、将来的なことまで見据えるようにしています」(安田先生)。

さらに大道先生は、来院された動機も大事だと捉えています。「本人に病識はないけれどご家族が心配してこられたのか、患者さんご自身が自分でおかしいと思って来られたのか。ニーズが違ってきますから、その辺りもしっかりと確認します」(大道先生)。

 

的確な治療効果の評定、治験も盛ん

認知症医療のポイントの2つ目に、「2回目、3回目の受診時に、治療効果を評価すること」があります。どの薬にどんな作用があり、患者さんにどういった変化があったのか、「しっかりと評価することが、認知症疾患医療センターとしての役目でもある。それによって患者さん、ご家族との信頼関係も生まれる」と吉岡先生は考えており、初診後、特に受診2回目における評価づけを慎重に行うようにしています。

3つ目のポイントは、専門医と機器の揃った医療機関として定期的かつ頻繁なMRI、SPECTなどの検査でフォローアップをすることです。治療を続けていくと、やがて「画像やデータに変化がみられるのを実感する」と吉岡先生らは口を揃えます。

「認知症患者さんを診始めたころは、医師側も進行性の病気だから、改善傾向は認められにくい疾患だとどこかで思っていたのです。ところが、定期的に画像を撮って過去のデータと比較することで、脳に変化がみられる場合があることがわかりました」(吉岡先生)と声を弾ませます。劇的な改善こそみられないものの、「少しの変化も見逃したくない。その意味でも続けて診させていただき、患者さんの状態を自分の目で確認することが、非常に重要になる」(結城先生)と言及します。

同センターでは、総合病院ならではの強みと患者さんやご家族などの要望もあり、治験も積極的に行っています。緻密に変化や状態をみながら、患者さんに合う薬剤を選んでいます。

「貼付薬など薬の種類も増え、ご家族の方も『選択肢が広がってありがたい』と喜んでくれます」(安田先生)。

 

精力的な啓蒙活動と院内研修も

もともと舞鶴市は、認知症の市民講座を行うなどの啓蒙活動を積極的に行ってきましたが、同センターでも、併設の大ホールや研修施設を利用し、10年以上前から地域講習会などを開いて認知症の啓発に取り組んでいます。

「認知症が身近でないと、介護保険のことをご存知ない場合もあります。勉強会では地域包括支援センターの方に介護保険の概略や、ケアマネジャーの仕事について話してもらっています」(吉岡先生)。

さらに同センターでは、院内スタッフ全員を対象にした勉強会も行っています。2011年に全職員対象とした認知症に関するアンケートを行ったところ、認知症を扱わない部署では認識が足りない場合があることがわかりました。「ある程度知識がある職員でも、我々が診ている実地の臨床とは若干違う認識がありました」と、吉岡先生は院内勉強会の必要性を痛感。アンケートによって浮き彫りになったBPSDに対する周知度の低さを踏まえ、今年度の院内勉強会のテーマに設定しました。

「BPSDとは何かから始め、BPSDの出ている患者さんをいかに看護・介護するかを話します。さらに医師向けの勉強会も頻繁に行っていきます」と今後も精力的な研修活動を予定しています。

 

チームワークの良さで認知症医療の底上げを

同センター内には地域医療連携室もあり、診察後には患者さんの状況に合わせた施設、サービスなども紹介しています。しかし、もの忘れが始まっていても、独居で病院から足が遠のいていたり、まだ病院にかかっていない方がいるはず、と吉岡先生は懸念しています。京都府も認知症サポーター養成など様々な取り組みを進めているものの、さらに行政的な支援は必要との見解を示しています。

「個人情報保護法もあり、独居高齢者への支援が進みにくい現状がある。一部特例を作るなどして潜在的な認知症患者さんを掘り起こしていかなければ」(吉岡先生)と指摘し、行政への課題を投げかけます。

一方で、外来に来られる患者さんが増加の一途をたどっているのも事実であり、同センターでは認知症医療の底上げを図っています。神経内科医として5年目の大道先生は、「より多くの患者さんを診させてもらい、経験不足を補うようにしています。周囲の先生に教えを請うこともしばしばです」と話し、常に情報交換をするなど、神経内科医全員が高水準の診療を施せるよう励んでいます。

そのリーダーである吉岡先生は、他科の医師や院内スタッフに認知症について教授し、しばしば講師として講演会等にも呼ばれるベテラン医ながら、「まだ根治療法はありませんから、私も常に勉強し、研究を続けなければなりません」と、更なる認知症医療の質向上を日々強く意識しています。

熟練医である吉岡先生、神経内科医歴12年で患者さんやご家族からの信頼も厚い結城先生、そして「若く体力があり、やる気も吸収力もみなぎっている」と吉岡先生から評される大道先生、安田先生の4人でスクラムを組んでいる、同科の医師たち。

科内のチームワークは抜群で、「ここは診療行為だけではなく教育的役割もある」と吉岡先生が言うとおり、若手の医師を経験豊富な医師がサポートし、ともに画像を分析したり、研究を行う姿がみられます。

全員が総力を上げ、より高い認知症医療をめざして邁進中です。

 

 

取材日:2013年1月29日
舞鶴医療センターの外観

独立行政法人国立病院機構
舞鶴医療センター


〒625-8502
京都府舞鶴市字行永2410番地
TEL:0773-62-2680

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