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患者さんの「物語」を大切にしながら、「生活を支える医療」に努める
<東京都大田区 鈴木内科医院>

鈴木内科医院 副院長 鈴木央先生 鈴木内科医院 副院長
鈴木央先生

町のかかりつけ医として地域とともに歩み続けてきた鈴木内科医院は、開業当初から在宅医療に注力し、現在、在宅療養支援診療所として365日、24時間対応。副院長である鈴木央先生は、多職種連携を先導しながら、一層の拡充に取り組んでいます。

先代の時代から在宅医療に取り組む

「当院が考える在宅医療とは、すなわち"生活を支える医療"。寝たきりの方、退院したいけどできない方、自宅で看取りたい方などのニーズにお応えすることが、この地域における私どもの役割だと考えています」

鈴木内科医院の鈴木荘一院長と皆さん鈴木内科医院の鈴木荘一院長と皆さん

温和な表情でそう語る鈴木央先生が、鈴木内科医院の副院長に就いたのは1999年のこと。同院は先生の父である鈴木荘一院長が1961年に開業。以来約半世紀に亘り、身近なかかりつけ医院として地域医療の一端を担ってきました。現在は内科、消化器内科、老年内科を標榜し、外来患者を診る一方、在宅患者のケアにも力を注いでいます。

「もともと父が在宅での癌の看取りなどに取り組んでいましたので、私もいずれは携わるつもりでした」と振り返る鈴木先生は、都南総合病院に勤務していたころ、自ら在宅診療部を新たに立ち上げた経験も持っています。

「当時、私は内科部長だったのですが、寝たきりになったり通院が難しくなったりといったいろんな患者さんやご家族に直接接してみて、在宅医療の意義を実感したのです」(鈴木先生)。

 

患者さんやご家族が生活に満足できるように

診療に臨む際の鈴木先生のモットーは「できることをできるだけ」。

「できること」とは患者さんの生き方や、患者さんが持っている物語のこと。それをきちんと理解し、これまで生きてきたようにこれからも生きることを「できるだけ」支えるというのが鈴木先生の基本姿勢です。

「これをナラティブベースドアプローチといいますが、エビデンスを元にした考え方では割り切れないかもしれません。しかし特に認知症の患者さんの場合、投薬による治療ももちろん大事ですが、治ることのない病気だけに、患者さんやご家族がどれだけ生活に満足できるかが非常に重要です。逆に言えば私は、BPSD(周辺症状)を簡単に治るものとは考えていません」と鈴木先生は言葉に力を込めます。

提供しているケア自体は、例えば総合病院の入院患者に対するものと、さほど変わりはないといいます。

「しかし、入院病棟はやはり安全管理が優先されますから、例えば歩いて転倒しそうな患者さんは行動が制限され、過度な安静を余儀なくされがちです。しかし、在宅ならトイレに行きたかったらいけばいい。自己責任の範囲でやればいいんです。それが生活の満足度につながっていると思います」(鈴木先生)。

 

患者さんの自宅には、治療に有益な情報がふんだんに

「百聞は一見にしかずで、患者さんのお宅に行くと治療に有益な情報にいっぱい出会えます。私に言わせればそれはまさに宝物が転がっているかのようですよ」と鈴木先生は微笑みながら、在宅のメリットを挙げます。

「もちろん外来の都度、生活の様子をくわしく話してくださるご家族もいますが、行ってみないと間取りやトイレまでの距離などはわかりません。また、患者さんの部屋の散らかり方や、パジャマや寝具の整理の状態で、ご家族のケアの状態を知ることができます。聞いていたのとは大違いということも少なくありません」と言う鈴木先生はさらに、ご自宅にはナラティブベースドアプローチの手掛かりがたくさんあると指摘します。

「患者さんは不安で緊張していますから、身近な会話の糸口が大事です。ご自宅には、例えばご家族との写真や本棚に並んだ本、仕事に対する賞状などがあり話題には事欠きません。ですから、ナラティブベースドアプローチのことを世間話ベースドアプローチという方もいますよ」と鈴木先生は続けます。

「認知症がかなり進行して自分のこともきちんと話せない患者さんが、こうした会話をきっかけに堰を切ったように昔の話をしてくれることがあります。その人の生活の中から治療につながる話題、情報をひろっていける在宅医療の意味は大きいです」(鈴木先生)。

 

専門性をリスペクトしながらの多職種連携が重要

鈴木先生は、在宅医療のさまざまな長所、利点を挙げながら「在宅はチーム医療が基本。医師はそのまとめ役に過ぎない」と指摘します。

「基本は看護師が訪問し生活や身体の状態をつぶさにチェックします。もちろん患者さんの生活を支える上で薬剤師、ケアマネジャー、ヘルパーさんらは欠かせませんし、摂食嚥下リハビリテーションの際は歯科医や歯科衛生士とも連携しました」と鈴木先生はある事例を掲げます。

その患者さんはレビー小体型で、誤嚥性肺炎を繰り返し入院した末、胃ろうをつけて退院しましたが、コミュニケーションはできました。初めて訪問した鈴木先生に言った言葉は「ご飯が食べたい」。

何とかその希望に応えようと、地元で摂食嚥下に積極的に取り組んでいる歯科の先生を紹介してもらい治療を進めたところ、3ヵ月でおにぎりが食べられるようになったといいます。

「ひどい褥瘡もほとんど治癒しましたし、認知機能も改善して『先生、ありがとう、大好き』って言ってくださいました。医者冥利に尽きますね」と先生は感慨を込めて振り返りながら「それもチームの力。それぞれの職種の専門性をリスペクトしながらの連携が重要」と強調します。

 

在宅医療を地域という「面」に広げたい

大田区では先頃、インターネットを活用した在宅支援システムがスタート。血液検査の結果やCTの所見などの情報が、医療・介護に携わる関係者の中でリアルタイムに共有できるようになりました。鈴木先生はこのシステムの有用性を高く評価し、立ち上げに積極的に関わりました。

「単に情報を共有するだけではなく、例えばリハビリについて提案や意見交換が行われるなど、連携が密になりました。昔は経験を積まないと在宅医療はできなかったけれど、こうしたシステムが整えば、それほど経験がなくてもできるようになるのでは」と期待を寄せます。

しかしその一方で鈴木先生は「在宅医療は地域の中で、まだ点に過ぎない」と課題を示します。

受付には長年にわたってかかりつけ医としてお付き合いの続く90代の患者さんが作った心のこもった手作り人形が飾られている受付には長年にわたってかかりつけ医として
お付き合いの続く90代の患者さんが作った心
のこもった手作り人形が飾られている

「大田区には先進的な認知症診療に取り組んでいる先生がおられるので、コンタクトをとって線をつなぎたい。さらに多職種連携の輪を広げ大田区全体としてひとつの面にして、どこにいても同じような在宅医療、認知症診療を受けられるようにしたいですね」(鈴木先生)。

「さらに大田区民にリビング・ウィルを啓蒙して、自分の最期を自分で選ぶ風潮を作っていかなければなりません。患者さんそれぞれの物語をいかに意思決定に生かすのか、その物語を理解し受け止めるのが、かかりつけ医の役割だと思います」(鈴木先生)。

 

 

取材日:2013年1月30日
鈴木内科医院の外観

鈴木内科医院


〒143-0023
東京都大田区山王3-29-1
TEL:03-3772-1853

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