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介護と連携し、地域に根ざして在宅生活を支える
<東京都中野区 あしかりクリニック>

院長 芦刈伊世子先生 院長 芦刈伊世子先生

あしかりクリニック院長の芦刈伊世子先生は、国立病院東京医療センターや慈雲堂内科病院に勤務時代に認知症について研鑽を重ねたのち、地域に密着した医療を提供するため中野区に開業。精神科・神経科・心療内科の治療に携わるかたわら、老年精神専門医・認知症サポート医として、在宅で暮らす高齢者とそのご家族の支援に注力しています。

介護保険スタート後、在宅支援の一翼を担うため開業

JR中央線中野駅から徒歩4分という交通至便の地に、芦刈先生があしかりクリニックを開業したのは2002年のこと。介護保険スタートから丸2年を迎え、在宅介護を支える環境が地域にある程度整ってきた時期を見計らっての開業でした。

高齢者と女性のメンタルケア、認知症の治療、生活習慣病予防としての食事指導・漢方指導を軸にしつつ、芦刈先生は介護保険事業所と連携を図り、介護保険サービスの導入についてアドバイスするなど、治療にとどまらず認知症患者さんとご家族を手助けしています。

認知症の診断では、単なるアルツハイマーではない病気が潜んでいる可能性もあることから、近隣の中野総合病院や厚生年金病院、警察病院などに依頼して必ず画像検査を行います。そして認知症という診断がついたら、本人に「告知」するのではなく、「ご家族に告知をして、本人への対応はご家族に相談します」と芦刈先生は言います。

「患者さんにとっては、残りの人生を健やかに暮らせることが目標となります。患者さんは病識がない場合が多いので、告知はせず、薬も受け入れていただける『頭がよくなるお薬』などの表現を使って、ご本人がいきいき過ごせ、ご家族も疲れてしまわない道を探ってお膳立てします」(芦刈先生)。

 

患者さんの症状を改善したい一心で認知症治療に力を傾ける

芦刈先生が認知症に深く携わるようになったのは、慈雲堂内科病院に勤務し、認知症病棟の開設に携わった90年代のことです。「当時は認知症の治療法も確立されず、精神症状があれば入院となり、やむを得ず身体拘束などもしていた時代です」と芦刈先生は振り返ります。診断基準ができる直前にレビー小体型認知症の患者さんを担当し、従来の治療をすればするほど悪化していく状態に心を痛めていました。

「現在でこそ、レビー小体型認知症には強力な精神安定剤を出すのはタブーとされますが、まだわかっていませんでした。医療もケアもうまくいかないのが苦しく、勉強を重ねるうちに当時、横浜市立大学医学部教授をしておられた小阪憲司先生が発見したレビー小体型認知症を知り、認知症という奥深い病気に取り組むしかないと感じました」(芦刈先生)。

その当時、患者さんに合わせたケアを行うことで精神症状を抑える看護師との出会いもありました。

「入院患者さんがティッシュを何枚も引き出し続けていても、やめさせようとせず、『忙しいねぇ、大変だね』と声をかけるのです。そうすると、患者さんも落ち着く。ほかの人が夜勤に入ると拘束となる患者さんも、その看護師が夜勤のときは拘束せずにすんでいました」(芦刈先生)。

この看護師の対応法を通して認知症の精神症状に関する理解を深め、従来とは違うケアを知った芦刈先生は、当時中野区が保健所で実施していた認知症家族の会にアドバイザーとして関わり、在宅介護の現場を目の当たりにしました。介護を担うご家族たちの姿で、芦刈先生の心に在宅介護の支援という新たな目標が芽生えたのです。

 

多くの患者さんと接するなかから「引き算介護」を提唱

デイホームゆりの木 中野 生活相談員 右馬埜節子さんデイホームゆりの木 中野
生活相談員 右馬埜節子さん

在宅介護を地域で支えるには、医療と介護の連携が不可欠です。芦刈先生の同志といえる存在が、区の家族会の活動を通じて知り合ったデイホームゆりの木中野の生活相談員・右馬埜節子さんです。

中野区では、国が痴呆性老人毎日通所型デイサービスを創設する以前から、区独自に認知症専門のデイサービス事業を行うという先駆的な取り組みをしていました。右馬埜さんは、介護保険スタート前は区の認知症相談員として、患者さんを福祉サービスに取り次ぐ業務を担っていました。

「外のヘルパーさんを入れるより、患者さん自身が外に出るデイサービスを使ってもらい、その間家族に休んでもらいたい」と考えていた右馬埜さんは、デイサービスを苦手とする患者さんもデイサービス利用にスムーズにつなげてきました。それを可能としたのは、右馬埜さんが多くの認知症患者さんに接するなかから確立した、患者さんに合わせた独自の対応方法「引き算方式の介護」でした。

「生まれてから知識を積み重ねてきたのが足し算であれば、蓄積した知識が失われていく認知症はいわば引き算。引き算の世界にいる人には、事実や現実を説明するのではなく、同じ世界に立って対応するのが大切です。自分は元気だから高齢者が集まるデイサービスには行かないという患者さんも、ボランティアとしてお手伝いしてほしいとお願いすれば、利用してくれる場合もあるのです。嘘も方便です」(右馬埜さん)。

 

連携する施設では「引き算介護」を実践

右馬埜さんは、介護保険スタート後、民間事業所のケアマネジャーを経て、芦刈先生のクリニック開業を追うように2003年にデイホームゆりの木中野を立ち上げました。ここでは「引き算介護」を実践してデイサービスを行っています。

例えば、食事の後にご飯をまだ食べていないと主張する患者さんには、「さっき食べたでしょ」と返すのではなく、「ご飯のスイッチを入れ忘れたからちょっと待ってね」。家で母が待っているから昼食を食べずに帰ると言う患者さんには、弁当箱で昼食を提供し「お母さんがお弁当を届けてくれましたよ」。相手の主張を尊重した対応で患者さんを穏やかな状態に導き、安心して過ごしてもらうのがゆりの木の「引き算介護」です。

右馬埜さんは、介護従事者でも認知症に関する知識が浅く、患者さんを敬遠する人もいると感じ、「引き算介護」を10カ条にまとめ、ほかの施設の介護者やご家族にもわかりやすく提唱しています。

芦刈先生は、ゆりの木が開催する家族介護教室で講演したり、ゆりの木に設置された認知症相談センターに訪れる患者さんの診断・治療を引き受けたりと、密に連携し、患者さんとご家族を支えています。

 

薬などの情報を介護施設と共有し、対等な関係で連携

精神保健福祉士 古山友香さん精神保健福祉士 古山友香さん
受付 坂本喜子さん受付 坂本喜子さん

BPSD(周辺症状)の症状がある患者さんの場合、医療と介護の連携のなかで情報共有が重要と芦刈先生は指摘します。同クリニックでは薬を処方したり変えたりしたときは、その患者さんが利用している介護事業所と連絡を取ります。

同クリニックで他施設と連絡を取り合うのは、精神保健福祉士の古山友香さん。古山さんは、「処方について情報提供することで、効果や副作用に着目してもらえますし、もし副作用があればケアマネジャーなどから情報をいただいて芦刈先生に伝えます」と言います。薬が合わない場合などに介護側から医療機関に率直な意見が言える対等な関係であることが、介護者を、ひいては患者さんを支えることにつながるというのが芦刈先生の考えです。

患者さんによっては、郵便局や駅、警察署の職員にも連携を働き掛けて見守るネットワークを作るなど、芦刈先生は医療の枠を超えた取り組みを行っています。中野区医師会が定める認知症アドバイザー医として、かかりつけ医の認知症への対応力アップにも力を注いだり、介護施設で講演や研修を行うなど、幅広い活動を精力的に行っています。

「芦刈先生の温かさがクリニックの何よりの強み」と古山さんが語るように、スタッフも熱意あふれる芦刈先生に厚い信頼を寄せています。クリニックで受付を担当する坂本喜子さんは、「芦刈先生は診療以外でも細かいところまで配慮する先生。患者さんやご家族がなごやかな雰囲気で診察室から出てきますので、そのまま気持ちよく帰っていただけるように丁寧な対応を心がけています」と気遣いをのぞかせています。

 

患者さんの急増を防ぐため、予防にも取り組むクリニック目指す

厚生労働省は、地域包括支援センターに看護師や作業療法士などの初期集中支援チームを置き、早期の段階から認知症をサポートする体制を構築しようとしています。しかし、芦刈先生と右馬埜さんは現状の地域包括支援センターはあまりにも多忙で、まだその体制をとる余裕はないのではないかと指摘します。認知症患者さんが増加し、対応に追われる状況であるためです。

芦刈先生の著書「目撃! 認知症の現場」芦刈先生の著書「目撃! 認知症の現場」

そんななか、50代の認知症患者さんが増えている実感があると芦刈先生は懸念しています。若年性の患者さんの対応を課題とするとともに、今後患者さんの急増を避けるために予防にも力を入れたいとビジョンを語ります。

「認知症予防はつまり生活習慣病予防。食事の欧米化によって生活習慣病も増えていますから、現在クリニックで行っている食事指導も継続して実施していきます」(芦刈先生)。

課題ができ、その解決を図るときに、ケアマネジャー、あるいは介護施設などどこかだけが抱えるのではいけないと話す芦刈先生は、同クリニックが解決の一助となる存在であることを目指しています。

 

 

取材日:2013年2月5日
あしかりクリニックの外観

あしかりクリニック


〒164-0011
東京都中野区中央5-44-9
TEL:03-3380-3272

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