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その人らしさを最大限尊重し、そのこころに寄り添うケア
<愛媛県伊予郡 医療法人誠志会 砥部病院>

高齢者こころのケアセンター長 中城有喜先生 高齢者こころのケアセンター長
中城有喜先生

一般病床に認知症治療病棟を併設している砥部病院は、合併症のある認知症患者さんにも広く対応できることが大きな特徴です。また、その運営理念として「パーソン・センタード・ケア(その人を中心としたケア)」を掲げ、実践しています。そして、今年4月1日より愛媛県の認知症疾患医療センターとしての業務をスタートすることが決定しました。

一般病床と認知症病棟を併設し幅広い診療科目に対応

「精神科医、脳神経外科医、内科医など複数の専門医が連携して認知症診療にあたれるのが当院の大きな強みです」と語るのは、砥部病院内にある認知症治療病棟「高齢者こころのケアセンター」のセンター長を務める中城有喜先生です。同院は1988年に開設され、2005年に認知症治療病棟が新設されました。中城有喜先生はその同時期に同院に着任し、以来、中心となって認知症診療に取り組んでいます。

認知症診療で大切なことの一つに、早期発見・早期治療があります。同院では内科などで認知症の可能性を見つけ、専門医である中城有喜先生が診断する場合もあります。

「内科でかかりつけの糖尿病の方がこのところ血糖値の数値が悪いと思っていたら、実は自分でインスリンの注射をきちんとできなくなっていた。そこで、認知症の疑いがあるということで、私の方に紹介されることがありました」(中城有喜先生)。

また、逆にBPSD(認知症の精神症状と行動障害)を主訴に認知症外来に来られた方を検査すると、肺炎など身体合併症が原因と分かり、内科で治療してもらうことも少なくありません。

同院の認知症治療病棟は、雰囲気がとてもアットホームなことも特徴の一つです。制服を着ている職員はおらず、看護師も全員、エプロン姿か綿パン、ポロシャツといった服装です。テーブルは家庭のものより約10cm低く、しっかりと座って姿勢よく食事がとれるよう配慮されています。また、壁には額に入った絵や、活動で作った書や絵、たくさんのスナップ写真が飾られています。このように「みなさんが快適に、安心して過ごせるようにするためにはどうしたらよいか」ということをスタッフ全員が考え、自分にできることを実行しています。このような考え方や取り組みには中城有喜先生の想いが強く反映されています。

 

患者さんの個性や人生、尊厳を尊重するケア

「認知症は、MCIの状態から軽度、中等度、重度というふうに進行していくという一連の繋がりがある病気のため、ステージごとに必要なケアや医療は変わってきます。早期の段階では早期鑑別診断や家族の協力が必要になり、重度になってくると、健康管理が難しくなるため救急医療や急性期医療、合併症医療が必要になってきます。画一的な対応では、個々の患者さんに対して適切なケアは提供できません」(中城有喜先生)。

中城有喜先生は患者さんに対し、「その人らしさを最大限に尊重する認知症診療を行いたい」という考えのもと、1990年代前半から提唱されている『パーソン・センタード・ケア』に沿って認知症治療病棟を運営しています。「パーソン・センタード・ケア(その人を中心としたケア)」は、文字通り、認知症の方の個性や人生を重んじ、プライドや尊厳を尊重するというケアの理念です。この理念の中で、ケアする側の都合で一方的に押し付けるのではなく、認知症の方との関わりを重視して、そこから本当に必要なケアを行うことを「ニューカルチャー」と呼んでおり、その重要性についても訴えます。

砥部病院院長 中城敏先生 砥部病院院長 中城敏先生

院長であり、内科医として認知症ケアに携わる中城敏先生も、弟である中城有喜先生の考えに深く影響を受けています。中城敏先生は、認知症診療の現場にいかにニューカルチャーを浸透させていくかが今後の課題だと考えます。

「BPSDの患者さんが100人いれば、その行動には100通りの理由があります。その理由を見つけるために、患者さんと深く向き合い、その人の歴史を知り、時には想像力も働かせる。そうすれば、一人ひとりの患者さんに適切なケアができて認知症の進行を遅らせることもできるでしょう」(中城敏先生)。

 

人生を楽しくまっとうするためのターミナルケア

看護師長 清水真さん看護師長 清水真さん

中城有喜先生の考えは職員にもしっかり浸透しています。認知症治療病棟の看護師長の清水真さんも、人として患者さんと関わり、可能な限り、患者さんが自分らしい生活を送れるようサポートしたいと考えています。

「高齢の患者さんの中には、自宅に帰れる見込みの少ない方もいます。そういう方に、“何かやりたいことや、してほしいことはありますか?”と声を掛けても、“ない”と答える方が多い。でも、そこで終わりではなく、日々の会話の中から本人も気づいていないことを探るのも私たちの役目だと思っています。毎日話しかけて信頼関係を築いてから、“実は生き別れの子供がいて、本当は会いに行きたい”という話を打ち明けてくれた患者さんもいました」(清水さん)。

パーソン・センタード・ケアには、認知症だからという理由ですべてをあきらめるのはおかしいという考え方があり、「工夫次第で楽しい人生をまっとうできるはず」という考えからきています。この考え方に沿って、同院ではターミナルケアにも正面から取り組んでおり、患者さんが人生を楽しくまっとうできるよう、できる限り希望に近づけるよう努めています。

「以前、認知症と胆管がんを併発していた患者さんが、砥部動物園で産まれた象の赤ちゃんをどうしても見たいと話していました。子象を見られる時間は限られており見るのは難しいだろうとなったものの、園長に事情を話して見せてもらうことができました。患者さんは大変喜び、希望が叶ってから2週間後に亡くなりました」(中城敏先生)。

中城敏先生は、今もその患者さんのことは強く印象に残っていると語ります。

 

医師も看護師も患者さんと一緒にイベントを楽しむ

定期的に開かれているピアノコンサート定期的に開かれているピアノコンサート
院内にディスプレイされた患者さんの作品院内にディスプレイされた患者さんの作品

同院では、認知症患者さんに日々の生活を楽しんでもらうための「高齢者こころのケア」に取り組んでいます。その一環として、ぬり絵教室や詩吟クラブ、ピアノコンサートなどのイベントを毎日のように院内で行っています。また、音楽をかけて自由に踊ったり歌ったりする音楽療法も行っており、2カ月近く食事ができなかった患者さんが、参加しだしてからはしっかり食べられるようになったと言います。「一度参加すると、楽しいからまた参加したいと思い元気になっていく。あきらめずに、やる気になれば参加できるということを患者さんやご家族に知ってもらいたいですね」と話す中城有喜先生自身も、楽器を弾いたり、患者さんと一緒に歌ったりしています。

「先生も看護師も含めて積極的にレクリエーションに参加しています。全員で患者さんと関わりながら、その人の生活を支えていける病院だと思います」と話すのは、精神保健福祉士の中平純代さんです。入退院の手続きや患者さんのご家族の相談対応などが中平さんの主な業務ですが、さらにレクリエーションや体操にも参加し、日々、患者さんと触れ合っています。

精神保健福祉士 中平純代さん精神保健福祉士 中平純代さん

「一緒に体を動かして患者さんの状態を把握できれば、退院の際に、“こういった時にはこういう対応をすれば安心してもらえますよ”というふうに自分の目で見たことをご家族に伝えられます。また、イベントやレクリエーションを通して、患者さんもご家族も、そして職員も、みんなで穏やかな時間を共有しながら楽しめればという想いで、私自身も毎日楽しみながら参加しています」(中平さん)。

同院は現在、愛媛県の認知症疾患医療センターへの指定が決まっていますが、それに伴い新たな課題が生まれたと中城有喜先生は感じています。中でも一番の課題は、今後、認知症ケアの地域ネットワークをどのように広げていくかということです。

「専門医としてきちんと道筋を立てて、認知症に直面した患者さんやご家族がどこに相談すればいいか、どんなケアを受ければいいのか迷わないですむようにするのも認知症疾患医療センターの大切な役割だと思います。そのためには、他の病院や介護施設などとのネットワークづくりが不可欠です」と語る中城有喜先生の言葉には、新たな想いで地域の認知症医療ネットワークを担っていくという決意があらわれています。

 

 

取材日:2013年2月12日
砥部病院の外観

医療法人誠志会 砥部病院


〒791-2114
愛媛県伊予郡砥部町麻生40-1
TEL:089-957-5511

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