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基幹病院の脳の専門医として、地域の認知症診療を牽引する
<埼玉県川越市 医療法人社団 誠弘会 池袋病院>

池袋病院 副院長 平川亘先生 池袋病院 副院長 平川亘先生

川越市の基幹病院として地域医療を支え続けている池袋病院。同院の副院長で脳神経外科部長である平川亘先生は、脳卒中、頭部外傷などの一般外来および救急対応にあたる一方、認知症の診療にも積極的に取り組み、地域の開業医を対象とする講演活動にも力を注いでいます。

脳の専門医として認知症診療に取り組む

「当院は決して『もの忘れ外来』を標榜しているわけではないのですが、“頭の病気を診ます”と言っている以上、認知症の患者さんを診ないわけにはいきません」。

微笑みながらそう語る平川亘先生が池袋病院に着任したのは1998年のことです。

平川先生のそもそもの専門は脳外科。鹿児島大学脳神経外科に勤務していた時代から研鑚を重ね、現在は救急を含め、脳卒中、脳腫瘍、頭部外傷、頭痛・めまい等の対応にあたっています。

認知症は言わば脳外科では5番目の仕事でありながら、平川先生は近年特に診療に力を注いでおり、その理由は「目の前の認知症の患者さんをどうにかして良くしたい」と明解です。

「鹿児島でも認知症を診てはいましたが、当時治療法は確立されておらず、薬剤もない時代。いわば武器を持たずに戦っている状態でした。ドネペジルが日本で発売されてある程度手が打てるようになったものの、私の印象では当時改善が見られた患者さんはせいぜい3割程度。試行錯誤を繰り返し、手応えを感じるようになるまで5年ほどかかりましたね」。

そう振り返る平川先生は「近年さらに新しい薬剤がいくつも出て、いろいろ工夫できるようになりましたが、まず何よりも大事なのは、患者さんの状態の正確な把握です」と鑑別の重要性を強く指摘します。

 

高齢者の認知症のほとんどは“混合”している

問診、長谷川式簡易評価スケール、MMSE(認知機能検査)という一連の診察、検査を平川先生は全部自分で行います。

 「例えば患者さんに質問して答えが返ってくるまでの“間”も重要な判断材料です。それを人任せにすると検査の再現性が低下する。だから自分でやるんですよ」と言う平川先生は一方で、「MRIは参考程度にしか見ません。画像に頼るとかえって診断を誤る恐れがあります」と指摘します。

実は平川先生はMRIの実験機の頃から研究・開発にかかわり、以来約25年間にわたり診療に生かしてきたMRIの専門家。「その私が言うのだから間違いない」と断言します。

「脳梗塞や脳腫瘍が認知症のような精神症状の原因になっているケースがありますので、それを除外するのが画像診断の主な役割。したがって参考程度というわけです」。

実際は混合型認知症だらけ実際は混合型認知症だらけ

「海馬や大脳皮質の萎縮は見ますが、萎縮があるからといってアルツハイマーとは限りません。大学病院でさえ画像の所見でアルツハイマーだと診断することがあると聞きますが、実際は脳血管障害と混合しているケースもあるし、レビー小体型が隠れていることもあるなど、若年性を除き高齢の患者さんの多くは認知症が“混合”“併存”しています。だから結局は症状をよく診ないとわからないのです」。

そう語る平川先生は、「高齢者の認知症は混合型である」という観点を診療の基本に据えています。

 

時計描写と指模倣テストでアルツハイマーは鑑別できる

混合型認知症混合型認知症
コリン量が低下コリン量が低下

「『家の中を小さな子どもが走っている』と、おばあちゃんが急に変なことを言い始めた!」とご家族が慌てて患者さんを連れてくるケースがよくあります。その症状だけ見ればレビーの可能性が高いけれど、高齢の患者さんの場合、ベースにアルツハイマーや血管障害があることが少なくありません。重要なのは、混合・併存している認知症のどれが、いま悪さをしているのかを見極めることです」と平川先生は持論を述べます。

「脳細胞内のアセチルコリンがある一定以上に低下したら、アルツハイマーが発症します。ドネペジルはアセチルコリンを補いますから、これが下がっている人には効きます」と語る平川先生は、「だからアルツハイマー要素の強弱を見ることが大事で、その判断には時計描写と指模倣(人差し指と親指でマルを作ってから指キツネを作らせる) が有効。指模倣テストなら開業医の先生も数秒で目安をつけることができます」と指摘します。

「時計がきちんと正確に描ける人、指ですぐにキツネの形ができる人はアルツハイマー要素は弱い。だからドネペジルは効きにくいのではないか。使うなら少量でいいのではないか。そういったさまざまな検査や臨床症状の聞き取りの中から適格な見極めを行うと、治療のアプローチの仕方が全然違ってくるわけです」(平川先生)。

 

薬剤の安易な併用はかえって症状を悪化させる

患者さんの認知症の“混合”の状態を見極め、薬剤の選択と用量の調節を適切に行えば認知症は治る――平川先生はそう明言します。

「治るというのは、長谷川式が30点満点になるという意味ではありません。たとえ長谷川式が18点でも、1人でご飯が食べられて、お手洗に行けて、留守番ができれば、足腰が少し弱くて多少もの忘れがあってもご家族は満足されます。本人も幸せです。治るとは、そういうレベルにまで改善することはできるという意味です。また、BPSDに対しても向精神薬を使わず、抗認知症薬の調節だけでうまくいくケースも多いですね」。

薬剤の効能をそう語る平川先生は一方で、安易な併用には強く警鐘を鳴らします。

ある患者さんはBPSDがひどく、ほかの病院でドネペジルに加えメマンチンを処方されたもののいっこうに良くならないという状態で池袋病院に来院。平川先生は診察してすぐに入院させ、まず服用をやめさせるところから治療をはじめました。当初は歩行や食事もおぼつかなかったのに、数日で快方に向かったといいます。

「薬剤の選択肢が増えたのはいいのですが、併用は改善につながらないどころか、かえって悪化させることもある。くれぐれも注意が必要です。一方、最近出てきた抗認知症薬の中には、うまく処方しさえすればレビー小体型認知症に対する有効性が認められるものもあります」と、認知症のタイプの見極めと処方のさじ加減の重要性を重ねて強調します。

 

かかりつけ医による適切な認知症治療が必要

平川先生は「もっと認知症診療に時間を割きたい」としつつ、「うちの病院で診る患者さんを増やすつもりはなく、むしろミニマムでいい」と言います。

「仮に私が365日24時間フルにがんばったところで、地域の患者さんを全て診られるわけじゃありません。それよりも、かかりつけの開業医の先生が診られるよう、できるだけ簡単な診察方法や投薬のコツなどをシンプルに伝えることが、これからは大切だと考えています。診たくても診られない開業医の先生がいっぱいおられるんですから」と語る先生は、すでに開業医向けの小規模な講演会や勉強会などを何度も開催。“高齢者の認知症は混合型である”を前提にした診断のポイントや、薬剤の処方の留意点などを積極的に伝え続けています。

「認知症が進んで介護が必要になると、ケアマネジャー、ヘルパー、リハビリテーションなど大勢の人がかかわり、1日に何千円もコストがかかります。しかしドネペジル1ミリグラムなら100円もしません。100円で良くなるものを何千円もかけているのが、認知症診療・介護の現状です。地域での医療・介護の連携やネットワーク作りも大事なことですが、それよりもまず、かかりつけ医が誰でも適切な治療ができ、良くなる患者さんを増やすようにするべきではないでしょうか」。

「私の診療の方法が全部正しいとは言いません。認知症診療に臨床経験のある先生はぜひそれぞれが声を出して、地域の先生方に診療の知識を伝えていって欲しいと思います」(平川先生)。

 

 

取材日:2013年2月20日
池袋病院の外観

医療法人社団 誠弘会 池袋病院


〒143-0023
埼玉県川越市笠幡3724-6
TEL:049-231-1552

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