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意欲的なスタッフがきめ細かい連携を実現
<山形県山形市 社会医療法人二本松会 山形さくら町病院>

院長 横川弘明先生 院長 横川弘明先生

大正11年開業の山形さくら町病院では、東北における精神科医療のパイオニアという誇りをスタッフ全員が共有し、プロとして常に学ぶ意欲を忘れず、思いやりにあふれた対応で、たくさんの笑顔を生み出しています。

患者さんだけでなくスタッフや地域への配慮あふれる新病院

吹き抜けの大きな窓から光が差し込むロビー吹き抜けの大きな窓から光が差し込む
ロビー


リハビリ活動や職員研修などに使用している会場も明るく開放的リハビリ活動や職員研修などに使用して
いる会場も明るく開放的

2008年春に新病院が竣工したのを機に「山形病院」から名称を変えて新たなスタートを切った「山形さくら町病院」。1922年(大正11年)の開業以来、約90年にわたって、施設・組織を拡充しながら精神科医療に取り組んできた歴史ある病院です。

新病棟は天井が高くゆったりした空間が魅力で、認知症治療病棟の病室はベッドに横になったまま窓外の景色が見えるよう工夫が施され、オゾン脱臭機能で臭いもなくさわやかです。また個室トイレは集合トイレのほかに4ヵ所廊下に設置されているため、夜間でも手すりづたいに廊下を横断することなく安全に使用できます。また働く人への配慮として広い休憩室を設けるなど、スタッフも大切にしています。「ご家族が元気じゃないと十分な介護ができないのと同様に、スタッフに余裕がないと質の高い医療サービスを提供できません。新病棟の設計にあたってスタッフの意見も大いに参考にしました」と、院長の横川弘明先生は語ります。

もうひとつ新病院の特徴として印象的なのは、会議室が開かれた場所にあることです。関係者の会議、家族向けの勉強会や交流会に使われるだけでなく、地域住民が「公民館代わり」に借りることも可能だというのです。「病院は社会資源のひとつだという考えで、以前から地域との交流を大事にしてきました。病院行事に地域の方たちを巻き込み、開かれた雰囲気づくりを心がけています」(横川先生)

 

認知症への問題意識は40年前から

同院では2008年の新病院建設の際に認知症治療病棟(51床)を設置し、同時に週に1回のもの忘れ外来を開設しました。とは言っても、認知症への取り組みはずっと以前から行っていました。1997年には重度認知症患者デイケアセンター「悠ゆう」を開設し、2008年に定員を25人から50人に倍増しています。

「現在のように注目される前は、精神科が中心となって認知症患者さんを診ていました。私が初めて認知症患者さんを診察したのは、研修医時代、40年前のことです。『高齢化社会が到来したら、認知症の増加が必ず社会問題になる。しっかり勉強しなければ』と悟ったことをよく覚えています。さらに同じく研修医時代に、20歳代前半の進行麻痺による認知症患者さんに出会って、診断・治療の難しさに加え、患者さんや家族の生活に与える影響の大きさを目の当たりにしました。そのときから認知症の治療は精神科医の重大な使命のひとつだと考えています」(横川先生)

 

多職種で情報共有してBPSDを改善

同院には、夜間せん妄や暴力、うつ症状などBPSD(周辺症状)が強く出ている患者さんが、他の病院や施設から紹介されて来ることが多くあります。その場合、精神科の専門性を生かし、薬を使ってBPSDを鎮静させることから始めます。

「BPSDが強いときはご家族が非常に重い介護負担を感じていますから、早めに軽減することが大切です。ご家族に患者さんを受け止める心の余裕がないと、そのしわ寄せが患者さんにいって、よくなるものもよくなりませんから」と横川先生は言います。

症状や家族の状況を考慮した上で、入院、外来、デイケア、訪問看護などを組み合わせ、長期的な視野で一貫した治療を行えるのが同院の強みです。

もうひとつの強みとして多職種による連携もあげられます。入院した患者さんにはそれぞれ1冊のファイルが用意され、患者さんの様子、発した言葉、配慮すべき点といった情報を、患者さんに関わる全スタッフが書き込み、ご家族との情報共有に役立てています。

認知症治療病棟看護師長 丸山恵子さん認知症治療病棟看護師長
丸山恵子さん

「面会に来られたご家族は、ファイルに記された情報を読んで、患者さんのよい面や残された能力に改めて気づかれることも多いようです。看護師だけでなく精神保健福祉士、作業療法士、管理栄養士など、様々なスタッフが力を合わせて問題を解決しようとしていることが伝わるので、ご家族の気持ちも前向きになり、一緒に頑張ろうという気持ちを引き出しやすくなりますね。退院支援にもつながっています」と、認知症治療病棟の看護師長である丸山恵子さんは効果を語ります。

 

連携は院内のデイケアセンターへも

全スタッフが問題意識と情報を共有すると、迅速で適切な対応が可能になります。例えば、食欲不振は体力低下に繋がるため注意が必要ですが、食欲不振の原因は様々です。入れ歯の不具合に気づいて管理栄養士も協力して食事内容を工夫したり、看護師が患者さんの独り言から「食事に毒が入っている」という被害妄想に気づいてごく微量の向精神薬を使うことで食欲と体力を回復したこともありました。

院内にデイケアセンター「悠ゆう」が開設されている理由はもちろん、病院との連携体制を最大限に生かすためです。具体的には、屋外に出ることなく外来診療や検査が受けられる、身体不調や窒息などの緊急時には速やかに病院スタッフが対応するという協力体制がある、情報の共有がスムーズに行える、などのメリットがあります。

重度認知症患者デイケアセンター「悠ゆう」 科長 早坂真弓さん重度認知症患者デイケアセンター
「悠ゆう」 科長 早坂真弓さん

「病棟や外来から中核症状・周辺症状の実際を詳しく聞くことができるので、その情報を元に利用者さんの個性と症状に合わせたリハビリメニューを考え、行っています。また利用者さんに『毎日でも行きたい』と思っていただける雰囲気づくりも大事なので、玄関から一歩入ったときに好印象を持ってもらえるよう、接遇にも気をつけています」と、同センター科長の早坂真弓さんは語ります。

デイケアの日々の活動では、利用者さんの状態を見ながら、身体に働きかけるプログラムと情緒に働きかけるプログラムのバランスに配慮しています。「認知症になると自分の意見を言って、それを周りに認めてもらえる機会が減ります。自己表出とコミュニケーションは心豊かに生きるために欠かせないことです。『井戸端交流会』というプログラムでテーマを決めて発言してもらったり、普段の会話でも『あなたの意見を聞いていますよ』という姿勢で接することを心がけています。さらに通所により日々の生活リズムが整うことで、夜間不眠が減り、ご家族の負担が軽減するというメリットも見逃せません。ご家族とスタッフ間で、連絡ノートを通して情報を共有するよう努めています」(早坂さん)

 

看護助手も患者さんの満足と経営を考える

看護部長 庄司祐さん看護部長 庄司祐さん

認知症は症状が刻々と変化したり、高齢のためいくつもの身体疾患を合併していたりと、治療・看護が難しい病気ですが、同院では認知症治療病棟での勤務を希望するスタッフが多くいます。「高いレベルが求められるので継続的な勉強が必須ですが、みんな意欲的に取り組んでいます。国家資格を持つ職種はもちろん、看護助手も勉強熱心で、院内の研究会で見事な発表を行ったこともありましたよ」と誇らしげに語るのは、看護部長の庄司祐さんです。

看護助手が行った発表とは「オムツの選択」についての研究。一律に同じオムツを使用するのではなく、患者さん一人ひとりの状況、交換頻度に合ったものを選ぶことで、患者さんの満足度向上とコスト削減を両立させた取り組みで、発表後すぐに病院全体で実施しました。「活動的な患者さんに分厚い吸水パッドはむしろ不快ですし、ご家族からも『オムツ代が安くなった』と喜ばれました。本当に素晴らしい取り組みです」(庄司さん)

「看護助手の意識の高さが他のスタッフに刺激を与えましたね。納入業者さんまで感心して下さって、彼らの売り上げが減る取り組みなのに、数字をまとめグラフを作って協力してくれました」(丸山さん)

 

学ぶ姿勢を大切にするのが伝統

山形さくら町病院のみなさん山形さくら町病院のみなさん

職員が高い学習意欲を持つ背景には、多くのスタッフが参加できるよう院内のホールに専門家を招いて研修会を開催するなど、人材育成に力を注ぐ病院の方針があります。「業務時間外の研修会に100名近いスタッフが、自らの意思で参加してくれます。当院が東北での精神科医療のパイオニアであるという自負を全職員が持っているので、その裏付けとなる努力が継続できる環境を守りたいですね。また院外に出て、情報発信したり、ときには批判を浴びる経験が大事だと思うので、学会発表も奨励しています」(横川先生)

研修医や看護の研修も積極的に受け入れ、同院での研修を経て精神科をめざすことに決めた研修医がいたり、卒業後の入職を希望する看護学生も多いそうです。

ベテランから新人まで全スタッフが意欲的に学び、連携協力して常によりよい医療サービスの提供をめざすのが、この病院の長年の伝統なのです。

 

 

取材日:2013年2月23日
山形さくら町病院の外観

悠ゆうの外観

社会医療法人二本松会 山形さくら町病院


〒990-0045
山形県山形市桜町2-75
TEL:023-631-2315

施設のホームページへ


 

 

 【 重度認知症患者デイケアセンター 悠ゆう 】
 TEL:023-631-2334

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