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精神科の専門性を生かし地域の認知症治療の拠点に
<茨城県那珂市 医療法人社団有朋会 栗田病院>

院長 安部秀三先生 院長 安部秀三先生

高齢化が高まる茨城県北部で精神科医療・認知症医療の拠点となっている栗田病院。精神科の専門性を生かし、鑑別診断から外来、入院、在宅支援まで、さまざまな場面で患者さんとご家族を支えています。そして認知症疾患医療センターの指定も受け、相談窓口として、また地域連携の要として、他機関への働きかけや啓発活動も積極的に行っています。

認知症病棟のほか、もの忘れ外来や介護施設も開設

栗田病院は、水戸市に隣接する那珂市に1967年に創立され、水戸市や那珂市、ひたちなか市などを中心に精神科医療を提供してきました。高齢化する地域にあって、増加する認知症患者さんへの対応を課題とし、1998年に認知症病棟を、2005年には居宅介護支援事業所などの介護施設を、2006年にはもの忘れ外来を開設し、病院の柱のひとつとして認知症治療に取り組んできました。

院長で認知症専門医である安部秀三先生は、「我々には、精神科として、急性期から社会復帰まで、医師や看護師のほか作業療法士や精神保健福祉士、介護スタッフなど多様な職種でケアを行ってきた土壌がありました。認知症治療でもこれを生かして、まずは早期診断、病状に応じて通所や入院といった、さまざまな段階に対応できるベースを整えました」と話します。

同院の認知症治療の特徴は、たっぷり時間をかけて診察すること、そして患者さんの「その人らしさ」を大切にして向き合っていくことです。最初の診察では、ケースワーカーが予診を行い、患者さん本人の生活歴や病歴をはじめ、ご家族が求めていることも含めてじっくり話を聞きます。そして患者さんがご家族のなかでその人らしく生活できるような治療・ケアを行っていくのが同院の方針です。

 

認知症疾患医療センターを開設し、地域連携を推進

認知症疾患医療センター 精神保健福祉士 櫻井荘子さん認知症疾患医療センター
精神保健福祉士 櫻井荘子さん

同院の認知症治療と地域連携推進の一翼を担うのが、院内に2009年に開設した認知症疾患医療センターです。認知症に関する相談窓口であり、鑑別診断につなげて治療を行うほか、自治体や他医療機関、介護関係者などとの連携を進めています。

同センターの精神保健福祉士である櫻井荘子さんは、行政や介護施設、居宅介護支援事業所などとの連携において、連絡協議会を開催するなど、お互いの顔がわかったうえで話ができる関係づくりを目指しているといいます。

「地域の方から気軽に相談を持ちかけられるセンターであると同時に、各機関と連携して、例えば受診を拒否している患者さんのところに地域包括支援センターの方と一緒に訪問するなど、こちらから地域に出ていく存在でもありたいですね」(櫻井さん)。

また、認知症についての情報発信も同センターの事業のひとつ。安部先生を中心に、かかりつけ医や介護関係者を対象とした講演会や研修会を定期的に実施、安心して住み続けられる地域づくりを推進しています。

「医師への情報発信と同様に大切なのが、地域の方に認知症を正しく理解してもらうこと。最初に認知症に気がつくのはご家族ですから、地域の方が認知症に対する知識を持っていれば早期治療につながります。周囲が早い段階で異変に気づけるように、センターでも啓発活動を行っています」(安部先生)。

 

病棟でも「その人らしさ」を大切に多職種チームでケア

認知症病棟長 看護師 小田部一也さん認知症病棟長
看護師 小田部一也さん

同院では各病棟に植物の名がつけられ、認知症専門病棟は同院のシンボルである栗からマロン病棟と名付けられています。病棟の責任者である看護師の小田部一也さんは、「一般の介護施設では徘徊などの症状があると入所が難しい場合もありますが、この病棟は症状を問わず入院できるので、ご家族にすれば本当に困ったときの『駆け込み寺』のような存在かもしれません」と語ります。

軽度から重度まで幅広い段階の患者さんを受け入れるにあたり、やはり大切にするのは、患者さん一人ひとりの「その人らしさ」です。患者さんの生活歴などはもちろん、徘徊などの症状が表れるタイミングもあらかじめご家族から聞いたうえで、どうケアを行うか、入院から退院まで包括的に看護するプライマリーナースを中心に、複数のスタッフでカンファレンスを行って方向性を決めています。

小田部さんが最も印象に残った出来事があります。会話が成り立たず、食事もとれない重度の状態で入院してきた患者さんが、目標を決めて各職種の専門性を発揮してケアにあたった結果、ご家族と暮らせるほどに回復したことです。

「『まずは食事を食べてもらう、それができたら離床して自分で食べてもらう、その次は歩く......』と段階を追って目標を決めました。食事がうまく飲み込めないなら作業療法士が嚥下訓練を行い、投薬で眠りが深く朝起きられないようなら看護師が医師と相談して内服薬の量や種類を調整する、というように全スタッフがそれぞれ専門性を発揮し、同じ目標に向かって一丸となれば、珍しいことではありますが、このように劇的に改善する方もいます。ご家族が協力的で面会も多く、コミュニケーションがとれたのも一因だったのではないでしょうか」(小田部さん)。

 

言葉にならない患者さんの思いを代弁し、家族との架け橋に

認知症病棟 看護師 高橋清美さん認知症病棟
看護師 高橋清美さん

「面会に来ても何も話さないから、私はただいるだけなのよ」。患者さんのベッドの脇に、一人で座るご家族は言いました。マロン病棟に勤務する看護師の高橋清美さんはそのご家族に話しかけます。「熱が高いから体はつらいって言っていますよ」、「痰が多いからちょっと苦しいって」。患者さんの体が示すさまざまなサインから、患者さんの気持ちを代弁しているのです。

「言葉で表現できない状態の患者さんもいますから、私たちがしっかりアセスメントして、患者さんの代わりに言葉にしなければご家族はわかりません。面会のたびに、わかりやすい言葉で患者さんの状態を伝え続けると、ご家族も次第に治療の仲間に入ってくださいます。人工栄養を選択する際、基本的な情報はもちろん、各方法のメリット・デメリット、その人工栄養法を選択した場合の退院先を調べたりと、できる限りの情報を用意し、お伝えすることで、ご家族が主体的に選択してくださったこともありました」(高橋さん)。

病棟のスタッフは、入院後離れてしまいがちな患者さんとご家族の架け橋になるという役割も担っているのです。真摯に患者さんに向き合い健康状態をつぶさにご家族に伝えることで、患者さんとご家族の距離は縮まっていきます。患者さんが残念ながら亡くなられたあと、高橋さんはご家族から「あなたの一言一言に本当に支えられました」とお礼を言われたといいます。

「亡くなった患者さんの枕元で、ご家族は悲しみつつも、ユニークだったお父さんの思い出話に温かい笑い声が起きました。看護師人生のなかでも初めてことで、最期までご家族のなかでその方らしくいられたことは、本当によかったと思っています」(高橋さん)。

日常のケアでは、爪やひげの手入れなど、清潔に保つことにも常に気を配って看護を行います。スタッフのきめ細やかな配慮にご家族が気付くことで、ご家族と病院の関係が良好になっていくと高橋さんは感じています。

「判断したことに責任を持つのは医師の仕事ですが、病棟のスタッフがご家族との信頼関係を築いたり、ご家族のニーズを探ったりして、医師に判断材料を与えてくれます。そのうえでみんなで判断することで的確な判断になります」と、安部先生は入院治療のなかで重要な役割を担うスタッフに信頼を寄せます。

 

情報共有ツールの導入でさらなる地域連携へ

栗田病院のみなさん栗田病院のみなさん

医療機関や介護施設のスムーズな連携には、患者さんについての情報を医療・介護従事者で共有することが重要だと考える安部先生。かかりつけ医の見立てや専門医による診断など、患者さんの情報を集約して、医療従事者だけでなく介護関係者も見ることができるツールを導入して、地域で患者さんをサポートする体制を作っていきたいと意欲を見せます。

「団塊の世代の方が認知症患者さんとなる頃までに、地域にもっと相談できる場を増やしていければ、治療につながりやすくなると考えています」(安部先生)。

認知症患者さんは、ほかの精神科疾患の患者さんとは別病棟が必要となったり、受診・入院する患者さんの病状が進行しているため職員の負担も大きくなりがちであるなど、安部先生は精神科で認知症治療を行う難しさも実感しています。

「しかし、その時代・地域に必要な病院でなければ存在意義はありません。認知症治療に一歩踏み出した以上、しっかりした治療・ケアを提供しなければ地域貢献にはならないと思いますから、ほかの医療機関と連携を図りつつ、よりよい医療を行っていきたいですね」(安部先生)。

 

 

取材日:2013年3月12日
栗田病院の外観

医療法人社団有朋会 栗田病院


〒311-0117
茨城県那珂市豊喰505
TEL:029-298-0175

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