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病みてなお安心できる日常の提供を
<京都府京都市 北山通ソウクリニック>

院長 宋仁浩先生 院長 宋仁浩先生

認知症の方の内面を捉え接近する-治療・ケアに取り組む北山通ソウクリニック。精神科のクリニックと、併設の重度認知症デイケアで、家族と協力して、患者さんが安心できる環境づくりに取り組んでいます。

 

 

 


白を基調とした明るい待合室白を基調とした明るい待合室

2000年6月に心療内科・精神科のクリニックとして開業した北山通ソウクリニックは、その名の通り京都の代表的な東西道のひとつである北山通に面したビルの一角にあります。

1日に50名ほど訪れる外来患者さんのうち1割ほどが認知症。初診の場合は予約制で、院長である宋仁浩先生が患者さんやご家族からじっくりと話を聞きます。「ご家族から話を聞くときに、患者さんが『蚊帳の外に置かれている』という不信感を抱くと、その後の治療に支障が出たり、患者さんとご家族の関係がこじれる可能性があります。患者さんご本人とご家族の様子をよく観察し、どういう手順で診察をするか臨機応変に考えています」と宋先生は語ります。

保健センターや他の医療機関から、所謂BPSDの為に対応に難渋した患者さんが、紹介されてくることも多いそうです。

BPSD-守り育むべき葛藤

「認知症は病識がなく、もの忘れを指摘されても否定するのが、精神医学的常識とされています。しかし、実際のところは、少し前のことも忘れ、目の前の状況が呑み込めず、秩序の崩壊、不安、不全感の中に、彼等はいます。もの忘れが自覚できないのではなく、巨大過ぎてもの忘れのサイズが測れないのです。『もの盗られ妄想』は、その典型で、そんなことさえわからない自分では困ってしまうから、気を強く持とうと懸命にサイズを低く見積もろうとします。つまり自分がなくしたはずがないと思い込もうとし、目の前の人が盗ったとなるのです。この時事実を幾度指摘・訂正しても認知症の人を苦しめ、もっと頑なにしてしまいます。いかにも自分には、もの忘れがある、しかしもの忘れがあっても適切な支援を使えば、以外と普通に生活できるものだ。という合点が得られれば、妄想を持つ必要がなくなり、訴えなくなります。『もの忘れが強くて困ったと思って......でも、もの忘れをしても大丈夫だとわかりました』これは、認知症の人自身の言葉です」(宋先生)。

BPSD(行動心理徴候・周辺症状)とはこのような妄想・幻覚・徘徊などを指しますが、その際大量の向精神薬で退行させてしまえば、葛藤そのものが消えてしまう、と。「私の師である故・小澤勲先生(『認知症とは何か』岩波新書著者、精神科医)は、こうあるべき自分とこれしかできない自分のギャップを埋めようとする対処行動と捉えています。この葛藤の中にこそ、懸命に生きようとする認知症の人の姿があり、それこそが私達が守り育むべきものなのだ、と」妄想の中にこそ人生の軌跡が隠され、過去の満たされなかった欲求が妄想の形で現れると、N.フェイル(ソーシャルワーカー、『バリデーション-認知症の人との超コミュニケーション法-』筒井書房著者)も指摘しています。

穏やかな日常-修羅から菩薩に-

以下、「認知症の人と家族の会」の会報誌『ぽーれぽーれ』352号の宋先生の文章から。

「数えきれないほどの贈りものを認知症の人と家族からいただいた。修羅から菩薩のように変わった表情、一見身勝手に見える怒りの背景にある苦難の歴史、家族への無限の愛」

「今が覚えられなくなる時、突然過去の強い情動の方を先ず思い出す。不安だ、寂しい......何故か。次にその出来事を思い出し、目の前にいる人と結びつける時、妄想が出きる」

「当院には、聞きとったたくさんの思い出帳があり、皆で過去に旅をする。受け容れの中で、繕わず安心して失敗ができる。いたわりあい、ねぎらいあい、笑いあう。そして家庭でも落ちついて活気を取り戻していく」

宋先生は、こう結びます。「認知症は進行性の病気ですが、綻びに継ぎをあてるように適切に接すれば、不安を安心に、不定を定住に変えることができ、穏やかに家族と暮らせるように必ずなるはずです」。

 

デイケアの取り組みは「つまずき」の回避から

申し送り中のデイケアスタッフの方々申し送り中のデイケアスタッフの方々

同クリニックは、開業当初から重度認知症デイケアを併設しています。「それまで京都市内にあった精神科デイケアは統合失調症の患者さんが対象だったので、認知症デイケアのモデルを作り地域に発信したいという思いがありました」と宋先生は語ります。

このデイケアで、特に気をつけて実践しているのは、「つまずきを減らして心の安定を図る」こと。「つまずき」とは、患者さんが「できない」「わからない」という事態に直面して、不安、落ち込みを感じることを指します。そんな「つまずき」を減らし、心の安定を取り戻して初めて、「意欲・想い・笑顔を引き出す」ことができる。さらに、その結果として「言葉と笑顔が増え、心が元気になる」と考えて患者さんと向き合っています。

主任看護師 康哲虎さん主任看護師 康哲虎さん

主任としてスタッフを束ねる看護師の康哲虎さんは、「トイレに行けばドアの開け方や、どちら向きに座るのかわからなくて途方に暮れる。楽しむための折り紙で、『知っていたはずの鶴の折り方がわからない!』とショックを受けてしまう。認知症患者さんの生活は『つまずきの種』で満ちあふれています」と語ります。患者さんが過度につまずかないように、スタッフが気を配りさりげなくお手伝いをする。不安を小さくして楽しい時間を増やすことで、意欲や笑顔を引き出していくのが、このデイケアのやり方なのです。

「ラジオ体操やカラオケも普通のテンポでは付いていけず、それが『つまずき』になってしまいます。口伴奏やアカペラで、ゆっくりとしたペースで楽しく実践します。パズルやゲームも能力を試すような雰囲気にならないよう注意しています」(康さん)。

 

利用者全員で美術館や寺社めぐりを楽しむ

准看護師 幸山恵美子さん准看護師 幸山恵美子さん

デイケアのスタッフである准看護師の幸山恵美子さんも、「失敗して叱られたり笑われたりすれば、何事にも消極的になるのは当然でしょう。安心して過ごしていただけるように、大らかな雰囲気を大切にして、人生の先輩への尊敬も忘れないように心がけています」と語ります。

「診療報酬が25%削減されてから経営的には苦しいのですが、必要性が再び認められることを信じて頑張っています」と宋先生は語ります。

ビルの1室を使ったデイケアのため、気分を変えるためにもよく外出をしています。文化施設が多い京都の特徴を生かし、全員で美術館や寺社をめぐったり、特に混乱が強く落ち着かない方はスタッフが付き添って個別に外出するなど、スタッフの創意工夫と精神科ならではの臨機応変な対応が強みになっています。

 

「家族の会」との連携も

京都には「認知症の人と家族の会」の本部があります。「同じ立場である人にしかわからないことがあります。決して他のところではわかってもらえない苦しみ・悩み・歓び。当事者が集う場でしか得られない対応の知恵......医療だけでは得られないもの」(宋先生)。

積極的に「家族の会」を勧めると同時に、2ヵ月に1回自院でもデイケアの家族会を催しているそうです。

 

取材日:2013年3月27日
北山通ソウクリニックの外観

北山通ソウクリニック


〒606-0957
京都府京都市左京区松ヶ崎小脇町8-2
TEL:075-706-8500

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