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BPSDを軽減し3ヵ月で退院を可能に
<山形県南陽市 社会医療法人公徳会 佐藤病院>

社会医療法人公徳会 理事長 佐藤忠宏先生 社会医療法人公徳会
理事長 佐藤忠宏先生

重症の認知症患者を担当することが多い精神科病院ですが、山形県南陽市の佐藤病院では、約3ヵ月で退院できるところまで症状を改善することに成功しています。その背景には、地域に開かれた医療の実践による技術と熱意の蓄積がありました。

スーパー救急病棟も擁する医療・福祉拠点

「当院に入院してくる認知症患者さんの多くは、BPSD(周辺症状)が強く出ている重度の方ですが、それでも2ヵ月で50%、3ヵ月で75%、1年で90%が退院していきます。認知症は根本治療ができない疾患ですが、BPSDを軽減して自宅や施設での生活に戻ることは可能なのです」(佐藤理事長)。

山形県南陽市、社会医療法人公徳会の理事長、佐藤忠宏先生は、力を込めてこう語ります。

スーパー救急病棟(精神科救急病棟) スーパー救急病棟(精神科救急病棟)

佐藤病院のルーツは1979年に開業した佐藤神経内科医院。病床を持たないクリニックでしたが、外来と入院治療をスムーズに繋ぐには、やはり自院に病床が必要と考え、3年後の1982年に98床の佐藤病院を開設。さらに1986年に認知症老人病棟(20床)の増床と精神科デイケア・老人デイケア施設を開設するなど次々と施設・組織の整備を行い、30年あまりたった今、2病棟108床の精神科救急病棟(以下、スーパー救急病棟)を含む5病棟258床、充実したデイケア施設、さらに隣接して介護老人福祉施設やグループホームも備わった医療・福祉の一大拠点となっています。

 

3ヵ月での退院を実現するプログラム

BPSDが強く、いわゆる「問題行動」がある場合、まず「鎮静」に導くことが必要です。精神科の専門スキルを存分に発揮し、非定型抗精神病薬や気分安定薬などを効果的に使用して、できるだけ早く鎮静に導くことが大切なのだと佐藤理事長は言います。

「当院の平均的な治療プログラムでは、最初の1ヵ月で『問題行動』をほぼ鎮静させ、2ヵ月目には、それぞれの状況や症状に応じて作業療法などのリハビリを開始します。特に過鎮静になると廃用障害を起こす心配があり、それを防ぐため身体的なリハビリに早く取りかかるのが大事ですし、患者さんによっては鎮静が途中でもリハビリを始めることもあります。集団で活動することがBPSDの抑制にプラスに働くことがあるからです」(佐藤理事長)。

同院では入院時、「3ヵ月で退院することを目標に治療をするので、準備と心構えをしておいて下さい」という約束を家族や介護者と交わしています。そして、入院2ヵ月目からは外出や一時帰宅を始めます。「入院前に介護者を最も困らせていた症状が落ち着いている様子を早めに示すことで、退院後の生活への不安が軽減されます。患者さんへの治療だけでなく、家族の気持ちのケアもタイミングとスピードが重要なのです」(佐藤理事長)。

3ヵ月目になると外出・外泊を増やし、外泊先からデイケアに通うことを始めます。これは家族にとっても、退院後の生活の予行演習になります。「デイケアを利用すれば、自分の時間を持てるということを実体験してもらうのです。何事も退院後を考えて取り組んでいます」(佐藤理事長)。

佐藤病院 看護師長 佐藤茂さん 佐藤病院 看護師長 佐藤茂さん

看護師長の佐藤茂さんも、「入院の際、『家族でぎりぎりまで頑張ったけれど手に負えなくなった』というケースが多いので、『また一緒に暮らせる』という喜びを持って退院されるのは、私たちにとっても大きな喜びです。ご家族の事情も色々ありますが、『嬉しい退院』を実現できるように努めています」と語ります。

 

技術力、組織力、総合力で患者を支える

精神科の病院が重度の認知症患者を受け入れた後、退院が難しくなる状況が全国で起こっているなかで、同院で3ヵ月での退院が可能となる背景には、まず、「開放的で地域に開かれた医療」を理想とし、医師や看護師を厚く配置して、早くからスーパー救急の厳しい基準をクリアし、高い実績をあげてきた精神科病院としての技術・ノウハウの蓄積があります。認知症への取り組みも早く、1986年に認知症老人病棟を、1992年には重度認知症患者デイケアを整備しています。現在は、認知症と名がついた病棟はありませんが、「療養病棟」が実質的に認知症病棟として活用されています。

また、スーパー救急病棟に入院する患者さんの35%ほどが認知症ですが、冒頭に示した退院率はこの救急病棟に入院する認知症患者さんも含めた数字です。

「重度認知症デイケアには毎日100名ほどの患者さんが通って来ます。このデイケアを使えるから安心して退院できるという面もあります。さらに特別養護老人ホーム、老人保健施設、認知症グループホーム、介護付き有料老人ホームを公徳会グループで運営しており、これらの資源を使えることも大きいですね」(佐藤理事長)。

 

すべての専門職が治療プランを共有

高齢者の場合、内科疾患も抱えている患者さんが少なくありません。内科疾患や多剤服用が認知症を悪化させることもあるので、まず内科の治療に取り組み、院内で対応しきれない場合は、入院したまま連携病院に通うこともあります。

看護師長の佐藤さんは、「認知症の症状が目立つ場合は、内科疾患が見落とされるリスクがあります。自宅から来られた方に多いのですが、脱水が原因でせん妄を起こしていて、水分補給をするだけで落ち着くこともあるのです。私たち看護師も検査のデータや患者さん、ご家族の様子に注意して、見逃さないように努めています」と語ります。

患者さん一人ひとりに対して、入院時、中間、退院前の3回、ミーティングが行われ、医師、看護師、作業療法士、精神保健福祉士、薬剤師、ケアマネジャーなど、患者さんに関わるすべての専門職が集まって議論を交わしています。家族が参加することも珍しくありません。

佐藤病院 精神保健福祉士 小島由加里さん 佐藤病院
精神保健福祉士 小島由加里さん

精神保健福祉士の小島由加里さんは、「退院への道筋を具体化するのが私の仕事ですが、当院では職種間の情報交換が円滑ですし、私と同じ精神保健福祉士も複数いて、質の高いサービスが提供できていると思います。ただし、認知症の場合、ご本人の意向を確かめるのが難しいので、ご家族の目線になりすぎていないか、常に自分に問いかけています」と語ります。

 

地域の連携づくりの拠点として

認知症疾患医療センター 精神保健福祉士 上村静さん 認知症疾患医療センター
精神保健福祉士 上村静さん

2011年4月、山形県内3ヵ所に設置される認知症疾患医療センターの1つが佐藤病院に開設されました。担当するのは置賜地方3市5町です。

同センターに所属する精神保健福祉士の上村静さんは、「仕事は大きく3つあって、認知症の情報を地域に伝えること、相談から診断へと繋げること、地域の連携を築くことです。難しい仕事ばかりですが、そもそも院内やグループ内の連携が密に行われていますし、相談に対してもすぐに適切に対応できる組織力がバックについているので、やり甲斐を感じて取り組むことができます」と語ります。

同センターが情報発信事業として開催するセミナーは、専門家向けから一般市民向けまで幅広い内容で、トータルで1~2ヵ月に1回の頻度。「一般の方たちの関心が高いことに驚かされます。基本的なことだけでなく薬のことなど専門的な情報を求める声も多いので、そんなニーズにも応えていきたいですね」(上村さん)。

 

最も大切なのは諦めずに治療に取り組むこと

同院の退院率の高さから、そのノウハウを知りたいという講演依頼も多く寄せられます。「スーパー救急病棟の基準を維持できる設備、マンパワーと技術があれば実現できる。つまり、それがなければ無理ですという話をします。しかし、強調しておきたいのは、医療者でさえ、認知症は治らない疾患だと消極的に考えている人もありますが、当院のように結果が出る治療をしていると、どんな人も前向きになるということです。結局は、やる気、覚悟の問題です。ここは病院ですからね、『治してナンボだ』と医師やスタッフに常々、言っています。諦めたらダメなのです」(佐藤理事長)。

 

 

取材日:2013年2月13日
佐藤病院の外観

社会医療法人公徳会 佐藤病院

〒999-2221
山形県南陽市椚塚948-1
TEL:0238-40-3170

施設のホームページへ

 

ドミール南陽の外観

介護老人保健施設 ドミール南陽


〒999-2221
山形県南陽市椚塚940
TEL:0238-40-3888

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ぬくもりの家の外観

認知症グループホーム ぬくもりの家


〒999-2221
山形県南陽市椚塚929
TEL:0238-43-4171

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ヒルサイド羽黒の外観

介護付有料老人ホーム ヒルサイド羽黒


〒999-2221
山形県南陽市椚塚1410
TEL:0238-43-8600

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