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“普段着”の親身な対応で患者さんとご家族を支える
<鹿児島県鹿屋市 鹿屋在宅支援診療所>

医師 原田努先生 医師 原田努先生

高齢化が進み、在宅医療が重要なテーマである鹿児島県にて、大隅半島の中心にある鹿屋市で地域の在宅医療を支える鹿屋在宅支援診療所。脳外科医としてキャリアを重ねたのち、地方での在宅医療を自らのテーマとした原田努先生が診療所を開業して約2年。在宅でも外来でも、常に患者さんとご家族に寄り添い、「どうすればより楽しい人生を送れるか」をともに考えながら、診療に努めています。

鹿屋地域で唯一認知症を診る在宅専門医として

鹿屋市には在宅で患者さんを診る医師がいない--鹿屋在宅支援診療所の院長、原田努先生が本格的に在宅医療に取り組みはじめたのは、そうした地域医療の現状を案じてのことでした。

原田先生の専門はもともと脳外科。大きな病院勤務ではできない“患者さんと向き合う”という医療に取り組みたいと、鹿屋市内の病院にて、専門の脳外科と予防ドック、在宅医療を中心に研鑽を重ねました。

原田先生が鹿屋在宅支援診療所を開業したのは2011年。「脳外科は障害が残った患者さんを診ることもありますので、在宅での診療が非常に重要です。しかし鹿屋市周辺には私以外に在宅医療を専門にする先生はおらず、それならば私が自分でやろうと意を決したのです」と開業のきっかけを語ります。

 

脳外科の視点で認知症患者さんを診ることの大切さ

原田先生は脳外科の専門家として病因の異なるさまざまな認知症患者さんを診てきた経験から、在宅でも認知症患者さんの病因を知って患者さんを診ることを心がけ、診療を行っています。

「脳外科的な認知機能の低下と高齢になってからの物忘れは異なります」。原田先生は診断の大きな要点をそう指摘します。脳血管性認知症と脳萎縮性の認知症の患者さんでは症状の現れ方も異なり、対処法も違ってきます。

「言葉が出なかったりコミュニケーションできなかったりすると世間では認知症だと思いがちですが、脳卒中の患者さんで寝たきりで言葉が出せなくても認知機能に問題がない場合があります。単に言葉が出ない、忘れっぽいというだけで認知症だという先入観を持ってはいけません。また認知症の中でも、脳血管性とアルツハイマー型はしっかり分けて対応すべきです」(原田先生)。

 

問診では“症状”よりも“物語”を聞く

アットホームな雰囲気の待合室 アットホームな雰囲気の待合室

同診療所は、午前は予約の外来診療、午後は毎日10~15軒の患者さん宅に往診しています。往診エリアは鹿屋市とその周辺、時にはロケット基地のある町まで出向くこともあります。先生が訪問診療で受け持つ患者さんは現在200人程度になります。「外来に来ることができる患者さんは外来に来てもらっています。外来はほとんどが認知症患者さんです。もとは病院嫌いで治療が進まず困っていた患者さんも、今では楽しく私たちの診療所に通っています。うちに来ると何か楽しいことがあると思われるのかもしれませんね」と原田先生が笑顔で話す通り、同診療所の様子は、いわゆる“病院”とは大きく異なります。

初診の患者さんはまず看護師が約30分かけて問診し、長谷川式簡易評価スケール等の心理テストも併せて行います。問診のポイントは患者さんご本人とご家族から、それぞれの “物語”を聞くこと。「認知症の診療で大事なのは、これからの人生をどう楽しく過ごしていくかということ。そのために症状ではなく“物語”を聞くことが大切です」(原田先生)というのがその理由です。「例えば、まったく食べ物を受け付けなかったおばあさんが再び食べられるようになったきっかけは“イカせんべい”でした。若い頃、ご主人とよく食べた “イカせんべい”の味は患者さんにとって、大切な物語のひとつ。大切な物語を尊重し、患者さんの環境に合わせて、治療のきっかけを探していくことが大切だと思っています」(原田先生)。

「患者さんの“物語”に触れることで、私は多くのことを教えてもらい、幸せを分けてもらっています」と語る原田先生は、笑顔で患者さんに寄り添うことで、患者さんの中にあった大切な“物語”を開き、治療に結びつけています。

 

患者さんがまた診療所に行きたくなる、明るい雰囲気の外来スタッフ

医療事務 岩重真理子さん 医療事務 岩重真理子さん

診療所のスペースの約半分は待合室兼喫茶室になっており、ゆっくりくつろげる空間があります。ここではスタッフがお茶を出したり、話をしたり、一緒に写真を撮ったりとまさしく喫茶店のよう。

看護師も事務スタッフも、白衣や事務服は着ていません。初夏から夏はおそろいのTシャツというカジュアルなスタイル。これも患者さんやご家族が親しみをもってコミュニケーションできるようにとのスタッフの心配りからです。

医療事務 岩重藍さん 医療事務 岩重藍さん

同診療所で医療事務を切り回しているのは、岩重真理子さん、岩重藍さん、鳥取広美さんの3人。それぞれが事務職という仕事の範疇を超えて、常に親しみを込めて患者さんとご家族に接しています。

「泣きながら相談に来られるご家族からは、親身にとことんお話を聞くようにしています。また患者さんの中にはここを病院だと思っていない人もおられますから、お帰りになるときは『またお茶を飲みに来てね~』と送り出しています」(岩重真理子さん)。

医療事務 鳥取広美さん 医療事務 鳥取広美さん

「メニュー表を置いていますので『何をお飲みになりますか』とお店感覚で聞いたりしています。私が鹿児島弁を教えていただくことも多いですね」(岩重藍さん)。

また、鳥取さんは90歳の患者さんにプロポーズされたというエピソードの持ち主。「ここで働いてまだ数ヵ月なので患者さんに教えられることもしばしばありますね。ここならではのアットホームな雰囲気を大切にしたいと思っています」(鳥取さん)。

原田先生は「まず彼女たちが患者さんを和ませてくれるから、私は落ち着いて診られるのですよ」とスタッフに大きな信頼を寄せています。

患者さんに人気の喫茶メニューのひとつ 紅茶 患者さんに人気の喫茶メニューのひとつ紅茶

 

往診時もひとりひとりと大切に向き合って

看護師 末永美保さん 看護師 末永美保さん
看護師 馬込ちくささん 看護師 馬込ちくささん

看護師は2人体制で2組に分かれて対応しています。馬込ちくささんは先生との訪問診療に同行し、末永美保さんは状態変化の連絡があった患者さん宅へ訪問診療日ではなくても先生と連絡を取って訪問し、状態把握や採血や点滴処置等に応対するという体制を取っており、どんな患者さんにも迅速にかつ適切な対応ができるようにしています。

患者さんやご家族の視点に立った親身で手厚い対応は在宅医療の場合でももちろん同じ。末永さんは「点滴の間などに世間話をしてご家族の様子を聞いています。話をしたいというのがご家族の顔に出てらっしゃることがよくあります。介護のご苦労などをお聞きして、少しでも肩の力が抜けた様子だったり『聞いてもらってありがとう』と言われた時はうれしいですね」(末永さん)。

また、原田先生は訪問して診察したあと、そこで書類作りを行います。「書類は診療所に帰ってからでも作れます。でも、在宅の診療だけなら5分で終わるところを書類を作ると20分かかる。医師が20分お宅にいることが患者さんやご家族の満足につながるとも考えています」(原田先生)。

先生が書類を作っているあいだに患者さんやご家族からお話を聞くのも、もちろん同行する看護師の役割。「具体的なご相談の場合もありますが、お茶飲み話のようなことが多いです。患者さんが昔の仕事の話を話されるうちに表情がいきいきしてくるのをみると、私もお話を聞けてよかったと感じますね」(馬込さん)。

実は原田先生は書類に向かいながらもそうした会話をしっかり聞いているとのこと。「医師の私には話しにくいことでも、看護師の彼女たちには気軽に言える場合もありますからね」(原田先生)とさりげなく連携をとり、聞いた会話を診療に生かしています。

 

患者さんの“楽しい暮らし”のために関係者が連携を

在宅医療に力を注ぎながらも原田先生は「認知症の患者さんは、来られる限りは診療所に来て欲しい」と訴えます。「来院されるのは治そうという意欲のあらわれ。そうした前向きの姿勢が症状の改善につながる」からです。

「そもそも80歳、90歳の方にとって物忘れは恥ずべきことではありません。薬で記憶力を回復させるのが治療の目的ではなく、患者さんとご家族が楽しく暮らせるよう支えるのが治療であり、私たちの役割なのです」と原田先生は力を込めて語ります。

「例えば、寝たきりで胃ろうをしているおばあちゃんを、軽い認知症のあるおじいちゃんが世話をしている。すごく大変そうにみえるけれど、おじいちゃんにとっておばあちゃんの世話は生きがいなのだから、入院させてその生きがいを奪ってはなりません。お二人の生活を、地域の医療、介護の関係者が連携して支えることが必要です」(原田先生)。

「大事なのは、ある患者さんに対して具体的に、医療や介護の関係者が話し合い連携すること。夜になるとケアマネさんたちが集まってきてわいわい話し合う、この診療所をそんな場所にしたいと思っています」(原田先生)。

 

 

取材日:2013年5月30日

鹿屋在宅支援診療所の外観

鹿屋在宅支援診療所

〒893-0022
鹿児島県鹿屋市旭原町3608-1
TEL:0994-45-5844
Mail:kanoya.zaitaku.shien@me.com

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