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神経難病を専門とする視点から認知症を考える
<大阪府大阪市 地方独立行政法人 大阪府立病院機構
大阪府立急性期・総合医療センター>

神経内科 主任部長 大阪難病医療情報センター センター長 狭間敬憲先生 神経内科 主任部長
大阪難病医療情報センター センター長
狭間敬憲先生

大阪府立の唯一の基幹総合病院として様々な疾患の診断・治療に取り組む急性期・総合医療センター。神経内科では神経難病、脳卒中を主に手がけていますが、その専門性を生かし将来は認知症医療にも力を入れたいと考えています。

専門性の高い治療を行う府立唯一の基幹総合病院

大阪府立急性期・総合医療センターは、大阪府下に5つある府立の医療センターのなかで唯一の総合病院です。組織は急性期医療部門、専門医療部門(内科系診療科・外科系診療科)、中央部門(麻酔科、画像診断科、放射線治療科など)、高度医療センター、障がい者医療・リハビリテーション医療部門、広域的機能部門の6つに分かれていて、認知症の診断・治療は専門医療部門の神経内科や精神科で行われています。

神経内科外来では約300名のアルツハイマー病患者さんが受診していて、そのほとんどは、普段、かかりつけの開業医のもとで治療を受け、定期的に同医療センターに検査・診察に訪れる患者さんです。

2012年1月から12月までの1年間に神経内科の病棟を退院した患者さんは865名で、そのうち脳血管障害(急性)が225名、神経変性疾患が337名でした。アルツハイマー病は神経変性疾患のひとつですが、入院した患者さんは10名強にとどまり、ALS(筋萎縮性側索硬化症)が103名、パーキンソン病が123名を占めています。非常に稀なハンチントン病の患者さんも4名いました。

ハンチントン病の患者さんは外来もふくめると、大阪府下の患者さんの半数が、この医療センターで治療を受けています。

 

若年発症で進行も早い神経難病に取り組む

神経内科の主任部長で、広域的機能部門の大阪難病医療情報センター(大阪府域唯一の難病の拠点病院である大阪府立急性期・総合医療センターに併設)のセンター長でもある狭間敬憲先生は、1993年に大阪難病医療情報センターが誕生したときに着任して以来(センター長には2001年に就任)、神経難病患者さんの医療環境の改善に取り組んできました。

「誤解を招く言い方ではあるのですが、ALSなど比較的若くして発症する神経難病の患者さんを多く診ていると、認知症、特にアルツハイマー病は過度に怖がる必要はないと思えてきます。70~80代になれば誰にでもみられる『もの忘れ』が、他の人より強く出ているわけで、地域コミュニティがしっかりしていれば、家族や知人・友人に支えられて、不安を持たずに平穏に暮らせる可能性も高い。だから一般の方が対象のセミナーなどでは敢えて、『怖くない』『心配いらない』というメッセージを発信しています」と狭間先生は言います。

ALSは急速に筋力が失われていく病気で、呼吸筋麻痺で亡くなる患者さんも少なくありません。好発年齢は50~60代、原因不明で治療法もありません。「ALSの患者数は全国で8千名。大阪府では約500名で、毎年100名が発病し100名が亡くなっている状況です。在宅で人工呼吸器を使っている患者さんも多く、普段の診療は神経内科に加え、麻酔科及び呼吸器内科、総合内科などを専門とするかかりつけの先生が担当しています」(狭間先生)。

 

認知症と似た症状から始まる難病に要注意

神経難病のなかには認知症を症状のひとつに示す病気も少なくありません。パーキンソン病の患者さんは症状の進行とともに、高い確率で認知症を合併するようになることが知られています。

「レビー小体型認知症と並んでパーキンソン症候群と考えられる進行性核上性麻痺や大脳皮質基底核変性症も、一般には運動症状が進行するとされていますが、精神症状が先行することもあります。その場合、人格変化や異常行動などが主症状としてみられることがあり、前頭側頭型認知症(FTD)と鑑別が難しいことがあります」(狭間先生)。

神経難病なのに認知症と診断されることも、稀ですが考えられます。「可能性が高いのはハンチントン病ですね」と狭間先生は言います。この病気は、特徴的な舞踏運動がみられるのですが、それよりもずっと先行して精神症状・性格異常が先に出ることもあり、精神科を受診して認知症だと診断されることもあります。

歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)という病気も、小脳変性による不随意運動や運動失調が先に出ると正しく診断されますが、認知機能障害など精神症状が先行することがあります。神経ベーチェット病やシェーグレン症候群なども稀に認知症状が先行します。

「これらの疾患は神経変性疾患を専門としている神経内科の専門医でないと見逃してしまう可能性があります。神経変性疾患の多くは根治療法がなく遺伝子の異常によるものも多いため、その診断や告知には、カウンセリングによるメンタルケアなども含め専門的な経験やスキルが必要とされます。社会的責任のある年代で発症する若年性認知症などでも同様の対応が望まれます。一方で、副腎や甲状腺の代謝異常などが原因で認知機能障害が出ている場合は、早く治療すれば完治します。しかし、対処が遅れると症状が残ることもあります。神経難病が稀な病気だからこそ、神経内科医として常にこれらの病気を念頭に置き、決して見逃すことのないよう、正確な鑑別診断を目指しています」(狭間先生)。

 

かかりつけ医との連携なしには治療が成り立たない

同医療センターで認知症の入院治療も行っていますが、多くないのは、他の病院では対応できない稀な神経難病の患者さんや急性期の脳卒中患者さんが多く、認知症患者さんを受け入れることが物理的に難しいからです。

慢性病でケアの難しい神経難病の患者さんでも入院期間は2週間。その間に、いくつかの治療薬を試して効果や副作用の有無をチェックしたり、ご本人やご家族に治療や生活上の注意点を伝受したり、地元の開業医や福祉サービスとの連絡調整などを行います。つまり入院は、在宅医療に移行するための準備期間なのです。

「少し前まではもっと長く入院してもらえたのですが、患者さんが多く集まるようになったこと、および入院医療システムの変化により、在宅医療との連携なしには治療が成り立たなくなっています。普段はかかりつけの先生に診ていただき、定期的に外来で検査したり、症状が強くなったときやご家族が疲れたときに一時的に入院する形です。この仕組みは、そのまま認知症医療でも活用できるはずだと思っています。人工呼吸器が必要で、様々な医療処置が必要なALSでも在宅で診ているのですから認知症でも大丈夫です。いずれは、当院でも認知症患者さんをフォローできる体制をつくり、認知症疾患医療センターとして地域に貢献したいと思っています」(狭間先生)。

混乱のなかにある患者さんに寄り添い、ともに歩くことが大切

「『認知症は怖くない』と言いましたが、ご家族にかかる負担は大きいですし、若年性の場合や、対処の難しい前頭側頭葉変性症など『心配ない』では済まない状況があるのはよくわかっています」と狭間先生は言います。

ALSもアルツハイマー病も根治療法がないという点は同じです。「過酷な運命と向き合っておられるALSの患者さんから、ほんとうに多くのことを学びました。認知症の患者さんも思いは同じだと思います。『覚えられない』『判断できない』という現実が悔しくて哀しくて、混乱したり怒ったりしつつ、時間の経過とともに、少しずつ受け入れていかれるのでしょう。そこで必要なのは主治医、そして医療・介護スタッフが患者さんに寄り添って、共に歩いていくこと。治すことができない疾患だからこそ、『独りじゃない』ということを患者さんに伝えることが大事だと思います」(狭間先生)。

 

 

取材日:2013年6月4日

大阪府立急性期・総合医療センターの外観

地方独立行政法人 大阪府立病院機構
大阪府立急性期・総合医療センター

〒558-8558
大阪市住吉区万代東3丁目1番56号
TEL:06-6692-1201

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