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医院全体で地域に合ったメンタルヘルスケアを提供する
<福岡県北九州市 黒崎中央医院>

院長 丸岡隆之先生 院長 丸岡隆之先生

「診察室以外で、どれだけ充実したケアを提供できるかが重要です」と患者さんに向かう姿勢を語る丸岡隆之先生は、久留米大学医学部精神科での約20年の経験を経て黒崎中央医院を開業。地域密着型のメンタルヘルスケアに力を注いでいます。

医局で得た知識、経験を地域のメンタルヘルスケアに生かす

2001年、ハワイのオアフ島沖で、愛媛県立宇和島水産高等学校の練習船「えひめ丸」がアメリカの原子力潜水艦に衝突され沈没。この事故により、えひめ丸の乗務員35人のうち9人が死亡し、救出されたうちの9人がPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断されました。

黒崎中央医院院長の丸岡隆之先生は、当時久留米大学医学部精神科に在籍。被害を受けた生徒たちの調査やケアに携わりました(丸岡先生)。

「トラウマケアなどの臨床精神医学を専門の1つにしていましたので、えひめ丸以外にも西日本で発生した大きな事故に関わる機会がありました」。

2013年6月オープンの介護施設 2013年6月オープンの介護施設

そう振り返る丸岡先生は、約20年間の大学時代にトラウマケアや集団認知行動療法、精神科急性期治療病棟における集団療法などを専門的に行ってきました。その経験を地域のメンタルヘルスケアに生かすため、2012年5月に同院を開業。精神科・心療内科を標榜に掲げ、うつ病や認知症の外来診療のほか、復職支援や家事復帰などを目的とする集団認知行動療法にも取り組んでいます。

認知症の患者さんは全体の2割ほど。「認知症の啓発が進み、また、精神科医療への敷居が低くなったため、軽いうちから来院される患者さんが増えてきた」と丸岡先生は見ています。

地域の病院と連携しながら適切な検査、鑑別を

認知症の初診の患者さんは、まず看護師か臨床心理士が予診を行い、長谷川式簡易評価スケール、MMSE(認知機能検査)へと進みます。MRIなどの画像診断は地域の病院と連携しており、早ければ診察したその日のうちに撮影できます。また、レビー小体型の場合は視覚に異常が出る場合があることから簡単な視覚テストを、さらに、SDS(うつ性自己評価尺度)も行います。

「高齢者の軽度のもの忘れの場合、うつなのか認知症なのか、その区別が難しく経過を見て判断することもあります」と丸岡先生は言い、いくつかの薬物療法やリハビリテーション、環境指導等を組み合わせて患者さんに適した治療を進めています。

認知症の薬剤の選択肢が増えたことに関連して、丸岡先生は「貼り薬を処方した患者さんでは、1日に1回ご主人が奥さんの肌に触れるようになり、少し距離ができていた夫婦の関係が好転し、奥さんが喜ばれたことがありましたね」と印象を語る一方、今後はその人の症状や生活環境に合った薬剤を早期から適切に選択できるよう、学会等の指針が必要だと指摘します。

 

院内の「治療的な環境づくり」に心を配る

臨床心理士 森久美子さん 臨床心理士 森久美子さん
院内に飾られている丸岡先生の作品 院内に飾られている丸岡先生の作品

小回りのきいた柔軟な対応は、同院の特長の1つ。臨床心理士として予診や心理検査を担当する森久美子さんは「個人のクリニックですから、心理関係の仕事だけやればいいというわけにはいきません」と、待合室の様子にも目を配り、院内の誘導や案内役も務めます。

森さんが認知症の患者さんと接するとき常に心がけているのは、できるだけ患者さんのすぐそばでコミュニケーションをとること。

「高齢の方は、心理的な距離と物理的な距離とが比例すると思っていることが多いので、近づいて手を添えて話をするなどして、安心してもらうよう心がけています」(森さん)。

また、院内には著名な作家による絵画などがいくつも掛けられ、患者さんの眼と心を癒やしています。これは「治療的な環境づくりに配慮する」という丸岡先生の考えのあらわれです。

「特に認知症の患者さんの場合、社会的に大人である部分をできるだけ維持するよう考えるべきです。認知症はよく“退行”や“子供帰り”と混同されがちですが、これは間違いです。へんに子供扱いしてしまうと症状が悪化してしまうこともあります」(丸岡先生)と注意を促します。

 

外来だけではなく、訪問診療や集団療法も

丸岡先生の診療への取り組みは、医院での外来だけにとどまりません。訪問診療と集団認知行動療法に週のうちの半日ずつを充てています。

「実は開業当初、訪問診療をする予定はありませんでしたが、頼まれたので始めてみたら、次から次へと依頼が続いてきました。この地域には往診している精神科医がほとんどいないせいか、高齢で通院できない方には非常に喜ばれますし、こちらも患者さんの様子がわかるので、やる意義はあると思っています」(丸岡先生)。

日ごろからの連携先である近隣の「ひつじ薬局」とは、この訪問診療においても密に連携。丸岡先生は大きな信頼を寄せています。

「薬剤師さんの精神科の知識が豊富で説明能力が高いですし、訪問診療先にお薬を届けてくれるので、私と合わせて週に2回患者さんの様子が確認できます」(丸岡先生)。

集団認知行動療法は丸岡先生が大学時代から研究を続けてきたテーマで、自身のものの捉え方、対応の仕方を変える療法に他の人と一緒に取り組むのが特長です。

また、2013年7月から集団回想法のプログラムがスタートしました。これは思い出を語り合うことで精神状態の安定を目指すもので、認知機能の改善にも効果があると期待されています。

 

地域に合った診療を施設全体で提供するこが目標

丸岡先生はさらにデイケアサービスの導入も視野に入れています。なぜ外来の診療だけでなく、こうしたさまざまなケアに取り組むのか――それは先生が「診察室の中だけの医療以上のものを提供すること」を同院の目標に置いているからです。

「開業しているからには、できるだけ多くの患者さんに来ていただきたい。しかし患者さんが増えれば増えるほど、1人にかけられる診察時間は少なくなってしまいます。この問題への対応として、短時間での効果的な診療を目指すとともに、集団療法やデイケアなど診療以外の時間を患者さんのために生かそうと考えたのです。人員の確保や教育などいろいろ課題はありますが、診察室だけでなく医院という施設全体でケアを提供できるようにしたいですね」(丸岡先生)。

これからの認知症診療に関する課題として、森さんは「軽度の患者さん向けのケアプログラムが必要ではないでしょうか」と述べ、丸岡先生も「重い人にはデイケアやデイサービスがありますが、もの忘れがありながらも日常生活を維持できているレベルの人を支える仕組みが必要です」と指摘します。

「早期の段階から来院される方が増えてはいますが、北九州市の高齢化率は政令指定都市の中で最も高い。診なければならない認知症の患者さんはもっと多いはずです。この地域の患者さんの傾向をつぶさに観察しながら、この地域に合ったケアを提供していきたいと思っています」(丸岡先生)。

 

 

取材日:2013年5月27日

黒崎中央医院の外観

黒崎中央医院

〒806-0022
福岡県北九州市八幡西区藤田四丁目2-6
TEL:093-616-7106

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