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歴史ある大規模病院が生んだ小さな救急病院
<大阪市大正区 社会医療法人北斗会 ほくとクリニック病院>

ほくとクリニック病院 院長 深尾晃三先生 ほくとクリニック病院
院長 深尾晃三先生

大阪市大正区で2003年に誕生したクリニックが、5年後にはスーパー救急と認知症疾患医療センターを開設。豊中市で60年の歴史を持つ大規模病院のノウハウと資源・人材を生かし、人と向き合う医療の実践を進めています。

豊中市「さわ病院」の50周年記念で誕生

大阪ドームに近く、事業ビルが建ち並ぶ街なかに立地する「ほくとクリニック病院」は、50床の病棟で精神科救急に取り組み、認知症疾患医療センターにも指定されています。コンパクトな病院でありながら、これだけの役割を担えるのは、同院が大阪府豊中市の大規模な精神科病院、さわ病院の併設病院として位置づけられているからです。

さわ病院の創立50周年記念事業として「ほくとクリニック」が開設されたのは2003年。2008年に病院を新築、救急病院としてスタートを切りました。

スーパー救急病棟では、認知症の患者さんも統合失調症などの精神科疾患の患者さんも、区別することなく受け入れています。認知症治療病棟はないので、一定期間の入院が必要な患者さんは、さわ病院への転院などで対応することも多くなります。「一般の精神科病棟だと徘徊のある患者さんは行動制限が必要になって、体力の低下やBPSD(周辺症状)の悪化を招きます。認知症病棟は、患者さんが徘徊することを前提に安全対策がなされているので、認知症患者さんにはそちらのほうが適していると思います」と院長の深尾晃三先生は語ります。

 

離島で知った認知症でも困らない暮らし

2010年に、さわ病院から異動して院長および認知症疾患医療センター長に就任した深尾先生は、病院がある大正区の出身。琉球大学で学び、卒業直後に沖縄の離島に暮らす高齢者の認知症発症率を調査する厚生労働省のプロジェクトに参加した経験が、認知症に取り組む原点になっています。深尾先生はこの調査で、医学的には重度の認知機能障害があるのに、家族や地域に支えられて不自由なく明るく暮らすたくさんの高齢者に出会いました。「認知症でも精神疾患でも、診断基準の最後に『これらの症状によって生活に支障をきたしている』という一文があります。彼らは生活に支障がないので診断基準的には認知症ではない、つまり、離島の認知症発症率はとても低いことになります。医学的には同じ状態なのに、都会なら重度の認知症患者となり、離島ならご機嫌なお年寄りでいられるのです」(深尾先生)。

離島の地域コミュニティを都市に構築するのは不可能ですが、まちづくり、地域連携づくりのヒントになるはずだと深尾先生は考えています。「都市生活では老いや死が隔離されています。子どものころから認知症のお年寄りに身近に接することができる環境づくりから始めて、実現に数十年かかる夢ですね」(深尾先生)。

 

最初の相談相手となる責任を果たすために

認知症疾患医療センター相談担当 精神保健福祉士 中出陽人さん 認知症疾患医療センター相談担当
精神保健福祉士 中出陽人さん

精神保健福祉士 藤本理恵子さん 精神保健福祉士 藤本理恵子さん
中出さんが常駐している相談室 中出さんが常駐している相談室

初診の患者さんが多く訪れる一般外来では、1日5~10人ほどの受診者のうち2~3人が認知症患者さんです。

一般外来とは別に月曜日の午後、認知症疾患医療センターとの相談を経て予約をした人を対象とした外来が設けられています。センターの直通電話は救急と同じく24時間対応が可能で、1日に平均2本の電話がかかってきます。最初に相談に応じるのは精神保健福祉士の中出陽人さんと藤本理恵子さん。ふたりとも、さわ病院で8年ほど相談業務に携わってから、同院へと移ってきました。

「私たちは患者さんやご家族が悩んだ末に最初に相談する相手です。そのため、患者さんやご家族の中には思いが強すぎて、問題点を整理できていない方や、医療では解決できない悩みを吐露する方もいます。すぐに医療に繋ぐか、予約で待っていただけるか、福祉や行政に繋ぐか、交通整理とトリアージを行う役目なので、じっくり、しっかりと話を聞くことを心がけています」と語るのは、主に精神科救急を担当している藤本さん。

この4月から同院に赴任し、主に認知症疾患医療センターの相談窓口を担当する中出さんは、「早い段階から介護保険の申請方法などを説明して、適切なサービスを受けられるようサポートするのも重要な仕事です。住み慣れた地域で暮らし続けるためには、ご本人の安心はもちろん、ご家族が息抜きできる機会、雰囲気をつくることが大切です」と語ります。

 

検査を嫌がる患者さんにも無理せず時間をかけて

臨床心理士 藤本圭子さん 臨床心理士 藤本圭子さん
院内にあるCT(患者モデルは院長の深尾先生) 院内にあるCT
(患者モデルは院長の深尾先生)

診療放射線技師 辻義則さん 診療放射線技師 辻義則さん

心理テストは長谷川式簡易評価スケール、MMSE(認知機能検査)に加えて三宅式記銘力検査、時計描画テスト(CDT)を併用していますが、時計の絵に記入してもらう日付と名前を見当識のテストの代わりにするなど重複を省き、長時間にならないようにしています。

「検査に拒否的な患者さんには、雑談のなかに設問を盛り込むなどして、『試されている』という雰囲気にならないよう注意していますが、それでも立腹されることもあります。分からない、覚えられないことへのショックや悔しさを怒りにして吐き出すことも必要だと思うので、受け止めるようにしています」と語るのは臨床心理士の藤本圭子さんです。

CT、レントゲン、頸部エコーの画像撮影は、院内で行うことができます。診療放射線技師の辻義則さんは、「病識がなく、検査を嫌がっている患者さんは、じっとしてくださらないので撮影は難しいですね。雑談をしたり、健康診断だからとなだめたり、時間がかかることも多いです」と語ります。認知症もそのほかの精神疾患も、脳の器質異常で症状がでることもあるので、見逃さないように検査の精度をさらに向上させることが辻さんの目標です。

 

病気ではなく患者さんその人に向き合う

早期発見・早期治療の啓発が進み、軽症の段階で受診する人が増えてきました。認知症と診断されて、前向きに治療に取り組む人も増えています。「不安を抱えているよりハッキリさせたいと考える方が多くなってきたのは良いことですが、軽症の患者さんが利用できる福祉制度やサービスが整っていないので、早期診断によって不安だけが大きくなってしまうこともあります。サポート体制を早く充実させていく必要があると思います」と語るのは藤本さん。

深尾先生は、「離島のお年寄りの姿を思い返すと、『早期発見・早期治療だけが、認知症対策の正解か?』という疑問も浮かんできます。診断では、老化によるもの忘れと認知症によるもの忘れを区別しますが、認知症そのものが老化によって発症する病気です。老いてからの『幸せな暮らし』について、イメージをひとつに絞ってはいけないと思います」と語ります。

スタッフが全員携帯しているカード、 スタッフが全員携帯しているカード、
社会医療法人北斗会医療憲章「こころを
病む“ひと”をみる人のための10ヶ条」

同院では、社会医療法人北斗会が掲げる「こころを病む“ひと”をみる人のための10ヶ条」を記したカードを全スタッフが常に携帯しています。「朝礼で唱和するので、ほとんどのスタッフが暗記していると思います」と深尾先生は言います。10ヶ条には、病気に注目しすぎて、人としての患者さんの姿を見失うことへの戒めが繰り返し語られています。

「認知症も精神科疾患も、どこまでが病気でどこからが性格か線引きが難しいものです。患者さんの病気ではなく、病気と共に生きる患者さんその人に正面から向き合う姿勢が求められるのが精神科医療なのです」(深尾先生)。

 

 

取材日:2013年5月17日

ほくとクリニック病院の外観

社会医療法人北斗会 ほくとクリニック病院

〒551-0001
大阪市大正区三軒家西1-18-7
TEL:06-6554-1399
FAX:06-6554-3199

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