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地域で暮らせる仕組みづくりに取り組んで20年
<大阪府豊中市 社会医療法人北斗会 さわ病院>

社会医療法人北斗会 理事長 さわ病院 院長 澤 温先生 社会医療法人北斗会 理事長
さわ病院 院長 澤 温先生

さわ病院は住宅街のただ中にある大規模な精神科病院。患者さんが住み慣れた街で再び暮らせるよう就労・生活支援に力を入れてきた経験を生かし、認知症患者さんが安心して暮らせる街づくりに精力的に取り組んでいます。

1990年頃からノーマライゼーションをめざす

大阪市に隣接し、約40万人が住む豊中市で、1953年に開設したさわ病院。455床の病棟に加えて精神科デイケア、ショートケアなどを併設。さらに介護保険法や障害者総合支援法に基づく居宅介護支援や訪問看護、就労支援などの事業を行っており、大阪府の認知症疾患医療センター(圏域は豊中市・吹田市・池田市・箕面市・豊能町・能勢町)にも指定されています。

同院が重度認知症患者デイケア施設を立ち上げて、認知症に本格的に取り組み始めたのは1993年12月のことです。院長の澤温先生は、「私は、80年代後半にイタリアやデンマークの精神医療、精神科病棟、認知症を中心とする高齢者施設を視察・見学する機会に恵まれ、患者さんの残された能力を活用しノーマライゼーションを進める取り組みに感銘を受けました。1993年、まだ認知症がそれほど問題視されていなかった時代に、患者さんが長く地域で暮らすためのデイケア施設から始めた理由は、いずれ日本でもノーマライゼーションの考えに基づき住宅ケアが主流になると信じて、当院の仕組みを築こうと考えたからです」と語ります。

 

垣根を低く、常に地域とともにある病院

同院の事業や施設の至るところに、患者さんが地域で暮らせる社会をつくろうという方向性が強く表れています。例えば、地域保健福祉総合サービスセンターが手がける配食サービス事業は、独居高齢者が住み慣れた家で暮らし続けることを支援すると同時に、精神科患者さんの就労の場となり、地域の人たちが精神科の疾患や患者さんを知るきっかけになるという意図で取り組まれています。

また、一般市民が病院に来る仕掛けとして院内に銀行ATMを設けたり、社会復帰をめざす患者さんが暮らす施設を整えたり、常に地域とともにあろうとするのが同院のポリシーであり理念なのです。

2病棟計114床のスーパー救急病棟が整備されているのも、患者さんの暮らしを支えるためです。

澤先生は、「ある規模の病院なら夜間も休日も対応するのが当たり前だと思うのです。しかし、認知症疾患医療センターに指定されている医療機関でも24時間体制は少ないのが現状です。高齢の患者さんは合併症をもっていることが多いため、精神科病院で夜間にすべての救急対応するのは難しいのですが、それができる体制を整えるのが使命だと思って取り組んでいます」と語ります。

 

「相談したくない相談者」から悩みを聞き出す

認知症疾患医療センター 精神保健福祉士 野上智子さん 認知症疾患医療センター
精神保健福祉士 野上智子さん

同院の認知症専門外来への受診は、認知症疾患医療センターへの電話相談から始まります。担当の精神保健福祉士は、この電話で患者さんの症状や家族が困っていることを聞き取り、緊急性が高くすぐに受診すべきケースと専門外来を予約するケースに分けます。

「電話相談では、『かかりつけ医やケアマネさんに強く奨められたので、仕方なく電話した』とおっしゃるご家族も少なくありません」と語るのは、精神保健福祉士の野上智子さんです。この場合、相談者は「認知症ではなく歳相応のもの忘れだ」と信じていて、症状も把握していないことが多く、電話で状況を聞き出すのはかなり難しくなります。

「典型的な症状をいくつか例示して、『思い当たることはないですか?』と聞いていくうちに、『そう言えば......』という反応が返ってくるようになります。認知症についての知識と、答えを引き出すノウハウが必要です。さらに、小さなヒントを聞き逃さないよう緊張感をもって対応するよう心がけています」(野上さん)。

 

丁寧な予診で最大限の情報を引き出す

もの忘れ外来を受診する前に予診を行っているので、最初の相談のときに、受診日までの課題として、典型的な症状や行動が見られないか注意して見守ることや、時間経過で症状がどのように変化したかを思い出して整理することをご家族や介護者に依頼することも多いと野上さんは言います。これによって、最初の診察で適切な診断に至る素地がつくられているのです。

認知症疾患医療センター 医師 川嶋英奈先生認知症疾患医療センター
医師 川嶋英奈先生

「患者さんの症状だけでなくご家族との関係も詳細に把握し、整理して報告があるので、とても助かっています」と語るのは、認知症疾患医療センターに所属する精神科医の川嶋英奈先生です。

受診を拒む患者さんのために健康診断を装ったり、ご家族が緊張や不安のあまり問診に干渉してしまったり、もの忘れ外来は簡単に進まないことが多いものですが、同院では医師とパラメディカルの連携プレイで、患者さんの不安を増大させることなく診察することができています。

 

家族へのアドバイスで症状が軽減することも

「ご家族が患者さんにどう関わってきたかは、鑑別診断するうえで大きな要素になります」と川嶋先生は言います。BPSD(周辺症状)が強く出るようになると、混乱し動揺したご家族が間違った対応をしてしまい、症状が増幅することもあるからです。逆に、予想される症状や言動と適切な対応法をご家族に知ってもらうことで、状態を改善できる可能性もあります。

「もちろん薬物治療も行いますが、ご家族にアドバイスすることで患者さんが落ち着き、ご家族の介護負担の軽減に成功したときは私も幸せを感じますね」と川嶋先生は語ります。

一方で、老老介護、認認介護も多く、介護者も服薬管理が難しい場合などは、外来の頻度を多くしたり、訪問看護や介護サービスと連携を密にすることで対応しています。

 

地域連携の仕組みをさらに広げるために

豊中市の行政・介護事業などとは、緊密な連携体制が築かれており、一般開業医や介護関係者向けの講習会も積極的に主催しています。

「鑑別診断やBPSDの軽減は専門病院である我々の役割ですが、かかりつけ医との連携がなくては、患者さんが安心して暮らせる社会をつくることはできません」と澤先生は語ります。今後の課題は、同院の認知症疾患医療センターが担当する他の市町での体制づくりです。「地道な取り組みを積み重ねるしか道はないので、勉強会や講演に積極的に取り組んでいこうと思います」(澤先生)。

認知症疾患医療センター 医師 山本誉麿先生認知症疾患医療センター
医師 山本誉麿先生

認知症疾患医療センターの担当医である山本誉麿先生は、「かつては、入院患者さんの治療は退院をめざして行うものと考えていましたが、認知症を診るようになってから考えが変わりました。退院後の生活まで考慮して治療にあたる必要があるのです。かかりつけ医や介護関係者、行政、家族会などとの交流の機会の重要性も強く感じています」と語ります。

入院患者さんの多くは退院後、再び自宅で暮らしたいと希望しますが、実際に自宅に帰るのは難しいのが現実です。BPSDの症状は最初の1ヵ月でほぼ落ち着くので、同院での入院生活の後半は症状を安定させるのと並行して、退院後の生活の組み立てが重要課題となります。

 

さらなる連携で潜在患者さんを見つけ出す

山本先生が課題と考えているのは、潜在患者さんの存在です。「治療を受けるべき患者さんが、独居であったり、ご家族やご本人の拒否により受診に至っていないことは少なくないと考えられます。一般向けの啓発を進めるほか、民生委員さん、ケアマネジャーさん、行政の人たちと協力して患者さんを見つけ出し、早く医療に繋げる取り組みを進めたいですね」(山本先生)。

スーパー救急、外来と病棟での治療、そして地域と連携して在宅での生活を支える事業の数々。認知症患者さんの増加で、近年、これらへの取り組みの必要性が声高に言われていますが、同院はすでに10年、20年の年月をかけて地道に積み上げています。

「取り組んできた方向性は間違っていませんでした。これからは後輩の医師たちがこの流れを拡大していってくれることを期待しています」(澤先生)。

 

 

取材日:2013年4月26日、5月30日

さわ病院の外観

社会医療法人北斗会 さわ病院

〒561-0803
大阪府豊中市城山町1-9-1
TEL:06-6865-1211
FAX:06-6865-1261

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