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歯科も加わった総合力で患者さんの笑顔を支える
<岡山県岡山市 特定医療法人 万成病院>

院長 小林建太郎先生 院長 小林建太郎先生

万成病院では、医師とスタッフが互いに尊重し合い、患者さん一人ひとりを大切に、早期から長期療養期まで認知症医療のトータルサポートを実践。さらに歯科医、歯科衛生士による摂食・嚥下リハビリテーションで患者さんの食べる喜びの維持に取り組んでいます。

『ひろがれ!笑顔』をモットーに、患者さんと周りのすべての人に笑顔を

約60年の歴史を持つ万成病院は、時代や社会の要請に応じて医療の質の向上、療養環境の改善に取り組みながら、岡山市南部の精神科医療を長年担ってきました。560床ある病床の約半数を認知症患者さんが占める精神科病院です。

万成病院のモットーは『ひろがれ!笑顔』。患者さんの笑顔を大切にするのはもちろん、家族やスタッフも笑顔でいられる環境づくりに力を入れています。「認知症の患者さんは、病気が進行すると、人の表情がわからなくなってきます。でも最後まで伝わるのは笑顔です。家族やスタッフの笑顔は患者さんを安心させるし、患者さんの笑顔が家族の力になります。病院内に笑顔がひろがることが患者さんの生活の質を上げることにもつながり、これは治療において最も大切だと思っています」と院長の小林建太郎先生は言います。

 

5つの星は地域と共に歩む病院の象徴

万成病院のシンボルである5Stars 万成病院のシンボルである5Stars

夜になると、病院の外壁には万成病院のシンボルである、5つの星が輝きます。一番上が患者さん、2段目は患者さんを支える家族と病院スタッフ、その下には地域と病院の星が輝いており、5つの星が連携してお互いに輝きが増していくという願いが込められています。「実は、一度、星のひとつがトラブルで消えたのですが、ひとつ消えただけで驚くほど暗く感じました。みんなが輝いて初めて明るく感じるのだと改めて実感しましたね」(小林先生)。

この5つの星には、開かれた病院として地域に融け込み、頼られる存在をめざして、夏祭りやスポーツ交流などの地域公開行事や疾患についてのセミナー等を頻繁に開催してきた想いも込められています。

「人を育てることにも力を入れています。地域を代表する医療人を育てて、岡山県の認知症医療のレベルアップに貢献したいのです」(小林先生)

 

患者さん自身と向き合い、心と身体の問題をすべて受け止める

認知症病棟 医師 高橋弘美先生 認知症病棟 医師 高橋弘美先生

初診の患者さんは必ず地域連携室に相談の上、外来を受診します。初診時は心理テスト、CT等を行っていますが、認知症病棟と外来を担当する高橋弘美先生が最も大事にしているのは患者さんの話を聞くことです。高橋先生は「患者さんの話を聞くところからもう治療ははじまっています」と語ります。

また、小林先生が診療で特に大切にしているのは、長期入院すべきか、早く地域に返すべきか、患者さんの背景やその人自身をみることで適切に判断し、①患者さんの不安をできるだけ軽減すること、②患者さんが有している能力・良いところを見つけて支えること、③孤立や寝たきりになることで病気を進行させてしまわないように、患者さんにかかわり、動かすようにすることの3点です。「これらの点に注意することで、患者さんが何に困って症状が出ているのかが見え、患者さんにあったケアを行うことで症状は落ち着いてきます」(小林先生)。

『患者さんの心と身体の問題すべてを受け止めて、かつ年長者への尊敬の気持ちを忘れないことを大事にする』という、小林先生、高橋先生の思いは日々の実践を通して、同院のすべてのスタッフに共有されています。

 

重症度や身体的合併症を考慮し、専門性を生かした対応

認知症は進行疾患であり、軽症から重症まですべての患者さんのケアが求められます。万成病院では、外来で対応する早期の患者さんからターミナルケアまで一貫して認知症診療を行っており、精神症状、身体活動性、家族のケアキャパシティなど個々の患者さんの置かれている状況に応じ、合併症病棟、長期療養病棟、介護老人保健施設など、幅広く対応しています。特に、身体的合併症への対応を重要な課題に掲げ、合併疾患の治療に対する他科との連携体制の構築に取り組んでいます。

「当院には精神科医だけでなく脳外科医、内科医がいて、さらに皮膚科医、整形外科医と連携しているので合併症への対応も手厚くできるのが強みです。パラメディカルのスタッフもみんな、それぞれの専門性を生かして活躍しています」(高橋先生)。

 

すべてのスタッフが揃うカンファレンスで患者さんへの向き合い方を共有

認知症病棟 看護師長 石丸信一さん 認知症病棟 看護師長 石丸信一さん

認知症病棟の看護師長である石丸信一さんは、「スタッフがバラバラにアプローチすると患者さんが混乱するので、情報の共有には気をつけています」と語ります。週に2回のカンファレンスは、担当医師、看護師に加え、作業療法士、臨床心理士、精神保健福祉士、歯科衛生士等、かかわるスタッフが揃って行うことで、入院初期から退院までその都度、患者さんとのかかわり方を共有できています。参加できなかったスタッフにも、申し送り時にカンファレンスでの決定事項を伝え、情報を共有する仕組みがつくられており、すべてのスタッフが同じ方向を向いて治療を行っています。

定期的に行われるカンファレンスの様子 定期的に行われるカンファレンスの様子

 

臨床心理士と医師による患者さんの内面へのアプローチ

臨床心理士 岸崇さん 臨床心理士 岸崇さん

臨床心理士の岸崇さんは、高橋先生と協力して回想法を行っています。「患者さんとの関係構築を行いながら、週に1回、8回続けて行います。年齢や住んでいた場所が違うと思い出もずいぶん様相が違うのですが、患者さんがどんな人生を送ってこられたか、その方の心理的な支えが何かを大事にしています。お一人おひとりの人生を尊重しなければ、と感じますね」(岸さん)。

高橋先生も「岸さんと協力して行うことで、患者さんの心理的側面がよりわかり、良い効果が得られています」と語ります。

 

歯科の専門家を中心に摂食・嚥下リハビリに取り組む

多職種がそれぞれにプロ意識を持ち連携して認知症患者さんの治療・ケアにあたっていますが、同院でとりわけ特徴的なのは、有病高齢者を対象とした歯科があることです。

歯科衛生士 日室有美子さん 歯科衛生士 日室有美子さん

歯科医による治療に加えて、歯科衛生士による口腔ケア、さらには内視鏡や造影により嚥下機能評価を行い、患者さんの食事ケア、摂食・嚥下リハビリテーションを行っています。「自分の口から、楽しく、安全に食べてもらうため、また、口腔ケアで肺炎などを予防するために、看護師、作業療法士と連携して口腔管理に取り組んでいます」と、歯科衛生士の日室有美子さんは語ります。実際に病棟では、看護師や作業療法士が食事を取りづらい患者さんに気がついた時点で、歯科へ嚥下評価の依頼を行い、精神保健福祉士を通じてご家族の同意を得た上で、歯科での検査・治療を行っています。「この速やかな対応が患者さんの摂食・嚥下機能維持にはとても大切です」(日室さん)。

歯科での評価結果は病棟にフィードバックし、病棟での口腔ケア、嚥下訓練等に役立てることで、食事ができるようになった患者さんもいます。「患者さんが自分の口から食べることは栄養改善、意欲向上など良い効果をもたらします。できるだけ長く、食べる喜びを維持してもらえるように、スタッフが協力して取り組んでいます」(石丸さん)。

 

患者さんの心を動かしながら、能力を引き出すリハビリ

作業療法士 藤川信さん 作業療法士 藤川信さん

患者さんによって、認知症の症状や程度はさまざまです。食べる動作一つをとっても障害の状況は異なるため、作業療法では個々の患者さんに応じ、食べる能力を引き出す工夫をしています。作業療法士の藤川信さんは、「食事をするとき人は無意識に背中を起こしますが、重度の認知症で車椅子に座っている患者さんにはこの姿勢をとることが難しくなっている方がいます。食事のときは椅子に座ったり、車椅子でもクッション等を用いポジショニングをすることで、きちんと食事の姿勢を取ることができ、自然と自分で食事をされることがあります。一人ひとりの患者さんをよく見て、過度の援助をしないように、できるだけ自分で食べられるよう導く援助をめざしています」と語ります。

同院では食事に限らず、患者さんのできることを見つけて伸ばし、やりたいことを実現するためのサポートを多職種と協力し、実施しています。「認知症の方との関わりにおいて“こころ”を動かすことを大切に取り組んでいます。認知症の患者さんも“こころ”を動かして行くことで自分の能力を生かしながら活動を行うことができ、その人らしく生活を送ることができます。援助を行う中で患者さんの笑顔が増えてきたときは本当に嬉しいですね」と語ります。

 

ご家族も多職種チームの一員として

精神保健福祉士 小椋有夏さん 精神保健福祉士 小椋有夏さん

精神保健福祉士は病棟担当制を取っており、入院から退院後まで患者さんとご家族の支援を継続的に行っています。

精神保健福祉士の小椋有夏さんが特に気をつけているのは、ご家族のフォローです。「入院に至るまでにご家族はかなり疲れていますので、まず、ねぎらい、共感することと、しっかりと話を聞くことを大事にしています。一度に話を聞こうとせず、面会時や事務連絡時にもまめに様子を伺い、ご家族だけに負担がいかないように配慮しています」(小椋さん)。

明るく笑顔があふれる万成病院の皆さん 明るく笑顔があふれる万成病院の皆さん

ご家族に電話をするときは、少しでも安心してもらえるように患者さんの様子を伝え、どんなことでも相談できる関係になれるように努力しています。「ご家族は私たちと同じチーム医療の一員です。特に退院後はご家族の力がとても重要になりますから、入院時から信頼関係を育てるよう心がけています」(小椋さん)。

同院で認知症医療を支えるスタッフについて高橋先生は「それぞれの専門の視点で患者さんを見つめ、彼らの考えをしっかり発言してくれる、とても頼りになる存在です」と高く評価します。

同院のモットーである笑顔、そして輝く5つの星。その理念はスタッフ全員に共有され、日々、実践されています。

 

 

取材日:2013年5月14日

万成病院の外観

特定医療法人 万成病院

〒700-0071
岡山市北区谷万成1-6-5
TEL:086-252-2261

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