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多職種の連携による手厚いケアで、ほぼ100%の入院患者さんを退院へ
<岐阜県岐阜市 公益社団法人 岐阜病院>

院長 鈴木祐一郎先生 院長 鈴木祐一郎先生

精神科病院として岐阜市で長い歴史と実績を持つ岐阜病院は、専門性の高い診断と、多職種連携による細やかで丁寧なケアが特徴。一昨年、他の6つの病院とともに岐阜県下で初の認知症疾患医療センターに指定され、地域連携にも積極的な役割を果たしています。

地域に根ざした精神科病院としての長い歴史

認知症疾患医療センター センター長 石井俊也先生 認知症疾患医療センター
センター長 石井俊也先生

岐阜病院の開業は1928年。以来85年にわたり、精神科・心療内科の分野で高い専門性を発揮してきました。認知症の専門病棟を含め593床を有し、2011年5月には認知症疾患医療センターの指定を受け、地域の認知症診療の中心的な役割を果たしています。

院長の鈴木祐一郎先生は「そもそも地域の高齢化が進んだことで、精神科で認知症を診る機会が増えてきました。特に当院は単科で規模が大きい専門病院ですので、BPSD(周辺症状)にも積極的に対応する態勢を整え、現在16名の常勤医が診療にあたっています」と語ります。

来院のきっかけは関係機関からの紹介が6割、ご家族が連れてくるケースが3割、本人自らが1割。

医師で認知症疾患医療センターセンター長の石井俊也先生は、「初診の場合、まず、ご本人およびご家族との関係を作ることが大事」だと指摘します。

「最初にご家族から話を聞くとご本人との関係が作れなくなりますから、まずご本人のお話を尊重し、そのあとご家族のお話を聞いて、そのズレを確認していきます」(石井先生)という丁寧な問診から診察はスタートします。

 

患者さんと良い関係を作ることが大切

臨床心理士 橋本哲也さん 臨床心理士 橋本哲也さん

問診に続いてCT、MRIによる画像診断を行い、血液、脳波も検査します。原則として引き続いて心理検査に移ります。検査を担当する臨床心理士の橋本哲也さんも、「ご本人に共感して関係を作ることが大切」だと指摘します。

「MRIなどの検査で疲れているところへ『今日は何月何日ですか?』と分かりきった質問をされれば怒る方もいらっしゃるので"検査に協力していただく"という姿勢で臨みます。また、患者さんの不安を取り除くのも大切で、例えばMMSE(認知機能検査)が比較的よい結果だったら『よくできていますよ!』と声を掛けます。本当は検査する立場の人間が検査中に結果を評価してはいけないのかもしれませんが」と橋本さんは苦笑しながら、患者さんと接するときの留意点を語ります。

診断をつけたあとの告知に関しては、石井先生、鈴木先生ともに慎重です。

「初期の段階ならご本人に言うこともありますが、無理に言うと関係が作れなくなる恐れがあります」(石井先生)。

「信頼を強くするために、あえて心理検査を別の日にしてもう一度来てもらうこともありますね」(鈴木先生)と、常に患者さんとの関係に心を配っています。

 

病棟では患者さんのすべてを受け入れる

認知症看護認定看護師 伊藤智幸さん 認知症看護認定看護師 伊藤智幸さん

同院は認知症治療病棟を設けており、ここでは看護師および専門のスタッフが、BPSDへの対応を含め手厚いケアを提供しています。

認知症看護認定看護師の伊藤智幸さんは「患者さんの言葉と行動のすべてを受け入れることが対応の基本にある」と明言します。

「現実か否か迷っているような統合失調症の方などは現実に戻さないといけませんが、認知症による記憶違いを無理に訂正しても仕方ありません。それよりも、残存している能力を維持・向上させることが大切。症状は環境に大きく左右されますので、入院したとたんBPSDが出なくなることもありますし、生活リズムを整えていくこととそのための薬を飲むことで、徐々に落ち着いてくることが多いですね」(伊藤さん)。

そうした入院患者さんの日常を支えているのは、伊藤さんら看護師のほか、作業療法士、理学療法士、臨床心理士など多職種のスタッフ。それぞれの専門分野でアプローチしつつカンファレンスで意見交換し、チームとして退院までをサポートします。

 

多職種がそれぞれの専門分野で患者さんに対応

作業療法士 山崎浄美さん 作業療法士 山崎浄美さん

作業療法士の山崎浄美さんは認知症治療病棟の専属スタッフとして生活機能回復訓練を担当。「年長者である患者さんを敬いつつ、親しみを持って対応する」という距離感を大切にしながら患者さんに接しています。

プログラムは身体機能の維持を目的とした運動や指先と頭を使う創作活動が中心で、季節に合った内容を盛り込んでいます。

「門松を作ったとき、普段はあまり反応のよくない男性の患者さんが『むかし好きでよくやっていたんだ』と急に立ち上がり、自分から進んで全部作ってしまったのでびっくりしました。一種の回想法だといえるのかもしれません」(山崎さん)。

その回想法を主体にした機能回復訓練を担当しているのは、臨床心理士の橋本さん。他の病院では作業療法士が回想法を行う場合が多いものの、"心理は心理士が"をモットーにしている同院では臨床心理士が主体に行っています。

「普段はあまり話をせず反応が弱い人でも、お手玉や剣玉などむかし懐かしい遊びなら、促さなくてもやってくれるケースがよくあります。それだけの力が残っているのだと思うと、私もうれしいですよ」(橋本さん)。

 

ほぼ100%の入院患者さんを退院へ

精神保健福祉士 長戸奈美さん 精神保健福祉士 長戸奈美さん

入院してから2週間目を目処に、主治医を中心に多職種全スタッフによるカンファレンスを実施。経過について細かな意見交換を行います。そして4週間目を目処に、退院を視野に入れたカンファレンスを行います。

「身体の病気で転院される方、お亡くなりになる方を除き、ほぼ100%の方が退院されます。なかには『もっとここにいたい』とおっしゃる方もおられ、ありがたいとは思いますが、住み慣れた環境に帰っていただくのが私たちの仕事ですから」と認定看護師の伊藤さんは病棟の役割を強調します。

退院に向けてのカンファレンスには、ご家族、ケアマネジャー、施設に入る場合はそのスタッフが同席し、退院後のケアについて情報を共有します。

院外との連絡調整にあたる精神保健福祉士の長戸奈美さんは、「ケアマネさんや施設の方は、ともに患者さんを支える仲間。特にケアマネさんは、患者さんやご家族からずっと頼りにされてきている方が多いので、カンファレンスに出席いただき、退院後のサポートを当院からもお願いしています」と連携の大切さを訴えます。

 

早期発見のために、いっそうの啓発を

開放的な待合室 開放的な待合室

これからの同院のあり方を見据えて鈴木先生は、「精神科としての救急対応と認知症の的確迅速な対応が2本柱」という認識を示します。

石井先生は「BPSDが出たらすぐにうちに相談に来ていただけるようになってきました」としながらも、一方で「初期段階の場合、精神科のハードルはまだ高いようです」と懸念を示します。

電話で相談の対応にあたる長戸さんも、「お話を聞いて、『じゃあ予約を取りましょう』という段になって『いや、もう一度家族と相談しますから......』と躊躇される方が少なくありません。『脳の健康診断のつもりでいいですから』とお勧めしています」と、相談から受診までに距離があることを実感しています。

「私たち自身がもっと地域のニーズを聞き、もっと啓発に努めなければなりません。認知症疾患医療センターの指定を受け、関係機関や家族の会の方と定期的に協議会を開くようになりました。ぜひそうした機会を生かしたいと思います」。鈴木先生は、今後の展望をそう示しました。

 

 

取材日:2013年7月17日

岐阜病院の外観

公益社団法人 岐阜病院

〒500-8211
岐阜県岐阜市日野東3丁目13番6号
TEL:058-245-8171

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