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街の専門医として診療に努め、地域連携を率先
<神奈川県大和市 たなかクリニック>

院長 田中千彦先生 院長 田中千彦先生

脳神経外科医として重ねた20年余りの経験を認知症診療に生かし、細やかな心配りで患者さんとご家族に安心感を与えている、たなかクリニック院長の田中千彦先生。2013年に神奈川県が運用を開始した認知症地域連携パス「よりそいノート」を積極的に活用し、地域連携にも指導的な役割を果たしています。

 

脳神経外科医としてキャリアを重ねたのち開業

待合室 待合室

たなかクリニックの院長、田中千彦先生が長く専門としてきたのは脳神経外科。2010年に同クリニックを開業する前は、大和市立病院脳神経外科に担当部長として勤務していました。

「総合病院の常として医師はそれぞれの専門分野に特化していますから、市民病院時代に認知症の患者さんを診ることはありませんでした。しかし、開業して認知症サポート医になった今、脳外科医としての経験のすべてが認知症の診療に生かされていると感じています」(田中先生) 。

穏やかな表情でそう語る田中先生が開業の道を選んだのは、“街の専門医”として地域医療に貢献するため。

「この大和市に限らずどの地域でも脳神経を診る先生は不足していて、大きな総合病院に行かなければ診療の機会がありません。もっと気軽に相談していただければという思いで開業したところ、脳卒中などに加えて認知症の相談も少しずつ増えてきたのです」(田中先生)。

 

脳だけではなく、患者さんの全身を診ることが重要

脳神経外科医が認知症を診る上での特長は何か。田中先生は、精神科、神経内科と比べながら、次のように指摘します。

「まず患者さんの“全身”を診ることに長けていると思います。脳神経外科は、ときに生命の危険にさらされている患者さんに対応しますから、脳だけではなく循環器系、呼吸器系など全身の機能の変化に敏感です。言うまでもなく認知症も脳の委縮だけでなく、その背景には全身疾患である生活習慣病が関連しているともいわれるため、脳を中心として患者さんの全身を診るのが基本です」。

また、例えば脳卒中の手術は急性期治療ですが、術後ケアは長期に及ぶことが少なくありません。その間のご家族とのコミュニケーションも大事になりますし、リハビリテーションを含めチームでの対応は必須です。これらも慢性疾患の認知症のケアには大切な要素です。

「つまりは脳の画像診断から、安定期の診療、チーム連携まで、脳神経外科医として重ねてきたキャリアが、いま認知症の診療に非常に役立っているというわけです。そうした自分の経験に照らしてみても、脳神経外科は認知症を診る出身科として適しているのではないでしょうか」(田中先生)。

 

告知も、薬剤の処方も慎重に

鑑別・治療の専門性の高さとともに、患者さんとそのご家族への細やかな配慮も田中先生の診療の特長です。とりわけ告知には慎重にタイミングと言葉を選んでいます。

「問診、長谷川式簡易知能評価スケール、CTによる画像診断が診察の主な流れですが、そこでアルツハイマー型認知症だと診断がついたとしても、初診で告知することはありません。『30点満点で15点ですからお困りでしょうね』『通院とお薬と介護サービスをお勧めしますがいかがですか』といった説明からはじめます。お薬も、2、3回目の通院での状態をみて慎重に処方しています」(田中先生)。

CT室 CT室

また、CT室が非常に明るく広く天井が高いのも患者さんへの配慮ゆえのこと。

「閉鎖空間が苦手な方もおられるので、できるだけ圧迫感がないようにしました。車椅子で移動される場合もあるので、その点でも不自由がないようにしたのです」(田中先生)。

 

神奈川県で「よりそいノート」がスタート

よりそいノート よりそいノート

田中先生は認知症の患者さんに1冊のノートを手渡し、活用を促しています。それは神奈川県が2013年4月から運用を開始した「よりそいノート」。

かかりつけ医や専門医療機関、介護サービス事業所における情報共有を主な目的としたツールで、ここには患者さんのプロフィールや普段の暮らしの様子などの記入欄があり、また、診療やお薬の処方、介護サービスなどを受けるたびに、医師や薬剤師、介護スタッフらがその内容や留意点を記すことになっています。

「いわゆる地域連携パスです。他の自治体の同種のツールの中には、医療・介護の従事者だけが使い患者さんは目を通さないものもあります。しかし神奈川県のものは、患者さんとご家族が活用するためのものです。このノートを渡すということは、認知症だと告知するのと同じですから、もちろん慎重に行っています。何回か通院していただいて、このノートの趣旨を理解していただけるように、詳細を説明した上でお渡ししています」(田中先生)。

運用がスタートしてから約3ヵ月間で渡したノートは130冊。

「正直なところ記入するのは手間ですよ」と言いながらも田中先生は「運用しなければ意味はない。絵に描いた餅で終わらせてはいけません」と表情を引き締めます。

 

ノートで深まる地域連携、そしてご家族の安心

実際にこの「よりそいノート」を運用してみて田中先生は「私たち専門医と、かかりつけの先生、そして介護サービスの方が一堂に会して話すのは現実問題として非常に困難です。ノートは関係者同士のコミュニケーションに役立っており、続ける価値は十分にあります」と評価しています。また「ご家族の安心につながっている」とも指摘します。

「医療、介護いろんな立場の人間がノートに記している内容を読めば、多くの人に支えられていること、孤立無援でないことを実感できるはずです。もちろん今の内容が完璧だとは思いません。個人情報保護の観点から問題視する声があるのもわかります。しかし批判ばかりでは連携は進みません。運用しながらより良いものを目指して改良していくというのが本来の姿だと思います」(田中先生)。

 

地域住民の正しい知識が早期発見につながる

認知症サポート医である田中先生には講演の依頼も多く、月に2、3回のペースで演台に立っています。参加者は、医療・介護関係者や一般の方々など会によってさまざまですが、メッセージの基本にあるのは、認知症に対する正しい理解と地域ぐるみでのサポートの大切さです。

「いまは認知症だからといって悲壮感を持つ必要はありません。残っているいいところを維持し、いろんな介護サービスを使って、地域の中で生活していくのが基本です。そのためにはやはり早期発見が大事。地域のみなさんが正しい知識を持っていれば、自ずと早く発見できるはずですし、実際にご近所の方が気づく場合も増えています。そして私たち医療従事者も、かかりつけ医、私のような専門医、そして総合病院がそれぞれの役割を果たしながら、ノートをきっかけにいっそう連携を深め、地域全体のケアの質を高めなければならないと思っています」(田中先生)。

 

 

取材日:2013年7月6日

たなかクリニックの外観

たなかクリニック

〒242-0028
神奈川県大和市桜森3-7-18
TEL:046-200-3322

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