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専門性とプロ意識の高いスタッフの総合力
<埼玉県さいたま市 社会福祉法人シナプス 埼玉精神神経センター>

理事長 センター長 丸木雄一先生 理事長 センター長 丸木雄一先生

医療だけでなく介護・福祉の施設・機能を併せ持ち、プロ意識の高い専門スタッフがそれぞれに工夫と連携を重ねることで患者さんと家族を支える。埼玉精神神経センターでは、認知症医療で大切なことがすべて実践されていました。

 

精神科単科だった病院が平成3年にリニューアル

埼玉精神神経センターのルーツは、毛呂病院(埼玉県毛呂山町)の大宮分院。昭和28年に開設した精神科単科の小さな病院が、平成3年に一般内科、神経内科、精神科、歯科、放射線科、リハビリテーション科を併せ持つ埼玉精神神経センターとしてリニューアルしました。

その後、精神科急性期病棟、精神科デイケアなどを開設して医療・福祉の機能充実に取り組み、平成21年には、さいたま市の認知症疾患医療センターの役割を受託しました。併設された特別養護老人ホームも地域包括支援センター事業を受託しています。

「精神疾患と神経疾患の境界領域で見極めが難しい患者さんや、身体疾患を合併する認知症患者さんなど、精神科単科では難しかった患者さんの治療ができるようになりました。歯科もあり、介護の専門家もいます。患者さんの心と体の病気を受け止め、外来、入院、さらに退院後の暮らしまでトータルに支えられる体制ができました」と、理事長で認知症疾患医療センター長の丸木雄一先生は語ります。

 

相談から1週間で外来受診へ、初診日にMRI検査も

外来に訪れる認知症患者さんは1ヵ月に500名ほどで、その約6割がアルツハイマー型認知症、次いでレビー小体型認知症の患者さんが多くなっています。

近年はMCI(軽度認知障害)やpre-MCIの段階で受診し、治療を開始する患者さんも増えてきました。「40歳代の若年性認知症の患者さんもいます。最近の産業医にはメンタルヘルスの専門家が多いようで、うつ病などと認知症をきちんと鑑別して適切に専門医へとつないでくれます」と、丸木先生は語ります。

もの忘れ外来を新たに受診する患者さんは年間で約800名。一般に、「もの忘れ外来」は受診や検査まで数ヵ月間待つことが珍しくありませんが、同センターでは月曜日から土曜日まで毎日「もの忘れ外来」が開かれているので、最初の電話相談から1週間ほどで受診できるようにしています。初診日に神経心理学的検査はもちろんMRI検査も行うので血液検査の結果を待つ以外は、その日のうちに診断をつけて治療を開始することができます。

「電話相談の緊急性があると判断されたら予約を早めますし、飛び込みで来られた患者さんにも、できる限り対応しています。認知症の患者さんは受診を嫌がることが多く、待つ間に拒否が強まってしまうリスクがあります。せっかく医療にアプローチしてもらったのですから、気が変わらないうちにどんどん進めるスピードが大切です」(丸木先生)。

 

細やかな心配りが正しい検査結果につながる

早期発見・早期治療の大切さは広く知られるようになっても、自分や家族が認知症であるとわかったときのショックの大きさは変わりません。

臨床心理士 北嶋綾子さん 臨床心理士 北嶋綾子さん

長谷川式簡易評価スケールやMMSE(認知機能検査)などの神経心理学的検査を担当する心理士の北嶋綾子さんは、検査前の説明時から患者さんの様子に気を配り、穏やかな声で話しかけるようにするなど、少しでも安心して検査を受けられるように心がけています。

「高齢の患者さんの場合、身体に麻痺があったり、視力や聴力が低下しているために、あたかも認知機能が落ちているかに見えることがあるので、見極めが重要です」と北嶋さんは言います。

「ご家族の勧めで不承不承受診した患者さんの場合、不用意に『今日は何日?』『何曜日?』という質問をすると、怒りを招いて検査ができなくなることもあります。私たちの言葉や対応が原因で、患者さんの今の能力を正当に評価できないと困るので、スキルアップの努力は欠かせません。さらに今後は心理士のスキルを生かしたグループ・セラピーや家族支援にも取り組みたいと考えています」(北嶋さん)。

 

理解度を見ながら説明内容を絞り込む

薬剤師 草ヶ谷忠彦先生 薬剤師 草ヶ谷忠彦先生

「認知症患者さんご本人に薬を渡すときは、説明の仕方に様々な配慮が必要で難しいです」と語るのは薬剤師の草ヶ谷忠彦先生です。

薬物治療を開始するとき、薬を常用量まで漸増することがよくありますが、最初の期間に飲む低用量の錠剤と、その後に飲む中用量の錠剤を別の薬だと勘違いし、一緒に飲んでしまったりすることが起こりうるのです。

「丁寧に服薬指導をすることが大切なのですが、認知症患者さんには情報が多すぎて忘れてしまうというリスクもあります。患者さんの状態によって内容をどこまで絞るか見極め、重要なことは最後に言うよう工夫しています」(草ヶ谷先生)。

ご家族が服薬管理をしていてもBPSD(周辺症状)がおさまると薬をやめてしまうこともあり、常に相手の理解度を確認しながら説明する必要があると言います。

「適切な薬物治療で症状を大きく改善できるようになってきました。初診時には荒れていた患者さんが、再診時に穏やかな笑顔を見せてくださると、とても嬉しいですね」(草ヶ谷先生)。

現在、薬剤部には精神科専門薬剤師の認定資格の取得をめざす薬剤師がおり、その人を中心に患者さんやご家族の不安や疑問に答える相談体制づくりも進める考えです。

 

基本の看護を大切に患者さんに寄り添う

病棟 看護師長 鹿又歌子さん 病棟 看護師長 鹿又歌子さん

認知症病棟は急性期病棟なので入院は3ヵ月までが基本となります。「BPSDが強く家庭や施設では対応しきれないなどの背景を持つ患者さんが多いため入院直後は大変ですが、特別なことではなく基本の看護にしっかり取り組むことを大切にしています」と病棟の看護師長、鹿又歌子さんは語ります。

妄想などがあっても否定したり無理に抑えるのではなく、寄り添いながら導いていく姿勢を基本にしています。「たとえば、ご自分のベッドではないところで寝てしまった場合、今その患者さんに必要なのが睡眠なら、そこに枕と毛布をもっていくのが正解かもしれません。居心地が良い環境を提供することから始めるべきだと思うのです」(鹿又さん)。

患者さんに食欲がないときに歯科衛生士や栄養士と連携して、歯のケアや献立の工夫を進めるなど、専門職種間の連携の要としての役割も看護師が担っています。

「入院前の大変な状態を経験したご家族は、再び自宅で介護することを不安に思っておられるので、その不安を取り除く情報を入院中からお伝えすることも大切です」と鹿又さんは語ります。

 

歯科のアプローチで食欲と嚥下・消化機能が回復

精神科単科から拡大改組された平成3年、内科やリハビリテーション科と同時に開設された歯科は、単科だった時代、精神症状がある入院患者さんの歯科治療を外部のクリニックに依頼するのが難しかったことから、先代の院長が併設を決めました。

現在、同センターの外来・入院患者さんはもちろん、精神科疾患やその他の持病で一般歯科の受診が難しい患者さんのための外来を設けています。

歯科衛生士 大久保喜恵子さん 歯科衛生士 大久保喜恵子さん
口腔筋を鍛える方法 口腔筋を鍛える方法

病棟では歯科衛生士が活躍しています。「口腔内の掃除や、入れ歯の手入れを行うことで、食欲不振がすっと解消することもあります」と語るのは歯科衛生士の大久保喜恵子さんです。

歯の治療や口腔の衛生管理に加えて、噛んだり飲み込む動作の訓練にも取り組んでいます。さらに大久保さんが考案した美顔ローラーや電動歯ブラシの振動を利用するマッサージも人気があります。「内側からだけでなく、外側から口や咽喉の筋肉を鍛えます。顔の筋肉に刺激を与えることがストレス解消にもつながるようで、精神的に不安定な方が落ち着いたりする効果も見られます」(大久保さん)。

デイサービスの利用者さんで、ずっと黙ったままで抑うつ症状や認知機能障害があると思われていた人が、口腔管理と「口腔体操や発声訓練」を行った結果、とてもよく話をするようになり元気を取り戻した経験もありました。口のなかを清潔にすることで、誤嚥性肺炎のリスクも少なくなります。歯と口の状態は、患者さんの病状にも暮らしの質にも大きく影響するのです。

 

看護師や歯科衛生士と連携した食事づくり

管理栄養士 関口礼子さん 管理栄養士 関口礼子さん

「糖尿病や高血圧など合併症をもつ患者さんが多いので、食事で配慮すべきことはたくさんあります」と語るのは管理栄養士の関口礼子さんです。高齢の患者さんは軟らかいものを好みますが、食欲を引き出すためには色合いや切り方などで工夫が必要になります。認知症の場合、「噛むこと」が良い刺激になるので、単に軟らかければ良いというわけでもありません。

病棟看護師からそれぞれの患者さんの病状や好みを聞き、さらに歯科衛生士からの歯の状態やリハビリを考えたオーダーを受けて、献立や調理法に反映しています。

「病院食はおいしくないと言われます。濃い味付けに慣れている方が塩分やカロリーを抑えた食事に物足りなさを感じるのが原因なので、素材や薄味のおいしさに気づいてもらえるよう毎日が挑戦です」と関口さん。

しかし、その中でも、2~3ヵ月の入院を経て退院時に、「今までの好みの味付けが、いかに身体に悪いかよくわかりました。自宅に戻っても素材の味を生かす味付けを続けたいと思います」と感謝の言葉を残してくださる人もあり、励みになっているそうです。

 

「確実にできること」をやるのが作業療法の基本

作業療法士 税所裕子さん 作業療法士 税所裕子さん
音読のためのプリント 音読のためのプリント

6年前から認知症患者さんを対象とした作業療法を実践しています。活動メニューで重視するのは、自尊心の回復です。

「スタートしたころは、脳を活性化する活動も色々と考えたのですが、実践を重ねるなかで患者さんの気持ちに寄り添うことが大切だと気付きました。今は患者さんの得意なこと、できることを中心にプログラムを組んでいます」と、作業療法士の税所裕子さんは語ります。

軽度の患者さんが作業療法に参加し始めるのは、友だちとの関係を保つのが難しくなったり、できるはずのことがうまくできなくて不安を感じたりするころ。しかし、患者さん本人は、重度の患者さんが多いデイサービスを利用するのには強い抵抗を感じたり、まだ作業療法に参加するほどでもないと感じていて、ご家族の強い勧めでやむなく作業療法をしているということも少なくありません。そこで難しい作業に取り組むと、さらに自信をなくしてしまいます。

もの忘れ外来 担当医師 荒木眞知子先生 もの忘れ外来 担当医師 荒木眞知子先生

もの忘れ外来の担当医で作業療法にも時折同席する荒木眞知子先生は、「作業療法士が患者さんそれぞれの得手不得手を理解してメニューを組み立て、失敗しそうな場面があれば先回りして対処しています。前回はできたことができないこともありますから、自信を失わないよう細かい配慮をしていますね。患者さんは、『ここに来ると、うまくいく』という安心感があるから、次も来てくれるのだと思います」と語ります。

「新しい人が入ってくると患者さん同士のバランスが崩れることもあり、集団は生き物だなと感じます。その難しさも含め、6年間、実践を重ねてきた結果、認知症患者さんが生き生きと過ごせる場を作れるという実感があります」(税所さん)。

 

ご家族、介護者が集う場を設けてきめ細かくサポート

患者さんが作業療法に取り組んでいる間に、付き添ってきたご家族の集いも開催されています。「家族の集い」を始めた荒木先生は、認知症の治療に取り組むなかで、ご家族の理解度や心理状態が患者さんの病状にも影響することに気づき、ご家族をサポートする仕組みが必要だと考えたことが、集いを始めたきっかけだと言います。

「身近で介護するご家族が認知症の症状や患者さんが抱える不安を理解して、適切な対処をすれば患者さんの症状は安定します。理解不足が原因でBPSDを増長してしまったり、ご家族の不安が患者さんに伝わって悪循環を起こすとみんなが不幸になります」と荒木先生は語ります。

地域包括支援センター 主任ケアマネジャー 黒川愛さん 地域包括支援センター
主任ケアマネジャー 黒川愛さん

地域包括支援センターでも、認知症患者さんを介護している人が集まって情報を交換したり、悩みを相談できるサロンを定期的に開催しています。主任ケアマネジャーの黒川愛さんは、「包括支援センターの役目は、地域にある様々な資源をつないで、開業医の先生や訪問看護師さんとも密に連携して患者さんの生活を支えること。顔の見える関係づくりを大事にしています。ご家族や患者さんは、お医者さんには遠慮して言えない、日常の困りごとを私たちケアマネには気軽に話してくれることが多いので、問題や異変を見逃さないよう努めています」と語ります。

 

総合力を生かして地域の医療・介護力向上に貢献

認知症疾患医療センターも、受診相談から入院時、退院時の相談・生活支援に取り組んでいます。

認知症疾患医療センター 精神保健福祉士 朝倉由衣さん 認知症疾患医療センター
精神保健福祉士 朝倉由衣さん

認知症疾患医療センター 精神保健福祉士 中島亜里子さん 認知症疾患医療センター
精神保健福祉士 中島亜里子さん

「患者さんやご家族が抱える複雑な問題を、整理してひとつずつ解決していく。医療だけでも福祉だけでも患者さんの生活を支えることはできないので、連携が大切です」と精神保健福祉士の朝倉由衣さんは語ります。同じく精神保健福祉士の中島亜里子さんも「私たちは医療の立場で仕事をしていますが、当センターには様々な資源が併設されているので、この強みを生かして患者さんを支えたいですね」と語ります。

精神科単科からスタートして内科や歯科まで備え、さらに認知症疾患医療センター、地域包括支援センター、特別養護老人ホームなどの機能・施設を併せ持つようになった埼玉精神神経センター。それぞれで働く専門職が、それぞれの知識や技術を生かして取り組めるテーマを探し、さらに連携して高めあう循環が巡っています。

センター長の丸木先生は、「脳と神経の総合病院なので、アルツハイマー型認知症だけでなく比較的稀な認知症の患者さんも多く訪れます。今後も、職員全員の知識と技術を総合して、連携して取り組み、認知症医療を先導する役目を果たしたいと思います」と、決意を語ります。

 

取材日:2013年6月11日

埼玉精神神経センターの外観

社会福祉法人シナプス
埼玉精神神経センター

〒338-8577
埼玉県さいたま市中央区本町東6-11-1
TEL:048-857-6811(代表)
FAX:048-857-0166

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