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クリニカルパスと個別ケアで充実の認知症医療を実現
<埼玉県戸田市 医療法人髙仁会 戸田病院>

院長・認知症疾患医療センター長 井口喬先生 院長・認知症疾患医療センター長
井口喬先生

戸田市民のいこいの広場、戸田公園から徒歩圏内の好立地にある戸田病院は、埼玉県指定の認知症疾患医療センターとして、地域の認知症医療をけん引する存在です。同院では一人ひとりに合った入院診療計画「クリニカルパス」を作成して医療の質向上に努め、看護・介護においては、高齢の患者さんを「人生の先輩」として敬う気持ちで接するなど、“個”を重んじる診療が評判を呼んでいます。

 

平成8年より認知症専門の病棟を開設、専門治療にまい進

目前に広がる戸田公園の水と緑が来院者を和ませる戸田病院。院内にもいたるところに観葉植物が配置され、精神疾患や認知症を患った患者さんの目と心を癒やしてくれます。

同院は550床もの病床を有する精神科の病院であり、急性期治療病棟から療養病棟、ストレスケア病棟など、病棟が機能分化していることでも知られています。

認知症治療においても早くから積極的に取り組み、平成8年には地域の要望を受け、認知症病棟を開設。充実した診療体制と治療実績を評価され、平成23年には埼玉県から認知症疾患医療センターの指定を受けました。現在では戸田市民のみならず、埼玉県全域の認知症医療を支える存在となっています。

院長の井口喬先生は、長年の臨床経験から「認知症によって引き起こされるさまざまな精神症状とそれに基づく問題行動の改善は、精神科領域でコントロールが可能」ととらえています。

実際、同院で入院治療を行う認知症患者さんの中には、在宅や介護福祉施設に移るまでの3ヵ月以内に症状が緩和される人が少なくありません。

「かつては精神科の敷居は高かったようですが、かなり理解が得られるようになってきました。BPSD(周辺症状)などを私どもの専門的な治療・投薬で改善し、次のアプローチへ橋渡しできるようにすることが、当院の役割の一つだと思っています」(井口先生)。

 

クリニカルパスを作成、個別に診療計画を実践

同院が初診の段階で重きを置くのは、認知症と症状が似ているといわれる高齢者うつ病との鑑別です。「似ていても別の疾患なので、治療方法は異なります。高齢者のうつ病患者さんが認知症に移行するリスクは高いので、うつ病を的確に診断し早めの治療をすることが、認知症を防ぐことにもつながります」と井口先生はその重要性を話します。

正確な鑑別のため、同院では初診時にご家族や関係者、患者さんから話をうかがい、認知機能検査や神経心理検査を詳細に実施し、CTやMRIといった画像診断なども行って材料をそろえたうえで慎重に鑑別を行い、診断を確定、治療方針を決定します。

こうして治療開始となりますが、BPSDが顕著な場合などは入院治療となることもあります。その治療内容は、患者さんの数だけあるといっても過言ではありません。「特に向精神薬のさじ加減はわれわれのような専門家でないと難しい。個々の患者さんに合わせて慎重に微調整することが必要で、治療計画は個別に立てています」(井口先生)。

そのため同院が作成しているのがクリニカルパスです。何の薬をどの程度、どんな頻度で用いるのか、1ヵ月後にはどんな治療に移行していくのか、一人ひとりの治療計画を立て、それにのっとって治療を行い、評価していくのが同院の特長です。

「最終目的は、BPSDなどの症状を改善し、自宅や施設で落ち着いた生活、元の生活ができるようにしてあげること。そのためには個別の対応が必要なのです」と井口先生は強調します。

 

看護の基本は「患者さんを敬う気持ちで接する」

看護師 北原恵梨子さん 看護師 北原恵梨子さん

「個別に対応する」という同院の診療方針は、看護における取り組みにも反映されています。

認知症病棟で日々患者さんと接する看護師の北原恵梨子さんが心掛けているポイントは、2つ。患者さんを尊敬する気持ちを忘れないことと、個性を重視し、一人ひとりに合った個別看護を実践することです。

「ほとんどの認知症患者さんは、私たちの知らない時代を懸命に生き、高度成長期の日本を支えてこられた方。看護においては、そういう方への尊敬の念を根底に置いて接するのが特に大事だと考えます」(北原さん)。

人生の先輩を敬う気持ちで声掛けをし、昔のことを聞いたりしていくうちに、患者さんの表情がみるみるよくなり、生き生きと若いころの話をするようになることも珍しくありません。

看護における2つ目のポイント、「個性を重視する」とは、治療内容と同様、通り一遍の看護ではない、一人ひとりの患者さんに合わせた看護のことです。

「同じ人は一人もいませんから、同じ対応ではうまくいきません。一人ひとりを知り、深く関わろうと思って接すると、何かしらその方の新たな一面や秘めた思いを発見できるようになり、その方をさらに深く知ることで、よりよい看護にもつながります」(北原さん)。

かつて、かなり認知症が進んだ状態で入院され、ひと言も言葉を発さず、食事から排泄まですべて補助が必要だったある患者さんが、北原さんらの「個性を重視した看護」により徐々に言葉を発し、退院するころには会話をしたり自力で食事することまで可能になったことがありました。「本当に嬉しかったし、看護師としての醍醐味を感じさせていただきました」と北原さんは頬をゆるめます。

認知症そのものを根治したわけではないものの、驚くべき回復を遂げた理由を北原さんは、「その人を理解しようとよく観察をし、関わることで、患者さんの表情から意思や感情を察することができるようになりました。それに応えていくことで、信頼関係が築けたのが大きかったのかもしれません」と分析します。

個別性をもった看護は難しいと思われがちですが、「だからこそ、やりがいがあります!」と北原さんは言います。

相談者の心のケアまで考えたじっくり型の医療相談

認知症疾患医療センター 精神保健福祉士 武内淳さん 認知症疾患医療センター
精神保健福祉士 武内淳さん

北原さんとともに、井口先生が絶大な信頼を寄せているのが、認知症疾患医療センターで相談業務にあたっている武内淳さんです。精神保健福祉士の武内さんは、同院における認知症診療の入り口的役割を果たしており、メール、電話、対面によるさまざまな相談に応じています。その数、1年間の合計で2000件弱。1日平均8~10件もの相談が、県内外から寄せられているのです。

認知症が疑われる身内をもつご家族のみならず、ケアマネジャーなど医療福祉関係者からも、「どう関わっていけばいいのか困っている」といった相談が寄せられます。

どんな相談にせよ、武内さんが最初に取り組むのが、相談者との関係づくりです。ある程度の信頼感がないと、話せないことがあるという思いからです。

「問題を抱えていても、いきなり本題に入るのは難しい。話がしやすい雰囲気をこちらがつくり、相談したいことが整理でき、きちんと話ができるようにもっていくことも使命です」(武内さん)と和やかな笑顔を向けます。

また、武内さんは、一人で解決しようと問題を抱え込んでいる相談者も多いことから、相談者の心のケアまで念頭に置いて応対するように心掛けています。

「責任感が強く、心身のバランスを崩されている方までいらっしゃいます。できるだけその方のストレスを緩和するように意識して、お話を伺っています」(武内さん)。

認知症が疑われる人や、BPSDで困っている場合にも、いきなり受診を勧めたり、一方的に方向性を定めることはしないといいます。

「結論を急がず、相談者の心が落ち着くまで待つのも必要。相談者の心が整理できてから、早めに受診するとどんな利点があるのか、治療開始後に考えられる展開、利用できる社会資源などについて、必要な情報を提供していく」というのが武内さんのスタイルです。

 

合併症をもつ認知症患者さんを協働で診る体制づくりを

同院では医療活動のみならず、認知症疾患医療センターとして院内研修や啓発活動も広く展開し、昨年度は「高齢者の心のケア」「認知症を含めた高齢者の精神疾患について」と題した研修会などを計10回開催してきました。

そのため最近では、自ら「認知症かどうか心配なので調べてほしい」と来院する方が増え、ごく初期の段階で認知症であることが判明し、薬による治療で進行を抑えられた患者さんも少なくありません。

こうした成果もある一方、井口先生は合併症のある認知症患者さんに対し、「現在の日本では十分な対応ができていない」と懸念しています。

同院でも合併症治療病棟を備えていますが、高齢者が抱えている合併症には心臓血管系の疾病から代謝系、がんなどさまざまなものがあり、認知症専門医療施設からは身体合併症が重篤なので診られない、一般病院からは認知症があると他の病気も治療しづらいという理由から、いずれのタイプの医療機関からも受け入れを躊躇する声があり、行き場をなくした認知症患者さんが全国にいるのも現実だといいます。

「病を抱えている高齢者を一人でも多く救いたい。認知症と身体疾患、どちらがメインの病気であっても、医療機関は最善を尽くすべき」と話す井口先生。身体合併症をもつ認知症患者さんを各医療機関が互いに責任をもって受け入れ、治療し合える体制づくりを目指し、井口先生の奮闘は続きます。

 

 

取材日:2013年7月5日

戸田病院の外観

医療法人髙仁会 戸田病院

〒335-0026
埼玉県戸田市新曽南3-4-25
TEL:048-442-3824

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