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地域初の認知症疾患医療センターとして啓発にも力を注ぐ
<埼玉県鴻巣市 埼玉県済生会鴻巣病院>

名誉院長 蓮江郁夫先生 名誉院長 蓮江郁夫先生

埼玉県済生会鴻巣病院は、全国に約80ある済生会病院の中で唯一の精神科単科病院。1950年の開業以来、地域に根ざした医療活動を続け、2002年に認知症治療病棟を開設。2012年には埼玉県認知症疾患医療センターの指定を受け、地域連携や啓発にも積極的に取り組んでいます。

高齢化率の上昇に伴い、認知症患者さんも増加

「この地域の高齢化率は近年ずっと上昇を続け、それに伴って認知症の患者さんも増加傾向にあります。当院の患者さんも、入院はさほど変わりませんが、外来へのご相談は増えていますね」。

現状をそう解説する名誉院長の蓮江郁夫先生が認知症に関心を抱くようになったのは、2005年のこと。埼玉県精神科病院協会から推され、日本精神科病院協会の高齢者に関する委員会の委員になったことがきっかけだったと言います。

「2002年に当院は認知症治療病棟を設け、私も本格的に認知症の勉強をしなければならないと思っていたところ、委員のお話が来たのです。日本精神科病院協会では年に1度認知症に関する講演会を開催しており、私が司会することもありました。そこでレビー小体型の発見者である小阪憲司先生や、長谷川式簡易評価スケールを開発された長谷川和夫先生など、日本で屈指の実績を持つ先生方の講演を聴く機会があり、大いに啓発されました」(蓮江先生)。

 

すべての医師が認知症の診療に対応

精神保健福祉士 香田綾さん 精神保健福祉士 香田綾さん

同院では蓮江先生をはじめ外来を担当する医師はすべて認知症に対応。2012年9月には埼玉県認知症疾患医療センターの指定を受け、地域連携や啓発活動を含め認知症への取り組みをさらに強化しています。

患者さんやそのご家族からの相談をまず受けるのは精神保健福祉士の香田綾さん。ご家族がネットで調べて同院のホームページを見つけたり、かかりつけ医やケアマネジャーの勧めを受けたりして相談されるケースが多いと言います。

「他の医療機関でやっていらっしゃる、もの忘れ外来のなかには、1ヵ月以上予約待ちのところもあると聞きます。当院はもの忘れ専門とは掲げていませんが、全医師が認知症を診ますので比較的予約が取りやすいと思います。また、CTや血液検査の結果もその日のうちにわかりますから、改めて結果を聞きに来ていただく手間はおかけしません」(香田さん)。

 

アドバイスにも告知にも細やかな配慮を

初診の場合まず予診をとり、認知症の疑いがあれば長谷川式簡易評価スケールによる検査、血液検査、CTによる画像検査などを行い、必要に応じてMRI等を近隣の協力病院に依頼します。

蓮江先生が患者さんに接する上で特に留意しているのが、認知症の診断をつけたときの告知です。

「認知症は決して改善しないと思い込んでいる患者さんがおられ、告知したところずいぶん落ち込まれたことがありました。ですので、患者さんにもご家族にも、できるだけ正確に丁寧にお話しするよう心がけています」(蓮江先生)。

一方で香田さんは「ご家族がお困りなのに、患者さん本人が診察に来たがらないことがしばしばある」と受診を促すことの難しさを指摘します。

「患者さんが受診を拒否される場合でも、できるだけご家族とは連絡を取り合って、患者さんへの声の掛け方や対応をアドバイスしたりしています。そうしているうちに受診のタイミングが見つかるかもしれませんから」(香田さん)と、できる限りの対応に努めています。

 

患者さんの大声も一つのメッセージ

蓮江先生は同院の認知症診療の大きな特徴として「認知症治療病棟があり、入院治療ができること」を挙げます。

「つい先日、レビー小体型の患者さんが退院されました。入院時点ではとても状態が悪かったのですが、かなり落ち着いてきたので施設で生活できるようになりました。たとえBPSD(周辺症状)で何らかのトラブルがあったとしても、適切な治療をすれば症状は安定することを、ご家族や施設の方はもっと理解していただきたいですね」(蓮江先生)。

副看護部長・老健総師長 深谷きみ子さん 副看護部長・老健総師長 深谷きみ子さん

認知症治療病棟は48床。同病棟がスタートした2002年からここで患者さんの対応にあたっている看護師の深谷きみ子さんは、「患者さんの表情を読み取ること、そしてご家族の思いをくむことが大事」だと実感をこめて語ります。

「多くの患者さんは言葉で正確な意思表示ができませんから、表情や態度で読み取らないといけません。大声で話す患者さんを問題視するのではなく、それを“メッセージ”だととらえることが必要です」(深谷さん)。

「食事、排泄など目の前の仕事に追われがちですが、いちばん不安で苦しい思いをしているのは患者さんご本人。その思いに応えられるよう、できる限り快適な環境を提供することが私達の役目であると思います」(深谷さん)。

 

認知症サポーターの育成にも力を注ぐ

認知症疾患医療センターとしての役割を担う同院は地域連携や啓発活動にも力を注いでおり、蓮江先生は医師会の研修会などで、香田さんも学校の教員や一般の方を対象とする介護教室などで講演を行っています。

同院の薬剤師、持田良一先生も啓発活動に積極的です。

薬剤科科長 持田良一先生 薬剤科科長 持田良一先生

「私はキャラバン・メイト(認知症サポーター養成講座の講師役)の資格を持っていて、地域の養成講座をサポートしています。病院の薬剤師としての認知症への対応は他の病院と同じだと思いますけれど、キャラバン・メイトをやっている薬剤師は非常に珍しいと思います」(持田先生)。

「養成講座を行うには、医薬品メーカーから情報提供をいただくことも必要です。メーカーさんとの接点が大きいのは薬剤師ですから連携には適役だと思います」(持田先生)。

そう語る持田先生は「まだまだ啓発が足りない」と指摘します。

「認知症の解説をしているホームページなどは非常にたくさんありますし、多くの方がある程度はご存じなのかと思いきや、実際には『アルツハイマーって認知症と違うんですか?』という質問もしばしばあります。家族や知人に患者さんがいた人とそうでない人との情報の落差は、私たちが考えている以上に大きいと思います」(持田先生)。

 

症状の理解や予防のための啓発が必要

啓発の必要性は同院のスタッフの大半が強く実感しており、香田さんは「センターの役割がまだまだ知られていない」と言います。

「当院がこの地域ではじめての認知症疾患医療センターで、それもスタートしてまだ1年。その機能や役割が十分知られているとは言えず、講演で説明することもよくあります」(香田さん)。

蓮江先生は「認知症に対して十分な理解が得られていない」と課題を掲げます。

「残念ながら患者さんには認知症を恥じる意識が、周辺には差別する意識がまだあり、精神科病院に行くことをためらう人は少なくありません」(蓮江先生)。

そう指摘する蓮江先生は、中年からの予防も大切だと持論を述べます。

「認知症は生活習慣病と関連があります。ですから高齢になる前、中年の頃から食生活等に気を配ることが大切です。このまま患者さんが増え続ければ、いまの医療体制、介護体制では支えきれず“認知症難民”が出かねない。それはなんとしても防がなければなりません」(蓮江先生)。

 

 

取材日:2013年8月29日

埼玉県済生会鴻巣病院の外観

埼玉県済生会鴻巣病院

〒365-00073
埼玉県鴻巣市八幡田849
TEL:048-596-2221

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