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医療と介護を複合させる。小さな町での大きな挑戦
<島根県邑智郡川本町 社会医療法人仁寿会 加藤病院>

社会医療法人仁寿会 理事長 加藤病院 病院長 加藤節司先生 社会医療法人仁寿会 理事長
加藤病院 病院長 加藤節司先生

人口3,600人ほどの町で唯一の病院を運営する社会医療法人仁寿会が、在宅療養支援病院から介護老人保健施設、グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅まで一体的に経営。医療と介護が複合し、地域社会はもちろん地元の大学とも教育・研修・臨床の三つの分野で密接な連携をとる、時代を先取りした医療が始まっています。

交通の要衝の町を支えてきた病院

島根県のちょうど中央に位置する邑智郡川本町は人口3,600人ほど、豊かな自然に恵まれた山村です。中国地方最大の河川である「江の川」と石見銀山へとつながる街道が町を貫き、交通の要衝として古くから栄えてきました。

加藤病院の歴史も明治時代にまでさかのぼることができます。長年にわたって病院機能の進化を続け、現在は85床(うち療養型58床)の病棟と15科目の診療科を有する、島根県地域医療拠点病院のひとつとして地域医療を支えています(取材時)。さらに、社会医療法人仁寿会では介護老人保健施設、在宅療養支援センターなどを設置・運営しており、同町における医療・介護の中核的存在となっています。

病院長の加藤節司先生の専門・認定資格は産婦人科、麻酔科、臨床内科、さらには労働衛生コンサルタント等多岐にわたり、勤務医として麻酔科・集中治療にも取り組んだ後、1995年から故郷の同院で指揮を執ってきました。以来、町唯一の病院の院長として総合医療に取り組み、近年は在宅医療連携に力を入れています。

 

寝たきりに近かった患者さんが見事なお刺し身を

町には高齢者が多いこともあって、入院患者さんの2~3割、外来患者さんの1~2割が認知症を抱えています。そのほとんどは、若い時から同院をかかりつけにしていた方たちです。2013年12月から神経内科医も常勤となり、認知症の診断と治療に今まで以上に力を入れられる体制も整いました。

認知症に取り組むにあたって、加藤先生には原点となる経験があります。それは、介護保険制度のスタートにあわせてグループホームかわもと「あいあいの家」を開設した時のこと。療養病床で寝たきりに近い状態だった患者さんにグループホームに移っていただきました。「グループホームは共同生活なので、何か役割を分担するのが基本です。その患者さんは現役時代に魚の行商をしておられたので魚の調理をお願いしたら、見事に3枚におろし、美しい刺し身にしてくださったのです」と、加藤先生は振り返ります。

世界で初めてグループホームをつくったスウェーデンの医師の著作から学び、このような変化を期待して患者さんを移した加藤先生でしたが、実際にキビキビとした立ち居振る舞いを見せる患者さんの姿は衝撃的だったと言います。「病院は時に、患者さんに残された能力を発揮する機会を奪ってしまう。認知症になっても自分の力を誰かのために生かすことで尊厳が保たれ、それが症状の緩和にもつながるのだと痛感しました」(加藤先生)。

 

グループホームは支えあい、学びあう場

「あいあいの家」という名称には、医療者、介護者が一方的に患者さんのケアをするのではなく、助けあい、学びあい、支えあい、お互いに敬意をもって共に暮らしていこうという思いが込められています。これは在宅医療に力を注ぐ仁寿会の取り組み全体につながっています。訪問看護、訪問介護、通所リハビリ、ショートステイ、グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅が一体的に経営され、加藤病院による医療サービスに支えられているのは、医療・介護事業者が少ない小さな町だからこそとはいえ、患者さんにとって理想的な連携といえるでしょう。

同院の外来診療では、常勤医に加えて島根大学の医師の枠もあり、ホームドクターとしての役割と大学病院のような専門性の高い医療が受けられるのも魅力です。

また、同院が中心となり、家庭医療と地域包括ケアを学ぶ研修プログラムを、研修医・医学部、薬学部、看護学部の学生等を対象に実施しているのも、連携が円滑に機能しているからこそです。「すべての学習者の皆さんには、地域医療の現場はもちろん、グループホームなどで患者さんやご家族とのコミュニケーション、多職種スタッフとの連携の実際を学んでもらいます。医師は患者さんや地域そして他の専門職から学ぶことで成長するのだと実感できる機会を、若い人たちに提供したいのです」(加藤先生)。

 

患者さんの言葉にならない思いを“察する”

グループホームかわもと「あいあいの家」 管理者 下田友子さん グループホームかわもと「あいあいの家」
管理者 下田友子さん

グループホームかわもと「あいあいの家」の管理者を務める下田友子さんは、仁寿会のなかで訪問介護、通所リハビリ、老健施設と経験を重ねて、現在はケアマネジャーとして勤務しています。「『あいあいの家』で暮らしている患者さんのなかには、以前、私が訪問介護や通所リハビリで担当していた方もおられます。ご自宅での暮らしぶりを実際に見ていたことが、今、とても役立っています」と下田さんは語ります。

下田さんのように複数の施設を経験したスタッフがいることで、スタッフ間の風通しが良くなり、また、患者さんやご家族の安心にもつながっています。

グループホームは、バリアフリーの配慮が施され、専門知識を持つスタッフが常駐し、自宅では無理な調理や掃除などに協力しながら取り組めるなど、認知症の患者さんにとって暮らしやすい環境です。「それでも、皆さん住み慣れたご自宅への思いを抱えておられますし、共同生活のスケジュールにあわせるために少しずつ我慢をされています。言葉にならない思いを察して、自分らしく暮らしていただけるよう、スタッフみんなで努力しています」(下田さん)。

自分が患者さんだったら、患者さんのご家族だったらどうしてほしいか。常にそれを自問して、より良い介護をめざすのがスタッフの共通した思いとなっています。

食事を通して認知症の予防と改善を

加藤病院 管理栄養士 大野美穂さん 加藤病院 管理栄養士 大野美穂さん

同院とその関連施設では、島根大学や島根県立大学と協力し、食事を通した認知症の予防・改善に関する研究に取り組んでいます。認知症ではない高齢の町民100人ほどに、DHAやEPAの強化食品を2年間にわたり摂取してもらったところ、MMSE(認知機能検査)などのスコアが向上するなどの効果がみられました。今はグループホームで強化食品を試しているところです。「研究に参加することで、専門医の先生や、認知症に取り組む全国の栄養士とのつながりができ、さまざまなことを学びました」と語るのは、管理栄養士の大野美穂さんです。

病棟や施設の食事では栄養のバランスだけでなく、学会などで学んだことも生かしています。また、認知症が進むと食事を食事であると理解できないこともありますが、可能な限り患者さん一人一人の症状にあわせて、食べてもらえるように工夫しています。

「よく食事風景を見に行きますし、何気ないおしゃべりに懐かしい食べ物の話が出て後の献立に生かせることもあるので、コミュニケーションを大切にしています。女性の患者さんは特に、調理することが治療と予防になりますので、仁寿苑では毎月、調理実習を行っていますよ」(大野さん)。

食事を重視するのは加藤先生も同じです。「集中治療室で働いていた時は、死に直面することも少なくありませんでした。回復する患者さんに共通していたのは、ご自身の食べようとする意欲でした。食事は命の基本なのです」(加藤先生)。

認知症の予防から、治療、グループホームや在宅での看取りまで、一貫して患者さんを支える加藤病院と仁寿会の事業。地域に根ざして、老若男女すべての住民の健康への責任を負っているからこその取り組みが進められています。

 

 

取材日:2013年12月10日

社会医療法人仁寿会の外観

社会医療法人仁寿会 加藤病院

〒696-0001
島根県邑智郡川本町川本383-1
TEL:0855-72-0640

施設のホームページへ

 

グループホームかわもと「あいあいの家」の外観

グループホームかわもと「あいあいの家」

〒696-0001
島根県邑智郡川本町川本376-4
TEL:0855-72-2950

施設のホームページへ

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