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精神科と皮膚科の連携―メディカルアロマセラピーで
患者さんの心身に癒やしを
<北海道札幌市 札幌こころの森クリニック>

院長 精神科 鈴木衣穂子先生 院長 精神科 鈴木衣穂子先生

札幌を代表する桜の名所・円山公園の程近くにある、札幌こころの森クリニック。精神科と皮膚科が連携して認知症診療にあたっており、高齢者への訪問診療にも力を注いでいます。症状に応じて薬の種類や用量をきめ細かく設定するオーダーメイド医療を進めるほか、メディカルアロマセラピー等にも取り組み、患者さんの心身を癒やすクリニックとして注目を集めています。

精神科と皮膚科のタッグで患者さんの心身を治療

副院長 皮膚科 加藤優子先生 副院長 皮膚科 加藤優子先生

一歩足を踏み入れると優しい香りが出迎えてくれる、札幌こころの森クリニック。ゆったりとくつろげるソファ、目に安らぎを与えるグリーン、そして心地よいアロマの芳香......クリニックというよりアートサロンのような落ち着いた空間が広がります。

院長の鈴木衣穂子先生は、精神保健指定医として十数年間、精神疾患や認知症などの診療に取り組んできました。

「地域の認知症患者さんや神経を患う方が気軽に受診できる、あたたかい場所をつくりたい。質の高い医療を提供したい」という理念を掲げ、2010年秋に同クリニックを開設。2012年春には皮膚科も開設し、現在は鈴木先生による精神科と加藤優子先生による皮膚科の2科診療となっています。

 

訪問診療にも力を注ぐ

同クリニックでは外来のほか、近隣のグループホームや有料老人ホーム等への訪問診療を行っています。鈴木先生はその理由に、患者さんや付き添いのご家族、介護者への負担軽減をあげています。

「以前勤めていた病院では、どんなに近くに住んでいても、来院となると付き添いが必要な高齢者さんが多く、通院が負担になっている姿を目の当たりにしていました。そこで、自分たちが出向いたほうが患者さんや介護者の苦労を減らせると考えたのです」(鈴木先生)。

特に認知症の患者さんに対しては、「生活の場にうかがうことで、暮らしぶりやご家族との関係など、患者さんの生活環境がわかり症状の原因が把握でき、その方に合った治療へとつなげることができます」と、鈴木先生は訪問診療の利点を話します。

訪問するのは延べ20施設。鈴木先生が認知症患者さんを診察し、症状に応じた診療を行っています。皮膚科の加藤先生も週に1日訪問診療を行い、褥瘡や高齢者に多い乾燥肌に伴う湿疹を中心に、必要に応じて爪切りなどのケアも取り入れています。

 

皮膚科の触れるケアが認知症の症状緩和をサポート

落ち着いた雰囲気で、心地よくアロマが香る待合室 落ち着いた雰囲気で、心地よくアロマが香る
待合室

鈴木先生による精神科と加藤先生による皮膚科の併設は、診療面において利点が多く、両科にかかっている認知症の患者さんも少なくありません。鈴木先生は「深刻なアレルギー疾患の患者さんは根本にストレスを抱えていることも多く、2科の診療でどちらも改善が可能になります。また、皮膚トラブルを抱えていることが認知症患者さんの症状の一因となっている場合もあり、そのようなときにもすぐに専門的処置ができています」と、2科で連携する良さを話します。

加藤先生は「神経と皮膚はつながりが深く、不安定な精神状態は皮膚に悪影響を及ぼすことがあります」と、肌と心の密接な関係を指摘します。

診察の際に加藤先生が心がけているのは、訴えのある部位以外の皮膚もくまなく観察することです。「認知症の方には自覚症状がない方も多くいらっしゃいます。背中や手など全身を診せてもらい、ご家族やご本人も気がつかない湿疹を発見することもあります」(加藤先生)。

また、全身の皮膚に気を配ると同時に、“触れること”を大事にしています。ソフトなタッチで肌に触れることは認知症のケアや症状緩和に有効な場合が多く、加藤先生は「患者さんの表情が和らぎ、満足感、安心感をもたらしていると思います」と効果を実感しています。「高齢の患者さんへのスキンシップは、心身に良い影響を与え、ご本人も自分が大事にされていると感じていただけるようです」と、ご家族や介護者にも認知症患者さんへの足浴や軟膏剤などの外用を兼ねて、“優しく肌に触れること”を勧めています。

 

認知症を正確に診断し、治療を進める

同クリニックの外来では、認知症ではないかとご家族が心配し、患者さんを連れてくる場合とともに、「最近もの忘れがひどくて......」と自ら訴えて来院する患者さんが多いといいます。

初診ではMMSEなどの簡易認知機能検査、血液および心電図検査、連携病院で撮影するMRI画像などのデータを基に診断していますが、鈴木先生は長年の経験から「簡易検査では特に異常は認められないが、詳細な検査を行ったほうがよい」と勘が働くこともあります。その際には北海道大学病院の“もの忘れ検査入院”を紹介し、さらに緻密な検査と診断を依頼するなど、特に初期段階の場合には正確な診断を意識しています。

「正確に診断を行うことでご家族に納得してもらい、治療を進めることができています。また、初期段階にきちんと診断をつけることで、方向性をきちんと定めて治療を進めることができると考えています」(鈴木先生)。

 

患者さんやご家族の不安な気持ちに寄り添う診療

看護師・アロマセラピスト 小寺奈緒美さん 看護師・アロマセラピスト 小寺奈緒美さん

患者さんにストレスのかかる心理検査では、緊張や不安感を抱く人も少なくありません。そこで鈴木先生は「問診の段階では、患者さんが穏やかな気持ちで検査に望めるように、患者さんの緊張をほぐせるようにお話を伺っています」と、気持ちよく検査を受けてもらえるよう配慮しています。

実際に心理検査を担当する看護師の小寺奈緒美さんらも、患者さんの不安を軽くするため、話すスピードや受け答えに気を配ります。

「ご自分のペースでたくさん話されたり、無口になられたりと感情の起伏が激しい方もいらっしゃるので、その時々の患者さんの状態に合わせ、否定せずにお話を聞くようにしています」(小寺さん)。

受付事務 畠山理恵さん 受付事務 畠山理恵さん

受付事務の畠山理恵さんも患者さんに対し、「決して早口にならないようにし、気持ちが伝わるように心を込めて話すことを心がけています」と話します。同じ受付事務の坂本和代さんは、ご家族からの電話での問い合わせには「こちらに来れば安心だということが伝わるよう、相手の気持ちが軽くなる受け答えを意識しています」と話し、全スタッフが患者さんやご家族の不安な気持ちを和らげるよう努めています。

 

補完医療、代替療法としてメディカルアロマセラピーを推進

受付事務 畠山理恵さん アロマディフューザーと、精油・ハーブティーのコーナー

同クリニックの待合室は、アロマディフューザーから漂う優しい香りに包まれています。使用する精油は季節や天候に合わせて選ばれ、来院者へのリラックス効果だけではなく、嗅覚を通じて精神疾患や認知症にアプローチしていく“メディカルアロマセラピー”として診療にも取り入れています。

同クリニックのスタッフは、アロマセラピー関連の資格をいくつも持ち、看護師の多くはアロマセラピストという、“スペシャリスト集団”です。

加藤先生はアロマセラピーやハーブについて数年学んだのち、同クリニックに補完医療、代替療法としてメディカルアロマセラピーを導入しました。

昨今では記憶を司る海馬と嗅覚との関連が指摘されており、香りは大脳辺縁系にダイレクトに働き、認知症を予防することも可能という報告も注目を集めています。

加藤先生も「認知症の方は夜間の睡眠が不十分になることもありますが、昼間は覚醒をもたらす精油(ローズマリーなど)、夜間は鎮静をもたらす精油(ラベンダーなど)と使い分けることで日常のリズムが整いやすくなり、良質な睡眠にもつながる可能性があります」と語り、メディカルアロマセラピーが認知症治療の代替療法となる可能性を見据え、今後もさまざまな形で診療に役立てていく考えです。

 

患者さんだけでなく、スタッフへの癒やし効果も

メディカルアロマトリートメントが行われるセラピールーム メディカルアロマトリートメントが行われる
セラピールーム

アロマセラピストなどの資格も持つ看護師の小寺さんは、患者さんやご家族にアロマセラピーの効果を分かりやすく説明したり、自宅でのセルフケア法をアドバイスしたりしています。また、待合室にリーフレットを置き、アロマセラピーの知識を広めているほか、希望者には20種類の精油から目的と患者さんの好みにあったものを調合し手足へのアロマトリートメントも施しています。

小寺さんは「アロマオイルの香りが、忙しくても心を落ち着かせて患者さんやご家族と向き合うということの大切さを思い出させてくれます」と言い、患者さんやご家族だけでなく、同クリニックで働くスタッフの心のケアにも役立っていると感じています。

多忙な日々を送る鈴木先生も、「朝出勤するとディフューザーから漂う香りに癒やされます」と話します。スタッフが鈴木先生の体調を気遣って精油を選ぶこともあり、「仕事が立て込んでいるとき、リラックスしたいときなど、よく私の体調が分かるものだと感心しますね」と笑いながらも、スタッフへの感謝を口にします。

また同クリニックでは、アニマルセラピーにも力を入れており、セラピー犬のマイユくんが活躍中です。患者さんやご家族からは「気持ちが温まった」「癒やされますね」などの声が寄せられ、マイユくんはクリニックのアイドル的存在となっています。

 

かかりつけ医と連携のうえ、より深い専門的治療を

精神科医として認知症診療に取り組む鈴木先生 精神科医として認知症診療に取り組む鈴木先生

鈴木先生は、目下の課題として“かかりつけ医との連携”をあげます。超高齢化によって認知症の患者さんは増加を続け、専門医だけでは対応しきれなくなってきていると感じています。

かかりつけ医の先生方には、「BPSD(周辺症状)がみられる場合には、なるべく早い段階で精神科の医師に相談してほしい」と呼び掛けます。

「普段かかっている先生にも診ていただきながら、私たち精神科医がより深い、専門的な部分で認知症患者さんを診ていくのが理想です。老人介護施設などでは集団生活に適応するため、BPSDへの早急な対応が求められる場合もあります。高齢の認知症患者さんから生活の場を奪わないためにも、地域の先生方と積極的に連携を取っていきたいと思います」(鈴木先生)。

精神疾患や認知症を患う地域住民に安らぎと癒やしを与え、認知症診療に新しい可能性をひろげる同クリニックの活動は、今後も続いていきます。

 

 

取材日:2014年2月24日

札幌こころの森クリニックの外観1
札幌こころの森クリニックの外観2

札幌こころの森クリニック

〒064-0807
北海道札幌市中央区南7条西15-1-1 クレド3F
TEL:011-552-0055

施設のホームページへ

 

 

 

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