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熊本モデルを支え、新しい発想で地域の認知症診療を牽引する
<熊本県八代市  医療法人社団平成会 平成病院>

平成病院 院長 坂本眞一先生 平成病院 前理事長 坂本眞一先生

平成病院は、先進的な認知症医療ネットワーク「熊本モデル」の地域拠点型認知症疾患医療センターとしての役割を担い、認知症患者さんの受診環境の整備と早期受診を促すための仕組みづくり、医療・行政・介護スタッフの連携による包括的サポートの構築に取り組んでいます。一方で、認知症患者さんのケアをより充実させるために、地域密着型の特別養護老人ホーム、ショートステイを開設するなど、患者さんとご家族に寄り添う認知症介護の理想形を目指して、新たな一歩を踏み出しています。


平成27年7月に坂本眞一理事長が急逝いたしました。
平成病院は、地域拠点型認知症疾患医療センターとして感謝の心・敬愛の心・向上の心・信念の心をもって、質の高い安心で安全な医療に現在も取り組んでいます。
平成病院 院長 本田荘介

熊本モデルの地域拠点として、認知症診療のリーダーとして

地域拠点型認知症疾患医療センターの役割を担う平成病院 地域拠点型認知症疾患医療センターの
役割を担う平成病院

地域に根ざした精神科病院である平成病院は、30年以上前から、全開放型の認知症専門病棟を備え、地域の認知症診療に長く向き合ってきた歴史を持ちます。前理事長の坂本眞一先生は「認知症診療は医療だけでは解決せず多職種の力が必要である」と考え、2007年に医師にとどまらず、行政や介護、認知症に関わるすべての職種で介護を勉強・研究する「やつしろ認知症研究会」を発足させ、八代地域の認知症医療・介護の中心的存在となって取り組んできました。

2009年に、熊本県全域を所管する基幹型と県内9ヵ所の地域拠点型から成る2層構造の認知症疾患医療センターを設置した「熊本モデル」で、同院は地域拠点型認知症疾患医療センターのひとつに指定されました。受診相談と診断・治療は当然のこととし、地域包括支援センターとの緊密な連携による受診拒否の患者さんの掘り起こしや、医師や看護師のみならず、保健師、ケアマネジャー、行政、民生委員、警察官などさまざまな職業の人や介護するご家族に向けた勉強会を行い、地域全体を巻き込んだ認知症診療に取り組む姿勢を貫いています。

 

受診相談時の医療センターでの迅速なトリアージ

平成病院 認知症疾患医療センター連携担当 ケアマネジャー 西田まゆみさん 平成病院 認知症疾患医療センター
連携担当 ケアマネジャー
西田まゆみさん

平成病院 認知症疾患医療センター連携担当 精神保健福祉士 本田翔子さん 平成病院 認知症疾患医療センター
連携担当 精神保健福祉士
本田翔子さん

同院の認知症疾患医療センターの受診体制に欠かせないのが、連携担当を務めるケアマネジャーの西田まゆみさんと精神保健福祉士の本田翔子さんです。

「正常圧水頭症や硬膜下血腫などは認知症と似た症状がありますが、手術が必要な緊急性の高い疾患です。認知症の受診相談時にはこれらの疾患とアルツハイマー型認知症などとを見分けて、予約の優先順位をつけるトリアージが重要になってきますが、二人はその点でとても優秀です」(坂本先生)。

坂本先生は、トリアージの知識を身につけ、どんな相談にも的確に対応できるお二人に、絶大な信頼を寄せています。西田さん、本田さんは、熊本モデル構築後から基幹型施設で実施されている事例検討会に継続的に参加し、認知症に関する知識を高めてきました。

「事例検討会では、各病院の先生方や担当者と一緒に、認知症の問診のポイントなどのレクチャーを受けています。ここで学んだことが、実際に患者さんと接する際に役立っていますね」(本田さん)。

 

受診前のきめ細かい面談で、正確な診断につなぐ

坂本先生の初診に先んじて、連携担当のお二人は1時間から1時間半をかけて患者さんのご家族と面談を行っています。

「私たちとの面談の日を設けることで、ご家族にとってはどんなスタッフがいる病院なのかを把握でき、初診時に先生に伝えるべきことを事前に整理できるという点で有意義なようです」(西田さん)。

面談で収集した情報は、患者さんの生活歴、病歴、家族歴のほか、特に坂本先生に伝えておくべき事項などをまとめて、相談シートを作成しています。「初診時に先生が正確な診断を下せるよう、ポイントを押さえて書くように心がけています」と話す本田さん。さらに、“自分の仕事にプライドを持って取り組んでいた方”など患者さんのキャラクター要因も相談シートに記載しており、的確な情報が坂本先生の診療サポートとなっています。

 

患者さんとご家族を心から迎え入れ、良い方向へ導くための診療

坂本先生は、来院した患者さんに「よく来てくださいました」と声をかけ、緊張感を解いて心を開き合う関係の構築を大事にしています。問診を進める中で、患者さんの症状の自己認識を確認し、診断の予測を立てています。採血やMRI、SPECTなどの画像検査は、予測を裏付ける補助診断と位置づけ、症状と患者さんの背景、これまでの経過から総合的に診断を行って、治療方針を決めていきます。

認知症診療に方程式はないと考える坂本先生は、ご家族に「長く笑顔でいられる状態をつくっていきませんか?」と語りかけ、個々の患者さんに合った治療方針を立てることを大切にしています。  

ご家族の相談を受ける西田さんは、ご家族と患者さんとの関係性に最も気を配ります。「認知症による症状のために家族関係がぎくしゃくしてしまっている場合は、治療に影響を及ぼします。ご家族が患者さんの病状を客観的に理解し、気持ちが楽になって治療に前向きになってもらえるように、私たちもサポートしています」(西田さん)。

 

地域包括支援センターに出向き、受診が必要な患者さんをサポート

西田さんと本田さんは、八代市管轄の7ヵ所の地域包括支援センターを週に1回定期的に訪問し、ご家族を対象とした認知症に関する相談会を実施しています。さらに、坂本先生は月に1回、同支援センターで、主に受診拒否の方を対象に訪問医療相談を行っています。ここでは白衣姿でない先生がにこにこと話しかけてくれるので、高齢の方も安心して問診に応じています。

この医療相談をきっかけに、これまで受診を拒否していた方でも「坂本先生に会いに病院へ行こう」と声をかけると受診につながることが多く、西田さんは「お年寄りには、病院より身近な支援センターが相談の場面として適しているようですね」と話します。

さらに両施設の共催で、そのとき必要なテーマについて、年5回以上事例検討会を開いています。「医療・福祉関連に限らずさまざまな分野の方をお招きしています。前回は患者さんの病態別の自動車運転や事故を取り上げ、地域の警察関係、自動車学校の方をお招きしました」(西田さん)。

 

理想の介護を見えるかたちにして地域の受け皿となる

八代草施設内の掲示された、入居者さんの書き初め 八代草施設内に掲示された、入居者さんの書き初め

地域の認知症介護にも深く関わってきた坂本先生は、認知症ケアの質をもっと向上させたいとの志から、2013年9月にデイサービス、ショートステイにも対応した地域密着型特別養護老人ホーム「八代草」を開設しました。老人ホーム3ユニット、ショートステイ1ユニットで、小規模の集団で顔なじみの関係がつくれるように工夫されています。

設立の背景には、「私たちの病院を受診中で病状が少し不安定な患者さんや入院できない患者さんが安心して利用できる、ショートステイや老人ホームをつくりたかった」という坂本先生の切実な願いもありました。いつでも先生が患者さんの病状を把握できるため、ご家族も安心して患者さんを預けることができると好評だとのこと。

 

利用者さんが尊重され、受け入れられる空間を目指して

地域密着型特別養護老人ホーム 八代草の広い共同居住スペース 地域密着型特別養護老人ホーム
八代草の広い共同居住スペース

地域密着型特別養護老人ホーム 八代草 生活相談員・ケアマネジャー 庄子幸子さん 地域密着型特別養護老人ホーム 八代草
生活相談員・ケアマネジャー
庄子幸子さん

施設内の広々とした開放的な空間は、徘徊がある方でも自由に歩き回れるよう工夫され、「入居・利用される方の尊厳を大事にし、快適な環境を提供することで、認知症のケアの理想形を発信できる施設にしたい」と語る坂本先生の想いが隅々に反映されています。

「スタッフの利用者さんへの対応は、利用者さん同士の関係にも影響します。スタッフがBPSD(周辺症状)も含めてその方を受容すれば、周りの利用者さんにも受け入れられます。危害を加えるような症状でなければ、その方の行動が問題ではなくなり、円満な関係が築いていけると考えています。大事なことは受け止める心だと考えています」と、同施設生活相談員でケアマネジャーの庄子幸子さんは語ります。

自宅では徘徊や夜間せん妄が強い方も、八代草では穏やかな雰囲気で過ごせる様子だという庄子さんは「今後もケアの質で胸を張れる施設でありたい」と抱負を語ります。

 

認知症支援のためのツールを行政に働きかけて普及させる

やつしろ認知症研究会で作製したもの忘れ相談手帳 やつしろ認知症研究会で作製した“もの忘れ相談手帳"
連携ツールとして役立っている 連携ツールとして役立っている“もの忘れ受診手帳”

坂本先生が代表世話人を務めるやつしろ認知症研究会では、さまざまな提案を行い、市・県の行政も協力的です。もの忘れのチェックや相談医のリストが掲載された“もの忘れ相談手帳”は、坂本先生らの尽力で八代市の市報に挟んで全世帯に配布され、地域住民の受診のきっかけづくりの一助となっています。

続いて提案したのが“もの忘れ受診手帳”です。「みんなで連携して認知症患者さんを支えるには、さまざまな情報の共有が必要」と考える坂本先生が、連携のための情報ツールとして患者さんに半永久に携帯してもらうことを想定し考案しました。この手帳では、患者さんの症状や身体状況、服薬の状況のほか、ご家族の状況、介護保険の利用状況、ケアマネジャーとの連携状況などが網羅されます。

“もの忘れ受診手帳“は現在、医療センターで書き込んで患者さんに渡す方法で情報の均一化を図り、同県は本手帳のアイデアを採用し“火の国あんしん受診手帳”という事業に発展しています。

 

在宅医療支援システムに“オール八代”で取り組む

今、坂本先生は同市の在宅医療支援を推進しています。坂本先生の構想は、国策として在宅医療が進められる中で、さまざまな関連機関を集めてそれぞれに降りてくる予算を集約し役割分担を決め、後世に残るシステムや人材育成を進めるという、壮大で画期的な試みです。

「医療と介護と福祉の“オール八代”で、方向性を合わせて取り組もうと、地域ケア会議を実施しました。名づけて『GOGOやつしろ』です」と坂本先生は笑います。

在宅医療を進めるうえで、認知症と高齢者単独世帯の増加が大きな壁になると危惧する坂本先生は、認知症の早期発見には、かかりつけ医だけでなく民生委員や認知症サポーターの活躍が欠かせないと強調します。

地域連携に取り組む平成病院と八代草の皆さん 地域連携に取り組む平成病院と八代草の皆さん

「高齢者の独居世帯では周りが気がつかないうちに認知症が進んでいることがあります。民生委員とサポーターのコンビで訪問してもらい、そうした方々を拾い上げ、受診に結びつけたい」(坂本先生)。

ご自身について「人とのつながりを大事にしてひとつひとつ組み合わせ、皆が自由に動ける環境を準備しているだけ」と謙虚に語る坂本先生は、この先も常にさまざまな機関や職種と連携し、精力的に新しい取り組みに挑んでいきます。

 

 

取材日:2014年1月28日

平成病院の外観

医療法人社団平成会 平成病院
地域拠点型認知症疾患医療センター

〒866-0895
熊本県八代市大村町720-1
TEL:0965-32-8171

 

八代草の外観

社会福祉法人平成苑
地域密着型特別養護老人ホーム 八代草
八代草短期入所生活介護(ショートステイ)

〒866-0893
熊本県八代市海士江町2833-1
TEL:0965-62-8550

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