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予防から看取りまで「人ひとりを丸ごと診る治療」を提供
<千葉県東金市 医療法人静和会 浅井病院>

院長 秀野武彦先生 院長 秀野武彦先生

1946年開設以来の長きにわたって、患者さんが安心して暮らせる地域づくりに貢献してきた浅井病院。2012年には千葉県から認知症疾患医療センターの指定を受けて、認知症治療に積極的に取り組むほか、認知機能を高め介護予防につなげるデイケアを取り入れるなど、さまざまな形で患者さんを支援しています。

物忘れ外来を設置

浅井病院は、風光明媚な九十九里浜のほど近くに位置する、千葉県東金市の精神科病院です。開設以来約70年にわたって、同市ほか2市3町からなる山武地区の精神医療に貢献してきました。

同院では精神科を中心に内科や整形外科、歯科などの一般外来のほか、物忘れ外来などの専門外来も開設しています。また、認知症入院患者さんを受け入れているだけでなく、介護老人保健施設や特別養護老人ホームなども備え、高齢者の生活まで支えています。

院長の秀野武彦先生は、同院の治療を「精神科だけでなく、予防から看取りまで人ひとりを丸ごと診る治療」と表現します。認知症患者さんは身体合併症を持つ方も含めて受け入れており、2012年には千葉県で3ヵ所目となる認知症疾患医療センターに指定されました。地域住民からも「認知症なら浅井病院」と厚い信頼を寄せられています。

現在、認知症患者さんは新患の5割弱を占めます。初診では長谷川式簡易評価スケールやMMSE(認知機能検査)などのスクリーニング検査や、脳の画像検査を実施し、その後秀野先生ら医師による診察となります。認知症だとわかった場合は、薬物療法を中心に治療を行うほか、介護保険サービスなどご家族を支える仕組みについてもスタッフが詳しくアドバイスしています。

「BPSD(周辺症状)のある患者さんについても、いかに薬物療法を上手に行うかだと考えています。薬の影響で体調が悪くならないように配慮しながら、ご家族が介護しやすい状態を目指します」(秀野先生)。

 

かかりつけ医と連携した認知症治療

認知症疾患医療センターは、地域の認知症治療の拠点としてかかりつけ医を支える立場にあります。かかりつけ医から専門的な治療を要する患者さんが紹介されてくると、同院で治療方針を決定し、症状が落ち着いた後はかかりつけ医が診療を引き継ぎます。

「前頭側頭葉変性症やレビー小体型認知症の患者さんや、当院での治療を希望される方の場合は当院で治療していきますが、原則として患者さんの治療はかかりつけ医にお願いしています」(秀野先生)。

患者さんの半数以上は、3ヵ月程度同院で治療を行えばかかりつけ医のもとに戻せる状態になり、なかには初回の診察で治療方針の提案まで行ってかかりつけ医のもとで治療を始めることもあるといいます。

症状が安定してからかかりつけ医に戻すことは、かかりつけ医の認知症治療の支援にもつながっています。同院ではこのようなかかりつけ医との連携を、同センター指定以前から行ってきました。

「山武地区には医師会も認知症疾患医療センターも一つだけで、かかりつけ医とも顔見知りです。専用の紹介状を作ったり、かかりつけ医に戻すときの報告書もフォーマットを統一するなど、連携しやすくしています」(秀野先生)。

 

困っている地域の人のために認知症疾患医療センターを設置

事務 有光健さん 事務 有光健さん

秀野先生は「認知症で困っているが、どこに相談や治療に行けばいいかわからないという方も大勢おられます」と指摘します。認知症疾患医療センターは、そういった患者さんやご家族の道標となるために設置されました。

地域医療連携室に所属する有光健さんは、秀野先生の同センター設置への熱意に深く共感し、先生と共に同センター指定のために尽力しました。県から指定を受けるには、有識者を含む認知症疾患医療センター選考会議での審査を通過することが必要となりますが、指定が実現した理由について、有光さんは次のように話します。

「これまで当院がどのような姿勢で認知症治療に取り組んできたか、今後どう継続していくかを示すことができ、それが県が望む認知症疾患医療センターのあり方とマッチしていたからではないかと感じています」。

有光さんは、病床管理を行ったり、他の医療機関などとの調整役を務めるなかで、「『できない』とお断りすることはなるべく少なくしたいと思っています」と語り、同院の特徴である、患者さんやご家族中心の医療に貢献しています。

 

デイケアで認知機能を高める脳活性リハビリを実施

同院では、認知症の進行を防ぐために“STEP(ステップ)”と名付けたデイケアプログラムを10年前から実施しています。STEPでは、MCI(軽度認知障害)を含めた認知症患者さんたちにさまざまなプログラムを通して予防的医療を提供し、知的能力の維持を目指しています。秀野先生は「当時のデイケアはご家族の介護負担を減らすためのものが主流でしたが、その発想を変え、認知機能の向上を目指してスタートしたのがSTEPです」と説明します。

臨床心理士 野原将英さん 臨床心理士 野原将英さん

当初からSTEPの運営に携わってきた臨床心理士の野原将英さんは「介護が必要な状態にならないよう予防するという試みは、当時としては斬新だったと思います」と胸を張ります。

「現在では珍しくないかもしれませんが、読み書きや計算といった脳に直接働きかける学習プログラムを取り入れました。運動にも力を入れ、そのほか回想法やリアリティオリエンテーションなど、機能の維持・向上に有効と考えられている活動をプログラムに組み込んでいます」(野原さん)。

STEP利用開始6ヵ月後時点で、MMSEなどの認知機能テストで点数が上昇したというデータが出ており、12ヵ月後時点では開始時と同レベルに戻るものの、「進行を1年遅らせることができたのはすごいこと」と秀野先生は結果を評価しています。

プログラム内容と同じように野原さんが大切にしているのが、参加する患者さんたちの孤独を解消し、安心感を持ってもらうことです。それには、まずご家族のコンディションが重要と野原さんは話します。

「患者さんがデイケアに通うと、ご家族は自分の時間が持てたり、スタッフと話して不安を解消したりすることができます。その結果、患者さんとご家族の関係性が良くなり、患者さんも落ち着かれます。それも機能改善の要素です。リハビリだけでなく、患者さんが置かれた状況にまで目を配ることが大切だと考えています」。

 

相談窓口では患者さんに寄り添って解決の糸口を探る

精神保健福祉士 作田滋さん 精神保健福祉士 作田滋さん

入院費や退院後の行き先など、患者さんのさまざまな相談に寄り添う役割を担うのが、精神保健福祉士の作田滋さんです。「人ひとり丸ごとを診る」という秀野先生の姿勢と同じように、作田さんは単に解決策を示すのではなく、その背景にある事情や思いにまず耳を傾けます。

「認知症患者さんのご家族は、苦労しながらも自分たちだけで何とかしようと介護に取り組んでいます。まずお話を聞いてご家族をねぎらい、安心感を抱いていただきたいと考えています。そのためにも、ご家族がどのような状況で何にお困りかを整理したうえで解決策を提示するというプロセスを大切にしています」(作田さん)。

認知症患者さんのご家族だけでなく、ケアマネジャーなど介護職からの相談も増えています。作田さんは、以前ケアマネジャーを務めていた経験から「医師やご家族と同様に、患者さんの経過を見続けているケアマネジャーにとっても相談しやすい入り口をつくることも重要です」といいます。

より良い支援に結びつけるために、ほかの医療・介護機関とのつながりも大切にしたいと考える作田さんは、これまで築いた人脈も生かしながら、地域で行われるケアマネジャーの会議などに足を運び、顔の見える関係づくりにも時間を割いています。

 

今後も「人ひとりを丸ごと診る治療」に徹する

秀野先生は啓蒙活動にも積極的に取り組み、講演会は医師向けのものから、民生委員、一般向けなど幅広く行っています。認知症は病気に対する正しい理解が重要になりますが、秀野先生のわかりやすく丁寧な説明は、スタッフも舌を巻くほどです。

冷静沈着ななかに優しさをにじませ、一貫して丁寧な対応をする秀野先生には、ファンになる患者さんやご家族も多いといいます。「医師と患者さん、ご家族のあいだに段差を設けず、対等な立場でお話しするようにしています」という秀野先生の姿勢はほかのスタッフにも浸透しており、同院の和やかな雰囲気につながっています。

ここ山武地区は、医療資源が決して充実しているとはいえないと指摘する秀野先生は、今後の課題についてこう語ります。

「病気になると大変な思いをするのは患者さんですから、予防が大切です。当院では人間ドックも充実させ、快適な環境で検査を受けられるよう配慮していますので、もっと予防にも力を入れていきたいですね」。

年1回行われるお祭りには4000人から5000人もの来場者でにぎわうほど、地域の人々に親しまれている浅井病院。認知症治療の拠点として医療・介護機関の橋渡し役を担いながら、予防にも治療にも注力することで、「人ひとりを丸ごと診る医療」をこれからも追求していきます。

 

 

取材日:2014年3月28日

浅井病院の外観

医療法人静和会 浅井病院

〒283-0062
千葉県東金市家徳38-1
TEL:0475-58-5000

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