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外科・脳神経外科の専門性を生かし、地域の認知症医療をけん引
<高知県安芸郡田野町 医療法人臼井会 田野病院>

医療法人臼井会 理事長 田野病院 院長 臼井隆先生 医療法人臼井会 理事長
田野病院 院長 臼井隆先生

“人を大切にする”という理念の下、高知県東部の地域医療を支えてきた田野病院。人口減少と高齢化が進むなか、2013年10月に日本認知症学会より専門医教育施設に認定され、2014年1月からは脳神経外科医による認知症専門外来を開設するなど、認知症医療においても中心的な役割を担っています。

人口減少と高齢化に伴い、認知症診療体制を拡充

高知県東部に位置する安芸郡田野町は、西北を四国山脈の支脈と海岸段丘に囲まれた、四国で一番小さな町です。南に土佐湾が広がるこの町で、田野病院は1986年の創業以来、東部地域の医療を支えてきました。

「この30年で地域の環境も大きく変わりました」と話すのは、創業当初から同院長を務める臼井隆先生です。

「まず、開業当時8万人を切るかどうかだった安芸圏域の人口が、約5万3000人にまで減りました。1年に約1000人ずつ減っている計算です。さらに高齢化も進み、平成22年度の時点で県全体の高齢化率は29%で全国第3位、安芸圏域では35.6%と県平均より約7%高い数字になっています」(臼井先生)。

人口減少と高齢化に伴って、同院では高齢者医療や在宅医療にも力を注いできました。これまで「安芸圏域は手薄」とされていた認知症診療においても、2014年1月から専門外来を開設し、新たな役割を果たそうとしています。

 

診察室での会話をヒントに認知症患者さんを拾い出す

副院長 清藤啓之先生 副院長 清藤啓之先生

同院で認知症診療を担当しているのは、外科医の清藤啓之先生と、脳神経外科医の井川直樹先生です。

副院長も務める清藤先生は「認知症は一般には神経内科、精神科、内科で診察され、外科で診察している施設は少ないと思います」と話します。

清藤先生が認知症診療に携わるようになったのは、2005年に認知症サポート医養成研修を受講したことがきっかけでした。「認知症サポート医の研修に東部地域からも医師を派遣することになったのですが、参加できる医師が誰もおらず、なぜか外科医の私に白羽の矢が立ちました」と、清藤先生は笑いながら当時を振り返ります。

認知症サポート医に認定され診療を始めたころは、患者さんやご家族が認知症を心配して来院する場合よりも、清藤先生自らが認知症患者さんを見いだすことが中心だったといいます。

「長年通院していた患者さんが同じ話を繰り返したり、こちらの質問とは関係なく話しだすなど、診察室での会話で異変に気づいて、検査をしたら認知症だと分かることが多いですね」(清藤先生)。

地域住民への認知症の啓発はあまり進んでおらず、認知症を発見するきっかけは当時とそれほど変わらないそうですが、「最近では介護スタッフの方々が『ちょっと様子がおかしい』と患者さんを連れて来られることも増えてきました」と清藤先生は話します。

診断後は抗認知症薬による薬物療法を中心に治療を始め、ほかに糖尿病やうつ病などの身体疾患を抱えている場合は、院内の他科の専門医と連携して診療します。また、院内の介護部門とも連携して脳の活性化と認知機能の維持を図るプログラムを組み入れるなど、病院全体で認知症患者さんをサポートしています。

 

脳神経外科の専門性を生かして手術治療も実施

医師 井川直樹先生 医師 井川直樹先生

脳神経外科医の井川先生は、週1回行われている認知症専門外来を担当しています。2013年に高知県内5人目となる認知症専門医・指導医に認定された井川先生は、実は5年前に同院に赴任するまで認知症診療とは縁がなく、清藤先生と一緒に認知症の勉強会や講演会などに参加して、知識を蓄えていったそうです。

認知症の診断において井川先生が重視しているのは、症状の原因になっている疾患の鑑別です。

「原因疾患は単独のことも多いのですが、なかには血管性認知症とアルツハイマー型認知症の合併などの混合型もあります。その場合はどちらの疾患の比重が大きいかを見極めて、治療方針を決めています」(井川先生)。

原因疾患に応じたお薬による治療のほか、井川先生は手術も選択肢の一つと考えています。

「正常圧水頭症では髄液シャント手術を、脳血管の狭窄による血流障害が原因の場合にはバイパス手術を行うことで、低下していた認知機能が改善することもあります。薬物療法だけでなく手術治療も提案できることが、脳神経外科の側面から認知症を診療している当院の特長ではないでしょうか」(井川先生)。

 

家族への配慮を忘れず、心に寄り添うケアを実践

看護師 阿部希さん 看護師 阿部希さん

看護師の阿部希さんは、救急、手術、在宅医療などでの看護業務から、人員配置や人材育成といったマネジメントまで、さまざまな仕事を担当しています。「役職は副師長ですが、要するに雑用係ですね」と笑う阿部さんですが、その働きぶりは「彼女に任せておけば大丈夫」(清藤先生)、「少ない人数のなか、こちらの無理な要求にも応えてくれます」(井川先生)と、先生方も賞賛します。

認知症患者さんと接するにあたって、適切な距離を保ちながら信頼関係を築いていくことを心掛けているという阿部さんは「認知症患者さんを抱えながらの生活は大変だと思います」と、ご家族への共感を忘れません。

「子どもなら“かわいい”で済みますが、認知症患者さんは子ども以上に手がかかるところもあります。ご家族がピリピリしていると、患者さんは不安になってしまいますから、ご家族の気持ちに配慮しながら、そばに寄り添うことを大切にしています」(阿部さん)。

 

言語聴覚士として認知症患者さんをサポート

言語聴覚士 黒岩佐知子さん 言語聴覚士 黒岩佐知子さん
言語聴覚士 森一起さん 言語聴覚士 森一起さん

言語聴覚士の黒岩佐知子さんと森一起さんは、失語症などの言葉の障害や聴覚障害、声や発音の障害のほか、摂食・嚥下障害の患者さんを対象にリハビリを行っています。

「認知症患者さんは入院すると昼夜逆転傾向がみられ、食事が取れなくなる方が多いですね」と話すのは、同院に着任して10年という黒岩さんです。その場合は理学療法士や作業療法士などのスタッフと協力しながら患者さんの生活リズムを確立させ、口腔ケアの方法や、食物形態、食事姿勢などをアドバイスしていきます。

「リハビリの結果、食事を取れるようになり患者さんの状態が目に見えて良くなると、言語聴覚士になってよかったと思います」と話す黒岩さんに、井川先生も「嚥下に関する知識はドクター以上ですから、安心して患者さんを任せられます」と、大きな信頼を寄せています。

いとこが先天性の難聴を患っていたことがきっかけでこの仕事を選んだという森さんは、高齢者の多い認知症患者さんからみると孫世代にあたり、清藤先生いわく「おばあちゃんのアイドル的存在」。食べられない方がどうしたら食べられるようになるのか、試行錯誤しながら患者さんと向き合っています。

「大まかなマニュアルはありますが、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。患者さん一人ひとりに合ったリハビリを進めていくのは難しいことですが、その分やりがいも大きいですね」(森さん)。

黒岩さんからは「非常に真面目で、一緒に働きやすい後輩。患者さんからも信頼されています」と評価される森さん。「地域の方から『田野病院はリハビリがいい』と言っていただけるように励んでいきたいです」と、今後の抱負を語ります。

 

東部地域における認知症医療のけん引役として

田野病院の皆さん 田野病院の皆さん

高齢化率の上昇から、在宅医療を進めようという声はここ安芸圏域でも非常に高まっており、同院でも訪問診療、訪問看護、訪問リハビリなどを充実させ、安心して在宅医療を行える体制を整えています。

しかし、面積が広く人口が少ない高知県では訪問や送迎の効率が悪く、採算に見合う運営は難しいのが現状です。加えて、2014年度の診療報酬改定で在宅医療に対する診療報酬が一部引き下げられ、院長の臼井先生は「在宅医療を取り巻く状況には大変厳しいものがあります」と指摘します。

その一方で、「大変だからといって、やらないわけにはいきません」と語り、地域の医療ニーズに応え続ける決意です。

2013年4月、同院は日本認知症学会から専門医教育施設に認定され、認知症医療における新たな一歩を踏み出しました。井川先生は「認知症の早期発見・早期治療に結び付けられるように、地域の方々に向けた講演活動にも取り組んでいきたいと思います」と、意気込みを語ります。

井川先生の言葉に大きくうなづいた清藤先生も、「認知症は総合的な視点を持って取り組むべき疾患です。医療・介護施設だけでなく、市町村など行政機関も巻き込んで患者さんとご家族を支えていかなければなりません」と続けます。

「医療とは患者さんあっての仕事です。患者さんを人として大事に思う気持ちがなければ、医療、看護、介護は成り立たないと思います」と話す臼井先生を中心に、田野病院はこれからもスタッフ一丸となって、県東部の地域医療をけん引していきます。

 

 

取材日:2014年4月11日

田野病院の外観

医療法人臼井会 田野病院

〒781-6410
高知県安芸郡田野町1414-1
TEL:0887-38-7111

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