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総合病院と老健の連携で地域の認知症ケアを支える
<栃木県鹿沼市 JAかみつが厚生連 上都賀総合病院>

上都賀総合病院 副院長 衛藤進吉先生 上都賀総合病院
副院長 衛藤進吉先生

長く地域医療を支え続けてきた上都賀総合病院は、2014年2月に認知症疾患医療センターの指定を受けて認知症の診療態勢を拡充。同じ事業母体が運営する老人保健施設かみつがと連携しながら、患者さんとご家族の良い関係が続くことを第一に、診療に取り組んでいます。

垣根の低い精神科として

上都賀総合病院は1935年の開業以来約80年にわたり、施設・スタッフを拡充しつつ地域医療に貢献してきました。現在では15の診療科目と442の病床を備えて、栃木県県西地区の基幹病院としての役割を担っています。

副院長で精神科を担当する衛藤進吉先生が同院に赴任したのは1988年。それまで勤務していた東京都立の病院に比べると診療内容には遅れが目立ち、先生は改善の必要性を痛感します。

「医師一人にできることは限られていますから、多職種での連携が不可欠です。そこで看護師、臨床心理士、作業療法士、ソーシャルワーカーらに声を掛けて精神科の運営委員会を立ち上げました」。

当時をそう振り返る衛藤先生は「今ではかなり態勢が整い、患者さんにとって垣根の低い精神科になったと思います」と穏やかな表情で語ります。

 

認知症疾患医療センターが始動

精神科の閉鎖病棟を持った総合病院は、上都賀総合病院を含め栃木県に3ヵ所ありますが、他の2ヵ所は県南に所在します。したがって上都賀総合病院の精神科は、県央および県北までの広範な地域をカバーしています。

一方で、同院がある鹿沼市および近隣の日光市、栃木市は県の平均よりも高齢化率が高く、認知症ケアのニーズが近年徐々に高まってきました。こうした状況の中で同院は2014年2月、認知症疾患医療センターの指定を受け、診療態勢を強化しました。

「2011年、当院の公開講座で認知症をテーマに採り上げたのですが、市民の方々の関心が非常に高く、あらためて認知症診療の重要性を痛感しました。高齢化が進んでいるにもかかわらず県西地域にはセンターがなかったので、それではうちがやりましょうと手を挙げたのです」(衛藤先生)。

身体疾患にも対応できるのが強み

上都賀総合病院 精神保健福祉士 松本佑司さん 上都賀総合病院
精神保健福祉士 松本佑司さん

センターでの相談窓口をメインで担当しているのは、精神保健福祉士の松本佑司さん。主に電話で受ける相談は30分を超えることも珍しくなく、表情が見えないだけに常に慎重に聞き話すことを念頭に業務に臨んでいます。

「ご家族からのご相談が大半ですが、最初に何から話せばいいのかわからないという方もいらっしゃいますので、できるだけこちらから話を引き出すように心掛けています。相談の内容から急性期だと判断すればすぐに受診の段取りをしますし、比較的軽い場合は検査の予約を受けます。以前、単科の精神科病院には勤務していたのですが、身体疾患を合併した患者さんを内科等の病院に紹介しても、精神の不安定さを理由に断られることがよくありました。しかし当院は総合病院ですので、精神・身体のどちらにも対応できます」(松本さん)。

 

患者さんの呼び掛けに「ちょっと待って」と言わない

初診の患者さんの場合、まずケースワーカーが本人の生活史や暮らしの状況などを聞き取ります。続いて心理検査等を行ったうえで、必要があればMRIやSPECTなどの画像診断を加えて診断をつけます。そして、初期段階の認知症が認められれば進行予防に認知症治療薬を処方し、幻覚などBPSD(周辺症状)が顕著な場合は、精神科病棟で急性期の診療を行います。

「一般の病院では対処できない患者さんを診るのが、当院精神科の役割です。急性期特有の問題をここで解決し、安定してくれば地元の病院などに移っていただきます」(衛藤先生)。

上都賀総合病院 看護師 金子好子さん 上都賀総合病院
看護師 金子好子さん

精神科病棟の看護師長を務めるのは、看護師として約30年のキャリアを持つ金子好子さん。外科などでの経験も豊富なため身体の合併症を抱えた患者さんの対応にも長けており、衛藤先生からも他科の看護師からも頼られる存在です。

金子さんが認知症の患者さんに接するときのモットー、それは患者さんに「『ちょっと待ってね』をできるだけ言わないこと」です。

「患者さんから通りすがりに声を掛けられた場合、他に急ぐ仕事があってついつい『ちょっと待ってね』と言って、やり過ごしてしまいがちです。患者さんが、放っておかれたと思われることがないよう、少なくとも用件を聞くようにしています。また、日中はなるべく起きてもらうこと、不必要に拘束しないことも大切だと思っています」(金子さん)。

 

老健でできるだけ自然な生活を

老人保健施設かみつが 施設長 須田啓一先生 老人保健施設かみつが
施設長 須田啓一先生

同院を運営するJAかみつが厚生連は、1996年に老人保健施設かみつがを開設。入所定員100人のうち48床を認知症に充てていますが、一般棟の入所者さんにももの忘れのある方も多く、全体の7、8割が程度の差はあれ認知症を患っておられます。

同施設の運営を管理する須田啓一施設長は「上都賀総合病院との相互連携が当施設の大きな特長」だとし、連携の意義を語ります。

「月に2回、上都賀総合病院の精神科の先生に往診に来てもらい、さまざまなアドバイスを受けています。また、病院からすれば、病棟からすぐにご自宅に帰れない患者さんをいったんここに預けてから、症状を落ち着かせつつ介護サービスを調整することができます。病棟の食事はベッドの上ですし、ご家族とゆっくり過ごせないなど生活として不自然ですが、ここにはそうした不自然さはありません。ただ、認知症の方の場合、身体疾患やご家族の事情など課題をいくつも抱えておられることが多いので、一つひとつ解きほぐすようにしています」(須田施設長)。

 

入所に加え、通所も徐々に拡充

老人保健施設かみつが 介護福祉士 柏渕博さん 老人保健施設かみつが
介護福祉士 柏渕博さん

入所期間は半年程度が基本で、長くても1年以内がめど。退所後にご自宅に戻られるか他の施設に移られることを念頭においてスタッフが日常生活をサポートしています。

介護福祉士で同施設の認知症専門棟を担当する柏渕博さんは、専門棟に配属されて9年目。「入所者の方の思いをどうくみ取って安心して生活していただくかを常に考えています」と話します。

「大切なのはスタッフ同士の連携、意見交換です。入所者さんの言葉や行動をどうとらえるかはスタッフによって違いますので、それぞれの意見を共有しながら適切なケアを考えています。私も経験を重ねてきましたので、これまでに得た知識やノウハウを外部の関係者の方にもどんどん伝えていきたいですね」(柏渕さん)。

一方で、同施設では通所介護にも積極的に取り組んでいます。

「時代の流れが『在宅』になっていますから、当施設も数年前からそこに力を注いでいます。入所はずっと定員100人ですが、通所は当初の20人から80人に増やしました。小規模で家庭的なほうが好ましいという意見も聞こえますが、入所者さんの思い通りにできないという短所もあります。私たちは大規模ならではのメリットを打ち出していきたいと考えています」(須田施設長)。

 

大切なのは周囲の理解と支え

認知症啓発演劇の一幕 認知症啓発演劇の一幕

同施設は啓発活動にも力を注いでおり、中でも特長的なのは「演劇」を採り入れていることです。

「話を聞くだけではわかりにくいところも劇なら理解しやすいのではと考え、2012年から始めました。患者さんのご家族の会などのご依頼を受けて、公演を重ねています」(須田施設長)。

また、上都賀総合病院も啓発活動には意欲的で、「ご家族など周囲の理解と支援こそが認知症ケアのポイント」だと衛藤先生は指摘します。

「認知症とは何かをご家族が理解すれば患者さんへの対応は変わってきますし、それは必ずといっていいほど患者さんに良い影響を与えます。こうしたことを広く市民に知っていただかないといけません」(衛藤先生)。

そして、同院にはこの秋、新たな精神科病棟が完成予定で「これまで以上に精力的に認知症に向き合いたい」と先生は意気込みます。

「治らないとしても、患者さんが自分らしく生きられるような、ご家族と最期まで良い関係で過ごせるような医療に全力で取り組んでいきます」(衛藤先生)。

 

 

取材日:2014年5月30日

上都賀総合病院の外観

JAかみつが厚生連 上都賀総合病院

〒322‐8550
栃木県鹿沼市下田町1-1033
TEL:0289-64-2161

施設のホームページへ

 

老人保健施設かみつがの外観

JAかみつが厚生連 老人保健施設かみつが

〒322-0045 
栃木県鹿沼市上殿町960-2
TEL:0289-64-7233

施設のホームページへ

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