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合併症としての認知症にチームで取り組む
<石川県七尾市 社会医療法人財団董仙会 恵寿総合病院>

副院長・リハビリテーション科長 川北慎一郎先生 副院長・リハビリテーション科長
川北慎一郎先生

地域の医療を支えて80年の時を刻んだ、恵寿総合病院。認知症を専門とする診療科はありませんが、高齢の患者さんの多くが認知症を持つ状況のもとで、リハビリテーション科を中心とした多職種によるプロジェクト委員会が発足、取り組みを開始しました。

リハビリテーション科受診患者さんの半数が認知症を合併

石川県・七尾湾に臨む恵寿総合病院は、病床数426床、職員778名(取材時)を擁し、さらにグループとして数多くの社会福祉施設を運営する、七尾市の地域医療・地域福祉の要というべき存在です。

そんな同院に2013年、“認知症対策プロジェクト委員会”が設置されました。活動の中心となっているのは、リハビリテーション科長であり副院長でもある川北慎一郎先生です。

「高齢化が進み、当院の患者さんの多くが認知症を合併しています。急性期疾患の治療を進めるうえで認知症の影響を無視できない状況になり、誰もが『何とかしなければ』と感じていた時に、前院長からの号令があって、認知症対策プロジェクト委員会が発足したのです」と、川北先生は語ります。

「リハビリテーション科で担当する患者さんのデータでいうと、脊椎圧迫骨折の患者さんの45%、大腿骨頸部骨折では55%で認知症の症状が見られるという状況です」(川北先生)。

 

複数疾患を抱える患者さんを一元的に

認知症についての考え方にも言及された川北先生著「リハ医学のすすめ」 認知症についての考え方にも言及された
川北先生著「リハ医学のすすめ」

リハビリテーション科が同委員会の中軸に選ばれた理由のひとつは、川北先生が脳外科の出身で、脳卒中・脳神経疾患のリハビリテーションを専門とし、認知症の鑑別診断や治療についても経験があるということです。神経内科と連携して、リハビリテーション科で認知症の薬物療法を開始することもあるそうです。

もうひとつの理由は、どの診療科に入院する患者さんも、その多くがリハビリテーションに取り組んでおり、複数の疾患があって並行して治療を受けている場合も一元的に対応できるポジションにあるということでした。

「当院は、リハビリに力を入れている病院として知られていて、末期がんの患者さんにもリハビリを行っています。それは、病を治して家に帰ることを目標とした取り組みではありません。リハビリは最低でも20分間、医療者と患者さんが向き合う時間を持つことができます。会話をしたり、手をさすったり握ったりすることで、患者さんの気持ちが明るくなるなど、QOL(生活の質)の向上が見られるからです。これは認知症に対応するのにも適した環境だといえます」(川北先生)。

独自のせん妄対策マニュアルを策定

同委員会は、リハビリテーション科の川北先生に加えて、神経内科、緩和医療科、家庭医療科(在宅医療)の医師、臨床心理士、言語聴覚士、認知症看護認定看護師、病院と関連の社会福祉施設の作業療法士、認知症ケア専門士で構成され、発足以来、認知症を合併する患者さんに関する課題や各職種が抱える悩みなどの共有を図ってきました。

独自の“せん妄対策マニュアル”も作成しました。既存のマニュアルの改編ではなく、「困ったらリハビリ科に」という指示も入った、非常に現実的なマニュアルとなっています。「他科の医師や看護師は『こんな状態でリハビリなど無理』と考えがちですが、リハビリ科だからこそできることも多いのです。当科には専門知識を持つ看護師、作業療法士がいるので、せん妄やBPSD(周辺症状)の背景になっている環境要因を見つけて、取り除く手助けもできます」と川北先生は語ります。

2014年4月からは、各病棟で1名ずつ“認知症サポートナース”を決め、同委員会のメンバーとして活動を始めました。定期的な勉強会で委員会メンバーと共に認知症について学びながら、各病棟の入院患者さんたちを認知症対策という視点で見守り、適切なケアを率先して行い、さらに状況をレポートして病院全体で情報とノウハウを共有する役目を担います。

 

パラメディカルの知恵と力を結集して

認知症看護認定看護師 高柳由香里さん 認知症看護認定看護師
高柳由香里さん

各病棟の認知症サポートナースは、判断に悩むことがあれば、認知症看護認定看護師の高柳由香里さんに相談することができます。「私も勉強途上ではありますが、同委員会の先生から指導を受け、認知症ケア専門士でもある作業療法士と協力して、病院全体の看護・ケアのレベルを向上させる取り組みを進めています。看護師たちの意識から『認知症だからしょうがない』というあきらめが消え、前向きな姿勢が出てきたことを嬉しく思います」と高柳さんは語ります。

24時間、患者さんのケアができるのは看護師であり、見当識障害の予防や緩和につながる具体的なアイデアをたくさん持っているのは作業療法士です。パラメディカルが、問題意識とノウハウを共有して連携してこそ、認知症患者さんの置かれる環境を大きく改善できるのです。

作業療法士 川上直子さん 作業療法士 川上直子さん

作業療法士の川上直子さんは「急性期病院なので治療を優先するのは当然ですが、そのために身体抑制が必要となり、せん妄を引き起こすこともあります。けれど、知識とノウハウを持って対応することで、術後の患者さんでも状態が劇的に良くなることも珍しくありません。」患者さん一人ひとりで効果が出るスイッチが違いますが、丁寧に探していくことでノウハウも蓄積していきます。「私たちの仕事で大切なのは、例えて言えば、転倒を防ぐために行動を制限するのではなく、転んでもけがをしないような環境づくりだと考えています」と語ります。

 

家族と協力し、さらに地域連携を視野に

言語聴覚士 谷内節子さん 言語聴覚士 谷内節子さん
床心理士 金城総さん 臨床心理士 金城総さん

言語聴覚士の谷内節子さんが認知症ケアで力を入れているのは、誤嚥性肺炎の予防です。「嚥下訓練を行ったり、NST(栄養サポートチーム)で連携する栄養士と共に食事を工夫したりしています。病気が進んでも、自分で食べることがQOLの向上やBPSDの予防につながります。看護師、作業療法士、ご家族の協力も得ながら取り組んでいます」(谷内さん)。

臨床心理士の金城総さんは、神経心理検査などの実施だけでなく、患者さんの生活や家族構成などに配慮し、社会福祉サービスの連携を考える役目も果たしています。「患者さんの“できないこと”ではなく“できること”に注目しながら、一人ひとりに合った支援プログラムをつくっていきたいですね。同委員会を介して、多くの診療科のドクターと連携できるので助かっています」(金城さん)。

今後の課題について、川北先生は「当院には精神科がないので、認知症が進んだ場合に精神科のある他院に託すのか、当院で治療を続けるのか、難しい課題となります。他院や社会福祉施設、行政との連携体制を築いていく必要がありますね」と語ります。

認知症の患者さんの多くは他の病気を合併しています。それは逆から見れば、病気の治療を受ける高齢患者さんには、認知症を合併している方が多いということです。

恵寿総合病院では、今後の急性期医療で見過ごせない大きな課題へ、他に先んじて取り組んでいるのです。

 

 

取材日:2014年5月28日

恵寿総合病院の外観

社会医療法人財団董仙会
恵寿総合病院

〒926-8605
石川県七尾市富岡町94番地
TEL:0767-52-3211

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