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高い専門性と親身な対応で地域の診療ニーズに応える
<北海道帯広市 医療法人社団博仁会 大江病院>

名誉院長 坂井敏夫先生 名誉院長 坂井敏夫先生

精神科の診療において地域で高い専門性を発揮してきた大江病院は、1997年に重度認知症病棟を設けるなど認知症診療にも注力。2013年には認知症疾患医療センターの指定を受け、地域連携にも積極的に取り組んでいます。

時代のうねりの中で認知症診療を拡充

緑あふれるロビー 緑あふれるロビー

大江病院の名誉院長である坂井敏夫先生が、同院の院長職に就いたのは約20年前の1995年。「その頃から社会で認知症への関心がだんだんと高まり始めたと思います」と先生は振り返ります。

「それ以前から、当院では老人病棟を設けて高齢の患者さんを診ていたのですが、多くは統合失調症や自閉症などで、認知症の患者さんは重度の方がわずかにいるだけでした。ところが、90年代半ばから認知症が社会的な課題として注目を集めるようになり、当院は1997年に重度認知症病棟54床を設置。同じ年に抗認知症薬が発売されました。今思えばこの時期に、大きな時代のうねりがあったのでしょう。最近では個人的にも親や私自身が年を取ったことで、認知症をより身近に感じるようになりました」(坂井先生)。

認知症の患者数は年を追うごとに増え、2013年、同院は北海道から認知症疾患医療センターの指定を受けて、坂井先生がセンター長に就任。現在では、帯広市を中核とする十勝地域のほか、車で2時間以上もかけて南富良野町やえりも町から来院される方もおられるといいます。

 

患者さんの増加を受け、若年性認知症やMCIにも対応

認知症疾患医療センター 室長 精神保健福祉士 佐々木雅美さん 認知症疾患医療センター 室長
精神保健福祉士 佐々木雅美さん

精神保健福祉士で同センター室長を務める佐々木雅美さんは「センターの指定が新聞で報道されたこともあって『どうすれば受診できるのか』といったご相談が増えてきました。もともと右肩上がりに増えていた患者さんの数が、さらに加速した感じです」と現況を語ります。

「地域では、ここ二十数年来、認知症は大江病院という口コミでも広がっていて、いつでも、すぐにでも受診できて、専門性が高く入院設備を持つ当院に、患者さんが集中する傾向にあるのだととらえています」(佐々木さん)。

坂井先生は「患者さんの増加に伴い、若年性認知症や家族性アルツハイマー病、MCI(軽度認知障害)などを診ることが増えてきた」ことを実感しています。

「CT以外の画像診断は近隣の総合病院と密に提携していますし、私たちの経験値が増えて軽度を含めた診断、鑑別技術はかなり向上してきました。中核症状の診断を正確につけることを第一に考え、患者さんに臨んでいます」(坂井先生)。

 

初診の患者さんに「よく来てくださいました」

初診の患者さんは、まず臨床心理士または医療ソーシャルワーカーが予診を取り、来院した理由や既往症、生活歴、現在のADL(日常生活動作)などを確認し、ADAS(アルツハイマー病評価尺度)、MMSE(認知機能検査)などの神経心理検査を行います。

臨床心理士 柳渡彩香さん 臨床心理士 柳渡彩香さん

中にはご家族に説得されて渋々来院した患者さんもおられるため、臨床心理士の柳渡彩香さんは「健康診断としてやっておくと安心ですから」と常ににこやかで柔らかな対応を心掛けています。

「病院の嫌いな方がせっかく検査に来られているのに途中で帰ってしまわれては、受診にこぎつけたご家族の苦労が水の泡になってしまいます。ですから、質問に答えられなくてもしつこくは聞きませんし、最初に『意地悪な問題もありますから気にしないでくださいね』とお断りしておくこともあります」(柳渡さん)。

坂井先生は「最初に話をうまく聞くことは非常に大事」だと指摘します。

「『話を聞いてもらっただけですっきりした』という患者さんもおられます。ご自分で話されるうちに、頭の中が整理されていく、その作業がすでにサポートとなるのです。この診療の入り口のところでボタンを掛け違えてはいけません。私は初診の患者さんには『今日はよく来てくださいました』とご挨拶し、診察を終えたら『長いお付き合いになりますが、よろしくお願いします』と患者さんと握手を交わします」(坂井先生)。

 

診療を続けるにはご家族の理解と協力が不可欠

「認知症の診療に取り組むうえで重要なのは、何よりもご家族の理解と協力」だと坂井先生は持論を述べます。 ご家族は患者さんに対して、どうしても言い聞かせようとしがちです。特に一緒に年を取ってきたご夫婦の場合、もの忘れの進行は受け入れ難く、「しっかりしてくれよ!」という物言いになるのでしょう。患者さんにすれば、そうした言葉が気に障りプライドが傷つき、怒りが湧いてくる。それがBPSD(周辺症状)に発展することも少なくありません。BPSDは不安な気持ちから逃れようとする患者さんのもがきの姿でもあります。

「もの忘れが進んでも人当たりは穏やかなままということもありますが、それは少数であって、多くは残念ながら悪い方向に進んでいきます。ですからご家族は、患者さんを興奮させない接し方を知らなければなりません。ある患者さんの奥さんが接し方の心得として『叱らないように話を聞く。穏やかに間違いを訂正する』と書かれたノートを持って来られました。実に素晴らしいことです。患者さんも、奥さんを信頼できる人と思っているようでした。そこで、その患者さんには『忘れる不安と闘わずに、あなたに代わって奥さんに覚えていてもらうよう頼ってはいかがですか』と勧めました」(坂井先生)。

 

ゆっくり優しく穏やかに目を見て話す

同院は重度認知症病棟を含め、154床を備えています。入院している患者さんは、BPSDのほか、独居の方や老々介護でご自宅での生活が困難な場合が多く、大半の方が認知症以外の疾患を合併しているといいます。

「せん妄がひどいなど、一般病院ではケアの困難な患者さんをお預かりするのが、専門病院である当院の役割です。ただし、入院に伴う生活環境の変化が症状の悪化につながることもありますので、十分に注意を払っています」(坂井先生)。

重度認知症病棟 主任看護師 認知症看護認定看護師 大森亮子さん 重度認知症病棟 主任看護師
認知症看護認定看護師 大森亮子さん

重度認知症病棟で主任看護師を務める大森亮子さんは、十勝地域でわずか2人しかいない認知症看護認定看護師の1人。日々のケアに追われるなかで大森さんが常に心掛けているのは「患者さんのペースに合わせたコミュニケーションを取ること」だといいます。

「言葉でのコミュニケーションが苦手になる患者さんが多いのですが、まず、どんなときでも穏やかに対応し、そのうえで笑顔できちんと目線を合わせることが大切です。『認知症だから』と先入観を持たずに、“その人をミル”ことができるよう、認知症を持つ方のケアを実践・指導していきたいと思います。」(大森さん)。

 

互いの顔が見えるネットワークづくりを

同院では認知症の啓発活動や地域連携にも力を注いでおり、坂井先生自らが院外での講演や相談を行っています。

「そのひとつに認知症をテーマにした介護劇があります。これは当院の保健師らによるお芝居なのですが、私が解説を引き受けました。市民文化ホールの客席がいっぱいになったことを覚えています」(坂井先生)。

また、近隣の2ヵ所の町村で年4回ずつ高齢者の相談会を行っています。相談の結果、必要があれば同院に来ていただくか地元の病院を紹介するなどして、認知症予防や早期対応の一助となっています。そのほか、医師会からの依頼を受けて、地域医療機関向けの講演などもたびたび行っています。

「しかし本格的な連携はまだまだこれからです」と佐々木さんは表情を引き締めます。

「センターの指定を受けてからまだ半年。今後取り組むべきことは多々あります。地域連携クリティカルパスの活用、地域包括支援センターや介護施設との連携などを進め、互いの顔が見えるネットワークをつくりたいと思っています」(佐々木さん)。

 

もの忘れが進んでも、明るく楽しく暮らすために

坂井先生は、患者さんやご家族のケアに院内外で多忙な日々を過ごす一方、「本当にすべての患者さんに治療が必要なのでしょうか」と疑問を呈します。

「年を取ってシワができない人がいないように、程度の差はあれ誰だってものを忘れるようになります。BPSDには何らかの対応をすべきですが、例えば90歳を過ぎた方のもの忘れを、お薬で抑える必要があるとは思いません。もの忘れが進んでも、明るく楽しく暮らすことはできます。そのためには、晴れた空や小鳥のさえずりなどを身体で感じること、そしてごはんが食べられる、お風呂に入れるなど、普段の生活を喜び感謝する。そういう感動する心を忘れないことです。そして自分でできることはできるだけ自分でやる代わりに、心配なことは素直にご家族など信頼できる人にまかせる、そうした考え方が安心安全で楽しい生活につながると思います」(坂井先生)。

 

 

取材日:2014年6月4日

大江病院の外観

医療法人社団博仁会 大江病院

〒080-2470
北海道帯広市西20条南2-5-3
TEL:0155-33-6332

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