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精神科と一般科の連携で患者さんもスタッフも笑顔に
<長野県飯田市 社会医療法人栗山会 飯田病院>

社会医療法人栗山会 理事長 飯田病院 院長 千葉恭先生 社会医療法人栗山会 理事長
飯田病院 院長 千葉恭先生

設立110年余を数える飯田病院は、病床の半数強が精神科という特徴を生かして、認知症と他の病気を併せ持つ患者さんの治療・ケアに取り組んでいます。介護老人保健施設、デイケアなども運営し、軽度から重度まで幅広く対応できる体制は、超高齢化が進む日本の認知症医療をリードする存在といえるでしょう。

設立から110年、精神病床が多い総合病院として

飯田病院は1903年、長野県飯田市本町に設立。その約10年後に現在地、同市大通に移転して以来、診療科や病床数の増設、付属看護婦養成所や飯田病院附属阿智診療所の開設など、地域と時代のニーズに沿った取り組みを続けてきました。

平成に入ってからも介護老人保健施設や訪問看護ステーション、認知症疾患医療センターを開設するなど、機能の拡大と充実を図っています。

「飯田市で最も古い総合病院なので、地域の医師の多くが若いころ当院で勤務した経験を持っています。親子2代とも“卒業生”というケースも増え、地域の診療所や医院との信頼関係はとても深いものがあります」と語るのは、理事長兼院長の千葉恭先生です。

同院の大きな特徴は、19の診療科、12の専門外来を構える総合病院でありながら一般科病床212に対して精神科病床240と、一般科病床と精神科病床がほぼ同等になっていることです(取材時)。昭和期には、精神科病床の比率がずっと高く、一般科病床の4倍ほどありました。

「戦後すぐに3代目の院長がヨーロッパの精神科病院を視察し、学んできた近代的な治療・ケアの考えをいち早く取り入れました。精神科医療において先進的な取り組みを行ってきた病院だと自負しています」(千葉先生)。

認知症疾患医療センターは2009年4月1日に長野県で最初に指定を受けました。

 

精神科と一般診療科の交流で全人的な治療を実現

同院では一般診療科と精神科との垣根が低く、日常的に密な連携が行われています。必要に応じて、一般診療科の医師が精神科病棟に、精神科の医師が一般診療科病棟に出向くことも珍しくありません。

飯田病院 副院長 小宮山徳太郎先生 飯田病院 副院長 小宮山徳太郎先生
飯田病院 看護部長 篠田守さん 飯田病院 看護部長 篠田守さん

「内科医から『入院患者さんが、うつ病のように見えるので診てほしい』と要請を受けて診察すると、早期の認知症だったというような経験が増えてきました。告知すべきか悩むほど早期に見つかる場合もありますし、一般診療科に入院したまま認知症の薬物治療を始めることもあります」と、精神科医で同院の副院長でもある小宮山徳太郎先生は語ります。

看護師も両科を経験しているため、一般診療科の入院患者さんが認知症を合併していても問題なく対応できます。

「せん妄と認知症のBPSD(周辺症状)を区別して適切に対応できる看護師が多いのは、患者さんの治療においてプラスになっています」と語るのは看護部長の篠田守さんです。

例えば、肺炎で入院された患者さんが認知症を合併していることがわかった場合、肺炎の治療だけでなく、認知症の症状を見極め、治療や介護サービスの手配も考えながら退院準備をするという取り組みが、同院では一般科病棟でも当たり前に行われているといいます。

認知症で精神科病棟に入院した患者さんが、認知症ゆえに持病の治療をきちんと受けていないということも多く、入院後に全身的な検査・診断を行って一般診療科と協力して治療しています。

 

精神病棟では新規入院患者さんの3割が認知症

現在、認知症の専門外来は設けておらず、曜日により1~4診ある精神科外来のどの枠でも、又、神経内科でも週に1日認知症の相談や診断が可能です。認知症疾患医療センターへの相談から精神科を受診される場合や、地域包括支援センターおよび連携する診療所などからの紹介が多いのですが、紹介や相談もなく直接、精神科外来に初診で来られることも少なくありません。これらを合わせて週に4~5人の割合で、認知症が疑われる方が同院を訪れ、精神科病棟の新規入院患者さんの3割ほどが認知症です。

同院にはMRI、CTに加えて、SPECT検査も行える設備が整っており、鑑別診断や認知症疾患医療センターとしての機能に役立てられています。「せっかく最新設備があり熟練スタッフがいるのですから、早期発見につなげたいのですが、重度になってからの受診が多いのが実状です。早く治療を開始することの大切さをもっと啓発しなければなりませんね」と、小宮山先生は語ります。

飯田病院 精神科外来主任看護師 市瀬恭子さん 飯田病院 精神科外来主任看護師
市瀬恭子さん

精神科外来の主任看護師である市瀬恭子さんは「症状が進んでから初めて受診される患者さんの場合、BPSDが強く出ていることがよくありますが、当院の看護師は、普段から精神疾患の患者さんの対応をしているので、その対応に困ることはありません。この場合、ご家族が疲弊されていることが多いので、お話しする時間を大切にしています。悩みを聞き、介護サービスを紹介した後に表情が和らぐと、こちらもホッとしますね」と語ります。

 

早期診断・早期治療の実現をめざす

同院の関係者が共通して挙げる課題は、早期診断・早期治療の実現です。症状が進んでもご家族で何とかしようと努力してしまい、結果的に治療が遅れることが少なくないからです。

認知症疾患医療センター 精神保健福祉士 佐々木亮子さん 認知症疾患医療センター 精神保健福祉士
佐々木亮子さん

認知症疾患医療センターで電話相談などに対応している、精神保健福祉士の佐々木亮子さんは「受診のきっかけになるよう飯田市と協働で“もの忘れ相談票”を作成し、クリニックや行政機関に置いてもらい、気になる症状があれば早めにかかりつけ医へ相談してもらうようにしています。もちろん当センターの存在や役割を知っていただくための啓発も進めていきます」と語ります。

また、センター事業の一つとして、認知症疾患医療連携協議会を設置し、包括支援センター、保健所、医師会など行政・医療・福祉の関係者25人ほどに集っていただき、地域の現状・課題について検討し、認知症地域連携の拠点となるよう会議の運営をしています。高齢者の認知症だけでなく、若年性認知症の対策についても力を入れております。

 

認知症患者さんが自宅で暮らせる社会をつくるために

自宅で暮らす認知症患者さんへの介護支援も行っています。

2000年に院内に併設された居宅介護支援事業所には10人のケアマネジャーが所属し、同院の患者さんに限らずケアプランの作成や介護支援サービスの紹介などに取り組んでいます。

飯田病院 居宅介護支援事業所 ケアマネジャー 冨田万希子さん 飯田病院 居宅介護支援事業所
ケアマネジャー 冨田万希子さん

重度認知症患者デイケアからたち 介護福祉士 鎮西清久さん 重度認知症患者デイケアからたち
介護福祉士 鎮西清久さん

ケアマネジャーのひとりである冨田万希子さんは「可能な限り住み慣れた家で長く暮らせるように、医療と介護をつなぎ、多職種の連携をスムーズに調整するのが私たちの役目です。患者さんとご家族から頼りにしてもらえる存在となるのが、大切な第一歩だと思います」と語ります。

重度認知症患者デイケア からたちは2001年に併設されました。毎日25人前後の患者さんが訪れ、午前中は個別、午後は集団でのプログラムを行っています。週に1度、若年性認知症の患者さんだけを対象とするプログラムも設定しており、50代の方を含め10人弱が参加しています。

「患者さんは自ら望んで参加しているとは限りません。少しでも楽しいと感じていただきたいので、一人ひとりの想いをくみ取って、プログラムに生かす努力を続けています」と、介護福祉士の鎮西清久さんは語ります。

 

スタッフの定着率の良さが患者さんの安心に

同院には、認知症患者さんが暮らす介護老人保健施設やグループホームなどの関連施設があります。

介護老人保健施設アップルハイツ飯田は1991年開所。入所定員は100人で40%が90歳以上、100歳を超える入所者が約1割もおられます。MCI(軽度認知障害)を含めると2/3ほどが認知症です。同施設は原則として退所・在宅復帰をめざしていますが、滞在が年単位になる方も多く、自宅ではなく特別養護老人ホームへ移る方も珍しくありません。

身体疾患であれ認知症であれ、症状に変化があった場合には同院と連携が取れているため、患者さんもご家族も安心できるのが、この施設の大きな魅力となっています。

介護老人保健施設アップルハイツ飯田 施設長 松下高暁先生 介護老人保健施設アップルハイツ飯田
施設長 松下高暁先生

認知症対応型グループホームわたぼうし 施設管理者・介護主任 桑原福子さん 認知症対応型グループホームわたぼうし
施設管理者・介護主任 桑原福子さん

「一般的に介護施設ではスタッフの入れ替わりが激しいことが悩みの種となっているそうですが、当施設のスタッフは、みな勤務年数がとても長いのです。飯田病院のバックアップ体制が整い、スタッフの勉強の機会も保証されています」と、アップルハイツ飯田の施設長・松下高暁先生は語ります。

スタッフのほとんどが介護福祉士の資格を取り、病院主催の研修にも参加してスキルアップに励んでいるのも心強い限りです。

さらに、2000年に同施設の敷地内に開所した認知症対応型グループホームわたぼうしでは、9人の方が暮らしています。「少人数なので、お誕生日の方だけで外食したり、お天気や気分でプログラムを変えたり臨機応変に対応できます。スタッフも長く勤める人が多く、入所者の方がスタッフの子どもと仲良くなったり、本当にアットホームな雰囲気ですよ」と、わたぼうしの施設管理者で介護主任の桑原福子さんは語ります。

全国でも極めて超高齢化が進む地域で、認知症の治療とケアに力を注ぎ続けてきた飯田病院とその関連施設。その取り組みは、これから本格的に超高齢化が進む多くの地域のモデルといえるでしょう。

「一般診療科と精神科の連携、開業医や介護事業者、行政との連携も密に行っていますが、さらに深めていく必要を感じています。私たちの取り組みが他の病院、地域の参考になればうれしいですね」(千葉先生)。

 

取材日:2014年5月30日

飯田病院の外観

社会医療法人栗山会 飯田病院

〒395-8505
長野県飯田市大通1-15
TEL:0265-22-5150

施設のホームページへ

 

アップルハイツ飯田の外観

社会医療法人栗山会
介護老人保健施設アップルハイツ飯田

〒395-0067 
長野県飯田市羽場権現1618
TEL:0265-21-1165

施設のホームページへ

 

グループホームわたぼうしの外観

社会医療法人栗山会
認知症対応型グループホームわたぼうし

〒395-0067 
長野県飯田市羽場権現1618
TEL:0265-24-2315

施設のホームページへ

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