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各科連携のもと最適な治療を提供、地域に密着した認知症治療の拠点
<東京都葛飾区 東京慈恵会医科大学葛飾医療センター>

神経内科 診療部長 鈴木正彦先生 神経内科 診療部長 鈴木正彦先生

東京慈恵会医科大学葛飾医療センターは、城東地区の中核病院として先進医療を提供する病院です。高齢化の進む葛飾区にあるため、高いニーズに対応しメモリー外来(もの忘れ外来)を開設、認知症の早期診断・治療にも積極的に取り組むほか、周辺の医療機関との連携を推進しています。

地域の高いニーズに応え、行政・医師会とともに認知症診療体制を構築

2012年に開設された東京慈恵会医科大学葛飾医療センターは、患者さんの約8割が地元の葛飾区民であり、大都市の大学病院でありながら地域密着型の医療機関として住民の深い信頼を得てきました。

同大学附属病院から5年前に当センターの神経内科へ赴任した鈴木正彦先生は、“メモリー外来”を開くようになったいきさつを次のように語ります。

「当科を受診される患者さんのうち、認知症患者さんの占める割合が高いことに驚きました。新橋にある附属病院ではパーキンソン病を中心に主に神経変性疾患の治療に携わってきましたが、葛飾では患者さんや地元医師会のニーズに伴って、認知症医療に深く関わるようになりました」。

高齢化が進む葛飾区の行政と医師会は、認知症を取り巻く環境に強い危機感を持ち、ともに“認知症になっても安心して暮らせる葛飾区”を目指して、高度かつ均てん化された医療と介護が提供できる体制づくりに力を入れています。2013年1月には、医師会内に認知症対策委員会が設立され、鈴木先生はその立ち上げから関わり、現在も副委員長を務めています。

「今、委員会では葛飾区もの忘れ相談窓口事業を構築しているところです。また、高齢者総合相談センター(地域包括支援センター)に“もの忘れ相談窓口”を開き、区民からの相談に応じています。それと同時に、窓口から紹介される患者さんは相談医がフォローできるようになります。加えて、65歳以上の区民を対象に“もの忘れ予防検診”も各医療施設で実施できるよう準備しています」(鈴木先生)。

 

確実な鑑別診断で治療を強化

同センターの神経内科に求められる役割は、確実な鑑別診断で治療方針を決定することです。

認知症の疾患背景は、アルツハイマー型、脳血管性、レビー小体型などだけでなく、内科的疾患によるもの、感染や薬物、あるいはアルコールによるものなど多彩です。

「認知症の背景疾患を見極め、的確な治療方針を立てることが、診療において最も重要な課題です」と、鈴木先生は言います。そのために、画像診断ではMRIとあわせて脳血流SPECT統計学的画像解析も行っています。

さらに、これらの高い鑑別技術を用い、MCI(軽度認知障害)の段階での発見・治療にも力を入れています。

「画像診断の発展により、MCIを判断できるようになってきました。現在の抗認知症薬は、初期段階であればあるほど進行抑制の効果が期待できるため、早期診断でよい状態が維持できれば予後が大きく変わってきます」(鈴木先生)。

 

BPSDがあれば精神神経科と連携して治療

精神神経科 診療部長 山寺亘先生 精神神経科 診療部長 山寺亘先生

神経内科と連携して認知症治療に力を注いでいるのが、初診患者さんの約15%が認知症だという精神神経科です。診療部長を務める山寺亘先生は「当科でも診断と治療方針の決定をしていますが、特にBPSD(周辺症状)が強い患者さんへの薬物療法や介護者の心のケアは、私たち精神神経科の領域です」と語ります。

同科には入院設備はありませんが、必要となった場合には、連携医療機関である東京足立病院(足立区)、大内病院(同)、隣接県では総武病院(千葉県船橋市)、北辰病院(埼玉県越谷市)での入院治療で対応しています。

行政や医師会から早期受診を啓発していますが、実際には、症状が進行してから受診する患者さんが多いと山寺先生は指摘します。

「BPSDは認知症の進行を早め、ご家族の負担を大きくします。どんな小さな不安でも気軽に相談し、早めの受診をお願いしたいですね」(山寺先生)。

 

BPSDを悪化させる薬剤を見極め、適切な薬物治療を行う

山寺先生は、睡眠障害も専門としていることから、BPSDのなかでもケアが難しいとされる夜間せん妄には、薬剤起因性のものがあると警鐘を鳴らします。

「まずは身体疾患などの常用薬をチェックし、せん妄を起こしやすい薬剤が含まれていないか判断します。昼夜逆転現象のみられる患者さんには睡眠薬が処方されることがありますが、睡眠薬はせん妄を悪化させます。さらに、睡眠時無呼吸症候群がある場合はより悪影響を与えます」(山寺先生)。患者さんの身体機能や病態を考慮した薬剤選択で、夜間せん妄が改善するとADL(日常生活動作)が大きく向上することも少なくありません。それは介護者の負担軽減につながります。

 

薬剤師が適切な処方と服薬継続に貢献

薬剤部課長 長谷川英雄先生 薬剤部課長 長谷川英雄先生

薬剤部課長の長谷川英雄先生は、併用禁忌薬のチェックなどに気を配る一方で、調剤薬局側へ適切な服薬指導を求めて働きかけます。

「認知症患者さんは進行すると自分で服薬管理ができなくなるので、ご家族やヘルパーさんなど周りの方の力を借りて服用を継続することが大事です。また、高齢の方は急に嚥下機能が衰えることもあるので、薬剤師のほうから確認し、錠剤を粉砕したり、医師に貼り薬への変更を提案するなど、患者さんの服薬アドヒアランスの向上に努める役割を積極的に担うべきだと考えます」(長谷川先生)。

山寺先生は「高齢者は合併する身体疾患も多く、複数の診療科で処方された多くの薬を服用していることが少なくありません。薬剤部が処方を確認し、併用禁忌薬などがあれば速やかに連絡があり、とても頼りになる存在です」と話します。

 

多職種との連携で生活面でも患者さんを支援

作業療法士 伊東望さん 作業療法士 伊東望さん

同センターは、大学病院の機能を生かし、多職種の専門スタッフをそろえ、さまざまな場面で患者さんとご家族のサポートを行っています。

認知機能検査などを担当するのは、リハビリテーション科の作業療法士・言語聴覚士です。伊東望さんは「一般に、私たち作業療法士は、認知症患者さんの心身機能維持を目的にリハビリを行います。体を動かしながらコミュニケーションをとることで、無理強いせず不安を取り除けたらと思っています。そうしているうちに、認知症の症状を評価するためには、IADL(手段的日常生活活動)など日常生活における行動の評価の必要性も感じ、MMSE(認知機能検査)・RBMT(リバーミード行動記憶検査)など神経心理検査を含め担当することになりました」と言います。

鈴木先生からも「もの忘れを訴えて受診される患者さんの中には、リモコンの使い方が分からなくなるなど実行機能障害がみられることがあります。こうした多彩な障害を各領域の専門職が多方面からとらえることは、早期鑑別診断に大きく寄与しています」と評価されています。

患者さんの生活支援にも多職種の連携で取り組んでおり、看護師が大きな役割を担っています。

「看護師は、介護に関わるKey personを判断して連絡を取り、近隣の医療機関との連携にも対応しています。初診時から看護師が関わることで自主的に全体のマネジメントが可能となります」(鈴木先生)。

山寺先生は院内のチームワークについて、「スタッフ間の連携はもちろん、各診療科の垣根も低く、医師同士の連携がしやすい環境であることがよい影響をもたらしていると思います」と強調します。

 

地域と共生する病院として早期受診の大切さを啓発

医療・福祉従事者との連携システムが構築されつつあるなか、鈴木先生が注力するのが地域住民への啓発です。鈴木先生も山寺先生と同じく、認知症が進行してから受診する患者さんが多いことを危惧しています。

「受診が遅れるのは、核家族化が進んで独居や高齢者だけの世帯が増えているからでしょうが、早期受診の大切さを住民にもっと啓発していく必要があります」(鈴木先生)。

地域と共生する医療機関として、ほかの医療機関と協力し合いながら患者さんにとって最適な治療を行っている同センター。鈴木先生の目指す“認知症になっても社会の隅に追いやられることなく、安心して生活できる体制づくり”は着々と進められています。

 

 

取材日:2014年6月16日

東京慈恵会医科大学葛飾医療センターの外観

東京慈恵会医科大学葛飾医療センター

〒125-8506
東京都葛飾区青戸6-41-2
TEL:0555-72-8877

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