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退院後の暮らしを考えた認知症医療を実践
<大阪府東大阪市 社会福祉法人天心会 小阪病院>

副院長 東均先生 副院長 東均先生

精神科専門病院で117床の認知症治療病棟を持つ小阪病院がめざしているのは、BPSDなどご家族や介護者の負担となる症状を安定させ、できるだけ早く、住み慣れたご自宅や施設への復帰を実現すること。多職種のすべての職員がベクトルをそろえて取り組むことで成果があがっています。

閉鎖的にならない工夫が施された病院施設

ブールバール通り(ホスピタルモール) ブールバール通り(ホスピタルモール)
ショップ「ブラート」の店内」 ショップ「ブラート」の店内

小阪病院は1927年、精神科専門病院として40床で開業しました。以後、施設・組織の拡大と充実を重ね、9病棟537床の大規模な病院として東大阪市における精神医療の中核としての存在となっています。

2003年に竣工した現在の病院施設は1階のブールバール通り(並木道)と呼ばれるホスピタルモールを中心に開かれた空間とし、カフェや日用品だけでなくおしゃれな洋服や生活雑貨等がとりそろえられたプラート(ショップ)等が並び、街のようなにぎわいを醸し出しています。芝生の庭、気持ちの良い散歩道となる屋上庭園(3F)もあり、患者さんのプライバシーを守りつつ、閉鎖的にならない工夫が随所に施されています。

新病院竣工の際に1病棟57床でスタートした認知症治療病棟は、現在は2病棟117床へと拡大しています。かかりつけ医や地域のケアマネジャーなどからの紹介も多く、認知症相談窓口への電話から診察・治療が始まるケースも増えています。「“痴呆”と呼ばれていた時代から、認知症の患者さんは一定数おられましたが、治療薬が登場してから外来も入院も増え、さらに高齢化によって増加傾向が続いていますね」と、副院長の東均先生は語ります。

 

できるだけ早く退院できることをめざして

同院の認知症治療病棟に入院しているのは、BPSD(周辺症状)が強く出るなど日常生活が難しい状況の患者さんです。認知症の重症度でいうと軽度から中等度ぐらいであっても、徘徊や、いわゆる問題行動が出ることが多い段階の方々です。

認知症患者さんは高齢者が多いので、何らかの身体疾患を合併している方がほとんどです。かかりつけ医や他の複数の医療機関で何らかの治療を受けてこられた患者さんの場合、たくさんの薬を併用していることでBPSDが悪化することもあり、薬の整理・調整が重要な治療ステップとなります。

逆に、病院に通うような持病がなかった患者さんには、認知機能が低下した後に出現した不調を伝えられないまま病気が進行している場合もあり、認知症以外に治療すべき疾患がないか確認することも重視しています。

「認知症の中核症状を治すことは現状では困難ですが、BPSDや他の疾患を治療することで、ずいぶん状態が良くなるのです。まず全人的に診察して何から手を付けるべきかを判断することが、私たちの重要な仕事。そして、できる限り早く状態を安定させて、ご自宅であれ福祉施設であれ、入院前の生活に復帰することを目標として治療しています」(東先生)。

 

認知症相談窓口に寄せられるさまざまな電話

精神保健福祉士 冨井麻由さん 精神保健福祉士 冨井麻由さん
精神保健福祉士 有川美樹さん 精神保健福祉士 有川美樹さん

2012年6月に設置した認知症相談窓口には、現在1日平均2~3件の相談が寄せられています。相談主はご家族もしくは施設や地域のケアマネジャーなど介護関係者で、電話や面談などで時間をかけて精神保健福祉士が聞き取りを行っています。

「ご家族は特に、今お困りのことに気持ちが集中しがちなので、いつ頃から症状があったか、時系列のエピソードを引き出すことに力を入れています」と語るのは精神保健福祉士の冨井麻由さん。

同じく精神保健福祉士の有川美樹さんも「アルツハイマー型認知症だと思って相談に来られた方が、実は正常圧水頭症や頭蓋内血腫であったというケースもあります。その場合、迅速に適切な医療機関へとつながなければなりません。急に症状が進んだかどうかが見分けるポイントになるのです」と、病状の変化について丁寧に聴取することの重要性を語ります。

認知症相談窓口の存在が医師会や行政・福祉関係者に知られるようになり、連携も深まってきました。介護施設のスタッフからの相談も増えました。

『医師に相談するほどではないかもしれない』という段階でも気軽にアプローチできることが大事です。私たち相談員のレベルでは間口を広げて、そのなかから医療につなぐべき患者さんをしっかりキャッチすることを心がけています」(有川さん)。

 

あらゆる立場から退院後の暮らしを考えて

看護師 山下好史さん 看護師 山下好史さん
看護師 上本恭子さん 看護師 上本恭子さん
看護師 笹岡広美さん 看護師 笹岡広美さん

BPSDに悩むほど認知症が進んでいるのに介護保険の申請をされていないご家族や、福祉サービスを受けることを避けようとするご家族も少なくありません。相談を受けた段階から、退院後の生活を考えて保険申請やサービスの手配なども、精神保健福祉士が支援しています。

「家族教室にも力を入れています」と語るのは看護師の山下好史さんです。以前は年に4回だった家族会を、2014年度から2ヵ月に1回に増やし、医師・看護師・栄養士・理学療法士などが持ち回りで講師を担当して、年6回で専門職のアドバイスをひととおり聴けるプログラムを設定しました。

「ご家族同士が共感し合えるよう、現在は数組の参加で行っていますが、来年度は地域の方々にも勉強の場を提供したいと考えています。退院後の患者さんを支えられる家、地域をつくりたいのです」(山下さん)。

看護師の上本恭子さんは「認知症は入院が長期化するとその間にも進行しますから、早くBPSDなどを安定させ、入院期間を短く抑えることが私たちの役目だと思っています。少しでも長く、住み慣れた環境で暮らしていただきたいですね」と語ります。

同じく、看護師の笹岡広美さんも「患者さんとのお付き合いができるだけ短くなるよう努力しているわけですが、短い入院期間中も楽しく過ごせるよう、作業療法士と相談していろいろ工夫しています」と語ります。

 

入院中の治療や活動も、その後の楽しみへつながるように

作業療法士 宮地陽子さん 作業療法士 宮地陽子さん

認知症治療病棟では毎日、作業療法士によって体操やゲーム、園芸や手工芸などの活動が行われています。生活機能回復というよりも、入院以前に行っていた活動を継続することで環境変化によるストレスを軽減したり、趣味や得意な活動を退院後も楽しめるようにするのが目的で、回想法も積極的に取り入れています。

2ヵ月に1度は季節を感じられる行事を開催しています。6月には芝生の庭に紅白の幕を張ってお茶会を行いました。浴衣を着て、この日のために練習したお手前を披露した作業療法士の宮地陽子さんは「患者さんのなかにお茶の先生がおられたりもして、年代的に花嫁修業などでお茶とお花を学んだ方も多いのですね。皆さん背筋がピンと伸びて、所作も美しく、こちらが教えてもらうことばかりでした」と語ります。

お茶会の様子 お茶会の様子
お茶会の招待状お茶会の招待状

 

継続的な服薬管理がこれからの課題

小阪病院の皆さん 小阪病院の皆さん

認知症の入院患者さんは、退院された後、自宅生活に復帰されたり、施設に入所されたり、身体疾患の治療のため総合病院へと転院されたりするわけですが、課題となるのは退院後の服薬管理です。「BPSDを抑える薬は状態を見ながら減らしていくべきものです。高齢者が飲んでおられる薬のほとんどは、継続して飲むものなので、ご家族や介護職の皆さんは、精神科が処方した薬もずっと飲み続けるほうが安心と考えがちです。そういった誤解を解き、こちらから適切なアドバイスができる体制をつくっていきたいですね」と東先生は語ります。

いったん発症した認知症は治せない、だからこそ認知症の進行をできるだけ遅らせ、住み慣れた場所、できればご自宅で安心して暮らせる時間を一日でも長くもてるように。小阪病院の取り組みは地域を巻き込んで広がっていきます。

 

 

取材日:2014年6月12日

小阪病院の外観

社会福祉法人天心会 小阪病院

〒577-0809
大阪府東大阪市永和2-7-30
TEL:06-6722-5151

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