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画像診断を駆使して早期発見に挑戦
<長野県松本市 医療法人青樹会 一之瀬脳神経外科病院>

医療法人青樹会 理事長 一之瀬脳神経外科病院 院長 一之瀬良樹先生 医療法人青樹会 理事長
一之瀬脳神経外科病院 院長 
一之瀬良樹先生

「“寝たきりゼロ”をめざして脳卒中も認知症も発症前に発見し予防したい」。

そんな目標を掲げる“脳”の専門病院、一之瀬脳神経外科病院では、医師と診療放射線技師を中心に認知症を早期発見する手法の開発にも取り組んでいます。

寝たきりゼロ実現のため認知症医療にも注力

長野自動車道、松本インターのすぐ近くに立地する一之瀬脳神経外科病院は1992年の設立で、脳神経外科、神経内科、放射線科、リハビリテーション科を標榜、50床の病棟を持つ“脳”の専門病院です。

脳神経外科では主に脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷、機能的脳神経外科疾患を扱い、さらに脳卒中の予防を目的にその原因となる疾患を診療する専門外来として、脳卒中頭痛外来、脳卒中糖尿病外来、脳卒中循環器外来を設けているのが特徴です。

CT、MRIに加えてPET/CTやXe-CT脳血流測定装置など充実した医療機器を駆使した脳ドックやがん検診に力を入れ、さらに画像診断を使って認知症の早期発見を可能にする検査手法の研究を進めているのも、同院の大きな特徴です。2014年9月の日本早期認知症学会第15回学術大会で“1H-MRSによるアルツハイマー型認知症の評価”という発表が若手奨励賞を受賞するなど、その取り組みは学会でも評価されています。

理事長であり院長でもある一之瀬良樹先生は「脳神経外科医として “寝たきりゼロ”を目標に、脳卒中を起こす前に発見し予防することに力を入れてきました。認知症も寝たきりや要介護度を重くする要因として見逃せません。CT、MRIに加えてPET/CTを備えた当院で認知症の超早期発見に貢献したいと考えたのです」と、取り組みのきっかけを語ります。

 

PETのデータを生かし、高感度のスクリーニング法を模索

「CTやMRIで見えるのは脳の萎縮など"形"のデータです。しかし、萎縮が認められる段階では認知障害はかなり進んでいて、早期発見にはなりません。SPECTならば脳血流を、FDG-PETならば脳の代謝を観察することができ萎縮前に異変を発見できますが、これらの装置を備えた病院は少なく、また、認知症領域においては保険適用もないため使えないのが実際のところです」(一之瀬先生)。

一之瀬脳神経外科病院 放射線技術科長 診療放射線技師 松澤直也さん 一之瀬脳神経外科病院 放射線技術科長 
診療放射線技師 松澤直也さん

アルツハイマー型認知症(アミロイドカスケード説)(↑クリック:PDFファイル) アルツハイマー型認知症(アミロイドカスケード説)
(↑クリック:PDFファイル)

同院で、がんなどの診断のためにPET検査を受けた患者さんの同意を得て脳の検査データを精査したところ、65~69歳で9.21%、80~84歳では20.69%の人の脳にアルツハイマー型認知症もしくは血管性認知症の所見がみられました。この研究を手がけた診療放射線技師で放射線技術科長の松澤直也さんは「PETを持たない医療機関もこの結果を生かせるように、認知症のスクリーニングに使われるさまざまなテストとPET検査との相関を調べています。その結果、立方体の絵が描けないなど空間認識の障害が、ごく早期のアルツハイマー型認知症を発見する指標になりそうだとわかりました。これからも感度の高い指標を探していきたいと考えています」と語ります。

 

MRIを使って脳の代謝を観察する手法を追求

一之瀬脳神経外科病院 診療放射線技師 上條弘之さん 一之瀬脳神経外科病院
診療放射線技師 上條弘之さん

前述した日本早期認知症学会大会において若手奨励賞の受賞者である診療放射線技師の上條弘之さんも、高磁場MRIを用いた認知症の早期診断法を模索しています。受賞対象となったproton-MRS(プロトンMRスペクトロスコピー)は高磁場MRIを用いて任意の脳内代謝物を測定する方法で、MCI(軽度認知機能障害)の段階でアルツハイマー型認知症を診断・評価できる可能性が期待されています。また、同じく高磁場MRIを用いたDTI(拡散テンソル画像)から得られる、拡散異方性の指標とされるfractional anisotropy(FA)を測定することで、血管性認知症およびアルツハイマー型認知症の早期診断に取り組んでいます。

「近年ではMRI装置は所有する医療機関が多く、また放射性薬剤もX線も使用しない侵襲性の低い診断装置です。MRI装置を使用した迅速かつ客観的な画像診断ができる仕組み作りをめざしています」(上條さん)。

 同院では、脳卒中予防のためのバイパス手術を受けた患者さんにおいて認知機能障害の進行が遅いという事実にも注目しています。脳の血流と認知機能の相関についてさまざまなデータを持つ脳神経外科ならではの研究に期待が高まります。

「2017年にアミロイドイメージングが可能となる、PET用製剤のデリバリー供給が予定されています。PETによるアミロイドイメージング診断が実現すれば、超早期での発見・診断も可能になるでしょう。症状が出る前に治療を始められる時代が来ることを期待しています。"寝たきりゼロ"を実現したいですね」(一之瀬先生)。

治る認知症で実績を重ねる一方、治療中断者に悩みも

同院にはもの忘れ外来があり、脳神経外科と神経内科の外来で対応しています。アルツハイマー型認知症と診断され、通院している方は年間400人ほどで、多くはかかりつけ医からの紹介です。「適切な画像を撮ってレポートをつけて紹介元にお返ししますので、患者さんに説明しやすいという評価をいただいています」(一之瀬先生)。

脳腫瘍、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症など治せる認知症の診断・治療も多く手がけています。これらの疾患で生じる認知機能障害は、手術によって劇的に改善しますが、逆に治療が遅れると進行が速く、命の危険もあります。治る認知症の存在を啓発することも、脳神経外科病院の役割だと考えて取り組んでいます。

一之瀬先生が大切にしているのは、認知症の人のプライドを尊重することと、ご家族の理解を深めること。「ご本人の前向きな気持ちとご家族の協力が、治療継続の鍵になります」(一之瀬先生)。

一之瀬脳神経外科病院 薬剤科長 百瀬陽子先生 一之瀬脳神経外科病院
薬剤科長 百瀬陽子先生

「それでも治療を中断してしまう方がいるのが、今の課題です」と語るのは、薬剤科長の百瀬陽子先生です。数年前に調査を行ったところ、軽度でかつアルツハイマー型認知症治療薬のみを処方している方に中断が多いことがわかりました。

「進行を抑制する薬なので効果を実感しにくいのだと思われます。降圧剤など他の疾患の治療薬を処方している患者さんは、継続的に受診して結果的に認知症治療の薬も飲み続けているわけです。薬の特性を説明したり、医療機関に定期的に受診していることの重要性を伝えたりすることが大切だと感じます」(百瀬先生)。

 

作業療法士がリハビリと検査で活躍

リハビリテーション技術科では、入院患者さんのリハビリを担当しています。同院に入院するのは脳卒中など急性期の患者さんですが、中には認知症を合併した方もいらっしゃいます。作業療法士で同科長の和氣良彦さんは「脳卒中は運動麻痺や感覚障害など突然の変化をもたらします。特に認知症を合併した患者さんの場合、身体状況や環境の急激な変化に対して、非常に強い混乱状態を示されることもあります。精神的な安定を図るためには、しっかりと身体機能にもアプローチする必要があり、患者さんの状態に合わせて丁寧に関わることを意識しています」と語ります。

一之瀬脳神経外科病院 リハビリテーション技術科長 作業療法科長 和氣良彦さん 一之瀬脳神経外科病院
リハビリテーション技術科長 作業療法科長
和氣良彦さん

自宅へ退院予定の患者さんの場合、ご家族などがリハビリに同席できるようにして介助のコツを伝えたり、それぞれの患者さんの生活環境に応じた介護方法の指導をしたりもしています。

認知症の診断にも一役買っています。神経心理検査は長谷川式簡易評価スケールを採用しているのですが、同科でより詳細な高次脳機能検査を行うこともあります。「検査結果のみならず、検査中の患者さんの様子を観察して医師に報告しています」(和氣さん)。

 

通所リハビリテーションで毎日数十人が

急性期、回復期のリハビリが終了した患者さんで継続的なリハビリが必要な方は、併設の通所リハビリテーションに通うことができます。登録利用者は200人で、半日コースに25人、1日コースに35~40人が参加しています。脳卒中の患者さんが中心ですが、認知症の人が増える傾向にあります。

通所リハビリテーション事業所 所長 川上雅実さん 通所リハビリテーション事業所
所長 川上雅実さん

認知症の人にBPSD(周辺症状)がある場合は、その背景を理解するところから取り組みを始めます。「BPSDの背景には、その方それぞれに中核症状と性格や環境が組み合わさった“理由”があります。それを理解せずに症状のみに注目して対応すると、逆に悪化してしまう可能性があります。しっかり理解して適切な対応をすることで、穏やかさを引き出すことができた時には、やりがいを感じます」と語るのは、通所リハビリテーション事業所の所長で作業療法士の川上雅実さんです。

定期的に患者さんと接し、一緒に過ごす時間も長いデイケアの特徴を生かして、気になる変化を見つけたら患者さんのかかりつけ医と情報共有しています。

 

在宅患者さんとその介護者を見守る訪問看護

そのほか、同院は訪問看護ステーションも併設しており、対象となる患者さんの6割ほどが認知症を抱えています。話し相手を務めたり、デイサービスに行けるように気持ちを高めるお手伝いをしたり、多様なサポートを行っています。

通所リハビリテーション事業所の作業療法士が同行して訪問リハビリを行うこともあります。

一之瀬訪問看護ステーション 管理者 竹野美津子さん 一之瀬訪問看護ステーション
管理者 竹野美津子さん

訪問看護では服薬管理も大切な仕事ですが、まず患者さんとの信頼関係づくりから始める必要があると、一之瀬訪問看護ステーションの管理者である看護師の竹野美津子さんは語ります。「きちんと服薬してほしいという思いが空回りすると、家に入れてもらえないなど拒絶が強くなるリスクもあります。常に患者さんを尊重する態度で接することが大事だと感じています」(竹野さん)。

同院が薬を処方している場合は、服薬の状況に即して種類を変更してもらうように薬剤師に相談することも珍しくありません。

認知症の早期発見に力を入れる病院の看護師として、訪問先で出会う方たちへの注意も欠かしません。「介護されている方が認知症だったことも何度かあります。早期発見、早期治療に貢献したいですね」(竹野さん)。

全ての職種のスタッフがそれぞれの知識と技術を高め、院内はもちろん院外とも連携して“寝たきりゼロ”をめざす一之瀬脳神経外科病院。これからも、早期発見・早期治療の取り組みを先導していくことが期待されます。

 

 

取材日:2015年3月18日

一之瀬脳神経外科病院の外観

医療法人青樹会 一之瀬脳神経外科病院

〒390-0852
長野県松本市島立2093
TEL:0263-48-3300

施設のホームページへ

 

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